アバカビル
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Japanese Journal
- 臨床医による新薬の評価 ラミブジン・硫酸アバカビル
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
エプジコム配合錠
組成
成分・含量
- 1錠中にラミブジン300mg、アバカビル硫酸塩702mg(アバカビルとして600mg)
添加物
- ステアリン酸マグネシウム、結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒプロメロース、酸化チタン、マクロゴール400、ポリソルベート80、黄色5号
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者[特に、本剤の投与に際しては、アバカビル製剤(本剤又はザイアジェン錠)の服用経験を必ず確認し、アバカビルによる過敏症の既往歴がある場合は、決して本剤を投与しないこと。](「警告」、「重要な基本的注意」及び「副作用」の項参照)
- 重度の肝障害患者[アバカビルの血中濃度が上昇することにより、副作用が発現するおそれがある(「薬物動態」の項参照)。]
効能または効果
HIV感染症
- 本剤はラミブジン及びアバカビルの固定用量を含有する配合剤であるので、ラミブジン又はアバカビルの用量調節が必要な次の患者には個別のラミブジン製剤(エピビル錠)又はアバカビル製剤(ザイアジェン錠)を用いること。なお、ラミブジン製剤及びアバカビル製剤の使用にあたっては、それぞれの製品添付文書を熟読すること。
- 腎機能障害(クレアチニンクリアランスが50mL/分未満)を有する患者[ラミブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある(「薬物動態」の項参照)。]
- 肝障害患者(ただし、重度の肝障害患者には投与禁忌である)[アバカビルの血中濃度が上昇することにより、副作用が発現するおそれがある(「薬物動態」の項参照)。]
- 12歳未満の小児患者
- 体重40kg未満の患者
- アバカビル又はラミブジンのいずれかによる副作用が疑われ、本剤の投与を中止した患者
- 本剤はラミブジン及びアバカビルの固定用量を含有する配合剤であるので、本剤に加えてラミブジン製剤(エピビル錠、コンビビル配合錠、ゼフィックス錠)又はアバカビル製剤(ザイアジェン錠)を併用投与しないこと。
- 無症候性HIV感染症に関する治療開始については、CD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量が指標とされている。よって、本剤の使用にあたっては、患者のCD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量を確認するとともに、最新のガイドライン1)〜3)を確認すること。
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は感染初期から多種多様な変異株を生じ、薬剤耐性を発現しやすいことが知られているので、本剤は他の抗HIV薬と併用すること。
- 通常、成人には1回1錠(ラミブジンとして300mg及びアバカビルとして600mg)を1日1回経口投与する。
- アバカビルによる過敏症の徴候又は症状を発現した場合は、本剤を投与中止すること。
- 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において、因果関係が特定されない重篤な副作用が発現し、治療の継続が困難であると判断された場合には、本剤若しくは併用している他の抗HIV薬の一部を減量又は休薬するのではなく、原則として本剤及び併用している他の抗HIV薬の投与をすべて一旦中止すること。
慎重投与
- 膵炎を発症する可能性のある患者(膵炎の既往歴のある患者、膵炎を発症させることが知られている薬剤との併用療法を受けている患者)[膵炎を再発又は発症する可能性がある(「重要な基本的注意」の項参照)。]
- 肝障害患者[血中濃度が上昇することにより、副作用が発現するおそれがある(「禁忌」、「効能・効果に関連する使用上の注意」及び「薬物動態」の項参照)]
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
重大な副作用
過敏症:
- 海外の臨床試験において、アバカビル投与患者の約5%に過敏症の発現を認めており、まれに致死的となることが報告されている。
- 過敏症は、通常、アバカビル製剤による治療開始6週以内(中央値11日)に発現するが、その後も継続して観察を十分に行うこと。
- アバカビルによる過敏症の特徴は多臓器及び全身に症状を認めることである。過敏症を発現するほとんどの患者に発熱又は皮疹が認められる。過敏症の徴候又は症状は以下のとおりである。
皮膚
- 皮疹※(通常、斑状丘疹性皮疹又は蕁麻疹)、多形紅斑
消化器
呼吸器
- 呼吸困難※、咳※、咽頭痛、急性呼吸促迫症候群、呼吸不全
精神神経系
血液
肝臓
- 肝機能検査値異常※(AST(GOT)、ALT(GPT)等の上昇)、肝不全
筋骨格
- 筋痛※、筋変性(横紋筋融解、筋萎縮等)、関節痛、CK(CPK)上昇
泌尿器
眼
その他
- 発熱※、嗜眠※、けん怠感※、疲労感※、浮腫、リンパ節腫脹、血圧低下、粘膜障害、アナフィラキシー
- ※アバカビルによる過敏症発現患者のうち10%以上にみられた症状
- 過敏症に関連する症状は、アバカビル製剤の投与継続により悪化し、生命を脅かす可能性がある。
通常、アバカビル製剤の投与中止により回復する。
- アバカビルによる過敏症発現後の再投与により、症状の再発が数時間以内に認められる。これは初回よりさらに重篤であり、重篤な血圧低下が発現する可能性及び死に至る可能性がある。したがって、過敏症が発現した場合は、本剤の投与を中止し、決して再投与しないこと。
- アバカビルによる過敏症の発現及びその重篤度を予測する危険因子は特定されていない。
- 次のような症状があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重篤な血液障害
- 赤芽球癆、汎血球減少、貧血、白血球減少、好中球減少、血小板減少
膵炎
乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)
横紋筋融解症
精神神経系
心不全
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
薬効薬理
ラミブジン
作用機序16)〜18)
- ラミブジンは細胞内でリン酸化され、HIVを感染させた細胞内での半減期が約12時間の5'-三リン酸化体に変換される16)。ラミブジン5'-三リン酸化体はHIVの逆転写酵素によりウイルスDNA鎖に取り込まれ、DNA鎖の伸長を停止することによりHIVの複製を阻害する17)。また、ラミブジン5'-三リン酸化体はHIVの逆転写酵素を競合的に阻害する17)。一方、in vitroで、ヒト末梢血リンパ球、リンパ球系・単球−マクロファージ系の株化細胞18)及び種々のヒト骨髄前駆細胞に対するラミブジンの細胞毒性は弱かった。
抗ウイルス作用18),19)
- in vitroでのラミブジンのHIV-1(RF、GB8、U455及びIIIB)に対するIC50値は670nM以下、HIV-2 RODに対するIC50値は40nMであり18)、ジドブジンと併用することにより相乗的な抗ウイルス作用が認められた19)。また、ラミブジンは単独で、ジドブジン耐性臨床分離株の平均p24抗原量を薬物無処置群に比べ66〜80%低下させた。
薬剤耐性20)〜25)
- ラミブジンを含む抗HIV薬で治療を受けたHIV-1感染患者で発現するラミブジン耐性HIV-1には、ウイルス逆転写酵素の活性部位に近い184番目のアミノ酸のメチオニンからバリンへの変異(M184V)がみられる20)。このM184V変異の結果、ウイルスのラミブジンに対する感受性は著明に低下し20),21)、in vitroでのウイルスの複製能力は低下する22)。
in vitroで、ジドブジン耐性ウイルスはジドブジン及びラミブジンの投与によりラミブジンに対して耐性を獲得すると、ジドブジンに対して感受性は回復する。また、抗HIV薬の治療経験のない患者にジドブジン及びラミブジンを併用することにより、ジドブジン耐性ウイルスの出現が遅延する23)。さらに、抗HIV薬(ラミブジンを含む)の多剤併用療法はM184V変異ウイルスを有する患者と同様、抗HIV薬の治療経験のない患者においても有効性が確認されている24),25)。
交差耐性21),23),26)〜28)
- ジドブジン及びサニルブジンは、ラミブジン耐性HIV-1に対し抗ウイルス活性を維持する21),23),26)。
アバカビルはM184V変異のみが認められているウイルスに対しては、抗ウイルス活性を維持する27)。
また、ジダノシン及びザルシタビンは、M184V変異ウイルスに対して感受性が低下するという報告があるが、これらの感受性の低下と臨床効果の関係は明らかにされていない28)。
アバカビル硫酸塩
作用機序27),29),30)
- アバカビルは細胞内で細胞性酵素によって活性代謝物のカルボビル三リン酸に変換される。カルボビル三リン酸は天然基質dGTPと競合し、ウイルスDNAに取り込まれることによって、HIV-1逆転写酵素(RT)の活性を阻害する。取り込まれたヌクレオシド誘導体には3'-OH基が存在しないため、DNA鎖の伸長に不可欠な5'-3'ホスホジエステル結合の形成が阻害され、ウイルスのDNA複製が停止する。
抗ウイルス作用7),30),31)
- アバカビルのHIV-1に対するIC50値はHIV-1 IIIBに対して3.7〜5.8μM、臨床分離株に対して0.26±0.18μM(n=8)、HIV-1 BaLに対して0.07〜1.0μMであった。また、HIV-2に対するIC50値はHIV-2(Zy)に対して4.1μM、HIV-2 LAV-2に対して7.5μMであった。in vitroでアンプレナビル、ネビラピン及びジドブジンとの併用によって相乗作用が認められ、ジダノシン、ラミブジン、サニルブジン及びザルシタビンとの併用によって相加作用が認められた。また、ヒト末梢血単核球から活性化リンパ球を除いた場合に、より強い抗HIV作用を示したことから、アバカビルは静止細胞でより強く抗ウイルス作用を示すものと考えられる。
薬剤耐性7),27)
- アバカビルに対して低感受性のHIV-1分離株がin vitro及びアバカビル投与患者から分離されており、いずれも逆転写酵素にM184V、K65R、L74V及びY115Fの変異が確認された。これらの変異を2種以上含むことにより、アバカビル感受性は1/10に低下した。臨床分離株ではM184V及びL74Vの変異が頻回に観察された。
交差耐性27)
- アバカビルによる逆転写酵素変異を2種以上組み込んだHIV-1株のうち数種は、in vitroでラミブジン、ジダノシン及びザルシタビンに対して交差耐性を示し、一方、ジドブジン及びサニルブジンには感受性を示した。
アバカビルとHIVプロテアーゼ阻害薬とは標的酵素が異なることから、両者間に交差耐性が発生する可能性は低く、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬も逆転写酵素の結合部位が異なることから、交差耐性が発生する可能性は低いものと考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- (-)-1-[(2R,5S)-2-ヒドロキシメチル-1,3-オキサチオラン-5-イル]シトシン
分子式
分子量
性状
- 白色〜微黄白色の結晶性の粉末である。ジメチルスルホキシドに溶けやすく、水にやや溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
融点
分配係数
一般名
- アバカビル硫酸塩(Abacavir Sulfate)
化学名
- (-)-{(1S,4R)-4-[2-アミノ-6-(シクロプロピルアミノ)プリン-9-イル]シクロペンタ-2-エニル}メタノール1/2硫酸塩
分子式
分子量
性状
- 白色〜微黄白色の粉末である。トリフルオロ酢酸に溶けやすく、水にやや溶けやすく、メタノール及びエタノール(95)に溶けにくい。0.1mol/L塩酸試液及び希水酸化ナトリウム試液に溶ける。
融点
分配係数(log P)
- 1.20(pH7.1〜7.3, 1-オクタノール/水)
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- abacavir、abacavir succinate
[★]
- 英
- abacavir
- 化
- 硫酸アバカビル abacavir sulfate, ABC
- 商
- エプジコム配合、ザイアジェン、Ziagen
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- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義
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- 英
- mold、mould
- 関
- 菌類、糸状菌
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- sulfuric acid, sulfate
- 関
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アスパラギン酸カリウム