- 英
- edoxaban
- 化
- エドキサバントシル酸塩水和物 edoxaban tosilate hydrate
- 商
- リクシアナ
- 関
- 血液凝固阻止剤
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エドキサバン
|
IUPAC命名法による物質名 |
IUPAC名
N'-(5-chloropyridin-2-yl)-N-[(1S,2R,4S)-4-(dimethylcarbamoyl)-2-[(5-methyl-6,7-dihydro-4H-[1,3]thiazolo[5,4-c]pyridine-2-carbonyl)amino]cyclohexyl]oxamide
|
臨床データ |
販売名 |
Lixiana, Savaysa |
識別 |
CAS番号
(MeSH) |
912273-65-5 |
ATCコード |
none |
PubChem |
CID: 25022378 |
ChemSpider |
8456212 |
UNII |
NDU3J18APO |
KEGG |
D09710 en:Template:keggcite |
化学的データ |
化学式 |
C24H30ClN7O4S |
分子量 |
548.056 g/mol |
SMILES
-
CN1CCC2=C(C1)SC(=N2)C(=O)N[C@@H]3C[C@H](CC[C@@H]3NC(=O)C(=O)NC4=NC=C(C=C4)Cl)C(=O)N(C)C
|
InChI
-
InChI=1S/C24H30ClN7O4S/c1-31(2)24(36)13-4-6-15(27-20(33)21(34)30-19-7-5-14(25)11-26-19)17(10-13)28-22(35)23-29-16-8-9-32(3)12-18(16)37-23/h5,7,11,13,15,17H,4,6,8-10,12H2,1-3H3,(H,27,33)(H,28,35)(H,26,30,34)/t13-,15-,17+/m0/s1
-
Key:HGVDHZBSSITLCT-JLJPHGGASA-N
|
エドキサバン(Edoxaban、開発コードDU-176b)は、直接第Xa因子阻害薬(英語版)に分類される経口抗凝固薬の1つである。なお、製剤中でエドキサバンは4-メチルベンゼンスルホン酸(慣用名、トシル酸)との塩の形にされており、さらに水和水を1分子持つ。商品名リクシアナ。
目次
- 1 効能・効果
- 2 投与量
- 3 禁忌
- 4 副作用
- 5 前臨床試験
- 6 臨床試験
- 7 出典
効能・効果
日本
- 膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術における静脈血栓塞栓症の発症抑制(承認取得:2011年4月[1])
- 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制(承認取得:2014年9月[2])
- 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症)の治療および再発抑制(承認取得:2014年9月[2])
米国
- 非弁膜症性心房細動患者における脳卒中および全身性塞栓症のリスク低減(承認取得:2015年1月[3])
- 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺塞栓症)の治療(承認取得:2015年1月[3])
欧州
- 非弁膜症性心房細動患者における脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制(承認取得:2015年6月[4])
- 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺塞栓症)の治療および再発抑制(承認取得:2015年6月[4])
投与量
日本の添付文書では、体重60kg以下の患者には30mgを、体重60kg超の患者には60mg(腎機能や併用薬に応じて減量)を投与するよう定められている。
米国では腎機能が正常(クレアチニンクリアランス95mL/min超)の患者には投与できず、50mL/min超・95mL/min以下では60mgを、15mL/min以上・50mL/min以下では30mgを投与するよう規制された。
禁忌
エドキサバンは次の患者には禁忌である。
- 過敏症の既往歴のある患者
- 出血している患者
- 急性細菌性心内膜炎の患者
- 腎不全(クレアチニンクリアランス15mL/min未満)の状態にある患者(下肢整形外科手術施行患者の場合は30mL/min未満)
- 凝血異常を伴う肝疾患の患者(心房細動患者の予防ならびに静脈血栓塞栓症患者の治療)
副作用
重大な副作用として添付文書に記載されているものは出血である。
他に1%以上に発現する副作用として、貧血、鼻出血、血尿(尿中血陽性等)、皮下出血、挫傷、創傷出血、肝機能異常が挙げられている。
前臨床試験
動物実験で、エドキサバンは第Xa因子への選択性と経口投与でバイオアベイラビリティーの高いことが示唆された[5]。
臨床試験
いくつかの第II相臨床試験が実施された。股関節全置換術(英語版)後の血栓症抑制[6]や心房細動を有する患者での脳梗塞予防[7]等である。
また膝関節全置換施行患者を対象として、エノキサパリン1日2回皮下注射群 対 エドキサバン30mg1日1回経口投与群 の比較臨床試験が実施された。日本と台湾から716名の患者が登録され、主要評価項目である静脈血栓塞栓症の発現率を対照群より46.8%低減させ、非劣性かつ優越性が示された[8]。安全性評価指標である 重大なまたは臨床的に重要な出血の発現率は両群に有意差がなかった。股関節全置換術患者を対象としたエノキサパリンとエドキサバンの比較試験には610名の患者が登録され、深部静脈血栓症の発現率はエノキサパリン6.9%とエドキサバン2.4%であったが、有意差はなかった[9]。
大規模第III相臨床試験は2つ実施された。
Hokusai-VTE試験は、深部静脈血栓症(DVT)または肺塞栓症(PE)患者における静脈血栓塞栓症(VTE)の治療および再発抑制効果のワルファリンに対する非劣性を検証するもので、8,240名の患者が登録された。主要評価項目であるVTE発現率は、エドキサバン群3.2%、ワルファリン群3.5%で、非劣性が検証された(P < 0.001)[10][11]。安全性指標に有意差はなかった。
ENGAGE AF-TIMI 48試験は、非弁膜症性心房細動に伴う脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制効果のワルファリンに対する非劣性を検証するもので、21,105名の患者が登録された。脳卒中および全身性塞栓症の年間発現率は、エドキサバン群1.18%、ワルファリン群1.50%で、非劣性が検証された(P < 0.001)[12][13]。安全性指標(重大な出血の発現)についてワルファリンに対する優越性が示された(p < 0.001)。
他の新しい第Xa因子阻害薬(リバーロキサバンやアピキサバン)も同様に良好な結果を示している[14]。
出典
- ^ “経口FXa阻害剤「リクシアナ(R)錠15mg、錠30mg」製造販売承認取得のお知らせ”. 第一三共 (2011年4月22日). 2015年2月24日閲覧。
- ^ a b “国内における抗凝固剤「リクシアナ錠15mg、同錠30mg」の効能追加および「リクシアナ錠60mg」の剤形追加に関する承認取得のお知らせ”. 第一三共 (2014年9月26日). 2015年2月24日閲覧。
- ^ a b “抗凝固剤 SAVAYSA(TM) (エドキサバン)の米国における承認取得のお知らせ”. 第一三共 (2015年1月9日). 2015年2月24日閲覧。
- ^ a b “抗凝固剤 LIXIANA(エドキサバン)の欧州における販売承認取得のお知らせ”. 第一三共 (2015年6月25日). 2015年6月25日閲覧。
- ^ Furugohri T, Isobe K, Honda Y, Kamisato-Matsumoto C, Sugiyama N, Nagahara T, Morishima Y, Shibano T (September 2008). “DU-176b, a potent and orally active factor Xa inhibitor: in vitro and in vivo pharmacological profiles”. J. Thromb. Haemost. 6 (9): 1542-9. doi:10.1111/j.1538-7836.2008.03064.x. PMID 18624979.
- ^ Raskob, G.; Cohen, A. T.; Eriksson, B. I.; Puskas, D.; Shi, M.; Bocanegra, T.; Weitz, J. I. (2010). “Oral direct factor Xa inhibition with edoxaban for thromboprophylaxis after elective total hip replacement”. Thrombosis and Haemostasis 104 (3): 642-649. doi:10.1160/TH10-02-0142. PMID 20589317.
- ^ Weitz JI, Connolly SJ, Patel I, Salazar D, Rohatagi S, Mendell J, Kastrissios H, Jin J, Kunitada S (September 2010). “Randomised, parallel-group, multicentre, multinational phase 2 study comparing edoxaban, an oral factor Xa inhibitor, with warfarin for stroke prevention in patients with atrial fibrillation”. Thromb. Haemost. 104 (3): 633-41. doi:10.1160/TH10-01-0066. PMID 20694273.
- ^ “経口抗Xa剤「エドキサバン」の第3相臨床試験結果を国際血栓症学会議で発表”. 第一三共 (2010年7月12日). 2015年2月24日閲覧。
- ^ “Phase III Trial Finds Edoxaban Outclasses Enoxaparin in Preventing Venous Thromboembolic Events” (2010年12月8日). 2015年2月24日閲覧。
- ^ “抗凝固剤「エドキサバン」に関する第3相臨床試験(Hokusai-VTE試験)結果について”. 第一三共 (2013年9月1日). 2015年2月24日閲覧。
- ^ “Edoxaban versus Warfarin for the Treatment of Symptomatic Venous Thromboembolism”. N. Engl. J. Med. 369 (15): 1406 - 1415. (August 2013). doi:10.1056/NEJMoa1306638. PMID 23991658.
- ^ “抗凝固剤「エドキサバン」に関する第3相臨床試験(ENGAGE AF-TIMI 48試験)結果について”. 第一三共 (2013年11月20日). 2015年2月24日閲覧。
- ^ “Edoxaban versus Warfarin in Patients with Atrial Fibrillation”. N. Engl. J. Med. 369 (15): 2093 - 2104. (November 28, 2013). doi:10.1056/NEJMoa1310907. PMID 24251359.
- ^ Tahir F, Riaz H, Riaz T, Badshah MB, Riaz IB, Hamza A, Mohiuddin H (September 2013). “The new oral anti-coagulants and the phase 3 clinical trials - a systematic review of the literature”. Thromb J 11 (1): 18. doi:10.1186/1477-9560-11-18. PMID 24007323.
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 63.エドキサバントシル酸水和物による気道出血の1例(第37回日本呼吸器内視鏡学会九州支部会)
- 吉川 裕喜,梅木 健二,串間 尚子,橋本 武博,安田 ちえ,鳥羽 聡史,濡木 真一,安東 優,時松 一成,門田 淳一
- 気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 36(3), 321, 2014-05-25
- NAID 110009823611
- 治療最前線 Clinical Up to Date(第27回)米国心臓協会年次学術集会(AHA)2013 心房細動患者対象の新規抗凝固薬は4剤へ 第Xa因子阻害剤・エドキサバン臨床第3相試験「ENGAGE AF-TIMI48」から
- 業界動向 心房細動患者の脳卒中予防試験結果は低インパクト 国産初の新経口抗凝固薬エドキサバンの今後
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- 厚生労働省は2014年9月26日、リクシアナ錠15mg、同30mg、同60mg(一般名:エドキサバントシル酸塩水和物)に「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制、静脈血
- リクシアナ錠(エドキサバン)の効能・効果 リクシアナ錠(成分名:エドキサバン)は、Xa因子阻害薬に分類される抗凝固薬だ。 簡単に説明すると、リクシアナ錠(成分名:エドキサバン)は「血液をサラサラにして、血栓ができるのを抑制 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
リクシアナ錠15mg
組成
有効成分
- エドキサバントシル酸塩水和物 20.2mg
(エドキサバンとして15mg)
添加物
- D-マンニトール、部分アルファー化デンプン、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、タルク、マクロゴール6000、黄色三二酸化鉄、カルナウバロウ
禁忌
全効能共通
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 出血している患者(頭蓋内出血、後腹膜出血又は他の重要器官における出血等) [出血を助長するおそれがある。]
- 急性細菌性心内膜炎の患者 [血栓剥離に伴う血栓塞栓様症状を呈するおそれがある。]
〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制
- 腎不全(クレアチニンクリアランス15mL/min未満)のある患者 [使用経験がない。また、ベネフィットを上回る出血のリスクが生じるおそれがある。]
- 凝血異常を伴う肝疾患の患者 [出血の危険性が増大するおそれがある。]
下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制
- 高度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者 [使用経験が少ない。また、静脈血栓塞栓症発症抑制効果を上回る出血のリスクを生じるおそれがある。]
効能または効果
- ○非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
- 通常、成人には、エドキサバンとして以下の用量を1日1回経口投与する。
体重60kg以下:30mg
体重60kg超 :60mg なお、腎機能、併用薬に応じて1日1回30mgに減量する。
- ○静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制
- 通常、成人には、エドキサバンとして以下の用量を1日1回経口投与する。
体重60kg以下:30mg
体重60kg超 :60mg なお、腎機能、併用薬に応じて1日1回30mgに減量する。
- ○下記の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制
膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術