-ネオスチグミン
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/09/27 22:23:11」(JST)
IUPAC命名法による物質名 | |
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3-{[(dimethylamino)carbonyl]oxy}-N,N,N-trimethylbenzenaminium | |
臨床データ | |
法的規制 |
?
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薬物動態的データ | |
生物学的利用能 | 明確でない,おそらく5%未満 |
代謝 |
アセチルコリンエステラーゼと |
半減期 | 50–90 分 |
排泄 |
腎臓 |
識別 | |
CAS番号 | 59-99-4 |
ATCコード |
N07AA01 S01EB06 QA03AB93 |
PubChem | CID 4456 |
DrugBank | DB01400 |
ChemSpider | 4301 |
UNII | 3982TWQ96G |
KEGG | D08261 |
ChEBI | CHEBI:7514 |
ChEMBL | CHEMBL54126 |
化学的データ | |
化学式 | C12H19N2O2 |
分子量 | 223.294 g/mol |
SMILES
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InChI
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ネオスチグミン(英: neostigmine)は、カルバメート化合物の一つで、コリンエステラーゼ阻害剤である。フィゾスチグミンと並んで、非脱分極性筋弛緩薬の拮抗や、アセチルコリン関連の調節機能の改善に用いられる。
市販の点眼薬にもピント調節機能の改善を目的に、メチル硫酸ネオスチグミンとして含まれていることがある。
1932年にコリンエステラーゼ阻害薬として合成された。アセチルコリンエステラーゼ(以降、AChE)を可逆的に阻害することで、薬剤としての効果を果たす。ネオスチグミンのCAS登録番号は59-99-4であり、IUPAC命名法では 3-{[(dimethylamino)carbonyl]oxy}-N,N,N-trimethylbenzenaminium となる。半合成の4級アンモニウム化合物であるため、天然では存在しない。
ネオスチグミンは抗d-ツボクラリン(以下、ツボクラリン)作用を有し、自律神経節、神経筋接合部におけるAChEを阻害することで、重症筋無力症、ツボクラリンによる呼吸抑制手術、非脱分離極性筋弛緩剤の拮抗に用いられる。骨格筋のニコチン受容体に直接作用するため、消化管運動亢進薬としても使用される。
ヒトでは、ネオスチグミンは特に消化管、神経筋接合部に作用して、AChE阻害作用を示す。神経筋接合部でのアセチルコリンを増加させて、アセチルコリン受容体で筋弛緩薬との競合的作用により筋弛緩薬の作用を拮抗させる。フィゾスチグミンのようには血液脳関門を通過し難く、中枢神経にほぼ移行しないため、フィゾスチグミンとは作用や適応が若干異なる。
非脱分極性筋弛緩剤の作用の拮抗にネオスチグミンを静脈内注射するにあたっては、緊急時に十分対応できる医療施設において、ネオスチグミンの作用及び使用法について熟知した医師のみが使用すること、と添付文書に明記されている。
ネオスチグミンは経口、経静脈、点眼の各経路で投与できる。経口、静脈内注射で投与されると速やかに吸収されて最高血中濃度に達するため、副作用の副交感神経症状が出現しやすい。肝臓で約30%がアルコールに代謝され、未変化体も含めて、速やかに尿中に排泄される。そのため、半減期がおよそ1-2時間ほどと短い。
ネオスチグミンは以下のような適応を持つ。
なお、筋弛緩回復剤としては天井効果がある。
ネオスチグミンの禁忌には、以下のようなものがある。
胎児危険度分類や法的規制は無いが、安全性が確立されていないため、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましいとされる。
ネオスチグミンを含めて、カルバメート系の副作用には副交感神経症状がある。 使用にあたって特に頻繁に遭遇するものは以下の通りである。
頻度不明となっているが、点眼薬で使用した後に一過性の眼圧上昇と調節けいれんが報告されている。そのため、閉塞隅角ないし狭隅角緑内障の患者、及び狭隅角や前房が浅いなどの眼圧上昇の素因のある患者が使用する場合には、急性閉塞隅角緑内障の発作を起こすおそれがあるため注意が必要である。
コリン作動性クリーゼの諸症状(腹痛、下痢、発汗、唾液分泌過多、縮瞳、線維束攣縮など)が認められた場合、直ちに使用を中止しなければならない。また必要に応じて、アトロピンの静注や人工呼吸又は気管切開等を行い気道を確保すること、となっている。
まれに筋無力症状の重篤な悪化が起こる場合が確認されている。
ネオスチグミンを過量に摂取した人は、コリン作動性クリーゼが出現する。その場合の処置は上記したように、アトロピンの静注や気道の確保が主である。
ネオスチグミンを他の薬剤と併用投与する場合、薬理学的な相互作用の可能性に注意を払わなければならない。とりわけ、脱分極性筋弛緩剤、コリン作動薬、副交感神経抑制剤との併用は避けるべきである。
状況、重症度、そして体重・年齢などによって処方は変化する。
一般に高齢者では、生理機能が低下していること、抗コリン作用による緑内障、記銘障害、口渇、排尿困難、便秘などが出現しやすいので、減量するなど慎重に投与する必要が求められる。
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