- 英
- inositol, Ino
- 同
- イノシット inosite、ヘキサヒドロキシシクロヘキサン hexahydroxycyclohexane
- イノシトール (inositol) はシクロヘキサンの各炭素上の水素原子がひとつずつヒドロキシ基に置き換わった構造(1,2,3,4,5,6-シクロヘキサンヘキサオール)を持つ、シクリトールの一種である。組成式は C6H12O6、分子量は 180.16。甘味を持つ。
- 無色の結晶であり、生体成分として広く存在し、生体内でグルコースより生合成される。
- 6個のヒドロキシ基がすべてリン酸化されたのがフィチン酸であり、植物組織内でリン酸の貯蔵形態として存在する。
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%82%B7%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AB
WordNet
- an optically inactive alcohol that is a component of the vitamin B complex
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/04/23 14:59:31」(JST)
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myo-イノシトール[1] |
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IUPAC名
1,2,3,5/4,6-inositol(許容慣用名)
(1R,2R,3S,4S,5R,6S)-cyclohexane-1,2,3,4,5,6-hexol
|
別称
cis-1,2,3,5-trans-4,6-Cyclohexanehexol , Cyclohexanehexol,
i-イノシトール
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
87-89-8 |
PubChem |
892 |
ChemSpider |
10239179 |
UNII |
4L6452S749 |
日化辞番号 |
J4.282J |
KEGG |
C00137 |
ChEBI |
CHEBI:17268 |
ChEMBL |
CHEMBL1222251 |
ATC分類 |
A11HA07 |
- [C@@H]1([C@@H]([C@@H]([C@@H]([C@H]([C@@H]1O)O)O)O)O)O
|
- InChI=1S/C6H12O6/c7-1-2(8)4(10)6(12)5(11)3(1)9/h1-12H/t1-,2-,3-,4+,5-,6-
Key: CDAISMWEOUEBRE-GPIVLXJGSA-N
InChI=1/C6H12O6/c7-1-2(8)4(10)6(12)5(11)3(1)9/h1-12H/t1-,2-,3-,4+,5-,6-
Key: CDAISMWEOUEBRE-GPIVLXJGBG
|
特性 |
化学式 |
C6H12O6 |
モル質量 |
180.16 g mol−1 |
外観 |
無色結晶 |
密度 |
1.752 g/cm³, 個体 |
融点 |
225–227 °C
|
水への溶解度 |
14 g/100 mL (水, 25 ℃) |
危険性 |
NFPA 704 |
|
引火点 |
143 °C (289 °F) |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
イノシトール (inositol) は、シクロヘキサンの各炭素上の水素原子が1つずつヒドロキシ基に置き換わった構造(1,2,3,4,5,6-シクロヘキサンヘキサオール)を持つ、シクリトールの1種である。ビタミンB群の1種とも言われており、ヒトの場合、糖尿病などが原因で体内でイノシトールが不足すると、神経症状が起こるなどの悪影響が知られている。
目次
- 1 概要
- 2 立体異性体
- 3 多く含む食品
- 4 糖尿病性神経障害との関連
- 5 パニック障害との関連
- 6 脚注
- 7 関連項目
- 8 外部リンク
概要
イノシトールは無色の結晶であり、これを口にすると、ヒトには甘く感じられる。イノシトールは地球上の生物の生体成分の1つとしてグルコースを原料として生合成される。このため、例えば、穀物の糠や豆類や果物といった植物にも含まれるし、動物の肉や魚などにも含まれるなど、地球上の多くの生物の体内に含有されている。また、多くの植物の種子などに含まれることが知られているフィチン酸は、イノシトールの持つ6個のヒドロキシ基の全てがリン酸エステルとなった構造をしており、これは植物の組織内でのリン酸の貯蔵形態として知られている。この他、ヒトのグリア細胞や神経細胞は、細胞の浸透圧の調整にイノシトールもオスモライトとして利用されていることが知られている。もしも数日以上続く細胞外液の浸透圧の上昇があれば、それに対抗するため細胞内にイノシトールを蓄積させて、細胞内の浸透圧を上げることで、細胞内の水分を保持しようとする。このグリア細胞や神経細胞におけるイノシトールの濃度変化には数日を要するため、長く続いた細胞外液の浸透圧が高い状態を、もしも急激に補正するようなことをしてしまうと、すぐには蓄積させたイノシトールを細胞外に捨てることができないため、細胞内に水が流入して、脳浮腫を起こす可能性があることも知られているので、この補正は時間をかけて行わなければならない。逆に数日以上続く細胞外液の浸透圧の低下があれば、細胞内のイノシトールを減らして浸透圧を下げて、細胞内への水分の流入を阻止しようとするなど、全く逆のことが起こるので、やはり補正には時間をかけなくなてはならない。なお、脂肪肝や高脂血症の治療に用いられる。また、セロトニン異常に起因するうつ病、パニック障害、強迫性障害に有効とされる研究結果もある。
立体異性体
イノシトールには、ヒドロキシ基の位置により 9種類の異性体が存在する。最も一般的なものは myo-イノシトール(ミオイノシトール)である。
IUPAC命名法において、「イノシトール」は、1,2,3,4,5,6-シクロヘキサンヘキサオールの慣用名として認められている。立体化学を表すときは、各ヒドロキシル基がシクロヘキサン環の上下どちらを向いているかに着目し、以下のような形式で表す。対応する接頭辞とともに示す。
- cis-イノシトール (1,2,3,4,5,6/0-イノシトール)
- epi-イノシトール (1,2,3,4,5/6-イノシトール)
- allo-イノシトール (1,2,3,4/5,6-イノシトール)
- myo-イノシトール (1,2,3,5/4,6-イノシトール) Infobox 内に構造を図示
- muco-イノシトール (1,2,4,5/3,6-イノシトール)
- neo-イノシトール (1,2,3/4,5,6-イノシトール)
- chiro-イノシトール (1,2,4/3,5,6-イノシトール) D体、L体が存在
- scyllo-イノシトール(1,3,5/2,4,6-イノシトール)
これらのうち、chiro-イノシトールのみが光学活性化合物であり、ほかはすべてメソ体である。
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myo- |
scyllo- |
muco- |
chiro- |
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neo- |
allo- |
epi- |
cis- |
多く含む食品
myo-イノシトール(ミオイノシトール)は自然界の各種の食品に含まれている。ただし名前が挙げられた食品でも、体内に吸収され利用され得るレシチン(ホスファチジルイノシトールやホスホイノシタイドなど)の形態と、穀物に含まれているが利用不可能なフィチン酸とを必ずしも常に区別していない。[2]研究によると、myo-イノシトール(化合物も含め)を高濃度に含む食品は、果物、豆類、穀物やナッツ類である。[2]ただ、豆類や穀物は種子ということから、イノシトールの多くがフィチン酸である。エネルギー飲料でイノシトールを含んでいるものもある。
糖尿病性神経障害との関連
イノシトールは、通常糸球体より排泄され、尿細管で再吸収されるが、高血糖状態においては、グルコースと競合するため、再吸収されず尿中排泄量が増加する。その結果、体内のイノシトール量が低下し、ポリオール代謝異常によって、糖尿病性神経障害の成因となる[3][4]。
パニック障害との関連
イノシトールは、パニック障害や強迫性障害の患者が服用することで、その症状を緩和する作用が報告されている。特に、不安感の発生頻度とその程度を顕著に低下させる効果があるとされる。二重盲検試験によると、18gのイノシトール摂取によってパニック障害及び、強迫性障害の症状が軽減したと報告されている[5]。 また、フルボキサミンより症状の軽減に効果があったとする論文報告もある[6]。
イノシトールのうつ病に対する効果も検証されており、12gのイノシトール摂取によって、うつ病の症状が改善したとの臨床結果も報告されているが[7]、 一方で、その効果が識別できないとする見解もある[8]。
脚注
- ^ Merck Index, 11th Edition, 4883.
- ^ a b Clements, Rex; Betty Darnell (1980). “Myo-inositol content of common foods: development of a high-myo-inositol diet”. American Journal of Clinical Nutrition 33 (9): 1954–1967. PMID 7416064. http://www.ajcn.org/cgi/reprint/33/9/1954.pdf 2009年5月18日閲覧。.
- ^ Lucica MI urinary myoinositol kit: a new diagnostic test for diabetes mellitus and glucose intolerance.
- ^ Urinary chiro- and myo-inositol levels as a biological marker for type 2 diabetes mellitus.
- ^ Fux M, Levine J, Aviv A, Belmaker RH (1996). “Inositol treatment of obsessive-compulsive disorder”. American Journal of Psychiatry 153 (9): 1219–21. PMID 8780431.
- ^ Palatnik A, Frolov K, Fux M, Benjamin J (2001). “Double-blind, controlled, crossover trial of inositol versus fluvoxamine for the treatment of panic disorder”. Journal of Clinical Psychopharmacology 21 (3): 335–339. doi:10.1097/00004714-200106000-00014. PMID 11386498.
- ^ Levine J, Barak Y, Gonzalves M, Szor H, Elizur A, Kofman O, Belmaker RH. (1995). “Double-blind, controlled trial of inositol treatment of depression”. American Journal of Psychiatry 152 (5): 792–794. PMID 7726322.
- ^ Taylor MJ, Wilder H, Bhagwagar Z, Geddes J (2004). Taylor, Matthew J. ed. “Inositol for depressive disorders”. Cochrane Database Syst Rev (2): CD004049. doi:10.1002/14651858.CD004049.pub2. PMID 15106232.
関連項目
- ピニトール
- カイロ-イノシトール
- ホスファチジルイノシトール
- グリコシルホスファチジルイノシトール
外部リンク
- イノシトール - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- IP-6.jp IP6とイノシトール(2008年1月18日時点のアーカイブ)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- イノシトールリン脂質のがん転移への関与 : "invadopodia"の形成機構 (AYUMI がん転移のプラットフォーム)
- 線虫を用いた脂質研究 (特集 脂質ワールド) -- (種を越えた脂質の働き)
- トルコギキョウにおける可溶性糖質の同定と開花に伴う花弁細胞内の糖質濃度の変動
- 食品に含まれるグリコシルイノシトールホスホセラミドおよびフィトセラミド-1-リン酸
Related Links
- 1,2,3,5/4,6-inositol(許容慣用名) (1R,2R,3S,4S,5R,6S)-cyclohexane-1,2,3,4,5,6- hexol. 別称. cis-1,2,3,5-trans-4,6-Cyclohexanehexol , Cyclohexanehexol, i- イノシトール. 識別情報. CAS登録番号 · 87-89-8 · PubChem · 892 · ChemSpider ...
- 2008年3月26日 ... イノシトールとは ... イノシトールとは目立たない存在ですが、ビタミンBの一種で抗脂肪 肝ビタミンといわれています。 ... イノシトールはコレステロール値を下げる効果もあります ので、脂肪分を多くとっている人は日頃からイノシトールを十分に摂っ ...
- 抗脂肪肝ビタミンと言われるイノシトール。イノシトールとはどういう機能をもつビタミンな のか?イノシトールの生理機能を徹底検証。脂肪肝、ダイエット、糖尿病、パニック障害 に効果。イノシトールは生理機能の王様と呼ばれています!
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
組成
- ニコキサチン錠200mgは1錠中イノシトールヘキサニコチン酸エステル200mgを含む錠剤である。
添加物として乳糖水和物,結晶セルロース,低置換度ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ステアリン酸マグネシウムを含有する。
禁忌
- 本剤に対し過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
効能または効果
下記に伴う末梢循環障害
- ビュルガー病,閉塞性動脈硬化症,レイノー病及びレイノー症候群,凍瘡・凍傷,間欠性跛行
- イノシトールヘキサニコチン酸エステルとして通常成人1日0.4〜1.8g(本剤2〜9錠)を適宜分割経口投与する。
なお,年齢,症状により適宜増減する。
薬効薬理
- イノシトールヘキサニコチン酸エステルは経口投与後胃腸管から吸収され,血液中でPseudo cholinesteraseによって徐々に代謝されて,ニコチン酸及びイノシトールを放出する1)が,その末梢血管拡張作用はニコチン酸によるものと考えられている。
◇末梢血管拡張作用
- 血管拡張作用のパラメータとして皮膚温反応(両足の指)を,閉塞性動脈硬化症患者で測定した結果,温熱反射性拡張後の皮膚温は,600mg投与で投与前に比べ高く,1200mg投与では有意の増加が観察されている2)。レイノー症候群の患者においても指尖血流量等の評価より,皮膚微小循環の改善効果が認められている3)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- イノシトールヘキサニコチン酸エステル(イノシトールヘキサニコチネート)
化学名
- meso-inositol hexanicotinate
分子式
分子量
融点
性状
- 白色の結晶性の粉末で,におい及び味はない。氷酢酸又はクロロホルムに溶けやすく,無水酢酸又はアセトンに極めて溶けにくく,水,エタノール又はエーテルにほとんど溶けない。
0.1mol/L塩酸試液に溶ける。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- inositol 1,4,5-trisphosphate
- 同
- イノシトール三リン酸 inositol trisphosphate、IP3
- 関
- イノシトール、myo-inositol 1,4,5-trisphosphate
- 細胞内二次メッセンジャー;カルシウム遊離
- シグナル伝達に関わる。
[★]
イノシトール、塩酸システイン(システイン)、肝臓加水分解物、重酒石酸コリン、シアノコバラミン
- 関
- 肝臓疾患用剤
[★]
イノシトール、塩酸システイン、肝臓加水分解物、重酒石酸コリン、シアノコバラミン
[★]
- 英
- inositol lipid
- 関
- イノシトール
[★]
イノシトール
- 関
- myoinositol
[★]
- 英
- inositol-1-phosphate synthase
- 関
- ミオイノシトール-1-リン酸合成酵素、イノシトール-1-リン酸シンテターゼ
[★]
- 英
- phosphatidylinositol、phosphatidyl inositol
- 関
- ホスファチジルイノシトール、イノシトールリン脂質
[★]
- 英
- glycosylphosphatidylinositol-anchored protein deficiency
- 関
- GPIアンカー型蛋白質欠損症
[★]
- 英
- myo-inositol-1-phosphate synthase
- 関
- ミオイノシトール-1-リン酸合成酵素
[★]
- 英
- inositol trisphosphate
- 関
- イノシトール三リン酸