膜タンパク質
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膜タンパク質(まくタンパクしつ、Membrane protein)とは、細胞または細胞小器官などの生体膜に付着しているタンパク質分子である。タンパク質全体の半分以上が膜と関係している。膜タンパク質は、膜との関係の強さによって2つに分けられる
目次
- 1 分類
- 2 膜結合性タンパク質
- 3 参考文献
- 4 出典
分類
内在性膜タンパク質とは、常に膜に付着しているタンパク質であり、引き離すにはラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤または非極性溶媒を必要とする。
- 膜貫通型タンパク質は、膜を完全に貫いている。タンパク質の膜貫通部位はβバレルもしくはαヘリックス構造をしている。αヘリックスは外膜を含め全ての生体膜に存在する。またβバレルはグラム陰性細菌の外膜とグラム陽性細菌の細胞壁、ミトコンドリアや葉緑体の外膜にのみ見られる。
- 一回膜貫通型タンパク質は、一方の端のみで膜と結合しているタンパク質である。
表在性膜タンパク質とは、疎水性相互作用、静電相互作用など共有結合以外の力によって脂質二重層または内在性膜タンパク質と一時的に結合しているタンパク質である。これを引き離すには高塩濃度の極性溶媒を必要とする。
内在性のものも表在性のものも、翻訳後修飾で脂肪酸、フェニル基鎖、グリコシルホスファチジルイノシトールなどが付加され、これらがアンカーとなって脂質二重層に繋ぎとめられる。
内在性、表在性という分類はコリシンAやαヘモリシンなどのポリペプチド毒やアポトーシスに関わるある種のタンパク質には当てはまらない。これらのタンパク質は水溶性だが脂質二重層と不可逆的に結合し、αヘリックスまたはβバレル構造を持った膜貫通チャネルを形成する。別の分類法では、全ての膜タンパク質を内在性と両親媒性に分ける[1]。両親媒性のタンパク質は水に溶け、脂質と結合するという2つの性質を持つが、内在性タンパク質は膜と結合した状態のみを取る。両親媒性タンパク質には、水溶性でチャネルを作るポリペプチド毒なども含まれる。
膜結合性タンパク質
非リボソームペプチドのようなタイプの、膜と相互作用を持つタンパク質も数多く存在する。これらはグラミシジンのように膜貫通型チャネルを形成し、イオノフォアとしてイオンに膜を通過させたり、脂質二重層の表面と相互作用したりする[2][3]。これらのタンパク質は分泌タンパク質であり、溶解度が低いものもあるが、両親媒性に分類される。
参考文献
- Protein-lipid interactions (Ed. L.K. Tamm) Wiley, 2005.
- Popot J-L. and Engelman D.M. 2000. Helical membrane protein folding, stability, and evolution. Annu. Rev. Biochem. 69: 881-922.
- Bowie J.U. 2005. Solving the membrane protein folding problem. Nature 438: 581-589.
- Cho, W. and Stahelin, R.V. 2005. Membrane-protein interactions in cell signaling and membrane trafficking. Annu. Rev. Biophys. Biomol. Struct. 34: 119–151.
- Goni F.M. 2002. Non-permanent proteins in membranes: when proteins come as visitors. Mol. Membr. Biol. 19: 237-245.
- Johnson J.E. and Cornell R.B. 1999. Amphitropic proteins: regulation by reversible membrane interactions. Mol. Membr. Biol. 16: 217-235.
- Seaton B.A. and Roberts M.F. Peripheral membrane proteins. pp. 355-403. In Biological Membranes (Eds. K. Mertz and B.Roux), Birkhauser Boston, 1996.
出典
- ^ Johnson JE, Cornell RB (1999). “Amphitropic proteins: regulation by reversible membrane interactions (review)”. Mol. Membr. Biol. 16 (3): 217–35. PMID 10503244.
- ^ “Crystallography Department, Birkbeck College - Peptaibol Database”. 2007年12月18日閲覧。
- ^ “Orientations of Proteins in Membranes (OPM) database”. 2007年12月18日閲覧。
タンパク質 |
プロセス |
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構造 |
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タイプ |
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全般 |
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二量体 |
ロイシンジッパー
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三量体 |
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|
四量体 |
ヘモグロビン - 免疫グロブリンG - アビジン - スペクトリン
|
六量体 |
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|
八量体 |
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- 若手の最新研究紹介コーナー iTRAQ法による網羅的膜蛋白質の解析を用いた子宮平滑筋肉腫の新しい治療法の樹立(2013~2015年度 文部科学省科学研究費補助金採択研究)
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- membrane protein
- 同
- 膜タンパク、膜蛋白、膜蛋白質
- 関
- シグナルペプチド、GPIアンカー
- 内在性膜タンパク質、表面タンパク質、細胞表面タンパク質、膜結合タンパク質、細胞膜タンパク質
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[★]
- 英
- membrane-associated protein
- 関
- 膜タンパク、内在性膜タンパク質、表面タンパク質、細胞表面タンパク質、細胞膜タンパク質、膜結合タンパク、膜結合性タンパク質、膜蛋白質、膜結合性タンパク
[★]
- 英
- surface protein
- 関
- 膜タンパク、内在性膜タンパク質、細胞表面タンパク質、膜結合タンパク質、細胞膜タンパク質、表在性タンパク質、膜蛋白質
[★]
- 英
- integral membrane protein
- 関
- 膜タンパク、表面タンパク質、細胞表面タンパク質、膜結合タンパク質、細胞膜タンパク質、膜蛋白質
[★]
- 英
- cell membrane protein
- 関
- 膜タンパク、内在性膜タンパク質、表面タンパク質、細胞表面タンパク質、膜結合タンパク質、膜蛋白質
[★]
- 英
- EB virus latent membrane protein, LMP
[★]
- 英
- protein
- 同
- タンパク質、タンパク、蛋白、プロテイン
- 関
- アミノ酸、ポリペプチド
- L-アミノ酸が重合してできた高分子化合物であり、生物の重要な構成成分のひとつである。
年齢
|
男性
|
女性
|
推定平均 必要量
|
推奨量
|
目安量
|
耐容 上限量
|
推定平均 必要量
|
推奨量
|
目安量
|
耐容 上限量
|
0~5(月)
|
―
|
―
|
10
|
―
|
―
|
―
|
10
|
―
|
6~8(月)
|
―
|
―
|
15
|
―
|
―
|
―
|
15
|
―
|
6~11(月)
|
―
|
―
|
―
|
―
|
―
|
―
|
―
|
―
|
9~11(月)
|
―
|
―
|
25
|
―
|
―
|
―
|
25
|
―
|
1~2(歳)
|
15
|
20
|
―
|
―
|
15
|
20
|
―
|
―
|
3~5(歳)
|
20
|
25
|
―
|
―
|
20
|
25
|
―
|
―
|
6~7(歳)
|
25
|
30
|
―
|
―
|
25
|
30
|
―
|
―
|
8~9(歳)
|
30
|
40
|
―
|
―
|
30
|
40
|
―
|
―
|
10~11(歳)
|
40
|
45
|
―
|
―
|
35
|
45
|
―
|
―
|
12~14(歳)
|
45
|
60
|
―
|
―
|
45
|
55
|
―
|
―
|
15~17(歳)
|
50
|
60
|
―
|
―
|
45
|
55
|
―
|
―
|
18~29(歳)
|
50
|
60
|
―
|
―
|
40
|
50
|
―
|
―
|
30~49(歳)
|
50
|
60
|
―
|
―
|
40
|
50
|
―
|
―
|
50~69(歳)
|
50
|
60
|
―
|
―
|
40
|
50
|
―
|
―
|
70以上(歳)
|
50
|
60
|
―
|
―
|
40
|
50
|
―
|
―
|
妊婦(付加量)
|
初期
|
|
+ 0
|
+ 0
|
―
|
―
|
中期
|
+ 5
|
+ 5
|
―
|
―
|
末期
|
+ 20
|
+ 25
|
―
|
―
|
授乳婦(付加量)
|
+ 15
|
+ 20
|
―
|
―
|
QB
- 蛋白質の1日の摂取量は体重1kgあたり約1g。腎不全の食事療法(低蛋白食)では0.6-0.8g/体重kgである。
- PFC比率=蛋白:脂肪:炭水化物=10-20%:20-30%:50-70%
臨床関連
参考
- http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/s0529-4.html
[★]
- 英
- white matter
- ラ
- substantia alba
- 関
- 灰白質
- 脳と脊髄の断面で、肉眼的に白色を呈する部分。
- 髄鞘をもった有髄神経線維が密に集合している。
- CTでは低吸収にみえる → やはり脂質にとむ髄鞘が多いからでしょう
- MRIでは高吸収にみえる。見え方としてはCTの逆と覚えればよい。
[★]
- 英
- quality
- 関
- 品質