全身性エリテマトーデス
- 英
- systemic lupus erythematosus, SLE
- 同
- 全身性紅斑性狼瘡、エリテマトーデス
- 関
- lupus nephritis、薬剤性ループス(SLE症状を来す)
概念
疫学
- 発病率:10万人あたり10~100人
- 男女比=1:9
- 発症年齢:20-40歳代 ←性ホルモンとの関連
- 白人に少なく、アジア、アフリカ、ヒスパニックに多い
病因
遺伝因子
- 一卵性双生児:24%
- 二卵性双生児:2%
- 欧米ではHLA-DR2,HLA-DR3との関連が
環境因子
- 紫外線
- 性ホルモン(若年女性、妊娠)
- ウイルス感染
- 薬剤(薬剤性ループス)
病態生理
- 抗核抗体により多量の免疫複合体が形成され、これが諸臓器に沈着して臓器障害をもたらす。(III型アレルギー)
- Tリンパ球の機能異常と Bリンパ球の活性化亢進がもとになり、多種の自己抗体と非特異的免疫グロブリンの産生が亢進
病理
- フィブリノイド変性を特徴とする炎症像が、全身の血管・結合組織に認められる。
症候スペクトル
| 病態 | レイノー現象 | 抗核抗体 | リウマトイド因子 | 抗好中球細胞質抗体 | 皮疹 | 皮下結節 | 関節炎 | 筋炎 | 漿膜炎 | 自己抗体 | |
| dsDNA | |||||||||||
| 病理 | 壊死性血管炎 | 糸球体腎炎 | 間質性肺炎 | 心炎 | 唾液腺炎 | オニオンスキン病変 | ワイヤーループ病変 | ヘマトキシリン体 | LE細胞 | ||
症候
- 臨床症状は多彩。
- 臓器障害としては腎臓と中枢神経が最も重要
全身性
- 発熱、全身倦怠感、体重減少、リンパ節腫脹
皮膚・粘膜病変
| 全身性 | 皮膚限局性 | ||
| SLE | ILE | CLE | |
| 急性 | 蝶形紅斑 | ||
| 亜急性 | SCLE型環状紅斑 | ||
| 慢性 | 凍瘡状LE型皮疹 | ||
| 円板状皮疹(全身) | 円板状皮疹(顔) | ||
特異疹
- 蝶形紅斑:[診断基準]
- 円板状紅斑、(円板状皮疹?):[診断基準]慢性型の皮疹
- 凍瘡状LE型皮疹
- SCLE型環状紅斑:亜急性型の皮疹。表皮の変化を伴う環状紅斑 (⇔シェーグレン症候群:表面の落屑がない環状紅斑 )
- 光線過敏:[診断基準]
- 口腔潰瘍(口腔内潰瘍):[診断基準]
非特異疹
- リベド
- 蕁麻疹様血管炎
- 肢端紫藍症
- 凍瘡様紅斑
- 爪周囲斑
- 脱毛
漿膜炎
循環器
- 心外膜炎(心膜炎)、心筋炎:多く認められる。
- 心内膜炎:特徴的な所見を認める心内膜炎 → (リブマン・サックス心内膜炎 Libman-Sacks心内膜炎)
- 僧帽弁、三尖弁に扁平疣贅を形成
肺病変
消化器系
泌尿器系
精神神経症状
- (頭痛などの軽微な症状から、脳血管障害や痙攣発作などの中枢神経症状、また、躁うつ症状、統合失調症様症状、意識障害など(中枢神経性ループス))
筋・関節症状
- 多関節痛 ← 腫脹は伴わない
- ジャクー型関節炎(Jaccoud型関節炎) ← 骨破壊を伴わずに手指関節の変形を来す
血液
- 貧血
- 血小板減少
症状の出現頻度 (IMD.1118)
| 症状 | 活動期(%) | 非活動期(%) |
| 発熱 | 73 | 1 |
| 関節痛 | 70 | 10 |
| 顔面紅斑 | 73 | 25 |
| 紅斑(顔面以外) | 53 | 16 |
| 関節炎 | 39 | 3 |
| 脱毛 | 36 | 4 |
| リンパ節腫脹 | 29 | 3 |
| 口腔潰瘍 | 21 | 1 |
| ディスコイド疹 | 20 | 7 |
| 高血圧 | 17 | 2 |
| 精神症状 | 15 | 2 |
| 胸膜炎 | 13 | 1 |
| 心膜炎 | 12 | 0 |
| 中枢神経症状 | 10 | 1 |
| 肺臓炎 | 8 | 2 |
| 末梢神経炎 | 6 | 4 |
| 脊髄炎 | 4 | 3 |
| 腹膜炎 | 2 | 0 |
検査
血液生化学
- カリウム:腎機能のモニターとして
- クレアチニン Cr:腎機能のモニターとして
- 尿素窒素 BUN:腎機能のモニターとして。BUN/Cr比が拡大していたら、治療薬として投与されている副腎ステロイドによる異化亢進を示している。
炎症所見
- 赤沈亢進(
活動性に応じて変動する。炎症を反映して上昇するが病勢とは相関しないらしい・・・) - CRP正常
- γグロブリンの上昇
血算
汎血球減少
- 赤血球:正色素性貧血 ← 自己免疫性溶血性貧血の合併もときにあり。クームス検査陽性
- 白血球:白血球減少症:特にリンパ球減少
- 血小板 血小板減少症 ← 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の合併もときにあり
免疫学的異常
- 抗核抗体:陽性
- 血清補体価、C3、C4:低下 ← 免疫複合体の形成により消耗。特にC3の減少が顕著
- 梅毒血清反応:偽陽性
- LE細胞:陽性
- LEテスト:陽性
- 高γグロブリン血症 ← Bリンパ球の多クローンの活性化
抗核抗体
- 抗核抗体:100%陽性。陰性であればSLEは否定的。
その他の自己抗体
- 抗リン脂質抗体(抗カルジオリピン抗体、抗β2-GPI抗体、ループス抗凝固因子):30%で陽性
抗核抗体の間接蛍光抗体法による検出
- 均質型、辺縁型、斑紋型、核小体型
臓器障害
- 血清クレアチニン 上昇の可能性
- 尿蛋白 陽性の可能性
腰椎穿刺&髄液検査
- IgG index、髄液中IL-6、血清リボソーマルP抗体 ← 中枢神経性ループス
皮膚生検
- ループスバンドテスト:紅斑部位では90%以上で陽性。紅斑部位の表皮真皮接合部にγ-グロブリンや補体が沈着
腎生検
- 病理参照(全身性エリテマトーデス#病理)
SLEの活動期を反映する検査値
- 1. 抗DNA抗体:上昇
- 2. 血清補体:低下 ← 消費される
- 3. 免疫複合体:上昇
- 4. 血球(白血球、血小板):減少 ← 血球減少はSLEでみられるし
- 赤沈、CRP、抗Sm抗体は病勢を反映しない
診断基準
| 診断基準項目 | 定義 | ||
| 1 | 頬部紅斑 | 頬部降起部上の、平坦あるいは隆起性の,固定した紅斑、鼻唇溝は避ける傾向あり | |
| 2 | 円板状皮疹 | 付着性角化性落屑と毛嚢栓寒を伴う隆起性紅斑性皮疹 陳旧性病変では萎縮性癒痕形成もみられる | |
| 3 | 光線過敏症 | 日光に対する異常な反応の結果生じた皮疹(後者の病歴情報あるいは医師の観察による) | |
| 4 | 口腔内潰瘍 | 口腔もしくは鼻咽頭潰瘍.通常、無痛性(医師の観察による) | |
| 5 | 関節炎 | 骨破壊を伴わない関節炎: 2つ以上の末梢関節を侵し.圧痛,腫脹あるいは関節液貯留を特徴とする | |
| 6 | 漿膜炎 | a)胸膜炎: 信頼性の高い胸膜炎による疼痛の病歴情報.医師による胸膜摩擦音の聴取.胸水貯留の証明.あるいは | |
| b)心膜炎: 心電図による裏づけ.心膜摩擦音,または心嚢液貯留 | |||
| 7 | 腎障害 | a)持続性蛋白尿 0.5g/日以上 もしくは定性で3+以上あるいは | |
| b)細胞性円柱: 赤血球・ヘモグロビン・顆粒、尿細管性円柱あるいは混合性 | |||
| 8 | 神経障害 | a)痙攣: 原因となる薬物または代謝異常(尿毒症, ケトアシドーシス, 電解質異常など)の存在しないこと | |
| b)楕神障害: (原因となる薬物または代謝異常(尿毒症, ケトアシドーシス, 電解質異常など)の存在しないこと | |||
| 9 | 血液字的異常 | a)溶血性貧血: 網状赤血球数増加を伴う | |
| b)白血球減少症: 4.000/ul末満が2回以上 | |||
| c)リンバ球減少症: 1,500/ul未満が2回以上 | |||
| d)血小板減少症: 原因となる薬物なしに100,000/ul末満 | |||
| 10 | 免疫学的異常 | a)抗DNA抗体 2本鎖DNAに対する抗体の異常高値、または | |
| b)抗Sm抗体:Sm核抗原に対する抗体の存在、または | |||
| c) | 1) 抗カルジオリピン抗体(抗β2-GPI-カルジオリピン抗体) | ||
| 2) ループスアンチコアグラント | |||
| 3) 梅毒反応偽陽性(少なくとも6か月以上持続)のいずれか | |||
| 11 | ANAもしくはそれと同等の方法で、経過中のどの時点でもANAの異常高値を確認すること 薬物誘起性ループス症候群との関連が知られている薬物投与のないこと | ||
| 提案された分類は11基準項目に基づいている.臨床研究において患者を同定するためには.任意の研察期問中.経時的あるいは同時こ. 11基準項目中いずれかの4項目以上が存在すれば.その患者がSLEであるとする | |||
| 病歴と検査 | |||
| 病歴と診断+血算、尿検査、心電図 | |||
| 時間のかかる検査 | |||
治療
- ステロイド、免疫抑制剤。γグロブリン大量療法、血漿交換も
- 死因は感染症が多く、副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制剤の使用や増量は慎重
予後
- :5y 10y 15y(%)
- Kellum(1965) :69 54 -
- Stafford(1988):84 75 64
死因
- 腎不全、中枢神経、感染症
| Wallace | 市川 | |
| 1950-1980 | 1985 | |
| 腎不全 | 15.6 | 9 |
| 中枢神経 | 10.9 | 19.4 |
| 感染症 | 7.8 | 34.9 |
| 心不全 | 11.7 | 8 |
全身エリテマトーデス合併妊娠
- 参考2 G10M.157
- 妊娠が許可される条件:SLEが長期(6-10ヶ月以上)寛解状態であること。
- 母体影響:妊娠高血圧症候群の高率合併およびこれにともなうSLEの増悪
- 胎児影響:流産・死産、IUGR、新生児ループス
参考
- 1. 難病情報センター
- 2. 自己免疫疾患・膠原病合併妊娠 - 日産婦誌60巻3 号
小児SLE
- 1.
- <click2in>http://www.printo.it/pediatric-rheumatology/information/Japan/PDF/2_JSLE_jap.pdf</click2in>
- 2. 小児期の膠原病について~SLEを中心に~ 東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センター 小児科 藤川敏 先生
- <click2in>http://homepage3.nifty.com/KO-GEN/Block/kogenbyo/syouni1.htm</click2in>