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- radiation dose, radiation dosage
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/03/24 23:14:16」(JST)
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吸収線量(きゅうしゅうせんりょう、absorbed dose[1])とは、放射線の照射によって単位質量あたりの物質が吸収するエネルギー量を言う。吸収線量の単位はグレイ(Gray、記号:Gy)が用いられる[2]。
吸収線量は、その定義として物質の定めが無い。そのため取り扱う問題に応じて物質を定める必要がある。良く用いられるのは、臓器吸収線量(物質が人体の臓器)と空気吸収線量(物質が空気)である。
目次
- 1 概要
- 2 定義
- 3 脚注
- 4 関連項目
- 5 参考文献
- 6 外部リンク
概要
物質が放射線の照射を受けると、放射線と物質との相互作用(主に電離・励起)により、物質は放射線のエネルギーを吸収する(放射線が物質にエネルギーを与える)。物質の種類を指定せず[3]、放射線の照射により単位質量(1kg)あたりに物質が吸収するエネルギー量(J/kg)を吸収線量(absorbed dose)と呼ぶ。単位としては [J/kg] の代わりにグレイ [Gy] が使われる[4]。
放射線は人体にとって一般に有害であるが、放射線の健康影響を決定する最も大きな要素は、この放射線被曝によって人体の臓器に与えられた吸収線量(臓器吸収線量)である。ただし、吸収線量が同じ場合でも入射した放射線の種類(ガンマ線、アルファ線など)や中性子線の場合はそのエネルギーによって生体に与える影響は異なる。そのため、放射線防護の世界に置いては吸収線量ではなく吸収線量に補正係数である放射線荷重係数を掛け合わせた等価線量が用いられる。
吸収線量(臓器吸収線量)が主に用いられるのは、放射線防護の領域外である確定的影響を問題とする場合や医療分野における放射線診断・治療による医療被曝の線量を表す場合である。医師は通常放射線治療を Gy または mGy 単位で処方する[5]。
定義
吸収線量(absorbed dose)
質量 m [kg] の物質[6]が吸収する平均エネルギー量が [J](ジュール)であるとき、吸収線量(記号で D と記す)は、
-
と定義される。微分形で定義されているのは、物質の一定の体積ではなく、点で定義できることを示している。また、平均エネルギー としているのは、放射線一本一本[7]の挙動はランダムであり、平均エネルギーとしてしか考えられないものであるからである。
脚注
- ^ またはTotal Ionizing Dose、略称: TID と表されることもある。
- ^ なお、1[Gy] = 1[J/kg]である。
- ^ 同じ種類の放射線の照射であっても、物質によって付与されるエネルギーは異なるので、照射によりエネルギーを吸収する物質(吸収体)が空気である場合は空気吸収線量、人間の場合は臓器(組織)吸収線量というように使用目的用途に応じて物質を特定する必要がある。草間(2005) p.19
- ^ 1[Gy] = 1[J/kg] である。
- ^ 医療の領域において臓器吸収線量 [Gy] が用いられる主な理由
- 医療で用いられる放射線は、基本的に放射線荷重係数が1.0の放射線(X線、ガンマ線、ベータ線)がほとんどである。
- 医療の領域では、診断に用いられる 数[mGy] の被曝から、放射線治療で用いられる 数10[Gy] と幅広い線量領域の被曝が取り扱われる。この幅広い線量領域で共通して使える線量は、基本量としての吸収線量である(等価線量は放射線防護を目的とする単位であり、線量限度を超えない範囲で用いられる数値である。そのため、数[Gy] を超える被曝の場合には等価線量を用いることはできない)。
草間(2005) p.22
- ^ なお、吸収線量の定義においては、対象とする物質が具体的に何かという定めは無い。周辺および個人線量当量標準の設定に向けた調査研究
- ^ 電磁波(ガンマ線、X線)については光子として扱うと考えて[本]と数えている。
関連項目
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- 放射線医学
- 放射線生物学
- 電離放射線障害防止規則
- Specific absorption rate
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参考文献
- 草間 朋子、甲斐 倫明、伴 信彦 『放射線健康科学』 杏林書院、1995年。
- 草間 朋子 『あなたと患者のための放射線防護 Q&A』 医療科学社、2005年、改訂新版。
- 『看護実践に役立つ放射線の基礎知識―患者と自分をまもる15章』 草間 朋子(編)、医学書院、2007年。
- 『放射線・アイソトープ 講義と実習』 日本アイソトープ協会(編)、丸善、1992年。
外部リンク
- [1] ICRP勧告1990年-2007年の主要変更点について
- Specific Gamma-Ray Dose Constants for Nuclides Important to Dosimetry and Radiological Assessment, Laurie M. Unger and D. K . Trubey, Oak Ridge National Laboratory, May 1982 - (約500種の放射性核種の(組織細胞に対する)ガンマ線量定数表、1982年の報告書…英文)
放射線(物理学と健康) |
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単位 |
放射線量の単位 - 放射能の単位
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測定 |
放射線・放射能計測機器
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放射線の種類 |
電磁放射線(X線 - ガンマ線)- 粒子放射線(アルファ線 - ベータ線 - 中性子線 - 陽子線)
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物質との相互作用 |
各放射線と物質との相互作用
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放射線と健康 |
基本概念
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放射線生物学 - 放射線医学 - 放射線被曝 - 保健物理学
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放射線の利用
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放射線源 - 放射線療法(レントゲン(X線撮影)- ポジトロン断層法 (PET) - コンピュータ断層撮影(CTスキャン))- 後方散乱X線検査装置 - 食品照射 - 原子力電池
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法律・資格
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放射線管理区域 - 放射線管理手帳 - 放射線取扱主任者 - 技術士原子力・放射線部門 - 原子炉主任技術者 - 核燃料取扱主任者 - エックス線作業主任者 - ガンマ線透過写真撮影作業主任者 - 日本の原子力関連法規
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放射線と健康影響
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放射線障害 - 放射線の健康影響
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放射能被害
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放射能汚染 - 核実験の一覧 - 原子力事故 - 原子力事故の一覧
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関連人物
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放射線研究者
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関連団体
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日本の原子力関連組織 - 原子力関連の国際組織
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関連用語、その他
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放射線量 - 放射能 - 放射性物質 - 放射性降下物
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Category:放射線
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- 分析化学総説 放射線量を見える化する生物学的分析法 (特集 "見える化"する分析化学)
- わかりやすい放射線の解説 : 一般の方に誤解を与える放射線量の数値等について
- 石田 健二,丸末 安美
- Atomoσ : journal of the Atomic Energy Society of Japan = アトモス : 日本原子力学会誌 56(6), 392-396, 2014-06
- NAID 40020102123
- 放射線量を自分で測定することが不安にどう影響するか
- 広田 すみれ,寺田 尚貴
- 東京都市大学横浜キャンパス情報メディアジャーナル = Journal of information studies (15), 23-31, 2014-04
- NAID 40020129339
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胎児への放射線の影響
- 1999年のICRP勧告「胎児が100mGy被爆した場合、子供が奇形を持たない確率はほぼ97%、癌にならない確率は99.1%」
[★]
- 英
- radiation、beam、radiate、emit、beam、radiative、radiant
- 関
- 照射、照射性、排出、ビーム、放散、放射状、放射線、放射線照射
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- 関
- 巻、含有量、含量、体積、達する、容積、内容物、内容、ボリューム
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- 関
- 投与量、服用量、用量、薬物用量