アバカビル
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ザイアジェン錠300mg
組成
- 本剤は、1錠中にアバカビル硫酸塩351mg(アバカビルとして300mg)を含有する。
- 添加物として結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、ヒプロメロース、酸化チタン、トリアセチン、黄色三二酸化鉄、ポリソルベート80を含有する。
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者[本剤の投与に際しては、本剤の服用経験を必ず確認し、本剤による過敏症の既往歴がある場合は、決して本剤を投与しないこと。](「警告」、「重要な基本的注意」及び「副作用」の項参照)
- 重度の肝障害患者[血中濃度が上昇することにより、副作用が発現するおそれがある(「薬物動態」の項参照)。]
効能または効果
HIV感染症
- 無症候性HIV感染症に関する治療開始については、CD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量が指標とされている。よって、本剤の使用にあたっては、患者のCD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量を確認するとともに、最新のガイドライン1)〜3)を確認すること。
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は感染初期から多種多様な変異株を生じ、薬剤耐性を発現しやすいことが知られているので、本剤は他の抗HIV薬と併用すること。
- 通常、成人には他の抗HIV薬と併用して、アバカビルとして1日量600mgを1日1回又は2回に分けて経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜減量する。
- 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において、本剤による過敏症の徴候又は症状を発現した場合は、本剤を投与中止すること。
- 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において、因果関係が特定されない重篤な副作用が発現し、治療の継続が困難であると判断された場合には、本剤若しくは併用している他の抗HIV薬の一部を減量又は休薬するのではなく、原則として本剤及び併用している他の抗HIV薬の投与をすべて一旦中止すること。
慎重投与
- 肝障害患者[血中濃度が上昇することにより、副作用が発現するおそれがある(「禁忌」、「重要な基本的注意」及び「薬物動態」の項参照)。]
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
重大な副作用
過敏症
- 海外の臨床試験において、本剤投与患者の約5%に過敏症の発現を認めており、まれに致死的となることが報告されている。
- 過敏症は、通常、本剤による治療開始6週以内(中央値11日)に発現するが、その後も継続して観察を十分に行うこと。
- 過敏症の特徴は多臓器及び全身に症状を認めることである。過敏症を発現するほとんどの患者に発熱又は皮疹が認められる。過敏症の徴候又は症状は以下のとおりである。
皮膚
- 皮疹※(通常、斑状丘疹性皮疹又は蕁麻疹)、多形紅斑
消化器
呼吸器
- 呼吸困難※、咳※、咽頭痛、急性呼吸促迫症候群、呼吸不全
精神神経系
血液
肝臓
- 肝機能検査値異常※(AST(GOT)、ALT(GPT)等の上昇)、肝不全
筋骨格
- 筋痛※、筋変性(横紋筋融解、筋萎縮等)、関節痛、CK(CPK)上昇
泌尿器
眼
その他
- 発熱※、嗜眠※、けん怠感※、疲労感※、浮腫、リンパ節腫脹、血圧低下、粘膜障害、アナフィラキシー
- ※過敏症発現患者のうち10%以上にみられた症状
- 過敏症に関連する症状は、本剤の投与継続により悪化し、生命を脅かす可能性がある。通常、本剤の投与中止により回復する。
- 本剤による過敏症発現後の再投与により、症状の再発が数時間以内に認められる。これは初回よりさらに重篤であり、重篤な血圧低下が発現する可能性及び死に至る可能性がある。したがって、過敏症が発現した場合は、本剤の投与を中止し、決して再投与しないこと。
- 本剤による過敏症の発現及びその重篤度を予測する危険因子は特定されていない。
- 膵炎(1.09%)があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(いずれも頻度不明注1),2))があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 乳酸アシドーシス(0.16%)及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)(0.16%)
薬効薬理
作用機序16)〜18)
- アバカビルは細胞内で細胞性酵素によって活性代謝物のカルボビル三リン酸に変換される。カルボビル三リン酸は天然基質dGTPと競合し、ウイルスDNAに取り込まれることによって、HIV-1逆転写酵素(RT)の活性を阻害する。取り込まれたヌクレオシド誘導体には3'-OH基が存在しないため、DNA鎖の伸長に不可欠な5'-3'ホスホジエステル結合の形成が阻害され、ウイルスのDNA複製が停止する。
抗ウイルス作用9),17),19)
- アバカビルのHIV-1に対するIC50値はHIV-1 IIIBに対して3.7〜5.8μM、臨床分離株に対して0.26±0.18μM(n=8)、HIV-1 BaLに対して0.07〜1.0μMであった。また、HIV-2に対するIC50値はHIV-2(Zy)に対して4.1μM、HIV-2 LAV-2に対して7.5μMであった。in vitroでアンプレナビル、ネビラピン及びジドブジンとの併用によって相乗作用が認められ、ジダノシン、ラミブジン、サニルブジン及びザルシタビンとの併用によって相加作用が認められた。また、ヒト末梢血単核球から活性化リンパ球を除いた場合に、より強い抗HIV作用を示したことから、アバカビルは静止細胞でより強く抗ウイルス作用を示すものと考えられる。
薬剤耐性9),18)
- アバカビルに対して低感受性のHIV-1分離株がin vitro及びアバカビル投与患者から分離されており、いずれも逆転写酵素にM184V、K65R、L74V及びY115Fの変異が確認された。これらの変異を2種以上含むことにより、アバカビル感受性は1/10に低下した。臨床分離株ではM184V及びL74Vの変異が頻回に観察された。
交差耐性18)
- アバカビルによる耐性逆転写酵素変異を2種以上組み込んだHIV-1株のうち数種は、in vitroでラミブジン、ジダノシン及びザルシタビンに対して交差耐性を示し、一方、ジドブジン及びサニルブジンには感受性を示した。
アバカビルとHIVプロテアーゼ阻害薬とは標的酵素が異なることから、両者間に交差耐性が発生する可能性は低く、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬も逆転写酵素の結合部位が異なることから、交差耐性が発生する可能性は低いものと考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- アバカビル硫酸塩(Abacavir Sulfate)
化学名
- (−)-{(1S,4R)-4-[2-アミノ-6-(シクロプロピルアミノ)プリン-9-イル]シクロペンタ-2-エニル}メタノール1/2硫酸塩
分子式
分子量
性状
- 白色〜微黄白色の粉末である。トリフルオロ酢酸に溶けやすく、水にやや溶けやすく、メタノール及びエタノール(95)に溶けにくい。0.1mol/L塩酸試液及び希水酸化ナトリウム試液に溶ける。
融点
分配係数(log P)
- 1.20(pH 7.1〜7.3,1-オクタノール/水)
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- abacavir
- 化
- 硫酸アバカビル abacavir sulfate, ABC
- 商
- エプジコム配合、ザイアジェン、Ziagen