出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/09/19 05:40:12」(JST)
この項目では、方向のうえとしたについて説明しています。
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ウィクショナリーに上下、上、下の項目があります。 |
上下(じょうげ、うえした)とは、六方位(六方)の名称の一つで、高さ・深さを指す方位の概念を表す言葉である。
一定方向に重力のある環境で、重力場の向かう方向、即ち物体が落ちる方向を下(した)、その対蹠で物体が登る方向を上(うえ)という。ヒトの身体で言うと、頭の方向が「上」、足の方向が「下」である。
方向だけでなく、物体の足側の面も「下側」と表現される。この表現は、無重力環境でも有効であるが、本来の上下は無重力環境では定義できないため、そこから派生する左右(横)も意味をなさないことになる。
また、上下(高さ)と前後(縦)の概念が、90°逆転することもある。「『右上』側」という表現が一例で、「右上」という表現は、前後と平行する方向に立てた時の称である。逆に、上下と平行する方向に置いた時には「右前」となる。
上への移動を「登る」「上がる」、下への移動を「降りる」「下がる」「下る(くだる)」という。
文字、写真、絵等が記載された表示面には自ずと上方と下方が生じる。この場合、通常はその閲覧者から見て手元に近い側が下、手元から遠い方が上である。
たとえば、この文書の表示面の上下方向および左右方向は下の図の通りである。
上 ↑ 左←○→右 ↓ 下 (この図は左から右の横書きのブラウザで参照されたい。)
この文書を垂直な面に表示した場合だけでなく、斜めに傾けた面に表示した場合でも、 印刷して水平面に置いた場合でも、この文書の表示面の上下は「上」の図の通りである。 この文書は横書き(のブラウザを想定したもの)だが、縦書きでも上の図の方向には変化はない。 ただし、縦書きの場合はこの文の現在位置が図の左側になるので、「右」の図という表現になる。
表示面が壁面のように垂直な面である場合、上下は重力方向による定義と一致する。ただし、表示物をデタラメに貼り付けたものや、デザイン的意図でわざと変則的に表示したものは除く。
表示面を正しい向きに見るということは、表示面に視線を向け、かつ自分の頭部の上方向を表示面の平面上に投影した方向に表示面の上方向を一致させた方向に見る状態である。 表示面が紙など簡単に位置や方向を調整できる媒体である場合、自分の向きにあわせて方向を調整すればよい。位置方向が固定された物の上にある表示面の場合、見る人の向きを調整するとよい。一般的な表示面は見るが最も自然な方向から見た時に正しい向きになるように表示面の上下方向を定めているものである。
文字一つ一つにも正しい上下方向が定義されており、通常、表示面の特定方向に整列されている。文字の中には上下を逆転させただけで違う文字になるものもあるので、上下を統一することはとても重要である。(例:6と9、甲と由など) 表示面を正しい向き見ると、表示面の上方向が各文字の上方向と一致し、表示面の下方向が各文字の下方向と一致する。
生物学では、器官の位置関係を表現するために、六方の名称をあまり用いない。体位によって重力方向との関係は一定しないからである。代わりに頭側/尾側、腹側/背側と称する。腹背方向という語は存在する。
解剖学では、例えば咽頭の「口腔・鼻腔に近い部分」、「中間部」、「気管・食道に近い部分」のそれぞれ各部位に上、中、下を付して「上咽頭」、「中咽頭」、「下咽頭」と呼ぶ例や、動脈に「上行」や「下行」を付す例が見られ、空間における観察者の上下感覚をそのまま解剖学的用語として用いている。
遺伝子では、遺伝子転写が起きる際の遺伝子上の転写開始点を基準とし、転写が進んで行く方向を下流、その逆側を上流と呼ぶ。例えば、「アミラーゼ遺伝子上流領域の塩基配列を決定し、その制御機構を解明する」のように用いる。ちなみに、アミラーゼほかたんぱく質(酵素など)をその下流域にコードする遺伝子の上流域には当該コードタンパクの発現強度を左右する転写制御因子が存在すると考えられており、これをコントロールすることが種々の疾患ほか形質の制御に繋がるものと考えられている。
英語: onの訳語として、例えば実数Rの上の演算はRからRへの演算であることを示す。
交通網では、首都に向かう方向を上り(のぼり)、首都と逆の方向に向かう方向を下り(くだり)という。現在の日本においては、東京が首都なので、鉄道や道路の「上り」は、東京方面を指すことになる。本州日本海側では、道路元標は新潟市だが、「上り」という時は長岡方面を指す(JRの鉄道網である弥彦線を除く)。これは、鶴岡方面から東京に向かう時、富山方面から東京・新潟方面に向かう時、長岡で衝かるためである。
古代から近世の令制国時代では交通網の上下から転じて、概ね京から見て遠い側を下方、京に近い側を上方と称していたが、現在では「上京」とは地方から東京に行くことを指す。
日本の地名等の固有名詞に「上」「下」が付く場合、一般的に河川の上流側にあるか下流側にあるか、あるいは山地側(山地部)にあるか平地側(平地部)にあるかを示す。なお、令制国時代に京に近いか遠いかを指す地名表現として用いられた言葉に「前」「後」がある。この場合は京に近い方が「前」、京から遠い方が「後」である。
舞台においては観客側から向かって右を上手(かみて)、左を下手(しもて)と呼び、左右関係に「上下」を当てている。この場合、主な人物の流れは上から下へ向かう。
優れた方、力のある方を上、劣った側を下と見なし、上質、上等、下碑、下等などと用いる。囲碁や将棋で対戦者の力量に差がある場合は、強い側を上手(うわて)、弱い側を下手(したて)という。あるいはその分野における到達した位置の奥深さを指して「高い境地」なども上下の位置関係に置き換えた表現である。
それ以外にも、たとえば年齢や職場における役職など、階層的に配列があって数字の大小や指示の方向などで序列が存在する場合、それを上下と表現する。年齢がより高い人を年上、自分に命令を下す地位のものを上役というのがこれに当たる。そのような関係を上下関係という。
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