- 英
- GPI anchor, glucan phosphatidylinositol anchor
- 関
- ホフファチジルイノシトール
- 糖鎖
- 細胞膜にあるべきタンパク質を細胞膜の正しい位置に繋ぎ留めておく機構の一つ
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/03/19 19:18:37」(JST)
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グリコシルホスファチジルイノシトール(glycosylphosphatidylinositol、GPI)または、GPIアンカー(GPI anchor)は、真核細胞の細胞膜の外面に様々なタンパク質を繋ぎ止める基である。膜貫通タンパクを膜に固定するペプチドドメインも同じ役割を持っている。GPIアンカーに繋ぎ止められるものには、酵素、受容体、免疫系タンパク質、認識抗原などがある。
目次
- 1 構造
- 2 GPIアンカーの生合成
- 2.1 GPI基の合成
- 2.2 タンパク質との結合
- 3 参考文献
- 4 関連項目
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構造
GPIアンカー。左上から、ホスホエタノールアミン、コア四糖(3マンノースと
N-アセチルグルコサミン)、ホスファチジルイノシトールが結合した形をしている。Rは細胞膜を構成する脂肪酸である。
GPIアンカーは、ホスファチジルイノシトールにN-アセチルグルコサミン残基とマンノース残基3分子が線状にグリコシド結合し、非還元末端のマンノースにはホスホエタノールアミンがリン酸エステル結合し、そのアミノ基にはタンパク質のC末端がアミド結合した構造をしている。右図の中央のコア四糖にはタンパク質の種類によって様々な糖が結合する。また、右端の脂肪酸残基(R1、R2)にも種類がいろいろある。
タンパク質をつけたGPIアンカーは糖タンパク質と同じように細胞膜の外面にある。これは、GPIアンカーがゴルジ体から放出された分泌小胞の膜の内面にあり、それが細胞膜まで運搬されると小胞の内膜が細胞膜の外面になるように融合するためである(詳しくはゴルジ体を参照)。GPIアンカーと結合する前のタンパク質はC末端側に20~30の疎水性アミノ酸残基(シグナルペプチド)を持っている。これはGPIアンカーと結合するときに除去される。GPIアンカーと結合したタンパク質は後にホスファチジルイノシトールに特異的なホスホリパーゼによって処理されると細胞膜から切断される。
GPIアンカーの生合成
GPI基の合成
反応式 |
酵素など |
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1: 6N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ複合体
Rは脂肪酸 |
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2: N-デアセチラーゼ
GlcNH2はグルコサミン
Pはリン酸 |
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3: イノシトールアシルトランスフェラーゼ |
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4: 4-マンノシルトランスフェラーゼ (MT-I)
Dol-Pはドリコールリン酸
Manはマンノース残基 |
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5: エタノールアミンホスホトランスフェラーゼ |
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6: 4-マンノシルトランスフェラーゼ (MT-II)
7: 4-マンノシルトランスフェラーゼ (MT-III) |
|
8: PI上の脂肪酸の置換
9: エタノールアミンホスホトランスフェラーゼ |
タンパク質との結合
この反応は粗面小胞体で起こり、タンパク質は膜融合で細胞膜の外側を向く。
反応式 |
説明 |
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GPI基のN原子の不対電子が標的タンパク質とC末端ペプチド(C端シグナルペプチド)の間のカルボキシル基に求核攻撃をする。そして、C末端ペプチドは除去され、GPIアンカーが完成する。 |
参考文献
- 『ヴォート生化学』、(上下)、第3版、田宮信雄訳、東京化学同人、2005年、313,673-674頁
関連項目
タンパク質の一次構造と翻訳後修飾 |
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全般 |
タンパク質生合成 - ペプチド結合 - タンパク質分解 - ラセミ化
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N末端 |
アセチル化 - ホルミル化 - ミリストイル化 - ピログルタミン酸 - メチル化 - 糖化反応
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C末端 |
アミド化 - GPIアンカー - ユビキチン化 - SUMO化
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リシン |
メチル化 - アセチル化 - アシル化 - ヒドロキシル化 - ユビキチン化 - SUMO化 - デスモシン - ADPリボース化 - 脱アミノ(酸化的脱アミノ)
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システイン |
ジスルフィド結合 - プレニル化 - パルミトイル化
|
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セリン/トレオニン |
リン酸化 - グリコシル化
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チロシン |
リン酸化 - チロシン硫酸化 - ポルフィリン環結合 - リボフラビン結合
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アスパラギン |
脱アミド - グリコシル化
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アスパラギン酸 |
スクシンイミド形成 - リン酸化
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グルタミン |
アミノ基転移
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グルタミン酸 |
カルボキシル化 - ポリグルタミル化 - ポリグリシル化
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|
アルギニン |
シトルリン化 - メチル化
|
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プロリン |
ヒドロキシル化
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←アミノ酸
二次構造→
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Japanese Journal
- 3PT172 ラフト親和性GPIアンカー型分子プリオンタンパク質の神経細胞膜でのダイナミクス(日本生物物理学会第50回年会(2012年度))
- Nemoto Yuri L.,Nakada Chieko,Hijikata Hiroko,Fujiwara Takahiro K.,Kasai Rinshi S.,Ishikawa Yoshiro,Shibata Akihiro C. E.,Chadda Ankita,Morris Roger J.,Kusumi Akihiro
- 生物物理 52(SUPPLEMENT_1), S170-S171, 2012-08-15
- NAID 110009585398
- 1G1412 GPIアンカー型タンパク質の短寿命ホモダイマーはラフト組織化・機能のための最小単位である(細胞生物的課題I,口頭発表,日本生物物理学会第50回年会(2012年度))
- Suzuki Kenichi G. N.,Kasai Rinshi S.,Hirosawa Koichiro M.,Nemoto Yuri L.,Ishibashi Munenori,Miwa Yoshihiro,Fujiwara Takahiro K.,Kusumi Akihiro
- 生物物理 52(SUPPLEMENT_1), S31, 2012-08-15
- NAID 110009584656
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- GPIアンカー生合成経路の完全解明 GPI(Glycosylphosphatidylinositol)アンカーは,フォスファチジルイノシトールにグルコサミン,マンノース,エタノールアミンリン酸が結合した糖脂質の一種である.多くのタンパク質が,GPIアンカーを ...
- 細胞の表面にはGPIアンカーで表面膜につなぎ止められている一群のタンパク質があり、GPIアンカー型タンパク質注3) と呼ばれています。ヒトにはおよそ150種類のGPIアンカー型タンパク質が存在し、発生 ...
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★リンクテーブル★
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[正答]
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- 英
- membrane protein
- 同
- 膜タンパク、膜蛋白、膜蛋白質
- 関
- シグナルペプチド、GPIアンカー
- 内在性膜タンパク質、表面タンパク質、細胞表面タンパク質、膜結合タンパク質、細胞膜タンパク質
[show details]
[★]
- 関
- 発作性夜間ヘモグロビン尿症
[★]
- 英
- GPI-anchored protein deficiency
[★]
[★]
- 関
- glycosylphosphatidylinositol
[★]
- 英
- anchor
- 関
- 係留、固着、繋留
[★]
- 関
- glycoprotein