出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/03/25 11:03:45」(JST)
N-ホルミルメチオニン | |
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IUPAC名
(S)-2-Formylamino-4-methylsulfanylbutanoic acid |
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別称
2-Formylamino-4-methylsulfanyl-butyric acid; Formylmethionine; N-Formyl(methyl)homocysteine
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識別情報 | |
略称 | fMet |
CAS登録番号 | 4289-98-9 |
PubChem | 911 |
EINECS | 224-322-8 |
SMILES
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特性 | |
化学式 | C6H11NO3S |
モル質量 | 177.22 g mol−1 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
N-ホルミルメチオニン(N-Formylmethionine, fMet)は、アミノ基にホルミル基が付加したメチオニンの誘導体である。細菌やオルガネラDNAからのタンパク質合成の開始に用いられ、恐らく翻訳後修飾で除去される。
fMetは、細菌、ミトコンドリア、葉緑体のタンパク質合成において、重要な役割を果たすが、真核生物の細胞質や古細菌では用いられない。ヒトにおいては、fMetは、免疫系によって異物か損傷を受けた細胞から放出されるシグナルとして認識される。
fMetは、細菌のタンパク質合成の開始残基であり、伸長するポリペプチド鎖のN末端に位置する。開始コドン5'-AUG-3'と結合可能なアンチコドン3'-UAC-5'を持つ特殊なtRNAによって、リボソーム(30S)-mRNA複合体に運ばれる。
fMetは、メチオニンと同じコドンであるAUGによってコードされるが、AUGは開始コドンも翻訳する。コドンが開始に使われると、メチオニンの代わりにfMetが使われ、ペプチド鎖の最初のアミノ酸を形成する。後に再び同じコドンが現れると、通常のメチオニンが使われる。多くの生物が、この基礎的なメカニズムを用いている。
メチオニンへのホルミル基の付加は、メチオニルtRNAホルミルトランスフェラーゼによって触媒される。この修飾は、アミノアシルtRNA合成酵素によってメチオニンがtRNAfMetに乗せられた後に行われる。
メチオニンは、tRNAfMetとtRNAMetの両方に乗るが、トランスホルミラーゼは、メチオニンがtRNAfMetに乗った場合のみ、メチオニンにホルミル基を付加する。
このメチオニンは、タンパク質本体からメチオニンアミノペプチダーゼによって除去される[1]。アミノペプチダーゼがN末端のメチオニンを除去する前には、ペプチドデホルミラーゼによって脱ホルミル化される必要がある。
fMetは、原核生物の生産するタンパク質には含まれるが、真核生物のタンパク質には含まれないため、免疫系は、これを自己と非自己を区別するのに用いることができる。顆粒球は、fMetで始まるタンパク質に結合することができ、これを食作用の開始に用いる[2][3][4]。
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