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- antigenic shift
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抗原不連続変異(英: antigenic shift、抗原シフト)とは2つ以上の異なるウイルス株あるいはウイルスに由来する表面抗原が組み合わさり、新しいサブタイプのウイルスが形成される一連の過程であり、インフルエンザウイルスにおいてよく認められる。抗原不連続変異という用語は特にインフルエンザに関する文献において用いられ、最も知られた事例である(他の例としてヒツジのビスナウイルスが挙げられる[1]))。
目次
- 1 概要
- 2 動物からヒトへのインフルエンザウイルスの伝播における役割
- 3 脚注
- 4 関連項目
- 5 外部リンク
概要
抗原不連続変異は表現型の変化を伴う遺伝子再集合あるいはウイルシフト(en:viral shift)の特殊な事例である。ウイルス学における海洋生態系(en:Marine_ecosystem)はあまり研究されていないが、高いウイルス密度(海水1mlに5千万以上)や高い細胞溶解率(平均20%)から海洋にウイルスでは抗原不連続変異や遺伝子再集合の比率は非常に高いことが推測される[2] 。これは真核生物が地上に出現する以前から原核生物とウイルスが共進化をしていたことを示す証拠である。
抗原不連続変異は抗原連続変異と対比される。抗原連続変異はインフルエンザウイルスや他のウイルスで認められる突然変異であり、時間の経過とともに免疫反応の消失やワクチンの不適合が生じる。抗原連続変異はA型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルスのいずれにも認められる。抗原不連続変異はインフルエンザウイルスAでしか起こらない。なぜならインフルエンザウイルスAのみがヒト以外に感染するからである。[3] 他の哺乳類や鳥類を含む動物を宿主とすることは、A型インフルエンザウイルスが表面抗原の変化をする機会を大きく増やすものである。B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルスでは基本的にヒトにのみ感染し、劇的な変化の機会に乏しい[4]。
抗原不連続変異は他のウイルスが新しいニッチに入り込む経路として重要であり、新しいウイルス性病原体の出現の要因として見落とすことができない。抗原不連続変異は霊長類のウイルスにおいても発生する可能性があり、HIVのようなヒトに感染する新しいウイルス種の出現の要因となると考えられている。
インフルエンザウイルスの株は表面抗原であるヘマグルチニンとノイラミニダーゼ(en:neuraminidase)(ウイルス・ノイラミニダーゼ)の型により呼称を与えられる。例えば、3型のヘマグルチニンと2型のノイラミニダーゼではH3N2と呼ばれる。2つの異なる株のインフルエンザウイルスが同時に同じ細胞に感染した時、カプシドとエンベロープは取り除かれてRNAが露出し、mRNAへと転写される。宿主の細胞では抗原の混合により新たなウイルスが形成される。例えば、H3N2とH5N1ではH5N2が形成されることがある。ヒトの免疫系ではこの新たなウイルスを認識することは困難であるため、新しいインフルエンザウイルス株は非常に危険なウイルスとなり得る。1957年のアジアかぜ(en:Asian Flu)、1968年の香港かぜ(en:Hong Kong Flu)、1976年の豚インフルエンザ(en:Swine Flu)の流行は抗原不連続変異が原因となり発生した。最近まで1918年に発生し、4千万-1億人に死者を出したスペインかぜは抗原不連続変異を原因とする株によるものと信じられていたが、最近の研究ではトリのインフルエンザウイルス株の抗原連続変異によりヒトに対して効果的に感染できるようになったために発生したものであることが示唆されている[5][6] 。トリのインフルエンザウイルスとヒトのインフルエンザウイルスとの抗原不連続変異がますます危惧されている。この抗原不連続変異は高病原性のウイルスを形成する可能性がある。
動物からヒトへのインフルエンザウイルスの伝播における役割
A型インフルエンザウイルスはアヒル、ニワトリ、ブタ、クジラ、ウマ、アザラシを含む多くの動物から見つかっている[7]。
野生の鳥類から発見されたA型インフルエンザウイルスではヘマグルチニンは16の異なる亜型が、ノイラミニダーゼは9の異なる亜型が認められている。野生の鳥類は全てのA型インフルエンザウイルスの亜型レゼルボアであり、他の動物への伝播の源と考えられている[3]。多くのインフルエンザウイルスは鳥類に対しては無症状あるいは軽度の症状しか引き起こさないが、鳥類への症状の程度はウイルス株により大きく異なる。感染するA型インフルエンザウイルスによっては(例えばH5あるいはH7の株)、野生の鳥類および家禽であるにニワトリやシチメンチョウに広範な症状や死を招く。
ブタはヒトのインフルエンザウイルストと鳥類のインフルエンザウイルスに加えてブタのインフルエンザウイルスに対する感受性を有する。感染したブタの症状は咳、発熱、鼻水などヒトの症状と類似する。ブタは鳥類、ヒト、ブタのインフルエンザウイルスに感受性を有することから、異なる株(例えば、アヒルとヒト)のインフルエンザウイルスに同時に感染する可能性がある。同時に異なる株が感染した場合には、両者の遺伝子の混合により新たなウイルスが生み出される可能性がある。
例えば、ヒトのインフルエンザウイルスと鳥類のインフルエンザウイルスが同時にブタに感染し、抗原不連続変異によって大部分がヒトのインフルエンザウイルス由来の遺伝子を有し、ヘマグルチニンあるいはノイラミニダーゼは鳥類のインフルエンザウイルスに由来した場合には、この新しいインフルエンザウイルスは感染したヒトから別のヒトへ伝播することが可能であるが、表面抗原(ヘマグルチニンあるいはノイラミニダーゼ)は以前にヒトへと感染したインフルエンザウイルスと異なるため、多くのヒトで免疫系が機能しないあるいはわずかしか機能を示さない。この新たなウイルスは容易にヒトからヒトへと伝播し、インフルエンザのパンデミックを引き起こす可能性がある[4]。
脚注
- ^ Narayan, O (1977). “Antigenic shift of visna virus in persistently infected sheep”. Science. 197 (4301): 376-378.
- ^ Suttle, CA (2007). “Marine viruses — major players in the global ecosystem”. Nature. 5 (10): 801-812. PMID 17853907.
- ^ a b Treanor, John (2004-01-15). “Influenza vaccine--outmaneuvering antigenic shift and drift.”. NEJM. 350 (3): 218-220. PMID 14724300. http://content.nejm.org/cgi/content/full/350/3/218 2008年1月7日閲覧。.
- ^ a b Zambon, Maria C. (Nov 1999). “Epidemiology and pathogenesis of influenza”. Journal of Antimicrobial Chemotherapy 44 (Supp B): 3-9. PMID 10877456. http://jac.oxfordjournals.org/cgi/reprint/44/suppl_2/3.pdf 2008年1月9日閲覧。.
- ^ Aoki, FY; Sitar, DS (Jan 1988). “Clinical pharmacokinetics of amantadine hydrochloride.”. Clinical Pharmacokinetics 14 (1): 35-51. PMID 3280212.
- ^ Johnson, NP; Mueller, J (2002 Spring). “Updating the accounts: global mortality of the 1918-1920 "Spanish" influenza pandemic.”. Bulletin of the History of Medicine. 76 (1): 105-115. PMID 11875246.
- ^ Carrington, Damian. “Seals pose influenza threat”. BBC. 2000年5月11日閲覧。
関連項目
- 重感染(en:Coinfection)
- 重複感染(en:Superinfection)
- en:Viral_shift
外部リンク
- Superflu: Antigenic shift in Influenza
Japanese Journal
Related Links
- これまで日本で分離されたチュウザンウイルスの詳細な遺伝学的・血清学的な解析を行ったところ、第2分節遺伝子が別種のD'Aguilarウイルスのものに入れ変わったウイルス(遺伝子再集合体)を見つけ、自然界におけるはじめての発見と ...
- 抗原シフトと抗原ドリフト ウイルス表面のとげ(HAとNA)は毎年少しずつ変異する(抗原ドリフト)。 ウイルス表面のHAとNAは数十年毎に大幅に変化する(抗原シフト=新型インフルエンザの登場)。 大幅な変化は遺伝子再集合による。
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
スクエアキッズ皮下注シリンジ
組成
製法の概要
- 本剤は、百日せき菌I相菌(東浜株)の培養液を硫安分画法、蔗糖密度勾配遠心分画法などの物理化学的方法で感染防御抗原画分を抽出、分離、精製したのち、残存する毒性をホルマリンで減毒した防御抗原を含む液と、ジフテリア菌(Park-Williams No.8株)及び破傷風菌(Harvard株)の産出する毒素をそれぞれ精製濃縮し、ホルマリンでトキソイド化したジフテリアトキソイド及び破傷風トキソイドの各原液に、アルミニウム塩を加えて不溶性としたものを混合し、これに3種類の血清型のポリオウイルス(1型:Mahoney株、2型:MEF-1株及び3型:Saukett株)を型別にVero細胞(サル腎細胞由来)で培養増殖させ、得られたウイルス浮遊液を濃縮、精製した後に不活化し、各型の不活化単価ワクチン原液をM-199ハンクス培地と混合し、希釈した3価の不活化ポリオワクチンを加えた製剤である。
なお、本剤は製造工程でウシの乳由来成分(カザミノ酸、ペプトン、スキムミルク)、ウシの血液成分(血清)、ウマの血液由来成分(血清、脱繊維素血液)、ヒツジの血液由来成分(血清)、ヒツジの毛由来成分(コレステロール)、ブタの膵臓由来成分(トリプシン)、ブタの膵臓及び十二指腸由来成分(パンクレアチン)を使用している。
組成
- 本剤は、0.5mL中に下記の成分・分量を含有する。
有効成分
- 百日せき菌の防御抗原 4単位以上
ジフテリアトキソイド 15Lf以下(14国際単位以上)
破傷風トキソイド 2.5Lf以下(9国際単位以上)
不活化ポリオウイルス1型 40DU※
不活化ポリオウイルス2型 8DU※
不活化ポリオウイルス3型 32DU※
※DU:D抗原単位
緩衝剤
- リン酸水素ナトリウム水和物 0.28mg
リン酸二水素ナトリウム 0.32mg
等張化剤
アジュバント
- 水酸化ナトリウム 0.21mg
リン酸三ナトリウム 0.81mg
塩化アルミニウム 0.90mg
禁忌
(予防接種を受けることが適当でない者)
- 被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合には、接種を行ってはならない。
- 明らかな発熱を呈している者
- 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
- 本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者
- 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者
効能または効果
- 百日せき、ジフテリア、破傷風及び急性灰白髄炎の予防
○初回免疫
- 小児に通常、1回0.5mLずつを3回、いずれも3週間以上の間隔で皮下に注射する。
○追加免疫
- 小児に通常、初回免疫後6か月以上の間隔をおいて、0.5mLを1回皮下に注射する。
接種対象者・接種時期
- 本剤の接種は生後3か月から90か月までの間にある者に行うが、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンと同様に、初回免疫については、標準として生後3か月から12か月までの者に、3〜8週間の間隔で、追加免疫については、標準として初回免疫終了後12か月から18か月を経過した者に接種する。
なお、被接種者が保育所、幼稚園等の集団生活に入る場合には、その前に接種を完了することが望ましい。
他のワクチン製剤との接種間隔
- 生ワクチンの接種を受けた者は、通常、27日以上、また他の不活化ワクチンの接種を受けた者は、通常、6日以上間隔を置いて本剤を接種すること。
ただし、医師が必要と認めた場合には、同時に接種することができる(なお、本剤を他のワクチンと混合して接種してはならない)。
慎重投与
(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)
- 被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。
- 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者
- 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者
- 過去にけいれんの既往のある者
- 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者
- 本剤の成分に対してアレルギーを呈するおそれのある者(「2.重要な基本的注意(5)」参照)
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー
- (頻度不明)※1)
ショック、アナフィラキシー(蕁麻疹、呼吸困難、血管浮腫等)があらわれることがあるので、接種後は観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
血小板減少性紫斑病
- (頻度不明)※2)
血小板減少性紫斑病があらわれることがある。通常、接種後数日から3週ごろに紫斑、鼻出血、口腔粘膜出血等があらわれる。本症が疑われる場合には、血液検査等の観察を十分に行い、適切な処置を行うこと。
脳症
- (頻度不明)※2)
脳症があらわれることがある。接種後、発熱、四肢麻痺、けいれん、意識障害等の症状があらわれる。本症が疑われる場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。
けいれん
- (頻度不明)※1)※3)
けいれんがあらわれることがある。通常、接種直後から数日ごろまでにけいれん症状があらわれる。本症が疑われる場合には、観察を十分に行い、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- 百日せき、ジフテリア、破傷風及び急性灰白髄炎を予防するためには、生体内にあらかじめ各々の感染防御抗原に対する血中抗体が一定(感染防御レベル)以上産生されている必要がある。
百日せきは罹患小児の回復期血清で、抗PT抗体及び抗FHA抗体をELISA法により測定した結果から、両抗体共少なくとも10EU(ELISA単位)/mL以上が血中に存在すればよいと考えられている。3)
ジフテリアに対する感染防御は、0.01IU(国際単位)/mLの抗毒素(抗体)が、また破傷風に対する感染防御は、0.01IU/mLの抗毒素(抗体)が存在すればよいと考えられている。4, 5, 6)
急性灰白髄炎に対する発症防御には、中和抗体価1:8以上が必要と考えられている。7)
本剤に含まれるIPVを幼児に初回及び追加接種した時、安定的で高い免疫原性を示し、その抗体持続期間は長期にわたることが報告されている。7)また、本剤に含まれるIPVを幼児に接種した時、鼻咽頭部で中和抗体及びIgAが獲得され、ポリオウイルスの主感染様式である経口感染が防御されることが報告されている。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- antigenic shift、antigenic transformation
- 関
- 抗原シフト
[★]
- 英
- antigen Ag
- 関
- 抗体
分類
[★]
- 英
- shift
- 関
- 移行、移動、交替、転換、変化、変わる
[★]
- 英
- proto
- 関
- プロト、元