- 英
- pralidoxime
- 商
- パム静注, Protopam
- 同
- プラリドキシムヨウ化メチル、2-pyridine aldoxime methiodide 2-PAM PAM、ヨウ化プラリドキシム pralidoxime iodide
- 関
- 有機リン剤中毒、コリンエステラーゼ阻害薬
概念
- 有機リン化合物中毒治療
- コリンエステラーゼを再活性化させる。
薬効薬理
- パム静注500mg
- (1) マウスにパラチオン他7種類の有機リン剤を投与した実験において、各臓器のChE活性を回復させることが認められている。1)
- (2) マウスにパラチオン他8種類の有機リン剤を投与した実験において、LD50値が上昇することが認められている。2)
- (3) ウサギにパラチオン他8種類の有機リン剤を投与した実験において、血液中のChE活性を回復させることが認められている。2)
- (4) ヒト血液を用いたin vitroの実験において、スミチオン他9種類の有機リン剤によって阻害されたChE活性を回復させることが認められている。3)
添付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3929401A1035_3_04/3929401A1035_3_04?view=body
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/02/01 17:30:36」(JST)
[Wiki ja表示]
プラリドキシムヨウ化メチル(プラリドキシムヨウかメチル、pralidoxime iodide)は、有機リン剤中毒の特異的な解毒剤である。一般的な通称はパム(PAM)もしくはオキシム剤と呼ばれることもある。化学的にはピリジニウム環にオキシム部位が置換した構造を持つ。
本来想定していた用途は、有機リン系の農薬中毒に対してであった。しかし、サリンやVXガスなど神経ガスも有機リン剤の一種であるため、効果を発揮する。
日本では大日本住友製薬(前:住友製薬)が1955年より医療用医薬品「パム静注500mg」として製造発売している。もともと同社の前々身で母体でもある住友化学は有機リン農薬を製造しており、同農薬による中毒に対処できる薬剤として細々と製造され、農業地帯の病院を中心に常備されてきた。
1995年の地下鉄サリン事件において原因の化学兵器がサリンだと特定されると、特効薬として一躍有名になった。それにおいて、瞬く間に消費されて東京都内の在庫は尽きてしまうも、全国各地の在庫が駅や空港で待機した医療関係者の人海戦術のリレーにより都心へ輸送され、結果として600人以上の被害者の命を救った。これは2005年に同事件による聖路加国際病院での救護活動を題材としたプロジェクトX〜挑戦者たち〜「地下鉄サリン救急医療チーム 最後の決断」においてもエピソードの一つとして取り上げられた。
作用機序[編集]
有機リン剤は、神経の化学伝達物質であるアセチルコリンの分解酵素、コリンエステラーゼ (ChE) の酵素活性中心に結合することで、本来のアセチルコリン分解作用を失活させる。そのことにより増長したアセチルコリンの作用が意識障害、徐脈、血圧低下、縮瞳などの中毒症状を引き起こす。
本剤は、酵素活性中心に結合した有機リン剤を切断解離させる作用をもち、その結果、ChEの活性を回復させるので、有機リン剤に対する解毒作用をあらわす。
ただし、有機リン剤がコリンエステラーゼに結合して一定時間がたつと、エイジングとよばれる不可逆変化が起こり、薬が効かなくなる。 たとえば、サリンの1/2エイジング時間は約5時間なので、浴びてから5時間以内に投与しなければ手遅れとなる。
類似する中毒症状に対する適用上の注意[編集]
有機リン剤と同様の作用機序を示すカルバメート剤においては、有機リン中毒と同じく血清コリンエステラーゼ活性の低下が見られる。しかし、本剤によってはコリンエステラーゼとカルバメート剤の結合は解離できないので、PAM ではなくアトロピンを投与すべきである。
関連項目[編集]
- 中毒 - 農薬中毒
- サリン
- アトロピン
- オキシム
- コリンエステラーゼ再賦活薬
- 地下鉄サリン事件
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Related Links
- プラリドキシムの構造式(カチオン部) ... 一般的な通称はパム(PAM)もしくはオキシム 剤と呼ばれることもある。化学的には ... しかし、本剤によってはコリンエステラーゼと カルバメート剤の結合は解離できないので、PAM ではなくアトロピンを投与すべきである 。
- プラリドキシムヨウ化メチル(プラリドキシムヨウかメチル、pralidoxime iodide)は、有機 リン剤中毒の特異的な解毒剤である。一般的な通称はパム(PAM)もしくはオキシム剤と 呼ばれることもある。化学的にはピリジニウム環にオキシム部位が置換した構造を .
- 治療は、初期の徹底的な消化管洗浄に加え、解毒剤としてヨウ化プラリドキシム(PAM) が用いられます。対症療法 ... 有機リンはAChEと反応してAChEの活性を阻害しますが 、これにPAMを反応させるとリン酸残基が取り除かれ、AChEは活性を復活します。
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
パム静注500mg
組成
有効成分
1アンプル(20mL)中
添加物
1アンプル(20mL)中
効能または効果
- 有機リン剤の中毒
- プラリドキシムヨウ化物として、通常成人1回1gを静脈内に徐々に注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
慎重投与
- 重症筋無力症〔正常人と異なる反応を示すことがあるので、筋肉症状に十分注意すること。〕
- 腎機能障害のある患者〔本剤は主として腎臓で排泄されるため、慎重に投与すること。〕
薬効薬理
コリンエステラーゼ(ChE)賦活作用
- マウスにパラチオン他7種類の有機リン剤を投与した実験において、各臓器のChE活性を回復させることが認められている。1)
- マウスにパラチオン他8種類の有機リン剤を投与した実験において、LD50値が上昇することが認められている。2)
- ウサギにパラチオン他8種類の有機リン剤を投与した実験において、血液中のChE活性を回復させることが認められている。2)
- ヒト血液を用いたin vitroの実験において、スミチオン他9種類の有機リン剤によって阻害されたChE活性を回復させることが認められている。3)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- プラリドキシムヨウ化物(プラリドキシムヨウ化メチル)
Pralidoxime Iodide
化学名
- 2-formyl-1-methylpyridinium iodide oxime
分子式(分子量)
性状
- 黄色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、味はわずかに苦い。
水にやや溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エーテル又はクロロホルムにほとんど溶けない。
融点
★リンクテーブル★
[★]
[★]
プラリドキシム pralidoxime, 2-pyridine aldoxime methiodide