出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/06/12 22:56:50」(JST)
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短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 | |
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日本の法令 |
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通称・略称 | パートタイム労働法 |
法令番号 | 平成5年6月18日法律第76号 |
効力 | 現行法 |
種類 | 労働法 |
主な内容 | 短時間労働者の雇用管理の改善 |
関連法令 | 労働基準法、労働者災害補償保険法 雇用保険法、労働契約法 |
条文リンク | 総務省法令データ提供システム |
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短時間労働者の雇用管理等に関する法律(たんじかんろうどうしゃのこようかんりとうにかんするほうりつ)は、日本の法律。通称は、パートタイム労働法やパート労働法など。
本法の目的は、短時間労働者が少子高齢化の進展、就業構造の変化等の社会経済情勢の変化に伴い、短時間労働者の果たす役割の重要性が増大していることにかんがみ、短時間労働者について、その適正な労働条件の確保、雇用管理の改善、通常の労働者への転換の推進、職業能力の開発及び向上等に関する措置等を講ずることにより、通常の労働者との均衡の取れた待遇の確保等を図ることを通じて、短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もってその福祉の増進を図り、併せて経済及び社会の発展に寄与することにある(1条)。なお、短時間労働者であっても、特に適用を除外されない限り、労働基準法、労働契約法など労働各法の適用をあわせて受ける。
本法でいう「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者[1]の1週間の所定労働時間に比し短い労働者をいう(2条)。
正社員と労働時間が同じである「フルタイムパート」「擬似パート」は適用対象外である。但し、改正指針は、同法の趣旨が考慮されるべきとする(平成19年10月1日厚労告326号)。一方、名称が「アルバイト」「嘱託」「短時間勤務正社員」などの別や男女の別にかかわらず、通常の社員より労働時間が1分でも短ければ適用対象である。
日雇労働者のように1週間の所定労働時間が算出できないような者は、法の対象とならない。ただし、日雇契約の形式をとっていても、明示又は黙示に同一人を引き続き使用し少なくとも1週間以上にわたる定形化した就業パターンが確立し、1週間の所定労働時間を算出することができる場合には、法の対象となる(平成26年7月24日基発2号)。
平成27年の改正により、事業主の責務が強化された一方で、短時間労働援助センターの規定は削除された。
事業主は、その雇用する短時間労働者について、その就業の実態等を考慮して、適正な労働条件の確保、教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善及び通常の労働者への転換の推進に関する措置等を講ずることにより、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図り、当該短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるように努めるものとする(3条)。
事業主が、その雇用する短時間労働者の待遇を、当該事業所に雇用される通常の労働者の待遇と相違するものとする場合においては、当該待遇の相違は、当該短時間労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない(短時間労働者の待遇の原則、8条)。
事業主は、常時10人以上の短時間労働者を雇用する事業所ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、指針に定める事項その他の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項を管理させるため、短時間雇用管理者を選任するように努めるものとする(17条)。短時間雇用管理者を選任した事業主は、当該短時間雇用管理者の氏名を事業所の見やすい場所に掲示する等して、その雇用する短時間労働者に周知させるよう努めるものとする(平成26年厚労告293号)。
事業主は、短時間労働者を雇い入れたときは、速やかにこの法律の9 - 13条(後述の項目)により、講ずることとしている措置の内容について、当該短時間労働者に説明しなければならない(14条1項)。また、その雇用する短時間労働者から求めがあったときは、この法律の6 - 13条(8条は除く)により、措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該短時間労働者に説明しなければならない(14条2項)。
事業主は、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項に関し、その雇用する短時間労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならない(16条)。
事業主は、短時間労働者を雇入れたときは速やかに、当該短時間労働者に対して労働条件に関する事項のうち労働基準法で定める事項以外に厚生労働省令で定める以下の事項(「特定事項」)についても文書の交付その他厚生労働省令で定める方法(ファックス、電子メール)により明示しなければならない(6条1項)。違反者は10万円以下の過料に処せられる(31条)。特定事項以外の事項についても、文書の交付等により明示するよう努めるものとされる(規則2条)。
事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、当該事業所における短時間労働者の過半数を代表すると認められる者の意見を聴くよう努めるものとされる(7条)。
以下の要件を全て満たす労働者、すなわち通常の労働者と同視すべき短時間労働者については、賃金、教育訓練、福利厚生施設その他の待遇について、短時間労働者であることを理由として通常の労働者との間で差別的取扱いをしてはならない(9条)。平成27年の改正により、「無期雇用契約」の要件は削除された。
事業主は、その雇用する、9条に該当しない短時間労働者については、以下の措置を講ずることとされる。
事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金を決定するように努めるものとする(10条)。
事業主は、通常の労働者と同視すべき短時間労働者のみならず職務内容同一短時間労働者についても通常の労働者に対して実施する教育訓練であって、当該通常の労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与するためのものについては、職務内容同一短時間労働者が既に当該職務に必要な能力を有している場合その他の厚生労働省令で定める場合を除き実施しなければならない(11条1項)。
事業主は、前項に定めるもののほか、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力及び経験等に応じ、当該短時間労働者に対して教育訓練を実施するように努めるものとされる(11条2項)。
事業主は、通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設であって、健康の保持又は業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めるもの(給食施設、休憩室、更衣室)については、その雇用する短時間労働者に対しても、利用の機会を与えるように配慮しなければならない(12条)。
事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用する短時間労働者について、次の各号のいずれかの措置を講じなければならない(13条1項)。
事業主は、以下の事項に関し、短時間労働者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業所の労働者を代表する者を構成員とする当該事業所の労働者の苦情を処理するための機関をいう。)に対し当該苦情の処理をゆだねる等その自主的な解決を図るように努めるものとする(22条)。
都道府県労働局長は、上記の事項に関する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方または一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言・指導・勧告をすることができ(24条1項)、調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調停委員会に調停を行わせるものとする(25条1項)。事業主は、援助を求めたこと又は調停を申請したことを理由として、当該短時間労働者に対して解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない(24条2項、25条2項)。
厚生労働大臣は、前記の1~6及び16条の規定に違反している事業主に対し、必要があると認めるときは勧告をすることができ、この勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる(26条)。
この法律は、国家公務員及び地方公務員(いずれも非常勤の者を含む)または船員職業安定法上の「船員」には適用しない(29条)。
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