- 英
- 50% lethal dose median lethal dose LD50
- 関
- 50%有効量、致死量、治療係数
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/06/24 11:59:01」(JST)
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半数致死量(はんすうちしりょう、median lethal dose)とは、物質の急性毒性の指標、致死量の一種としてしばしば使われる数値で、投与した動物の半数が死亡する用量をいう。"Lethal Dose, 50%"を略してLD50と書く。
概要 [編集]
通常は動物の体重1kg当たりの投与重量mg(mg/kg)で表示する。また水生動物やガス・粉塵の吸入による投与の場合には濃度(単位はppmなど)で表示し、LC50(半数致死濃度 "Lethal Concentration, 50%"の略)と書く。当然ながら投与経路(経口、経皮、場合によっては静脈注射など)により数値は大きく異なる。
LC50はppmまたはmg/m3であらわされる。シアン化水素などのように蒸気密度が空気に近い気体であれば両者の数値はほぼ同値であるが、蒸気密度の大きな気体の場合、mg/m3の方が大きな数値を取る。LD50と異なり、LC50は吸入時間が分からなければその物質の毒性を知る上で重要な情報が欠けていることになる。情報源によっては毒性試験の際の吸入時間を明記せずに濃度のみを記載しているが、10分値と4時間値では(自然に解毒されない蓄積性の物質の場合)24倍の差があることになる。
注射・吸入の両方で同様に毒性が発現する物質であっても、LD50とLC50の換算には固定的な値はない。この理由としてはLC50は呼吸量によって大きく左右されることが挙げられる。動物種によっても呼吸量は異なり(大きい動物ほど体重あたりの呼吸量は少ない傾向がある)、同じ動物種でも安静時と興奮時では数倍の差がある。このため、測定値のぶれが大きいが、LD50の1mg/kg当たりのLC50は10~500mg/m3/1時間に収まることが多い。ただし一部の化学物質では、経口・注射ではそれほど強い毒性がないが、吸入した場合は肺水腫など呼吸器障害を起こす作用が強い場合があるため、LD50から予測される割にLC50が低い値をとることもある。
毒物及び劇物取締法における毒物・劇物の指定は半数致死量を基準としており、例えば経口投与の場合はLD50=50mg/kg以下程度を毒物、LD50=300mg/kg以下程度を劇物としている。
半数致死量を求めるには、1用量当たり数頭の動物を用いて数用量で試験し、ロジスティック回帰などの統計的方法により算出するが、誤差が大きいので信頼区間などとともに表示する必要がある。また供試動物数を少なくして上下法(1頭ずつ投与し、その結果に応じて次の動物に上または下の用量で投与していく)でおよその数値を求めることもある。
現在では、半数致死量を正確に求めることは科学的に意味がないこと、また供試動物をなるべく削減する動物福祉の観点から、半数致死量を求めずに、ある用量より上か下かだけを見る方法(固定用量法)が多くの毒性試験ガイドラインで採られている。
関連項目 [編集]
- 致死量
- 動物実験
- 毒性学
- 毒
- 急性毒性試験
- TLm
- ICt50
- 動物実験代替法
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- Legionella pneumophilaの感染要因の検討 : 環境由来および臨床由来L. pneumophilaの発育温度域,熱抵抗性,消毒薬感受性とマウスに対する菌力について
- BHV-1株間におけるC57BLマウスに対する病原性の違い(短報)
- 岡崎 克則,本多 英一,甲野 雄次
- The journal of veterinary medical science 55(4), 695-696, 1993-08-15
- … ウシヘルペスウイルス1型(BHV-1)呼吸器由来株, 生殖器由来株並びに弱毒生ワクチン株のC57BL乳飲みマウスに対する病原性を比較したところ, 呼吸器由来株の50%致死量はワクチン株のおよそ1,000分の1であった. …
- NAID 110003915897
Related Links
- 50%致死量 | 化学物質の毒性の基準として、LD50(50%致死量)が使用されることがあります。どれほどの実験動物が必要なのですか。どの程度信頼できる数値なのですか。 - 化学 | 教えて!goo
- 【ベストアンサー】ttanabe_94さん が詳細に説明して下さっています。 要するに、 ・曖昧な非科学的表現が「致死量」 ・定量的な科学的表現が「LD50」
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ナーブロック筋注2500単位
組成
- 本剤は、1バイアル中に下記の成分を含有する注射剤である。
有効成分:B型ボツリヌス毒素
- 2500単位/0.5mL注射液:2500単位注)
備考:ボツリヌス菌により産生
添加物:塩化ナトリウム
添加物:塩酸
添加物:コハク酸二ナトリウム六水和物
添加物:人血清アルブミン
- 2500単位/0.5mL注射液:0.25mg
備考:ヒト血清由来
- 注)1単位は、体重18〜22gのマウスに、本剤を腹腔内投与した場合の50%致死量に相当する。
禁忌
- 全身性の神経筋接合部の障害をもつ患者(重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症等)
〔本剤は筋弛緩作用を有するため、病態を悪化させるおそれがある。〕
- 高度の呼吸機能障害のある患者
〔本剤の投与により、病態を悪化させるおそれがある。〕
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
- 通常、成人にはB型ボツリヌス毒素として以下の用量を緊張筋*に筋肉内注射する。緊張筋が複数ある場合は、分割して投与する。
- ・初回投与の場合には、合計で2500〜5000単位を投与する。
- ・効果不十分または症状再発の場合には、合計で10000単位を上限として再投与することができる。ただし、2ヵ月以内の再投与は避けること。
- 緊張筋:胸鎖乳突筋、斜角筋、僧帽筋、肩甲挙筋、頭板状筋、頭半棘筋等
- 本剤の力価(単位)は、本剤特有のもので、他のボツリヌス毒素製剤(A型ボツリヌス毒素製剤)とは異なること、また換算もできないことに留意し、必ず本剤の投与量を慎重に確認してから投与すること。
- 緊張筋が深部であるなど、触診で緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。
- 効果が認められない場合は、用量及び投与部位について再検討した上で次の投与を行うこと。
- 本剤投与筋の筋緊張が低下した後、その協働筋側の緊張が亢進し、異常姿勢をきたすことがあるため、初回投与以降も緊張筋を注意深く同定して投与すること。
- 初回及び再投与により全く効果が認められない場合は、より高頻度・高投与量で投与を行っても効果が期待できない場合があるため、本剤の投与中止を考慮すること。
- 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意し、注射すること。
〔臨床成績等から、以下のような投与部位及び投与量が推奨されている。〕
投与筋:胸鎖乳突筋注1)
- 初回投与量注3)、投与部位数:625〜1500単位を2ヵ所以上に分割
最高投与量注4):4000単位
投与筋:斜角筋
- 初回投与量注3)、投与部位数:500〜1250単位
最高投与量注4):2500単位
投与筋:僧帽筋
- 初回投与量注3)、投与部位数:750〜2000単位を2ヵ所以上に分割
最高投与量注4):4000単位
投与筋:肩甲挙筋注2)
- 初回投与量注3)、投与部位数:625〜1250単位
最高投与量注4):2500単位
投与筋:頭板状筋
- 初回投与量注3)、投与部位数:1000〜2500単位を2ヵ所以上に分割
最高投与量注4):5000単位
投与筋:頭半棘筋
- 初回投与量注3)、投与部位数:500〜1250単位
最高投与量注4):2500単位
- 注1) 胸鎖乳突筋に投与する場合は、嚥下障害発現のリスクを軽減するため、両側への投与を避けること。
- 注2)肩甲挙筋へ投与する場合は、嚥下障害及び呼吸器感染のリスクが増大するおそれがあるので注意すること。
- 注3)各筋に対し、初めて投与する場合の投与量を示す。
- 注4)各投与部位への投与量の上限は通常1000単位までとし、最大でも2500単位を上限とすること。
- 本剤と他のボツリヌス毒素製剤(A型ボツリヌス毒素製剤)の同時投与は原則として避けること。
〔本剤と他のボツリヌス毒素製剤を同時投与した経験はなく、有効性及び安全性は確立しておらず、同時に投与した場合には、神経筋接合部の麻痺等が増強し、呼吸困難、嚥下障害等の重篤な副作用が発現するおそれがある。(「相互作用」の項参照)〕
- 他のボツリヌス毒素製剤(A型ボツリヌス毒素製剤)を投与後に本剤を使用する場合には、少なくとも他のボツリヌス毒素製剤の用法・用量で規定されている投与間隔をあけるとともに、患者の症状を十分に観察した上で、効果が消失し、安全性上の問題がないと判断された場合にのみ投与すること。
〔A型ボツリヌス毒素製剤の投与後3ヵ月以内に本剤を投与した場合の有効性及び安全性は確立されていない。先に投与された他のボツリヌス毒素の効果が消失する前に本剤を投与した場合には、神経筋接合部の麻痺等が増強し、呼吸困難、嚥下障害等の重篤な副作用が発現するおそれがある。(「相互作用」の項参照)〕
慎重投与
- 筋弛緩剤及び筋弛緩作用を有する薬剤を投与中の患者
〔筋弛緩作用が増強されることがある。また、呼吸困難や嚥下障害等の発現が高まるおそれがある。(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「相互作用」の項参照)〕
- 慢性の呼吸器障害のある患者
〔本剤の投与により、病態を悪化させるおそれがある。〕
- 重篤な筋力低下あるいは萎縮がある患者
〔本剤の投与により、症状を悪化させるおそれがある。〕
- 高齢者
〔「高齢者への投与」の項参照〕
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦
〔「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照〕
重大な副作用
アナフィラキシー様症状(頻度不明)
- アナフィラキシー様症状を起こすおそれがあるので、本剤投与後に患者の状態を十分観察し、呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫(顔面浮腫、喉頭浮腫等)、蕁麻疹、そう痒感等のアナフィラキシー様症状が認められた場合には、血圧の維持、体液の補充管理、気道の確保等の適切な処置を行うこと。
呼吸障害(頻度不明)、嚥下障害(18.2%)
- 嚥下障害から嚥下性肺炎をきたし、重篤な呼吸困難に至ったという報告が、また、本剤の投与部近位への拡散により呼吸機能低下があらわれることがあるので、特に投与後1〜2週間は嚥下障害、声質の変化、呼吸障害等の発現に留意するとともに、発現が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
筋収縮抑制作用
- サルの僧帽筋及び腓腹筋に本薬を投与したとき、それぞれ副神経及び脛骨神経刺激による筋活動電位を用量依存的に抑制した。9) 10)
筋弛緩作用
- マウスの腓腹筋に本薬を投与したとき、用量依存的な後肢の筋麻痺が認められた。11)
作用機序
- 本薬は末梢神経筋接合部における神経終末内で、アセチルコリンの放出に関与する蛋白質であるシナプトブレビンを切断することにより神経筋伝達を阻害し、筋弛緩作用を示すと考えられる。12)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- B型ボツリヌス毒素(Botulinum Toxin Type B)
本 質
- B型ボツリヌス菌が産生する、ジスルフィド結合で結ばれた重鎖(分子量約100,000)1分子及び軽鎖(分子量約50,000)1分子からなる神経毒素成分1分子(分子量約150,000)、並びに5種類の無毒成分からなる蛋白質(分子量約700,000)
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- 50% effective dose median effective dose ED50
- 関
- 50%致死量、有効量、治療係数、用量反応関係
[★]
- 関
- LD50、lethal dose 50、median lethal dose
[★]
- 関
- 50% lethal dose、lethal dose 50、median lethal dose
[★]
- 英
- median lethal dose、50% lethal dose、LD50
- 関
- 50%致死量、半致死線量
[★]
- 英
- 50% lethal dose
- 関
- 50%致死量、半致死量
[★]
- 英
- lethal dose, fatal dose, LD
- 同
- 致死用量
- 関
- 用量反応関係
- 有効治療量を超えた薬物投与により、ヒトまたは動物が死に至るときの薬物量。
[★]
- 英
- amount、volume、content、quantity
- 関
- 巻、含有量、含量、体積、達する、容積、内容物、内容、ボリューム
[★]
- 英
- lethal, mortal
- 関
- 致死的、致命的、致死性