- 英
- adrenoleukodystrophy, ALD
- 同
- 副腎脳白質ジストロフィー、副腎白質萎縮症
- 汎発性軸索周囲性脳炎 encephalitis periaxiallis diffusa
- 関
- シルダー病
まとめ
- 中枢神経系の脱髄、副腎皮質機能不全、極長鎖脂肪酸の蓄積が特徴のX連鎖劣性遺伝疾患である。男子数万人に1人に発症するとされる。原因遺伝子はペルオキシソーム膜に存在する膜タンパク質(ALDP)をコードする遺伝子(ALD gene, Xq28)の異常による。病理組織では大脳白質の脱髄・硬化像、血管周囲の単核球浸潤などの炎症所見が見られる。大脳白質のマクロファージや副腎皮質細胞に極長鎖脂肪酸含む層状構造物が認められる。病型には小児ALD、副腎脊髄神経障害、成人大脳型、小脳脳幹型、副腎不全型などがある。小児ALDが最も多くALDの約半分を占める。経過は3-12歳頃に性格・行動変化、学習障害、視力及び聴力障害を初期症状として発症、四肢麻痺・除皮質状態へと急速に進行する。副腎皮質機能障害が認められることが多く、ACTH上昇による黒皮症がみられうる。検査では血清中にC24-26:0の極長鎖脂肪酸の増加がみられ、MRIではT2強調画像にて後頭葉・頭頂葉白質の脱髄が認められる。遺伝子検査でALD遺伝子の異常が認められる。治療は病初期に骨髄移植を行うことで神経症状の進行が防止可能である。オレイン酸(C18:1)とエルカ酸(C22:1)を4:1に含むLorenzo油の服用が推奨されている。(PED.300 SPE.182 YN.J-115)
概念
病因
- ALD遺伝子(Xq28)の異常。ペルオシキソーム膜に存在する膜タンパクをコードしている。(YN.J-115 SPE.182)
遺伝形式
病理
- 血管周囲にリンパ球浸潤、貪食細胞出現 (YN.J-115)
症候
- 5-10歳頃に、皮膚・粘膜の色素沈着で発症し、進行性の知能低下、歩行障害、皮質性視力障害を来たし、ついには痙性対麻痺、除皮質状態となる。(YN.J-115)
- 3-12歳頃に、行動変化、学習障害、大脳皮質性の視力障害や聴力障害などで発症し、四肢麻痺へと至る。種々の程度の副腎皮質機能障害を呈する。(SPE.183)
診断
- 血清中のC24:0,C25:0,C26:0などの極長鎖脂肪酸の増加を見る。ALD遺伝子の変異を見る。
検査
- 病初期に、後頭葉を中心とする左右対称性の脱髄を認める。造影により脱髄巣周囲が増強される
治療
- SPE.183
- 根治療法無し
- 病初期に骨髄移植を行うと神経症状の進行が予防可能
- 血中極長鎖脂肪酸を下げるために、Lorenzo油(オレイン酸(C18:1):エルカ酸(C22:1)=4:1)の服用が進められている
予後
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/02/16 11:57:58」(JST)
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副腎白質ジストロフィー(ふくじんはくしつジストロフィー、英語:Adrenoleukodystrophy, ALD)は、先天的な脂質代謝異常によって脱髄が起こる白質ジストロフィーないしペルオキシソーム病の一種である。特定疾患として認められた難病の1つである。略称は、ALD。
目次
- 1 概説
- 2 扱われた作品
- 3 関連項目
- 4 外部リンク
概説
この疾患は、健常者ならば持っている長鎖脂肪酸を正常に代謝するための酵素が先天的に欠損しており、そのため代謝異常によってこの長鎖脂肪酸が正常に排出されず、神経細胞内に蓄積する。神経細胞に蓄積した長鎖脂肪酸は、ミエリンと呼ばれる中枢神経系の髄鞘を剥ぎ取り、そのことによって脳の白質を傷つけるという病気である。
男性は1つ、女性は2つ持っているX染色体に存在するALD遺伝子の異常でおこる遺伝性の病気であり、原因遺伝子が性染色体の上にあるため、異常な遺伝子を持つX染色体を受け継いでも、X染色体を2つ持つ女性はもう片方が正常であれば、異常な染色体の役割を代理するので病気になることはほとんどないが、X染色体が元々1つしかない男性は発症しやすい(伴性遺伝)。そのため、女性、つまり母親側がキャリアとなり、約50%の確率で男児にのみ発症するのである。
症状は人によってまちまちだが、小児発症の場合は過敏症が先に現れ、学校や社会生活などでヒステリー様の症状として気づかれ、学校等での行動異常、学力低下、次第に無言症、歩行不安、失明、皮膚の剥離とさまざまな症状が現れ、約2年で死亡と予後は不良。症状は多く急速に進行する。
扱われた作品
関連項目
外部リンク
- ALDの未来を考える会(通称A-Future)
- 財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター
- ALDねっとわーく
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Japanese Journal
- 副腎白質ジストロフィー(ALD)に対する遺伝子治療--遺伝性神経疾患の遺伝子治療 (AYUMI 最先端の遺伝子治療)
- 加我 牧子
- 音声言語医学 52(4), 316-321, 2011
- … 提である.成人の聴覚失認もまれな症状であるが,小児では成人に多い脳血管障害が少なく,高次脳機能障害の診療に慣れていないことが多く,診断が難しく,気づかれにくいことも多い.そこで本稿では聴覚失認を呈したヘルペス脳炎,副腎白質ジストロフィー症,Landau-Kleffner症候群の小児症例の紹介を通じて,発達性言語障害やauditory neuropathy/auditory nerve diseaseとの鑑別を含め,診断治療の問題点について紹介した. …
- NAID 130001144507
- ペルオキシソーム病(副腎白質ジストロフィー,Zellweger症候群) (小児の治療指針) -- (代謝)
Related Links
- この病気は公費負担の対象疾患です。公費負担の対象となるには認定基準があります。 認定基準 臨床調査個人票 臨床調査個人票 1. 副腎白質ジストロフィーとは 中枢神経系(脳や脊髄)において脱髄(神経線維を覆って ...
- ALD 副腎白質ジストロフィー (厚生労働省難治性疾患克服研究事業:運動失調に関する調査及び病態機序に関する研究班) ... このページはALDに関する基本的な情報・最新の知見・本研究班の成果を広くお伝えすることを目的として ...
- ALD 副腎白質ジストロフィー (厚生労働省難治性疾患克服研究事業:運動失調に関する調査及び病態機序に関する研究班) ... 1.副腎白質ジストロフィーとは? A. 副腎白質ジストロフィーとはどのような病気ですか? 中枢神経系 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 56歳の男性。歩行時のふらつきを主訴に4か月前に来院した。酒に酔っているかのように左右にふらふらして歩くようになり、本人は「平衡感覚がおかしい」、「視点を動かすと風景の残像がしばらく残る」、「夜になるとものが見にくい」、「字が読みにくい」などと訴えていた。食欲はあった。2か月前から喋らなくなり、意思の疎通が困難になり、一日布団の上で寝て過ごすようになった。妻が世話していたが、トイレには行かずにオムツを使っていた。今月から呼びかけに全く反応しなくなり、周囲の物に視線を向けなくなった。また体がカチカチになってきて、上半身を起こすことができなくなった。食べ物は口に押しつければ、なんとか食べることができた。るいそう、脱水、褥瘡、除皮質硬直、ミオクローヌス及び四肢深部腱反射亢進を認める。頭部単純MRIのT2強調像と拡散強調像とを以下に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102I073]←[国試_102]→[102I075]
[★]
- 10歳の男児。学習の遅れと視覚障害とが顕著になったため来院した。
- 4か月前からボールの捕球が困難になり、またピアノの楽譜を読めなくなった。記憶力が低下し、算数の図形の問題が苦手となった。運動自体や感情面に問題はない。三種混合と麻疹ワクチンとは接種済みである。
- 意識は清明。自分の名前と年齢とを言える。手掌と足底とを除いて全身皮膚に色素沈着がある。心雑音は聴取せず、ラ音も聴取しない。腹部は平坦で軟、肝・脾は触れない。深部腱反射は亢進し、Babinski徴候は陽性である。手の変換運動は良好で、片足立ちは可能である。
- 血清生化学所見:総蛋白7.1g/dl、アルブミン4.7g/dl、尿素窒素11mg/dl、AST(GOT)33単位(基準40以下)、ALT(GPT)35単位(基準35以下)、LDH548単位(基準176~353)。頭部単純MRIのT1強調像とT2強調像とを以下に示す。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096D043]←[国試_096]→[096D045]
[★]
- 12歳の男児。意識消失を主訴に来院した。2年前から熱いものを食べる時やリコーダを吹く時に、ボーとして立ち上がれなくなる発作が10回あった。症状は2~3分間持続する。神経学的に異常はない。頭部単純MRIのT1強調像とT2強調像とを以下に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101G042]←[国試_101]→[101G044]
[★]
- 9歳の男児,今朝から右半身の動きが少なくなり、母親に連れられて来院した。3歳から啼泣時に左上下肢の動きが悪いことに母親は気付いていたが放置していた。来院時、意識は清明。項部硬直はみられない。右半身の不全麻痺と感覚鈍麻とを認める。
[正答]
※国試ナビ4※ [096A041]←[国試_096]→[096A043]
[★]
- 26歳の男性。四肢の運動障害を主訴に来院した。頭部単純MRIのT2強調水平断像、頭部造影MRIのT1強調水平断像、頭部単純MRIのT2強調水平断像及び頚部単純MRIのT2強調矢状断像を以下に示す。最も考えられる疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102I047]←[国試_102]→[102I049]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [101F055]←[国試_101]→[101F057]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[★]
[正答]
[★]
[★]
[★]
- 英
- dementia
- 同
- 痴呆、痴呆症、器質痴呆 organic dementia
- 関
- amyotrophic lateral sclerosis、ハチンスキー虚血スコア
定義
- いったん正常に発達した知的機能が持続的に低下し、複数の認知障害があるために社会生活に支障をきたすようになった状態。(参考1)
- 1. 知的機能が脳の器質性障害によって低下
- 2. 認知機能が選択的に障害された状態(PSY.312)
- 3. 記憶と判断力の障害を基本とする症候群(PSY.312)
認知症の概念
- 1. 記憶障害
- 2. 記憶以外の認知機能の障害
- 3. それらによる日常生活や職業生活の障害
- 4. 意識障害によらないこと
認知症と区別すべき病態
など
認知症の分類
-
-
- ピック病:行動の障害、人格変化。Pick球やPick細胞が存在
原因疾患
原因
- KPS.369
認知症症状
1. 中核症状
- 記憶障害:初期には記銘力、短期記憶から障害される。早期:エピソード記憶 → 重症:意味記憶
- 判断力低下
- 見当識障害
- 言語障害(失語)
- 失行
- 失認
2. 周辺症状
認知症と老化現象との違い
- 老化現象
- 体験の一部を忘れる ← ヒントを与えられると思い出せる
- 名前や日付などをとっさに思い出せる
- 日常生活に支障はない
- 物忘れに対して自覚がある
- 体験した全てを忘れる。最近の記憶がない ← ヒントを与えられてても思い出せない
- 時間や自分のいる場所が分からない
- 日常生活を営むことが困難
- 物忘れに対して自覚がない
検査
診断
|
アルツハイマー病
|
脳血管性認知症
|
ピック病
|
認知症
|
全般的認知症
|
まだら認知症
|
アルツハイマー病に類似。 早期には人格、注意力が障害され、 次第に記憶力も障害される。
|
人格
|
晩期に人格障害
|
保たれる
|
早期に人格障害
|
病識
|
なし(初期にはあり)
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あり
|
なし
|
経過
|
進行性
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動揺性、階段状に進行性
|
進行性
|
基礎疾患
|
特になし
|
高血圧、糖尿病、心疾患
|
特になし
|
画像検査
|
対称性の脳溝開大
|
脳実質内に脳梗塞巣
|
側頭葉と前頭葉の萎縮
|
機能画像検査
|
側頭葉、頭頂葉での代謝低下
|
前頭葉を中心とした多発性の脳代謝低下
|
前頭葉、側頭葉での代謝低下
|
treatable dementia
- 治療可能な認知症を診断しておく。根本的な治療が可能で、認知機能は可逆的である。
- → 治療できる認知症
治療
認知症高齢者を対象とした事業・施設
国試
[★]
- 英
- leukodystrophy
- ラ
- leukodystrophia
- 同
- 白質異栄養症、白質変性症 leukodegeneration
- 関
- 副腎白質ジストロフィー:ペルオキシソームでの極長鎖脂肪酸の代謝異常による疾患。X連鎖劣性遺伝。5-10歳頃に、皮膚・粘膜の色素沈着で発症し、進行性の知能低下、歩行障害、皮質性視力障害を来たし、ついには痙性対麻痺、除皮質状態となる。
- 異染性白質ジストロフィー:リソソーム酵素の欠損によりスルファチドが蓄積する疾患。常染色体劣性遺伝。(乳児型)1歳以降に歩行の不安定で気づかれ、腱反射減弱、筋緊張低下を認める。数ヶ月の経過で座位困難となり、知的退行、視力障害が認められる。
[★]
- 英
- Lorenzo's oil
- 関
- ロレンツォ油、副腎白質ジストロフィー
[★]
[★]
- 英
- neonatal adrenoleukodystrophy
- 関
- ペルオキシソーム病、高ピペコリン酸血症、多発性ペルオキシソーム障害
[★]
- 英
- X-linked adrenoleukodystrophy
- 関
- 副腎脊髄神経障害、副腎白質萎縮症、X連鎖副腎白質ジストロフィー
[★]
- 英
- X-linked adrenoleukodystrophy
- 関
- X連鎖性副腎白質ジストロフィー
[★]
- 英
- adrenoleukodystrophy gene
- 同
- ALD遺伝子 ALD gene
[★]
- 英
- adrenal gland (KH), suprarenal gland (Z)
- 同
- 腎上体
解剖
血管(図:N.322)
- ref(renal_gland_av.png,副腎)
組織
機能
[★]
- 英
- white matter
- ラ
- substantia alba
- 関
- 灰白質
- 脳と脊髄の断面で、肉眼的に白色を呈する部分。
- 髄鞘をもった有髄神経線維が密に集合している。
- CTでは低吸収にみえる → やはり脂質にとむ髄鞘が多いからでしょう
- MRIでは高吸収にみえる。見え方としてはCTの逆と覚えればよい。
[★]
- 英
- dystrophy
- 関
- 異栄養、異栄養症、異栄養性
[★]
- 英
- quality
- 関
- 品質