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宇宙(うちゅう)とは、以下のように定義される。
本項では主に、1~4の意味での宇宙について解説する。
「宇宙」という言葉の確定した起源や意味は不明だが、次のような説がある。
それぞれの観点から見た場合の「宇宙」の定義には、以下のようなものがある。
哲学的・宗教的観点から見た場合、宇宙全体の一部でありながら全体と類似したものを「小宇宙」と呼ぶのに対して、宇宙全体のことを「大宇宙」と呼ぶ。
天文学的観点から見た場合、「宇宙」はすべての天体・空間を含む領域をいう。銀河のことを「小宇宙」と呼ぶのに対して「大宇宙」ともいう。
一説には観測できる領域は宇宙の地平線の内側に限定されるが、大宇宙はそれよりはるかに大きいと考えられている。
最近の物理学的観点から見た場合、「宇宙」は物質・エネルギーを含む時空連続体のまとまりである。
現代物理学における「宇宙」は、「物理学的な世界全体」ではなく、生成・膨張・収縮・消滅する物理系の一つである。理論的には無数の宇宙が生成・消滅を繰り返しているとも考えられている。
「地球の大気圏外の空間」という意味では、国際航空連盟 (FAI) の規定によると高度 100 km 以上のことを指す。アメリカ軍では高度50ノーチカルマイル (92.6 km) 以上の高空を「宇宙」と定めている。
宇宙について説明するにあたり、まず人類がどのように宇宙の理解を深めてきたか、おおまかな流れを解説する。
宇宙がいかに始まったか。この議論は宗教や哲学上の問題として語られて続けている[5]。宇宙に関する説・研究などは宇宙論と呼ばれている。 古代インドのヴェーダでは無からの発生、原初の原人の犠牲による創造、苦行の熱からの創造、といった宇宙生成論があった。古代ギリシャではヘシオドスの『神統記』に宇宙の根源のカオスがあったとする記述があったが、ピタゴラス学派は宇宙をコスモスと見なし、天文現象の背後にひそむ数的な秩序を説明することを追究した。秩序の説明の追究は、やがてエウドクソスによる、地球を27の層からなる天球が囲んでいる、とする説へとつながり、それはまたアリストテレスへの説へと継承された。2世紀ころのクラウディオス・プトレマイオスは『アルマゲスト』において、天球上における天体の動き(軌道)の数学的な分析を解説した。これによって天動説は大成され、ヨーロッパ中世においてもアリストテレスの説に基づいて宇宙は説明された。しかし天球を用いた天体の説明は、その精緻化とともに、そこにおける天球の数が増えていき、非常に複雑なものとなっていった。こうした状況に対し、ニコラウス・コペルニクスは従来の地球を中心とする説(地球中心説)に対して、太陽中心説を唱えた。この太陽中心説(地動説)は、当初は惑星軌道が楕円を描いていることが知られていなかったために周転円を用いた天動説よりも精度が低いものであったが、やがてヨハネス・ケプラーによる楕円軌道の発見などにより地動説の精度が増していき、天動説に代わって中心的な学説となった。宇宙は始まりも終わりも無い同じ状態であるものとアイザック・ニュートンは考え[5]、『自然哲学の数学的諸原理』の第3巻「世界の体系について」において、宇宙の数学的なしくみを説明し、地球上の物体も太陽のまわりをまわる惑星も、それまで知られなかった万有引力というものを導入すれば数学的原理を用いて統一的に説明できる、ということを示してみせた。こうした理論体系を構築した背景には神学的な意図があったとも指摘されている。ニュートンが同著でユークリッド幾何学を用いつつ絶対空間・絶対時間という概念を導入したため、その後西欧では多くの人々が宇宙を無限に均一に広がる空間だと見なすようになった。しかも静的で安定的なものだと考えていた。
科学的な分析が始まった[5]20世紀初頭でも科学者も含めてほとんどの人は宇宙は静的だと見なしていた。20世紀になりアルベルト・アインシュタインにより絶対時間・絶対空間を否定し、宇宙の不安定なモデル(宇宙方程式)が提示され[5]、1927年ベルギーの司祭ジョルジュ・ルメートルが「宇宙は“原始的原子”の“爆発”から始まった」とする説を提唱し、この説が後に「ビッグバン」と呼ばれるようになった。その説は最初は科学者などからも反発されたものの、やがて徐々に受け入れられるようになり、今日では多くの科学者が支持する「標準的宇宙論モデル」を構成する要素になっている。
おおむねこうして形成された現代の宇宙論であるが、今日でも日々新たな発見はなされており、今後も説明の枠組み、様々な推定値等々が改定されてゆく可能性はある、とされている。よって宇宙に関する説は、必ずしも確定的ではなく、異論も多数あり、現段階で支持者の多い説が将来、事実ではなかったと判明する可能性もあるが、便宜上、現段階で大多数の科学者に支持されている説明を主として、以下の説明を行う。
現代宇宙論 | ||||||||||||||
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宇宙 · ビッグバン 宇宙の年齢 |
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表・話・編・歴
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映像外部リンク | |
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宇宙の大きさ - 2009年時点の科学的知識に基づき、宇宙背景放射が放射された面までの宇宙全体を光行距離で描いた動画 (2009年12月、アメリカ自然史博物館) |
宇宙の大きさについては、まだ分かっていないことが多い[6]。
(哲学者や真理を探究しようとする人によって)(そもそもの)「宇宙の大きさ」という大テーマが立てられる時は、基本的には宇宙全体の大きさを問題にしている。だが、これについてはよく分かっていない。
地球から理論上観測可能な領域(観測可能な宇宙)に限って問題にすれば、あまり難しい問題ではなく、半径約450億光年の球状の範囲である。ただしこの大きさは赤方偏移から計算された理論上の値であり、直接の観測によって正確に分かっているわけではない。
なお全体的な大きさはともかくとして、とりあえず宇宙の大きさをそこに含まれるものとの比較によって感じてもらうために挙げると、典型的な銀河の直径でもわずか3万光年にすぎない。隣どうしの銀河の間の典型的な距離はわずか300万光年にすぎない[7]。例えば、我々人類が属している天の川銀河はざっと10万光年の直径であり[8]、我々の銀河に最も近い銀河のアンドロメダ銀河はおよそ250万光年離れている[9]。観測可能な宇宙の範囲内だけでもおそらく1000億個(1011個)の銀河が存在している[10] 。
《地球上から見ることができる宇宙の大きさ》とは、我々人間が物理的に観測可能な宇宙の時空の最大範囲を指す表現である。宇宙は膨張し続けているため、宇宙の大きさを表現するにはいくつかの単位がある。(距離測度(英語版)も参照のこと) 「光を含む電磁波により人類が地球から観測可能な宇宙の果て」と言うと、我々が観測できる光のなかでも、最も古い時代に光が放たれた空間のことを指している。この空間から光が放たれたとき、つまり約138億年前(宇宙の晴れ上がり直後)、この空間(=観測可能な宇宙の果て)は地球がある位置から(地球を中心とする全方向に宇宙論的固有距離において)約4100万光年離れたところにあった。そして当時この空間は、地球の位置から、光の約60倍の速度[注釈 2]で遠ざかっていた、とされる。この空間までの現在の距離である共動距離(英語版)は、約450億光年[注釈 3]と推定されている。[11]宇宙の晴れ上がりの直後から約138億年の間に、宇宙は約1090倍程度に膨張したと考えられている。この空間は現在、光速の約3.5倍の速度で地球から遠ざかっている(宇宙の膨張は空間自体の膨張であるため、光速を超えることも可能である)。[要出典]
「天体から放たれた光が地球にたどり着くまでの時間に光速をかけたもの」は光行距離(英語版)と呼ばれている[注釈 4]。これは光が地球に届くまでの間に、光の旅した道のりを表す。光行距離では、電磁波により観測される宇宙[注釈 5]の果てから地球までの光の旅した道のりは約138億光年と推定されている。これは光速に宇宙の年齢をかけたものだが、この値は先に述べた2つの距離(450億光年、4100万光年)と値が異なっている。なぜならば、光が地球に届く間に宇宙が膨張し、そのため光の道のりが延び、また光を放った空間が遠ざかるからである。つまり光行距離はある時刻における空間上の2点間の距離を指し示すものではない。天文学では光行距離を天体までの距離とみなすことが多いが、それは現在の天体までの距離や、天体が光を放ったときの天体までの距離を示すものではない。それはあくまで、我々に届く光が旅した道のりである。
まとめると、現在我々が観測することができる最も古い時代に放たれた光は、約138億年前に約4100万光年離れた空間から放たれた光である。そしてその(光源がある)空間は、現在450億光年かなたにあり、光は138億年かけて138億光年の道のりを旅してきた、ということである。わずか4100万光年の距離を光が進むのに138億年もの時間を費やしたのは宇宙の膨張が地球への接近を阻んだためである(これは、流れの速い川を上流へ向かう船がなかなか前に進めないことと似ている。宇宙空間の膨張は一般相対性理論より導かれる。よって電磁波の媒質である空間の膨張により地球を基点としたときの、地球から離れた場所にある光の速度が変化しても特殊相対性理論における「光速度不変の法則」とは矛盾しない)。
我々の観測可能な領域を超える宇宙は、共動距離的な意味の場合、インフレーション理論に基づき、より広大であろうと予想されているが、いまだその大きさが有限なのか無限なのかすらわかっていない[要出典]。宇宙の大きさは、誕生から現在までの膨張速度にもよるが、レオナルド・サスキンドはインフレーション直後の宇宙の大きさは有限ながらも、(この数値の単位を議論することに意味はない。単位がメートルであっても光年であっても誤差にすぎないほど大きな値であるからである。)という非常に大きな値を解の1つに得ている。宇宙の大きさが有限の場合、空間は閉じており、直進すれば宇宙を1周することになる。無限であるとすれば永久に元の場所に戻ることはないが、確率的には十分遠方に至れば地球周辺と原子配置が同一の領域が存在すると言える。この領域に到達した時点で実質的に宇宙を周回したことと同じ効果があり、無限宇宙は矛盾する。
宇宙の誕生からどれだけの時間が経っているのかという疑問については古くから様々な考えが提言され、始まりも終わりも無い不変なものと考えられた時もあった[12]。しかしハッブルが宇宙の膨張を発見すると、その始まりの時期について科学的な議論が行われるようになった。ハッブルが膨張を逆算して導いた最初の計算結果による年齢は約20億年であり、地球の年齢より若くなったが、後に多くの間違いが見つかった[12]。その後の観測などで100億年以上という帰結には至っていた[12]。
2003年[12]、NASAの宇宙探査機WMAPによる宇宙マイクロ波背景放射の観測値を根拠に計算したものによると、約137億歳(正確には、13.772 ± 0.059 Gyr)と、正確な推定が行われた[13] 。この値は、他の放射年代測定を根拠に計算された110–200億歳[14]や130–150億歳[15]とする大雑把な推定値とも矛盾していない。2013年3月21日、欧州宇宙機関(ESA)は「宇宙の誕生時期がこれまでの通説より1億年古い、約138億年前(正確には、13.798 ± 0.037 Gyr)である[16]」と発表した。これはESAの人工衛星プランクにより、これまでで最高の精度で[12]宇宙マイクロ波背景放射を観測し、そのデータから作成した初期の宇宙の温度分布をもとに結果を算出した結果である。今後も観測精度の向上による年齢の詳細判明が期待される[12]。
宇宙は何でできているか、またその占める割合については、かつては光を含む電磁波による観測から求められていた。ところが、様々な研究を通じて必ずしも観測できるものだけが宇宙を構成しているとは考えられなくなった。やがて宇宙の成分は原子である物質ではなく、エネルギーの比で表されるようになり、むしろ未だ正体が判明しないダークマターとダークエネルギーとの割合が多数を占めるようになった[17]。宇宙マイクロ波背景放射の観測で得た宇宙初期のむらから当初試算されたエネルギー比は、ダークエネルギー72.8%・ダークマター22.7%・物質(原子)4.5%だったが[17]、宇宙探査機WMAPや人工衛星プランクの観測によって、2003年以降、精度が高められ、以下の数値になった。[18][17]。
人類はその目に映る物質の根源や力の法則を明らかにする研究を続け素粒子物理学を構築している。それは宇宙開闢の様子さえ理論化に成功した。ところが、宇宙の研究においてこれらの考察が宇宙全エネルギーの4.9%程度にしかならず、残りの95%は、そのようなものがあるという程度しか理解が及んでいない。この分野への科学的探究が求められている[17]。
また、宇宙にある元素は、水素原子が93.3%を、ヘリウム原子が6.49%を占める。[19]
20世紀に入り行われた観測から、宇宙は膨張をしていると見なされている。だが過去には様々な考えがあった。アイザック・ニュートンは絶対時間・絶対空間の前提から導かれたニュートン力学が支持され、人々は宇宙は静的で定常であると見なしていた[5]。
1915年にアルベルト・アインシュタインが発表した一般相対性理論では、エネルギーと時空の曲率の間の関係を記述する重力場方程式(アインシュタイン方程式)があった。この方程式が導き出す宇宙の未来は、星々の重力によって宇宙は収縮に転じ、やがて一点に潰れるというものだった[5]。この解は、アインシュタイン自身やウィレム・ド・ジッター、アレクサンドル・フリードマン、ジョルジュ・ルメートルらによって導かれた。当初アインシュタインは、宇宙は定常であると考えていたため自分が見つけた解に定数(宇宙定数)を加えることで宇宙が定常になるように式に手直しを加えた[5]。
1929年にエドウィン・ハッブルが、すべての銀河が遠ざかっている事を発見し、さらに距離が遠い銀河ほど遠ざかる速度が早いことを見出した(ハッブルの法則)。この観測結果から「膨張する宇宙」という概念が生じ、アインシュタインも「人生最大の誤り」と述べ重力場方程式から宇宙定数を外した[5]。
無数の銀河がほぼ一様に分布していて、その距離に比例した速度で遠ざかっているように見えるが、これはわれわれ太陽系が宇宙の中心だからではなく、たとえいずれの銀河から見たとしても、これと同様に見える、という。それは、すべての天体を含む宇宙全体が膨張しているからである、と考えられている(膨張宇宙論)。「宇宙原理を採用すれば、宇宙には果てがない」と言う。よってこれを信じれば、宇宙膨張の中心は存在しない。銀河の後退速度が光速に等しくなる距離は、宇宙論的固有距離において地球から約150億光年のところとなる。宇宙年齢に光速をかけた距離とこの距離が近似するのは偶然である。ここまでの距離はハッブル距離、あるいはハッブル半径と呼ばれるが、これは宇宙の地平面(宇宙の事象の地平面、あるいは粒子的地平面)ではない。光速を超えて遠ざかる天体は赤方偏移Z=1.6程度の天体と考えられるが、この値を超える天体はすでに1000個程度観測されている。
現在支持者が最も多いビッグバン理論(ビッグバン仮説)では、宇宙の始まりはビッグバンと呼ばれる大爆発であったとされている。ハッブルの法則によると、地球から遠ざかる天体の速さは地球からの距離に比例している。そのため、逆に時間を遡れば、過去のある時点ではすべての天体は1点に集まっていた、つまり宇宙全体が非常に小さく高温・高密度の状態にあった、と推定される。このような初期宇宙のモデルは「ビッグバン・モデル」と呼ばれ、1940年代にジョージ・ガモフが物理学の理論へ纏め上げた[5]。
ガモフはビッグバンの時に発せられた光がマイクロ波として観測されるはずと予言した[5]。その後、1965年にアーノ・ペンジアスとロバート・W・ウィルソンによって、宇宙のあらゆる方角から放射される絶対温度3度の黒体放射に相当するマイクロ波(宇宙背景放射)が発見された。これは宇宙初期の高温な時代に放たれた熱放射の名残とみなされ、予言の正しさを裏付ける証拠とされた[5]。
ビッグバン・モデルの研究は進み、例えばその温度についてガモフは100億度程度と考えたが、後に1031度と試算されている。ビッグバン直後の宇宙には物資は存在せず、エネルギーのみが満ちた世界だったと考えられている。理論によると、物質の基礎になる素粒子は100万分の1秒が経過した頃に生じ、その時には温度が10兆度程度まで下がった。1万分の1秒後に温度は1兆度になり、陽子や中性子が出来上がった。宇宙は膨張しながらさらに冷え、3分後には水素・ヘリウム・リチウムなどの原子核や電子が生じ、温度は10億度になった。38万年が経過すると温度3800度程度になり、電子が原子核に囚われて原子となって、ビッグバンが起こった時に生じた光子が素粒子に邪魔されずに真っ直ぐ進めるようになった。これは「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれ、この光が宇宙背景放射である[5]。原子は電気的に中性で反発しないため、やがて重力で纏まり始めて、約1~1.5億年後にはファーストスターが[20]、約9億年後には[21]星や銀河を形成するようになった[5]。
しかしその後、宇宙の地平線問題や平坦性問題といった、初期の単純なビッグバン理論では説明できない問題が出てきた。これらを解決する理論として1980年代にインフレーション理論が提唱され、ビッグバン以前に急激な膨張(インフレーション)が起こった、とされるようになった[22]。この理論では宇宙の真の誕生はビッグバンの前に無から生じ、急激な膨張(インフレーション)を経てからビッグバンが起こったという。インフレーション時に内包するエネルギーにはわずかなムラがあり、このムラが原子の集積を呼び込んだ事、またムラが一様だったため宇宙が平坦になったとしている[21]。提唱当時のインフレーション理論には観測結果が伴っていなかったが、後に精密な宇宙背景放射の測定が理論と一致する事が判明し、信頼性が高まった[21]。
宇宙定数を取り除いたアインシュタイン方程式の解が示す宇宙の未来は、膨張がやがて収縮し、最終的に一点につぶれるビッグクランチと呼ばれるモデルであった。地球表面でボールを空に投げると高く上がるが、やがて勢いが無くなり落ちて来る。同様に、膨張の原動力である熱や光の放出の力が低下し、重力が優勢になると宇宙は膨張速度を落とし、収縮に転じる。ほとんどの科学者はこのモデルを支持していた[23]。
ところが1998年に膨張速度を観測した2つのグループ[注釈 6]が、宇宙誕生後70億年頃から加速膨張が始まったと発表し、未来モデルは書き換えられた。宇宙を加速膨張させる原動力は謎のままダークエネルギーと名付けられ、将来的にこの量がどのように推移するかによって2つのモデルが作られた。ダークエネルギーの増加が続き膨張が加速され続けてやがて無限大になると、宇宙は素粒子レベルまでばらばらに引き裂かれて終焉を迎える。これはビッグリップと呼ばれる。ダークエネルギーによる膨張が無限大に達しなければ、宇宙は緩やかに膨張を続けながらも破綻しない可能性もある[23]。
地球は惑星のひとつであり、いくつかの惑星が太陽の周りを回っている。太陽とその周りを回る惑星、その周りを回る衛星、そして準惑星、小惑星や彗星が太陽系を構成している。
太陽のように自ら光っている星を恒星という。恒星が集まって星団を形成し、恒星や星団が集まって銀河を形成している。銀河に含まれる恒星の数は、小さい銀河で1000万程度、巨大な銀河では100兆個に達するものもあると見られている。
銀河は単独で存在することもあるし、集団で存在することもある。銀河の集団は、銀河群、銀河団と呼ばれる。それらがさらに集まったものは超銀河団と呼ばれる。さらに巨視的には、いくつもの超銀河団が壁状あるいは柱状に連なったようになっていて、これを銀河フィラメントと呼ぶ。壁状のものは特に銀河ウォールもしくはグレートウォール等とも呼ぶ。銀河ウォールや銀河フィラメントの周囲には銀河がほとんど存在しないような空虚な大空間が広がっていて、この空間を超空洞(ボイド)と呼ぶ。現在の科学で観測されうる最大の宇宙の構造がこの超空洞と銀河フィラメントの重層構造であり、これを宇宙の大規模構造と呼ぶ。この構造は面と空洞から成ることから「宇宙の泡構造」としてよく表現される。
我々の住む銀河は、銀河系あるいは天の川銀河と呼ばれ、2000億~4000億個の恒星が存在している。天の川銀河は直径10万光年ほどの大きさで、地球から見ると文字通り天の川となって見える。星座を形づくるような明るい星は地球の近傍にある星であり、ほとんどは数光年から千数百光年ほどの距離にある。
天の川銀河の所属する銀河群は局部銀河群と呼ばれ、局部銀河群はおとめ座超銀河団の一員である。また、おとめ座超銀河団は、「うお座・くじら座超銀河団Complex」という名の長さ10億光年の銀河フィラメントの一部である。 なお、超銀河団の枠組みとしては、おとめ座超銀河団より大きな範囲となるラニアケア超銀河団を設定すべきとの考えもある。ラニアケア超銀河団の中心には、グレートアトラクターと呼ばれる巨大な重力源が存在し、おとめ座超銀河団も、それにより引きつけられている。ただし、宇宙膨張によって引き離される話のほうが大きいので近づいているわけではない。
地球から観測可能な範囲(光が届く範囲)には、少なくとも1700億個の銀河が存在すると考えられている。
天文的な距離を表すのには光年がよく用いられるが、銀河団間の距離や宇宙の構造を取り扱う場合にはメガパーセク (Mpc) が使われることがある。1メガパーセクは326万光年。
人類の宇宙観は、ここ百年ほどの間で大きく進展してきた。学問的には、静的な宇宙観から動的な宇宙観へと移行し、科学技術的には、人類は有人宇宙飛行を実現し、地球以外の天体である月に降り立ち、国際宇宙ステーションも建造した。宇宙に関するSFや映画などの創作物も啓蒙的な意義を持っていた。
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中でも物理学上の時空間に関する観念の変革は、大きな意味を持っている。学問上の大きな起点となったばかりではなく、我々の生活上の常識からの類推が、宇宙の本質を考察するためには全く不適合であることを示した意味合いも持っている。
そのように、物理学に大改革がもたらされた当初、この宇宙に存在する各物理定数がどうしてそのような値になったのかも次第に解明されていくものと思われていた。しかし、最新の超ひも理論などによれば、今の宇宙に見られる物理定数は、宇宙創世時にたまたまそうなっただけで、実はどんな値でも採り得たというのである。そのパターンは実に10の500乗通りにも及ぶという。そしてこれらの値は、人間の存在のために都合良く出来過ぎている。つまり、我々の住む宇宙は奇蹟的な宇宙なのである。この宇宙の不思議さに対して、これを紐解こうとする試みもある。人間原理によれば、生成される宇宙は無数にあるため、その中のひとつがたまたま人間に都合がよくても驚くに当たらない、という。例えば、10の500乗個の宇宙があれば、10の500乗のパターンのうちの特別なひとつが現れたとしても不思議ではなく、我々がたまたまそこに居るだけということになる。(なお、人間原理には、弱い人間原理や強い人間原理など、いくつか種類がある。詳しくは「人間原理」の項を参照のこと。)
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以下の各項目を参照。
我々の住む宇宙となんらかの係わり合いがあるような平行宇宙、もしくはその存在が確かめられそうな平行宇宙は、十分に議論の対象となる。理論物理学の世界では、エヴェレットの多世界解釈に代表されるような多元宇宙論が、いくつか知られている。
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