出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/12 11:04:40」(JST)
持続可能な開発(じぞくかのうなかいはつ、英: Sustainable Development, SD)とは、現代の世代が、将来の世代の利益や要求を充足する能力を損なわない範囲内で環境を利用し、要求を満たしていこうとする理念。「持続可能な発展」と訳されることもある。また、持続可能な開発が行われ持続可能性を持った社会を「持続可能な社会」と言うことがある。
「持続可能な開発」は、現在、環境保全についての基本的な共通理念として、国際的に広く認識されている。これは、「環境」と「開発」を、互いに反するものではなく共存し得るものとしてとらえ、環境保全を考慮した節度ある開発が可能であり重要であるという考えに立つものである。
そのような開発が可能でない状況もあり得るとして、この理念が濫用されることを警戒する考え方もある。
この理念は、1980年に国際自然保護連合 (IUCN)、国連環境計画 (UNEP) などがとりまとめた「世界保全戦略」に初出した。 その後、1992年の国連地球サミットでは、中心的な考え方として、「環境と開発に関するリオ宣言」や「アジェンダ21」に具体化されるなど、今日の地球環境問題に関する世界的な取り組みに大きな影響を与える理念となった。 翌1993年に制定された日本の環境基本法でも、第4条等において、循環型社会の考え方の基礎となっている。
さらに、人権や法の支配、腐敗防止の観点から、国際連合は1993年のウィーン宣言及び行動計画(第1部27項)や2003年の国際連合腐敗防止条約(前文)においても『持続可能な開発』に言及している。
日本の提案によって設けられた国際連合の「環境と開発に関する世界委員会」(WCED = World Commission on Environment and Development、委員長のブルントラント・ノルウェー首相(当時)の名前から「ブルントラント委員会」と通称される)が1987年に発行した最終報告書“Our Common Future”(邦題『地球の未来を守るために』、通称「ブルントラント報告」)では、その中心的な理念とされ、このときさらに広く認知されるようになった。
ブルントラント報告では、この理念は「将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような開発」と説明されている[1]。
1992年の地球サミットを受けて2002年に開かれた地球環境問題に関する国際会議は、「持続可能な開発に関する世界首脳会議」と銘打たれている。
また、2004年11月には、日本政府が国連総会第2委員会に提出していた「持続可能な開発のための教育の10年」に関する決議案が採択された。2005年1月から持続可能な開発のための教育の10年をスタートさせ、各国がユネスコ提案の国際実施計画案にもとづき実施措置を取ることが決められている。
このように世界の持続可能な開発を目指すということは、先進国と開発途上国と双方で持続可能性を追求することであり、南北問題とも関連が深い。
持続可能な開発を実現するためには
といった経済協力のあり方が重要になってくる。
持続可能な開発の担い手として、国際機関、国家、企業、地方自治体と並んで、NGO・NPO、農家や漁師、市民・住民あるいは草の根民活の自助努力・参加が必要となる。
持続可能な開発の実践で関心を集めうるのが、知名度が高いユネスコ世界遺産での持続可能な開発になろう[2]。
もともと世界遺産条約の条文に持続可能な開発・発展に関する文言の記載はないが、「遺産の保護と継承」という理念は乱開発から文化・自然を守る、持続可能な開発を呼び掛けるものと解釈できる。そこで2005年に「世界遺産条約履行のための作業指針」に、「自然遺産及び文化遺産を保護、保全することは、持続可能な開発に大いに資するものである。 」との一文が加筆された[3]。
また、1994年に世界遺産へ導入された文化的景観は、「人間と自然の共同作業」をキーワードに、自然の恵み(環境財)を享受し人間の営みを継続してきた「持続可能な利用」の具象例(主として景観)を採り入れたものである。この考え方は日本でも文化財保護法への重要文化的景観採用に影響したが、里山として古来より活用してきたものに近く、農業遺産での顕彰などへも波及している。
2010年の「世界遺産条約:保全と持続可能な開発に関するパラチ(英語版)会議」と2012年の「世界遺産と持続可能な開発に関するオウロ・プレット会議」で世界遺産における持続可能な開発の方向性を確認し[2]、2012年(平成24年)に京都市で開催した「世界遺産条約採択40周年記念会合」[4]および直前に富山県で開催した「遺産と持続可能な発展-理念から実践へ-」[5]を通し、世界遺産における持続可能な開発への取り組みとして、地域社会や先住民居住区といったコミュニティが参加する開発計画や監視の重要性を説き、前項での持続可能な開発の担い手への期待を寄せている[6]。
この他、エコミュージアムやリビングヘリテージなどが、サステイナブルツーリズムとして持続可能な利用の好例として、世界遺産観光において奨励されている[7]。
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リンク元 | 「リサイクリング」「sustainable development」「環境保護」「運搬能」「砂漠化」 |
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