- 英
- streptozocin
- 関
- ストレプトゾトシン
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ストレプトゾシン
|
IUPAC命名法による物質名 |
2-Deoxy-2-({[methyl(nitroso)amino]carbonyl}amino)-β-D-glucopyranose
|
臨床データ |
商品名 |
Zanosar |
MedlinePlus |
a684053 |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
|
投与方法 |
Intravenous |
薬物動態データ |
生物学的利用能 |
17-25% |
代謝 |
liver, kidney |
半減期 |
35-40 minutes |
識別 |
CAS番号 |
18883-66-4 |
ATCコード |
L01AD04 |
PubChem |
CID: 29327 |
DrugBank |
DB00428 |
ChemSpider |
27273 |
KEGG |
C07313 |
ChEBI |
CHEBI:9288 |
ChEMBL |
CHEMBL450214 |
化学的データ |
化学式 |
C8H15N3O7 |
分子量 |
265.221 g/mol |
SMILES
-
CN(C(=O)N[C@@H]1[C@H]([C@@H]([C@H](O[C@@H]1O)CO)O)O)N=O
|
InChI
-
InChI=1S/C8H15N3O7/c1-11(10-17)8(16)9-4-6(14)5(13)3(2-12)18-7(4)15/h3-7,12-15H,2H2,1H3,(H,9,16)/t3-,4-,5-,6-,7+/m1/s1
-
Key:ZSJLQEPLLKMAKR-GKHCUFPYSA-N
|
ストレプトゾシン又はストレプトゾトシン(Streptozocin、別名:Streptozotocin、略号:STZ、商品名:ザノサー®)は、天然由来の有機化合物であり、特に哺乳類の膵臓β細胞への毒性を持つ。ランゲルハンス島由来の癌(神経内分泌腫瘍)の治療薬として用いられると共に、動物実験用試薬として、高用量で1型糖尿病、低用量で2型糖尿病モデル動物の作成に用いられる。
目次
- 1 効能・効果
- 2 副作用
- 3 作用機序
- 4 発見から実用化まで
- 5 効能/効果
- 6 関連項目
- 7 参考資料
- 8 外部リンク
効能・効果
- 日本
- 膵・消化管神経内分泌腫瘍(2014年9月26日承認[1])
- 米国
- 手術不能なランゲルハンス島由来腫瘍(1982年7月承認)
これらの患者で、腫瘍径の縮小や症状軽減(特にインスリノーマに因るインスリン過剰分泌に基づく低血糖)が期待できる[2]。
日本での用法は2通り有り、1)500mg/m2/日(点滴静注)を5日間連続投与後37日間休薬の繰り返し 又は、2)1,000mg/m2/週(点滴静注)の繰り返し である。副作用に因る減量・休薬・中止基準が有る他、2)の用法で忍容性が良い場合には1,500mg/m2/週迄増量出来る。米国での用法・用量は「500mg/m2/日(静脈注射)を5日間連続投与後休薬を4〜6週間毎に繰り返す」が基本である。
副作用
重大な副作用として添付文書に記載されているものは、腎障害、骨髄抑制、耐糖能異常、肝障害である。肝障害は半数の患者に発現する[3]。
作用機序
ストレプトゾシン(STZ)はグルコサミン-ニトロソウレア化合物であり、アルキル化剤系の抗悪性腫瘍薬である。DNAのグアニンを架橋させ、 転写・複製をできないようにし、毒性を発現する。また他の機序も有する。DNAのダメージはポリADPリボース化を誘導する。これは糖尿病発現においてDNA損傷自身より重要である[4]。STZはGLUT2(英語版)によりグルコースと同様に細胞内に取り込まれるのに対して、他のタイプのグルコーストランスポーターには認識されない。STZの膵β細胞への選択毒性は、膵β細胞にGLUT2が高発現している事で説明される[5][6]。
発見から実用化まで
STZは最初、1950年代に抗生物質として米国カンザス州Blue Rapidsで採取された土壌に含まれる細菌Streptomyces achromogenes から単離された[7]。米国では1958年8月に特許申請され、1962年3月に承認されている(アメリカ合衆国特許第3,027,300号)。
1960年代半ば、STZの膵β細胞への選択的毒性が発見された。これは動物実験での糖尿病作成に用いる事が出来ると共に[8][9]、同時にβ細胞癌の治療に用いる事が出来る可能性を示していた[10]。研究分野では、実験動物の膵島炎又は糖尿病発現を目的として用いられた[11]。又、1960年代から1970年代にかけて、米国国立がん研究所がSTZの癌化学療法への適応を研究した。1976年11月にランゲルハンス島腫瘍の治療薬として承認申請され、1982年7月に承認された。2014年現在米国では、ジェネリック医薬品が入手可能である。
日本では2011年11月16日に希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受け、2014年9月26日に膵・消化管神経内分泌腫瘍の治療薬として承認された(販売名 ザノサー点滴静注用1g)。日本ではノーベルファーマが販売する。
効能/効果
関連項目
参考資料
- ^ “希少疾病用医薬品・希少疾病用医療機器開発振興事業で支援している希少疾病用医薬品2件が医薬品等の承認を受けました!!” (2014年10月8日). 2014年11月11日閲覧。
- ^ Brentjens R, Saltz L (2001). “Islet cell tumors of the pancreas: the medical oncologist's perspective”. Surg Clin North Am 81 (3): 527–42. doi:10.1016/S0039-6109(05)70141-9. PMID 11459269.
- ^ “ザノサー点滴静注用1g 添付文書” (2015年2月). 2015年2月25日閲覧。
- ^ Szkudelski T (2001). “The mechanism of alloxan and streptozotocin action in B cells of the rat pancreas.”. Physiol Res 50 (6): 537–46. PMID 11829314.
- ^ Wang Z, Gleichmann H (1998). “GLUT2 in pancreatic islets: crucial target molecule in diabetes induced with multiple low doses of streptozotocin in mice”. Diabetes 47 (1): 50–6. doi:10.2337/diabetes.47.1.50. PMID 9421374.
- ^ Schnedl WJ, Ferber S, Johnson JH, Newgard CB (1994). “STZ transport and cytotoxicity. Specific enhancement in GLUT2-expressing cells”. Diabetes 43 (11): 1326–33. doi:10.2337/diabetes.43.11.1326. PMID 7926307.
- ^ Vavra JJ, Deboer C, Dietz A, Hanka LJ, Sokolski WT (1959). “Streptozotocin, a new antibacterial antibiotic”. Antibiot Annu 7: 230–5. PMID 13841501.
- ^ Mansford KR, Opie L (1968). “Comparison of metabolic abnormalities in diabetes mellitus induced by streptozotocin or by alloxan”. Lancet 1 (7544): 670–1. doi:10.1016/S0140-6736(68)92103-X. PMID 4170654.
- ^ Rerup CC (1970). “Drugs producing diabetes through damage of the insulin secreting cells”. Pharmacol Rev 22 (4): 485–518. PMID 4921840. http://pharmrev.aspetjournals.org/content/22/4/485.citation.
- ^ Murray-Lyon IM, Eddleston AL, Williams R, Brown M, Hogbin BM, Bennett A, Edwards JC, Taylor KW (1968). “Treatment of multiple-hormone-producing malignant islet-cell tumour with streptozotocin”. Lancet 2 (7574): 895–8. doi:10.1016/S0140-6736(68)91058-1. PMID 4176152.
- ^ Rossini, A. A.; Like, A. A. A; Chick, W. L.; Appel, M. C.; Cahill Jr, G. F. (1977). “Studies of streptozotocin-induced insulitis and diabetes”. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 74 (6): 2485–2489. doi:10.1073/pnas.74.6.2485. PMC 432197. PMID 142253. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=432197.
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外部リンク
- アメリカ合衆国特許第3,027,300号
- FDA drug details
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- DP-002-5 多数回の肝転移手術後,ストレプトゾシン+ドキソルビシンの併用療法が奏効した膵islet cell tumorの1例(第108回日本外科学会定期学術集会)
- 大島 郁也,尾崎 正彦,有我 隆光,吉村 清司,篠藤 浩一,岡崎 靖史,田崎 健太郎,森岡 伸浩,佐塚 哲太郎
- 日本外科学会雑誌 109(臨時増刊_2), 349, 2008-04-25
- NAID 110006891498
- ラット扁桃核キンドリングに及ぼすストレプトゾシン糖尿病の効果<キンドリング>
- 2-I-33 ストレプトゾシン投与ラットに及ぼす摂取脂肪酸の種類とビタミンE投与の効果
Related Links
- ストレプトゾシン. 海外販売名:Zanosar/一般名:streptozocin/治験成分記号:-. ● 対象疾患:. 膵島細胞癌. ●未承認薬使用問題検討会議での主な検討結果:. 早期に治験 が開始されるべき(2005/7/22). ●国内における開発状況: ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- pancreatic neuroendocrine neoplasm PNEN
- 英
- 神経内分泌腫瘍
概念
疫学
- PNENの疫学調査が行われ、2005年と比較して2010年の年間受療者数の増加を認めており、また非機能性PNENの割合が増加してきている。これは、EUS-FNAの普及による組織診断の向上によるものと考えられている。2020年の疫学調査ではPNECはPNEN全体の7.5%程度を占めており、遠隔転移例はPNET G1/G2で12.9%であったのに対し、PNECでは46.3%と高値であった(日本内科学会雑誌 2017年 Vol.106No.3)。
診断、検査
- 超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA endoscopic ultrasound-guided fine neekle aspiration)
- クロモグラニンA(CgA):診断、治療効果判定マーカー。NET G1/G2で高値、NECで低値との報告がある。機能性腫瘍は非機能性腫瘍と比べて高値となる。また、腫瘍サイズや遠隔転移例で高値となる。
- 病理組織:
- グロモグラニンによる免疫染色:CgAの陽性率はNET G1/G2で高く、NECで低下する。
分類
|
|
Ki-67 index
|
mitotic index
|
高分化 Well differentiated
|
NET G1
|
< 3 %
|
< 2 /10 HPF
|
NET G2
|
3-20 %
|
2-20 /10 HPF
|
NET G3
|
>20 %
|
>20 /10HPF
|
低分化 Poorly differentiated
|
NEC G3
|
Small cell NEC
|
Large cell NEC
|
Mixed neuroendocrine non-neuroendocrine neoplasm (MiNEN)
|
検査
CT
- uptodate
- 被曝はあるが非侵襲的ですぐに施行できる検査であり、特に造影CTは施行する価値が高い。
- 多くの神経内分泌腫瘍は血管が多いため、CTでは肝臓とほぼ同じ濃度で描出される。造影により動脈相で増強し、門脈層で造影剤が流出した後の像を認める。
- 感度は80%程度で4mmの腫瘤も描出することが可能であるが、直径2cm未満の腫瘤は感度は低下する。
- 症候性の非機能性腫瘍、VIPoma、グルカゴノーマは診断時は3cm以上と大きく、造影CTの感度はほぼ100%である。
治療
- 分子標的薬が出現する前は、肝転移が予後因子として重要であったが、分子標的が使えるようになってからは肝転移を制御することが生命予後に関連していることが明らかとなった。
参考
- 膵・消化管神経内分泌腫瘍(NEN)診療ガイドライン2019年
- http://jnets.umin.jp/pdf/guideline002_2s.pdf
[★]
商品名
会社名
成分
薬効分類
薬効
- 膵・消化管神経内分泌腫瘍を効能・効果とする新有効成分含有医薬品
【希少疾病用医薬品】
[★]
- 英
- streptozotocin、streptozocin、STZ
- 関
- ストレプトゾシン
[★]
- 英
- streptozocin diabetes
- 関
- アロキサン糖尿、ストレプトゾトシン糖尿病、実験的糖尿病
[★]
タゾバクタムナトリウム(タゾバクタム)、ピペラシリンナトリウム(ピペラシリン)
[★]
- 英
- roentgen equivalent physical
- 関
- ラド rad