- 英
- juvenile polyposis
- 関
- 若年性ポリープ、若年性大腸ポリポーシス
概念
疫学
- 10歳以下(SPE.494)。5歳をピークとした幼児学童(PED.1215)
- 原因不明のものが多いが、遺伝性のものもある。
遺伝形式
分類
発生部位
- 直腸-S状結腸に80%が発生し、85%は単発
- 若年性胃ポリポーシス:胃
- 若年性胃腸管ポリポーシス:胃・小腸・大腸
- 若年性大腸ポリポーシス:大腸 ← 直腸に最も多い。
病態
病理
症状
- (おそらく大腸にポリープが発生している場合)反復する血便(SPE.494)。無痛性直腸出血(PED.1215)。新鮮血の下血・血便(SSUR.683)
- 肛門外に脱出することがある。
合併症
検査
注腸検査?
- (大腸にできるものに関しては)直腸、S状結腸に散在し大きい(YN.A-73)
診断
治療
- 大腸ファイバースコープによる切除 (SSUR.683)
予後
- 悪性化はない (SSUR.683), 悪性化することがある(20%)が少ない(YN.A-75)。10%に悪性腫瘍が合併(医学事典)。
- 自然脱落することがある。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2022/09/18 00:06:39」(JST)
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若年性ポリープ(じゃくねんせいぽりーぷ、英: Juvenile polyp、ICD10:D12.6、病名交換用コード:M9HS)は、消化管粘膜の非腫瘍性隆起病変(ポリープ)の一種である。一般的に過誤腫性病変とされ、単発性ポリープ例では癌化することはない。成人期に発見される若年性ポリープは残留性ポリープ(英: retention polyp)と記載されることもある。
常染色体優性遺伝性疾患である若年性ポリポーシス(JPS; OMIM 174900, [1])は若年性ポリープが消化管に多発する疾患である。約20%に癌化が認められる。20 - 50%の家系に胚細胞レベルでの常染色体18番長腕(18q21.1)のSMAD4/DPC4遺伝子の変異が証明されている。
疫学
正確な有病率は知られていない。その名が示す通り幼小児期に発生すると考えられるが、この時期に臨床的に発見される機会は皆無に近い。多くは成人に達し下血や健康診断での便潜血検査陽性による精査を契機に、大腸のX線造影検査や内視鏡検査で検出される機会がほとんどである。結腸・直腸ポリープとしては腺腫性ポリープ、過形成ポリープよりも頻度は稀である。
症状
小腸または結腸・直腸に発生するが、臨床的に発見されるのはS状結腸から直腸が多い。小型(長径1cm前後)で単発の有茎性または亜有茎性ポリープであり、結腸閉塞の原因となることは稀である。多くはポリープの自然脱落をきっかけに下血を生じたり、ポリープ表面のびらん(びらん)が原因で便潜血検査が陽性となり発見されることが多い。小腸に発生し長径が3cmほどに達した有茎性ポリープでは、腸重積(英: intussusception)の原因となり急性腹症として緊急開腹の対象となることもある。
病理組織学的特徴
ポリープ頭はほぼ球形で表面平滑である。表面はびらんを呈する。ポリープ実質は炎症性肉芽組織に類似した間質組織が主体で、毛細血管や線維芽細胞に富み少なからず炎症細胞浸潤を伴っている。これらの間質中に小嚢胞状に拡張した腺管が分布している。腺上皮は既存の小腸や大腸の固有腺上皮の形態を保持している。
細胞遺伝学的な発生論
散発性若年性ポリープでは胚細胞、体細胞レベルでの定常的な遺伝子変異は報告されていない。家族性若年性ポリポーシスの家系の一部ではSMAD4遺伝子変異が原因である。SMAD4蛋白は腫瘍抑制遺伝子の一種でTGF-βシグナル伝達系に関わる細胞質内の蛋白である。SMAD2, SMAD3と蛋白複合体を形成する。これらの複合体は細胞質から核内に移行し、転写因子としてDNAに結合し細胞周期や転写活性の調節に関わっている(Woodford-Richens KL et al, 2001)。若年性ポリープはカウデン症候群、Bannayan-Zonana症候群、Gorlin症候群でも起こる。カウデン症候群、Bannayan-Zonana症候群ではPTEN (10q23.3)、Gorlin症候群ではPTCH (9q31)の変異が認められる。
鑑別疾患リスト
- 腺腫性ポリープ
- 過形成ポリープ
- 家族性ポリポーシス
- 若年性ポリポーシス
- カウデン症候群
参考文献
- Woodford-Richens KL, Rowan AJ, Poulsom R, Bevan S, Salovaara R, Aaltonen LA, Houlston RS, Wright NA, Tomlinson IPM. Comprehensive analysis of SMAD4 mutations and protein expression in juvenile polyposis. Evidence for a distinct genetic pathway and polyp morphology in SMAD4 mutation carriers. Am J Pathol 2001; 159: 1293-1300.
- Sweet K, Willis J, Zhou XP, Gallione C, Sawada T, Alhopuro P, Khoo SK, Patocs A, Martin C, Bridgeman S, Heinz J, Pilarski R, Lehtonen R, Prior TW, Frebourg T, Teh BT, Marchuk DA, Aaltonen LA, Eng C. Molecular classification of patients with unexplained hamartomatous and hyperplastic polyposis. JAMA 2005; 294: 2465-2473.
外部リンク
- 日本医師会大腸ポリープ
- NCBI-OMIM若年性ポリポーシス
UpToDate Contents
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- 1. 若年性ポリポーシス症候群juvenile polyposis syndrome [show details]
… Generalized juvenile polyposis refers to polyps in the upper and lower gastrointestinal tract, and juvenile polyposis coli refers to polyps of the colon and rectum. Juvenile polyposis of infancy is …
- 2. 大腸ポリープの概要overview of colon polyps [show details]
…hamartomatous polyps. In contrast to patients with sporadic juvenile polyps, patients with juvenile polyposis coli and Peutz-Jeghers syndrome (PJS) are at increased risk for colorectal cancer. Sessile …
- 3. CAPポリポーシスcap polyposis [show details]
…syndromes (eg, familial adenomatous polyposis, MUTYH polyposis), and juvenile polyposis syndromes (eg, familial juvenile polyposis) . However, despite similarities in the endoscopic appearance, cap polyposis …
- 4. 遺伝性出血性毛細血管拡張症(オースラー・ウェーバー・ランデュ症候群)の臨床症状と診断clinical manifestations and diagnosis of hereditary hemorrhagic telangiectasia osler weber rendu syndrome [show details]
…ACVRL1 (protein product: activin receptor-like kinase 1, ALK1, OMIM #600376). SMAD4 – JPHT is a juvenile polyposis-HHT overlap syndrome that accounts for approximately 1 percent of HHT cases and is due to pathogenic…
- 5. 大腸がんあるいは進行性の大腸ポリープの家族歴がある患者の大腸癌検診screening for colorectal cancer in patients with a family history of colorectal cancer or advanced polyp [show details]
…to 7 percent. Additional high-risk hereditary syndromes that increase CRC risk (eg, juvenile polyposis syndrome [JPS], Cowden syndrome, Li-Fraumeni syndrome, attenuated FAP [AFAP], Peutz-Jeghers syndrome …
Related Links
- 若年性ポリポーシスの概要は本ページをご確認ください。小児慢性特定疾病情報センターは、慢性疾患をお持ちのお子さまやそのご家族、またそれらの患者の治療をされる医療従事者、支援をする教育・保健関係の皆さまに向けた情報を提供します。
- 若年性ポリポーシス症候群(JPS)と診断された罹患者の疾患の程度とニーズを確立するために、表 4 に示す評価(診断に至った評価の一部として実施されていない場合)を行うことを推奨する。 Table4. 若年性ポリポーシス症候群の初診 ...
- 若年性ポリポーシス症候群 (Juvenile Polyposis Syndrome: JPS) は常染色体優性遺伝形式をとる遺伝性消化管疾患であり、 (1) 結腸、直腸に5個以上の若年性ポリープ (Juvenile Polyp: JP) の存在、 (2) 全消化管にわたるJPの存在、 (3) JPSの家族歴を有し消化管に1つ以上のJPの ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- gastrointestinal polyposis, polyposis of the alimentary tract
- 関
- ポリポーシス、消化管ポリープ
消化管ポリポーシス
QB.A-396改変
SSUR.545
-
[★]
- 英
- juvenile polyp, juvenile polyps
- 関
- ポリープ、若年性ポリポーシス、若年性大腸ポリポーシス
概念
- SSUR.545によれば、若年者に過誤腫性のポリープを生じるものであり、遺伝性が認められる物については、特に若年性大腸ポリポーシスと呼ばれる(SSUR.545) ← ???
- see 若年性ポリポーシス
[★]
- 英
- juvenile polyposis
- 関
- 若年性ポリポーシス、若年性ポリープ。大腸ポリポーシス
- 大腸に多発性のポリープを生ずる疾患概念。遺伝性と脾遺伝性で先天奇形を伴う型がある。(SSUR.547)
- ポリープは光沢にとみ発赤調の過誤腫性ポリープ (SSUR.547)
- 腺腫や腺癌を合併することがある。 (SSUR.547)
[★]
若年性ポリポーシス
[★]
- 英
- juvenile polyposis coli
[★]
- 英
- polyposis
- 同
- ポリープ症
- 関
- 消化管ポリポーシス、ポリープ
[★]
- 英
- juvenile、young
- 関
- 若年型、若年性、幼若、若い、若齢
[★]
- 英
- juvenile、juvenilis
- 関
- 若年、若年型、幼若、若齢