- 英
- fetal hydrops, hydrops fetal
- ラ
- hydrops fetalis
- 関
- 先天性胎児全身水腫
概念
- 胎児水腫とは以下の所見を2つ以上そなえるものである;(1)腹水、(2)胸水、(3)心嚢水、(4)浮腫(skin edema)、(5)羊水過多 (参考1)
分類
病態生理
非免疫性胎児水腫
- 参考1
- 明らかになっていないが、以下の異常が1つ以上組み合わさって生じている。
- 1. リンパ管の閉塞 (ex. 先天奇形、悪性腫瘍)
- 2. 脈管の透過性亢進 (ex. 感染)
- 3. 心筋の不全(myocardial failure) or 静脈還流路の閉塞
- 4. 浸透圧の減少 (肝疾患、腎疾患、非免疫的機序を介さない貧血)
疫学
- 非免疫性胎児水腫がほとんど。免疫性胎児水腫は予防方法が発達してきたため、胎児水腫の90%を非免疫性胎児水腫が占め、有病率は1500-3800出産に1例となっている(参考1)。
診断
予後
- 免疫性胎児水腫に比べて非免疫性胎児水腫の予後はよくない。(QB.P-257)
- 非免疫性胎児水腫は周産期死亡の50-98%と関連している。予後に影響を与える要素は発症時の胎齢と胸水の存在で、胎齢20週以下での胸水を伴う胎児水腫の発症は予後が悪い。胸水の存在により肺の低形成をきたすためである。(参考1)
参考
- 1. [charged] Nonimmune hydrops fetalis - uptodate [1]
国試
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/02/25 01:19:26」(JST)
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胎児水腫(たいじすいしゅ、ラテン語: Hydrops fetalis)とは胎児の皮下浮腫、胸水、腹水、心嚢水のうち2つ以上を認める状態である。超音波検査または病理解剖によって診断される。胎児の心不全の徴候である。
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Japanese Journal
- 7.胎児水腫をきたした先天性肺筋繊維性腫瘍の1例(第39回九州地区小児固形悪性腫瘍研究会)
- 中嶋 敏紀,北島 順子,松本 直子,孝橋 賢一,小田 義直
- 小児がん : 小児悪性腫瘍研究会記録 47(2), 345, 2010-05-25
- NAID 110007671835
- 15.胎児水腫を来した嚢胞型胎便性腹膜炎の1例(一般演題,第43回日本小児外科学会東海地方会)
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★リンクテーブル★
[★]
- 28歳の初妊婦。妊娠24週に急激な腹囲の増大と体重増加とを主訴に来院した。妊娠初期の超音波検査で1絨毛膜2羊膜性双胎と診断されている。来院時、子宮頸管長は40mmであった。超音波検査で両児間の推定体重に差を認めない。第1児の最大羊水深度を計測した超音波像(別冊No. 39A)と両児間の隔壁を示す超音波像(別冊No. 39B、矢印は隔壁)とを別に示す。
- この第1児について正しいのはどれか。3つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [112D074]←[国試_112]→[112E001]
[★]
- 36歳の初産婦。妊娠29週。胎動減少を主訴に来院した。妊娠初期の血液検査で抗D抗体陽性(抗体価 16倍)だったため経過観察されていた。妊娠27週の時点で抗D抗体が1,024倍であったが胎児超音波検査で異常を認めなかった。16年前、妊娠初期に人工妊娠中絶手術を受けている。輸血歴はない。胎児心拍数陣痛図(別冊No. 25)を別に示す。
- 対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
- a 母体の血清LD値を調べる。
- b 胎児水腫の有無を確認する。
- c 母体のヘモグロビン値を調べる。
- d 抗D人免疫グロブリンを投与する。
- e 胎児中大脳動脈血流速度を計測する。
[正答]
※国試ナビ4※ [111D054]←[国試_111]→[111D056]
[★]
- 妊娠24週の初妊婦。ハイリスク妊娠のため紹介され来院した。妊娠10週時の超音波検査で一絨毛膜二羊膜性双胎と診断されている。来院時、子宮底は24cm、子宮口は閉鎖している。超音波検査で第一児は推定体重600g、羊水ポケット4cm、第二児は推定体重480gで羊水ポケットは1cmである。両児ともに胎児水腫を認めない。この双胎妊娠で認められるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098C030]←[国試_098]→[098D002]
[★]
- 在胎28週の胎児。1絨毛膜2羊膜性双胎と診断されている。妊娠初期には2児の大きさにほとんど差を認めなかったが、次第に差を認めるようになり、大きい方の児に羊水過多と胎児水腫とを認めるようになった。
- 異常があると考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100F001]←[国試_100]→[100F003]
[★]
- a 異所性妊娠 - 血中エストラジオール定量
- b 過期妊娠 - 羊水マイクロバブルテスト
- c 子宮筋腫合併妊娠 - 羊水染色体検査
- d 胎児水腫 - 子宮頸管長計測
- e 胎児発育不全 - 胎児臍帯動脈血流計測
[正答]
※国試ナビ4※ [107E020]←[国試_107]→[107E022]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [099E002]←[国試_099]→[099E004]
[★]
- 妊娠20週で自然破水し、羊水流出が持続しながら妊娠36週まで妊娠が継続した。胎児に起こりうる障害はどれか。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [095A045]←[国試_095]→[095A047]
[★]
- 妊娠 29週の胎児の頭部超音波像 (別冊 No. 4)を別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108E022]←[国試_108]→[108E024]
[★]
- 28歳の女性。妊娠30週。子宮底長は22cmで、腹部超音波検査で羊水はほとんど認めない。
[正答]
※国試ナビ4※ [099I030]←[国試_100]→[100A002]
[★]
- a. 児の予後は良好である。
- b. 児の腎機能低下で起こる。
- c. 出生前診断は困難である。
- d. ウイルス感染が原因となる。
- e. 染色体異常とは無関係である。
[正答]
※国試ナビ4※ [101F004]←[国試_101]→[101F006]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [097H066]←[国試_097]→[097H068]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106A001]←[国試_106]→[106A003]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103I001]←[国試_103]→[103I003]
[★]
[★]
- parvo
- 英
- parvovirus B19
- 同
- human parbovirus B19, B19 virus、ヒトパルボウイルスB19、B19型ヒトパルボウイルス
- ヒトに感染するパルボウイルスを特にヒトパルボウイルスと呼ぶが、本wikiではヒト以外のウイルスについては対象外。
- 関
- ウイルス
- first aid step1 2006 p.151,152,154,299
ウイルス学
- エンベロープ無し
- DNAウイルス最小
- 赤血球系前駆細胞で増殖。
潜伏期間
感染経路
疫学
- 成人の40%が既感染
- 4-5年ごとに流行
- 春に多い
感染症
症状
- SMB.541-542
- 伝染性紅斑
- 急性熱性疾患
- 関節炎
- 成人の伝染性紅斑では関節痛を伴う2-4週間継続する関節炎を呈する。
- 免疫複合体の形成が原因
- 妊婦の感染→胎児の感染→肝臓での造血能低下→重症の貧血→胎児水腫(非免疫性胎児水腫)、流産、死産
- 経胎盤感染による感染率33%。胎児死亡の危険率は9%
合併症
経過
- 骨髄機能は10-14日で回復 → 症状は出ない。
治療
検査
予防
参考
- http://en.wikipedia.org/wiki/Parvovirus_B19
- 同
- HPV-B19
[★]
- 英
- first trimester, early pregnancy, first trimester pregnancy
- 同
- 妊娠前期
- 関
- 妊娠期間
超音波診断
- 経腟超音波により空気を含む腸管の影響を受けずに子宮や付属器の状態を描出できる。
- 胎嚢は妊娠4-5週に子宮内に認められるようになる。
- その後、胎嚢内に卵黄嚢を認めるようになり、それに接して胎芽心拍動を認めるようになる。
- 妊娠6週目頃には部分的に肥厚した絨毛膜有毛部と菲薄した無毛部に分かれる。
心拍動の確認
- 胎嚢に接したエコーフリースペースが認められる場合がある。症状があれば治療を行う。
胎児の異常
生理的な胎児異常
- 妊娠10-14週において胎児の項部に認められる皮下浮腫がnuchal translucency]]と呼ばれる。3mm以上の場合、異常肥厚と言われる。染色体異常の検出率は28-100%とばらつきがあり、21トリソミー、13トリソミー、18トリソミー、Turner症候群が検出できるが、特に21トリソミーの検出に優れていると言われている。
- 嚢胞部分、出血走、高輝度エコー部位の混合部位が描出される。
参考
国試
[★]
- 英
- slapped cheek disease, slap cheek, infectious blushing
- ラ
- erythema infectiosum
- 同
- リンゴ病、第五病 fifth disease、
- 関
- B19ウイルス
特徴
- 発疹。骨髄赤芽球前駆体への親和性
- 発症前にウイルスが排出されるため感染予防が難しい。
- 2-7歳の幼児に多く。発熱。
- 成人では症状は出にくい:赤い紅斑はない。関節痛や関節炎が起きやすい。
疫学
病原体
潜伏期間
感染経路
症状
- 小児に多い
- 顔面に紅斑が出現し、四肢に網状紅斑が広がる
- レース状紅斑
合併症
経過
- 7-10日:発熱、カゼ様症状。鼻汁、血液、咽頭よりウイルス検出
- 9日:リンパ球減少
- 10-15日:網状赤血球現象。ヘモグロビン減少。IgM・IgG↑。カゼ様症状消失
- 18日頃:発疹。関節炎
検査
予防
- ワクチンなし
- 妊婦は、流行期には小児の多い場所へは近づかない。
- 参考2
- 経胎盤感染
- 妊娠初期(妊娠20週未満):約30%が経胎盤感染し、その1/3が胎児水腫に移行する。すなわち伝染紅斑に罹患した母の10%で胎児水腫(非免疫性胎児水腫)が見られる。
- 妊娠20週以降:母子感染はないとされる。
- 病態生理:貧血に対する心臓の代償的な心拍出量増加がおこるが、ついには代償機構が破綻し心不全(左心不全→右心不全)に至る。
- 胎児に対する検査:(超音波検査)MCA上昇、腹水・胸水・心嚢水の貯留
参考
- http://idsc.nih.go.jp/iasr/19/217/tpc217-j.html
- 2. D.産科疾患の診断・治療・管理 8.合併症妊娠の管理と治療 - 日産婦誌61巻12号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/61/6112-625.pdf
[★]
- 英
- hemolytic disease of the newborn HDN
- ラ
- morbus haemolyticus neonatorum MHN
- 同
- 胎児赤芽球症 fetal erythroblastosis erythroblastosis fetalis、新生児重症黄疸 icterus gravis neonatorum、胎児溶血性疾患
- 関
- 新生児溶血性貧血、胎児水腫 hydrops fetalis
[show details]
参考
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscc1971b/8/3-4/8_277/_pdf
[★]
- 関
- 血液型不適合妊娠
病態生理
- 溶血性貧血、EPの上昇による肝脾腫 → 肝臓の代謝異常・旬間以上、低蛋白血症 → 門脈圧亢進 → 循環不全、胎児浮腫の重症化 (QB.P-255)
- 溶血性貧血 → 末梢酸素欠乏 → 高心拍出量状態 → 心不全 → 浮腫(胎児水腫)
[★]
- 英
- nonimmune hydrops fetalis NIHF, nonimmune fetal hydrops
- 同
- 非免疫学的胎児水腫
- 関
- 胎児水腫
[★]
- 英
- immune hydrops fetalis IHF, immune fetal hydrops
- 同
- 免疫学的胎児水腫
- 関
- 胎児水腫
[★]
- 英
- fetus
- 関
- 胎児の発生
成長
- およそのめやすね。正確ではない。(SPE.68)
- 25週: 750g
- 30週:1500g
- 35週:2000g ←だいたい2200gだけど
- 40週:3000g
- 25週から5週間で2倍、30週から10週で2倍
循環器
- 胎児心拍動は妊娠6週で認められ、妊娠7週目では100%確認できる。(G10M.6 QB.P-209)
感覚系
- 妊娠10週ごろから刺激に反応して口、指、趾、目を動かす。(NGY.285)
聴覚
- 妊娠中期には聴覚が発達。(NGY.285)
- 妊娠28-30週(妊娠後期の始め)には音の刺激により心拍数が増加。(QB.P-190)
胎児の成長
- G10M.6改変
妊娠月数 (月)
|
妊娠週数 (週)
|
胎児のイベント
|
1
|
2
|
肺胞期に着床(受精後6日後)
|
2
|
5
|
中枢神経系、心臓形成開始
|
6
|
肺形成開始
|
7
|
胚形成、胎盤形成開始
|
3
|
9
|
胎児心拍最速(170-180bpm)
|
10
|
躯幹と四肢の運動が超音波で測定可能
|
11
|
外陰の性差が決まる(が超音波では分からない)
|
4
|
12
|
排尿が超音波で観察可能、胎便形成開始。
|
15
|
胎盤完成。呼吸様運動が不規則に観察可能(10週から始まっているが観察は容易ではない)。
|
5
|
16
|
嚥下が超音波で観察可能。 → 胎盤完成以降に羊水量が(急に)増えるが、嚥下が観察可能になるのはこれと関係ある?
|
17
|
外陰の性差が超音波で観察可能
|
18
|
胎動を感ずる(18-20週)
|
6
|
20
|
肺サーファクタント産生開始
|
7
|
26
|
肺の構造完成
|
8
|
28
|
肺サーファクタント増加
|
9
|
34
|
胚が成熟、腎の発生完了
|
国試
[★]
- 関
- がん、腫瘍、腫瘤、良性新生物
[★]
- 英
- edema, hygroma
- 同
- 浮腫