- 英
- paracrine
- 同
- 傍分泌、パラクリン、パラ分泌、パラクリン分泌 paracrine secretion
- 関
- 内分泌学、オートクリン、エンドクリン
[show details]
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/07/01 22:11:21」(JST)
[Wiki ja表示]
傍分泌(ぼうぶんぴ・ぼうぶんぴつ、英語: Paracrine signalling、パラクリンシグナリング)とは、細胞間におけるシグナル伝達のひとつ。特定の細胞から分泌される物質が、血液中を通らず組織液などを介してその細胞の周辺で局所的な作用を発揮することである。
目次
- 1 概要
- 2 発生における役割
- 3 出典
- 4 関連項目
概要
パラクリンの「パラ」とは「近く」を意味しており、典型的なホルモンは特定の器官で産出された後、血流に乗り遠隔の標的器官で作用を発現するが、傍分泌ではシグナル分子が細胞外液を介して分泌する細胞の近くだけに拡散し、周辺の細胞に働きかける[1]。この傍分泌にかかわるタンパク質はパラクリン因子(または単にパラクリン)と呼ばれ、発生や損傷部位の細胞増殖や腫瘍などにおいて重要な役割を担っている。
例えば、腫瘍細胞はVEGFと呼ばれるパラクリン因子が周りの細胞に働きかけ血管を作り、自らの栄養を確保している。また、ソマトスタチンのような物質は特定の組織からではなく、多くの異なった種類の細胞で産出され隣接する細胞に作用する。
傍分泌とよく似たものに自己分泌(オートクリン)がある。ともに局所的な作用をもたらすが、前者は違うタイプの細胞に作用するが、後者は分泌する細胞と同じタイプの細胞に作用する。しかし双方の作用を持つものもあるため、このふたつをひとくくりにして考えることも多い。また、成長ホルモンのように一般に分泌する細胞から離れたところで働くと思われるホルモンでもパラクリン作用を持っていることがわかってきており、ホルモン(エンドクリン)とパラクリンの差は少ないと考えられる[2]。
発生における役割
パラクリンは発生において特に重要な役割を果たしている。例えば、パラクリンとして働くShh(ソニック・ヘッジホッグ)やBMP(骨形成タンパク質)は以下のようにして神経を誘導する。まず、脊索から分泌されるShhは神経管の腹側で底板を分化させ、この底板からもShhが分泌されるようになる。一方、背側では外胚葉がBMP(BMP4・BMP7)を分泌し近くの神経管を蓋板に誘導し、またここからもBMPが分泌されるようになる。このような腹側からのShhと背側からのBMPが神経管において濃度勾配をつくり位置情報となる。そしてこの情報をもととして最終的には腹側に運動ニューロン、背側に感覚ニューロンができるのである。
出典
- ^ 栗原勲ほか「特集:ホルモンの病態異常と臨床検査:総論:1.ホルモンとは:産生、分泌、ホルモンレセプター、シグナル伝達」『臨床検査』2008年、52巻、11号、pp1097-1102(2009年9月13日閲覧)。
- ^ Esmond J. Sanders,Steve Harvey. 2008. Peptide Hormones as Developmental Growth and Differentiation Factors. Developmental Dynamics 237:1537-1552
- 内山安男 「3.細胞のシグナル伝達」『組織細胞生物学』 南江堂、2006年、77-93頁。ISBN 4-524-23676-7。
関連項目
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 甲状腺乳頭癌におけるオステオポンチンおよびその受容体CD44の免疫組織化学的局在
- 加藤 陽一郎,堀内 喜代美,山本 智子,柴田 亮行,澤田 達男,岡本 高宏,小林 槇雄
- 東京女子医科大学雑誌 81(E1), E45-E50, 2011-03-31
- … ,ここで示された結果は、オステオポンチンはCD44v6を受容体としてパラクリン、オートクリンに作用し、甲状腺乳頭癌の浸潤におけるシグナル伝達に関与している可能性が示唆された。 …
- NAID 110008439098
- β-tricalcium phosphate 結晶填入による骨誘導と骨伝導
- 宮川 和也,坂野 美栄,永山 元彦,堀田 正人,竹内 宏
- 岐阜歯科学会雑誌 37(1), 10-19, 2010-06-20
- … 導性骨を形成した.以上から,TCP結晶を填入したラットでは,伝導性骨形成が起こり,これにはBMP の発現細胞が必須であること,その発現細胞は骨膜細胞および骨髄細胞の中に前駆細胞として存在し,TCPに付着してオートクリン的にあるいはパラクリン的にRunxやOSXが発現することが示唆された.そして,リン酸カルシウムはBMP発現細胞から始まる骨芽細胞系の細胞の増殖と分化のためのscaffoldになる物質であると結論付けられた. …
- NAID 110007599749
- ヒト慢性根尖性歯周炎のbasic fibroblast growth factor とそのreceptor
- 村田 雄子,坂野 美栄,永山 元彦,堀田 正人,竹内 宏
- 岐阜歯科学会雑誌 37(1), 1-9, 2010-06-20
- … ァージであることも明らかとなり,慢性根尖性歯周炎はI型,II型のいずれの病型でも,原因となる根管内細菌の持続的侵襲による傷害性変化から増殖性機転が開始し,マクロファージによるbFGF 産生が周囲の線維芽細胞に対してパラクリン的な増殖を示し,時間の経緯とともに線維芽細胞自身によるオートクリン的な活性に移行し,絶えず増殖因子発現と肉芽組織増生がくり返され,長期にわたる肉芽腫形成に繋がる結論を得た. …
- NAID 110007599748
Related Links
- 内分泌は、ホルモンの発見とともにうまれた古い概念で、当時は、パラクリンの概念がなく、内分泌といえば、分泌された物質が血液中に入り込み、血流に乗って体の遠く離れた別の臓器にはたらくもの(=ホルモン)を指していた。
- ガンが発生する4段階と栄養補助食品(サプリメント)と老化とがんの関係 ... 老化とDNAとがんについて・アメリカ最新栄養学9 パラクリンからオートクリンへ細胞の変化(ガン発生の4段階とは)
- パラクリンの特徴 ~安い・きれい・手間いらず~ 乳成分を強力に分解する特殊菌”パラバイオ”を使用した生物処理。 生物処理により低ランニングコスト化を実現。 搾乳場の床洗浄作業による糞尿が混入しても処理が可能(夾雑物を ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- endocrine
- 同
- 内分泌
- 関
- オートクリン、パラクリン、神経液性伝達
[★]
- 英
- autocrine
- 同
- 自己分泌、オートクライン
- 関
- エンドクリン、パラクリン、内分泌学
[★]
- 英
- paracrine
- 関
- パラクリン、傍分泌、パラクライン
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3