出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/04/20 10:52:14」(JST)
レーザープリンター (laser printer)は、レーザーによる感光を印刷に利用する印刷機。コンピュータの周辺機器の一種。
カラー印刷も可能で、オフィス・家庭用として高速な部類に属する。アメリカ合衆国シリコンバレーに位置するパロアルト研究所で開発された。LBP(laser beam printer、レーザービームプリンター)と表される場合もある。
コンピュータから送られた印刷イメージデータを内部の演算プロセッサでメモリ上に展開し、イメージを帯電された感光体(大抵はドラム型)にレーザー等の光源を照射し、その部位の電圧を変化させる(印刷イメージに沿って行われる)。感光体の照射された部分にトナー(顔料+ワックス+外添剤で出来ている粉)が静電気の力で付着する(外添剤の働きにより、静電気に反応しやすい)。感光体上に出来たトナーの電気的な潜在画像は、感光体とは逆の電圧(電位)がかかっている転写ロールにより用紙に転写される(転写ロールの上を用紙が通過)。その後、定着ローラーの熱と圧力によって用紙上にトナーを定着させ、紙の上に印刷結果が得られる。
一度に一枚を印刷するのでページプリンターと呼ばれることもある。印刷速度が紙のサイズにほぼ影響しない(プリンター内部の印刷イメージ展開の演算速度は別で、各種設計図面などのようにイメージが複雑になると速度が遅くなる傾向がある)。
カラー印刷は、以前は各色(色料の三原色であるシアン=C・マゼンタ=M・イエロー=Yと黒=Kの4色)を重ね刷り(4パス)で実現したが、最近は各色のトナーを転写ベルトの上に乗せ、画像全体を一度に転写する(1パス)方式が多くなっている。
ドラムを使うなど、コピー機とその基本的な原理は同一であるが、帯電方式や感光体の種類、光源等の部品が異なる場合がある。その一方でオフィス機を中心にコピー機の作像部をそのまま流用している機種もある(メーカーとしては、部品、組立、メンテナンスの共用共通化などメリットがある)。
黒トナーのみで印刷するプリンター。価格は7千円台から数十万円まで存在する。ローエンド商品は個人でも十分手が届く価格であり、筐体もインクジェットプリンター並に小型な機種もある。
殆どの機種ではCMYK(色料の三原色+黒)の4色のトナーを使う。フルカラーによる印刷も可能である。A4機で低性能な機種であれば1万円程度から存在する。一方、高価な業務用では100万円を超えるものも存在する。モノクロ機に比べて大型で動作音が大きい。カラー印刷時はランニングコストが大きいが、モノクロ印刷モードを使えばコストを抑えることができる。
尚、カラー印刷の方式により、タンデム方式とロータリー方式に二分される。タンデム方式はカラー印刷とモノクロ印刷の速度差が生じないが大型になる。ロータリー方式はタンデム方式に比べて小型で低価格だがカラー印刷が遅い。 各方式の概要は以下の通り。
インクジェットプリンターと比較して、高速で普通紙に対しても高品質な印刷が可能な反面、消費電力が大きく発熱量も多い。またインクジェットプリンター等に比べて大重量であり消耗品のコストも高い。例えば、インクジェットプリンターのインクが1色あたり千円前後で販売されているのに対し、レーザープリンターのトナーは1色4千円以上にもなる (容量が大きいため、一枚あたりのコストは安価) 。
ほとんどの機種は600dpiであるが、高価な機種では1200dpiや2400dpiでの印刷が可能なものがある。メーカーによって独自の高画質化・高速化の技術を持っており、メーカーにより特徴が異なる。
内部でイメージを展開している構造のため、一種のコンピュータ(組み込みシステム)を内蔵しており、内部のメモリ容量を増設することで、より高解像度での印刷や速度の向上が可能になる場合が多い。業務用の高級機であるPostscriptに対応したものではハードディスクドライブを内蔵したものもある。
家庭用としては高価な部類だが、年々低価格化が進んでいる。モノクロでは1万円程度から、カラーでは数万~数百万円まで存在する。2012年現在では、カラーレーザープリンターでも、新品で1万円を切る製品も出ている。小型化も進んでいて、低性能の物には、インクジェットプリンターより小さな筐体サイズの機種も出てきている。一部ではオンデマンド定着方式を採用するなどの省エネや環境問題に対応したタイプが販売されている。
高価な機種は、高解像度1200dpi、ネットワーク機能・両面印刷機能・大容量給紙/排紙・高速高耐久・PDL・PostScript等の特徴を持つ。また、消耗品の一枚辺りのコストも安くなる。
コピー機能やFAXと統合された複合機もある。
レーザープリンターはインクジェット式のようなインク滲みがないため、多少品質の落ちる紙も使える(レーザプリンター対応を保証する再生紙があり、官公庁や企業を中心に使われている)。しかし、熱によりトナーを定着させるため、インクジェット年賀ハガキ、写真用紙、光沢紙、コート紙などのインクジェットプリンター専用紙、表面が光っている新聞広告の紙(光沢紙、上質紙)など、表面にコーティングが施してある紙や、ラベル用紙・封筒などの糊の付いているものはコーティングなどが熱により融けて、紙が定着部に張り付くため使用してはならない。
最近は、表面にコーティングしてある用紙にも対応するレーザープリンターが一部のメーカーから出てきている。コーティングしてある紙を使用したいときは、プリンターの説明書を確認したりメーカーのWebページを見るなどして使用の可否を調べてからでないと、このような紙が使用できないプリンターの場合は致命的な故障を起こす可能性がある。用紙側でもレーザプリンター対応を保証するラベル用紙や封筒があるため、併せて用紙メーカーの情報も確認されたい。
エンボス紙などの表面に凸凹の多いものや極端に厚いものは定着不良をおこすことがある。
薄紙などの「こし」のない用紙は、作像部や定着部での曲率分離方式での前提条件を満たさない。
主な、消耗品としてトナーと感光体があげられる。 モノクロ機の場合は、トナーと感光体は、1セットずつ必要となるが、一部のレーザープリンターは、一般的なオフィス用複写機と異なり、トナーと感光体ドラムが一体化された構造のものも存在する。ドラムが劣化すると印刷結果に影響するので理にかなった形態とされる反面、ドラムも使い捨てにするため運用コストは割高になりがちである。これは、インクジェットプリンターにおけるヘッド一体型インクカートリッジに相当するものと言える。 カラー機の場合は、色数分のトナーが必要となる。感光体は、ロータリー式の場合は1本、タンデム式は色数分必要となる。
これらの消耗品は、メーカー純正品の場合、価格が比較的高めに設定されているため、特に低価格機種の場合、トナーを数回交換する事で、消耗品の総額が本体価格を上回ってしまう事も珍しくはない。このため、トナーカートリッジを再生する業者(サードパーティー)が存在し、主に企業ユーザーに対して再生トナーカートリッジを新品より安く販売している(インクジェットプリンタにおける純正インクカートレッジの価格問題に相当する)。
上記消耗品以外に定期交換部品として、機種/出力枚数に応じて、ヒーターユニット、定着ユニット、転写ユニットなどの主要ユニットの交換が発生する。コピー機の場合、保守契約により無料で交換されるケースが多いが、レーザープリンタの場合、保守契約が結ばれる事は少ないため、部品代、交換作業費が有償となり多額の費用が発生するケースがある。このため、使用枚数によっては、保守契約のあるコピー機(複合機)をプリンターとして利用する方が、コスト的に安くなるケースがある。
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