- 英
- gamma knife, γ-knife
- 同
- レクセルガンマユニット Leksell gamma unit、ステレオタクティックガンマラジオサージェリー stereotactic gamma radiosurgery
概念
- 放射線を一点に集中照射することで病変を除去する脳外科の手法
適応
- 動静脈奇形
- 下垂体腺腫
- 神経鞘腫(聴神経鞘腫):腫瘍径3cm以下
- 頭蓋咽頭腫:残存病変に対して
- 髄膜腫
- 移性脳腫瘍
- てんかん、パーキンソン病、三叉神経痛
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/04/21 19:49:57」(JST)
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ガンマナイフとは定位放射線治療を行う放射線照射装置の一つである。脳腫瘍、脳血管の奇形(特に脳動静脈瘻)などの治療に使われる。
この装置の特徴は201個のコバルト60の線源をヘルメットのような形状に並べ、これらの線源を精密にコントロールし、病変部にピンポイントでガンマ線を集中照射(精度は0.2~0.5mmくらい)することにある。個々の線源からのガンマ線は細く弱いが、それぞれを病変部分に向け照射するので、病変部に対しては大きな線量となり、効果を上げることができる。病変部分以外については、細く弱いガンマ線が貫通するだけであるので、副作用は最小限に抑えられる。
ガンマナイフ以外の定位照射装置として、汎用放射線治療機であるリニアックの照射口にコーンを装着し、微細ビームを作り、多門もしくは回転照射を行う方法「リニアックナイフ」がある。線量の集中性・精度はガンマナイフとほぼ同等である。さらに、ガンマナイフやリニアックナイフで対応が困難であった、不正形腫瘍の形状に対応するため数mm幅のマイクロマルチリーフで回転運動原体照射や強度変調放射線治療(IMRT)を行う装置も実地診療で導入されている。
健康保険が適用できる。定位照射の診療報酬点数は他の放射線治療点数(平均1回1万2千円)に比べ、きわめて高額な63万円である。ガンマナイフは50万円に引き下げられた。リニアックナイフとの診療報酬点数の差は、ガンマナイフが多発脳転移症例などに乱用された経緯による。高額療養費制度の申請を行なえば、後日1ヶ月の限度額以上の自己負担額は返還される。
目次
- 1 治療対象疾患
- 2 ガンマナイフの問題点
- 3 関連項目
- 4 外部リンク
治療対象疾患
脳血管障害:脳動静脈奇形
脳腫瘍:転移性脳腫瘍・聴神経腫瘍・髄膜腫・下垂体腺腫・頭蓋咽頭腫・血管芽細胞腫・脊索腫 など
その他:三叉神経痛 眼窩内疾患 など
なお、2015年3月ガンマナイフは、「薬物療法による疼痛管理が困難な三叉神経痛治療」に対する適応追加の承認を厚生労働省より取得した。
この承認を受け、ガンマナイフの使用目的,効能・効果は以下のようになった。
【使用目的,効能・効果】
下記の脳内疾患及び機能性脳疾患におけるガンマ線照射による非切開手術に使用することを目的とする。
(1) 脳血管障害,例えば脳動静脈奇形など
(2) 脳腫瘍,例えば聴神経腫瘍,下垂体腺腫,頭蓋咽頭腫,松果体腫瘍,髄膜腫など
(3) 薬物療法による疼痛管理が困難な三叉神経痛
ガンマナイフの問題点
ガンマナイフは主に民間病院脳外科に導入され、日本の放射線治療の中で特異な位置付けとなっている。この主因は、導入時の保険点数が極めて高額であったためである。これは脳外科が主導し、脳手術に準じた高額保険点数が政治力により採用されたためである。低額の保険点数に苦しみ赤字診療が常であった放射線治療施設は公的施設以外ではほとんどないが、ガンマナイフは病院にとって非常に利益率の高い治療となったため、通常の放射線治療経験のない小規模民間病院に多数導入された。 このため採算性を早期から問われることとなり、日本放射線腫瘍学会の転移性脳腫瘍の定位照射の適応ガイドライン「3cm未満の腫瘍。3~4ヶまで」は全く無視されている。現在、ガンマナイフの治療症例の半数以上は多発脳転移例であり、諸外国における良性腫瘍に対するガンマナイフ治療率のそれと比べると極めて高くなっている。 ガンマナイフの診療報酬が上記のように引き下げられたことにより、民間脳外科施設では採算性を考慮し、より高い診療報酬が得られるサイバーナイフや画像誘導放射線治療(IGRT)機器を新たに導入する施設が増えている。
関連項目
外部リンク
- 日本ガンマナイフサポート協会 - 閉鎖。(2009年4月1日時点のアーカイブ)
- ガンマナイフカフェ
- さいたまガンマナイフセンター
- 脳神経センター大田記念病院
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Japanese Journal
- 万全の治療体制を示す装置の威力 最新型ガンマナイフ導入がもたらした施設運営・経営効果 (特集 なぜ放射線治療装置は"最新型"が良いのか)
- 下位脳神経鞘腫のガンマナイフ治療:—長期腫瘍コントロールと機能評価—
- 木田 義久,長谷川 俊典,加藤 丈典
- Japanese Journal of Neurosurgery 23(4), 331-340, 2014
- … 下位脳神経鞘腫のガンマナイフ治療の長期成績を報告した. … ガンマナイフ時の腫瘍サイズは平均して25mmであり, 平均の辺縁線量13.3Gyで治療されている. … 腫瘍コントロールに4点, 機能コントロールに4点, 副作用回避に2点, 合計10点満点でみると, ガンマナイフ治療において, 下位脳神経鞘腫は他の神経鞘腫に比べ点数が最も高く, 質の高い治療が達成されたと判断した. …
- NAID 130003397713
- 顔面神経鞘腫のガンマナイフ治療:—腫瘍コントロールと機能予後—
- 木田 義久,長谷川 俊典,加藤 丈典
- Japanese Journal of Neurosurgery 23(3), 232-239, 2014
- … 顔面神経鞘腫のガンマナイフ治療の長期成績, 機能予後について述べる. … ガンマナイフ時の腫瘍サイズと体積の平均は5.0ccであり, 最大線量, 辺縁線量はそれぞれ24.2Gy, 12.7Gyであった. … 顔面神経鞘腫のガンマナイフ治療により, 神経症状を悪化させることなく, 長期に腫瘍をコントロールすることが可能である. …
- NAID 130003397704
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- 三愛病院さいたまガンマナイフセンターは、埼玉県唯一のガンマナイフ治療施設として2004年9月にオープンしました。患者さん一人一人の心のケアを重視し、最善のケアが受けられるセンターを目指しています。
- ガンマナイフ、定位放射線治療を行う脳神経センター大田記念病院(広島県福山市)「福山ガンマハウス」では、広島県内だけでなく中国、四国エリアの転移性脳腫瘍、聴神経腫瘍、髄膜腫、AVM、三叉神経痛などガンマナイフ適応疾患 ...
- 脳疾患に悩むあらゆる人のための、ガンマナイフ治療の第一人者 林 基弘 によるウェブサイトです。 ... 最新のお知らせ 2014/1/4 メニュー1に林医師治療後経過(疾患別)を追加しました。 2013/12/19 メニュー1に治療説明書を追加しました。
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- 38歳の女性。眼が見えにくいことを主訴に来院した。2年前から左眼の見えにくさを自覚し、3か月前から右眼も見えにくくなっている。3年前から無月経になっている。意識は清明。身長164 cm、体重67 kg。体温 36.1℃。脈拍 72/分、整。血圧 132/76mmHg。呼吸数 16/分。眼底は正常で、眼球運動に制限はなく、対光反射は正常である。血液所見に異常を認めない。血液生化学所見:TSH 1.3μU/mL(基準 0.2~4.0)、LH 2.4mIU/mL(基準1.8~7.6)、ACTH 29.5pg/mL(基準 60以下)、FSH 6.5mIU/mL(基準 5.2~14.4)、GH 0.1ng/mL(基準 5以下)、プロラクチン 34.8ng/mL(基準15以下)、FT4 0.9ng/dL(基準 0.8~2.2)、インスリン様成長因子-Ⅰ(IGF-Ⅰ)178 ng/mL(基準 155~588)、コルチゾール 11.2μg/dL(基準 5.2~12.6)。矯正視力は右0.1、左0.08。視野検査の結果(別冊No. 7A)、頭部造影MRIの冠状断像(別冊No. 7B)及び矢状断像(別冊No. 7C)を別に示す。
- 適切な治療はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111A026]←[国試_111]→[111A028]
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- 悪性腫瘍に対する放射線治療について誤っているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110E010]←[国試_110]→[110E012]
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- 英
- acoustic schwannoma、acoustic neurinoma
- 同
- 前庭神経鞘腫 vestibular schwannoma、聴神経線維鞘腫 acoustic neurilemmoma
- 関
- 聴神経腫瘍、前庭神経鞘腫、聴神経シュワン細胞腫
概念
- 前庭神経鞘腫とも呼ばれる。聴神経のシュワン細胞に由来する良性腫瘍。
病理
- Antoni A型:腫瘍が柵状配列をとっている。
- Antoni B型:細胞が変性して粗な領域。エオシン染色性弱い。
検査
- T1:低信号
- T2:高信号
- ガドリニウム造影:均一に増強される
鑑別疾患
- 小脳橋角部髄膜腫 :T1で低信号、T2で高信号、造影で高信号。腫瘍付着硬膜の造影効果。鑑別点は錐体骨部への付着が広くはっきりとしており、。
- 小脳橋角部類表皮嚢胞:T1で低信号、拡散強調画像で高信号
- 三叉神経鞘腫
- クモ膜嚢胞
- 脂肪腫
- 血管芽腫
- 転移性脳腫瘍
治療
- 3cm未満:手術両方 or 定位的放射線治療(ガンマナイフ)
- 3cm以上:手術両方
- 手術療法:後頭蓋窩開頭法(耳介後部からのアプローチ)
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- 英
- stereotactic gamma radiosurgery
- 関
- ガンマナイフ
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- 英
- stereotactic radiosurgery unit
- 関
- ガンマナイフ
[★]
- 英
- Leksell gamma unit
- 関
- ガンマナイフ
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- 英
- gamma
- 関
- γ
1γ=μg/kg/min
- 内科レジデントの鉄則 第2版 p.14
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- 英
- cancer
- 関
- がん、癌