心臓弁膜症
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2020/01/17 03:10:19」(JST)
[Wiki ja表示]
心臓弁膜症のデータ
|
ICD-10
|
I05-I08, I34-I39
|
統計
|
出典:
|
世界の患者数
|
人 (20xx年xx月xx日)
|
日本の患者数
|
人 (20xx年xx月xx日)
|
学会
|
日本
|
|
世界
|
|
この記事はウィキプロジェクトの雛形を用いています
|
心臓弁膜症(しんぞうべんまくしょう、英: valvular disease of the heart)は、心臓にある4つの弁のうちのひとつまたは2つ以上が機能障害を起こす疾患の総称である。弁膜性心疾患と呼ぶ場合もある。
概要
ヒトの心臓は内部が4つの部屋(心房・心室)に分かれている。各部屋の出口には膜でできた弁があり、血液の逆流を防いでいる。この弁が何らかの原因によって硬化もしくは破損すると、血液の通過障害や逆流が起きる。これが心臓弁膜症である。心臓には4つの弁があり、障害される弁によって出現する症状が異なる。
原因
種類
大動脈弁領域の疾患
大動脈弁狭窄症
詳細は「大動脈弁狭窄症」を参照
大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう; AS)は、左心室から大動脈へ血液を流す大動脈弁が狭まった病気。
- 病態
- 狭まった大動脈弁に血液を通そうとして左心室が頑張り過ぎて左心室に負担が掛かる。左心室に負担が掛かることを左室負荷という。
- 分類
- に分けられる。
- 統計
- 先天性 (ICD-10: Q23.0)
- 後天性 (ICD-10: I35.0)
- 治療
- 手術療法を行う。手術は、人工心肺下開胸術では石灰化など器質的変化の強い大動脈弁を人工弁に取り替える。開胸術による弁置換が一般的である。
大動脈弁閉鎖不全症
大動脈弁閉鎖不全症(だいどうみゃくべんへいさふぜんしょう; AR)は、大動脈弁が締まり切らない病気。
- 病態
- 拡張期に血液が大動脈から左心室に逆流してくるために、拡張期に開くはずの僧帽弁をこの血流が押して、相対的僧帽弁狭窄が生じる。
- 分類
-
- 梅毒性 (ICD-10: A52.0)
- リウマチ性 (ICD-10: I06.1)
- (ICD-10: I35.1)
- 先天性 (ICD-10: Q23.1)
- に分けられる。
- 検査
- 身体基本検査
-
- 聴診
- III音 : 拡張早期に大動脈から勢いよく逆流して来た血液が心室壁を振動させる事で生じる。
- オースチン・フリント雑音(Austin-Flint雑音) : 狭窄させられた僧帽弁を血液が通過する際に生じる雑音。
肺動脈弁領域の疾患
肺動脈弁狭窄症
詳細は「肺動脈弁狭窄症」を参照
肺動脈弁狭窄症(はいどうみゃくべんきょうさくしょう; PS)は、肺動脈弁が狭まった病気。
- 病態
- 狭まった肺動脈弁に血液を通そうとして右心室が頑張り過ぎて右心室に負担が掛かる。右心室に負担が掛かることを右室負荷という。
- 分類
-
- 先天性 (ICD-10: Q22.1)
- 後天性 (ICD-10: I37.0)
- に分けられる。
- 症状
- 右室負荷によって右室の壁が厚くなる。右室の壁が厚くなることを右室肥大と言う。
- 治療
- 右室圧が上昇してきたら手術療法を行う。手術は、人工心肺下開胸術ではなく血管内カテーテル手術で行う。この血管内カテーテル手術は経皮的バルーン肺動脈形成術と言い、中心静脈からカテーテルを入れて、順行性に右心房、右心室、肺動脈へ向かい、バルーン(蒸留水で満たした風船)を膨らませてたり、ステント(金属等の網で出来た筒)を置いて狭まった部分を広げて、肺動脈弁を修復する。
肺動脈弁閉鎖不全
肺動脈弁閉鎖不全症(はいどうみゃくべんへいさふぜんしょう: PR)は、肺動脈弁が締まり切らない病気。
三尖弁領域の疾患
三尖弁狭窄症
三尖弁狭窄症(さんせんべんきょうさくしょう: TS)は、三尖弁が狭まった病気。
- 概要
-
- 器質的; 右心房から右心室へ向かう血流が、三尖弁の狭窄により阻害される。
- 機能的; 三尖弁通過血流の相対的な増加により、三尖弁通過不全状態となる。
- 病態
-
- 器質的; 肺動脈および肺へ供給される血流が減少する。また右心房では血流が停滞し、右心房圧が上昇する。
- 機能的; 原疾患による症状が主。
- 治療
- 症状が軽度であれば、内服薬での治療を行う。重症であれば、内科的なカテーテル治療や外科的な切開・形成・弁置換などが行われることもある。
三尖弁閉鎖症
三尖弁閉鎖症(さんせんべんへいさしょう: TA; ICD-10: Q22.4)は、右心房から右心室へ血液を流す三尖弁が閉じている先天性の病気。
- 概要
- 右心房から右心室への血流が途絶するためこのままでは出生できないが、心房中隔欠損症を合併することが多くここで右左短絡を生じ、さらに動脈管開存症等の左右短絡を合併すると、両循環が成立して出生できる。
- 病態
- 大きな右左短絡から大きな左室負荷が掛かり左室肥大を来たし、右左短絡からチアノーゼを来たす。チアノーゼ性心疾患の一つ。
- 治療
- 外科的治療を行う。手術は、フォンタン手術(Fontan手術)と言い、未発達の右心室を経由せず右心房から肺動脈へ直接血液を流すように吻合する。
三尖弁閉鎖不全症
三尖弁閉鎖不全症(さんせんべんへいさふぜんしょう: TR)は、右心房から右心室へ血液を流す三尖弁の閉鎖不全により血液が逆流する病気。
- 病態
- 心室が収縮時に右心室から肺動脈へ駆出するだけでなく、右心房にも逆流してしまうため、右心房にも負荷がかかるし、無駄な血流を補うだけ右心室も頑張らないといけないため右心負荷もかかる。
- 症状
- 右心不全により静脈血が心臓へ戻りにくくなるため、下肢の浮腫や経静脈の怒張、肝臓の腫大がみとめられる。
- 分類
-
- リウマチ性 (ICD-10: I07.1)
- 非リウマチ性 (ICD-10: I36.1)
- に分けられる。
僧帽弁領域における疾患
僧帽弁狭窄症
詳細は「僧帽弁狭窄症」を参照
僧帽弁狭窄症(そうぼうべんきょうさくしょう: MS)は、左心房から左心室へ血液を流す僧帽弁が狭まった病気。
- 病態
- 肺循環から戻ってきた血液が左房でうっ滞し、左房に負荷が掛かる。
- 分類
-
- (ICD-10: I05.0)
- 非リウマチ性 (ICD-10: I34.2)
- 先天性 (ICD-10: Q23.2)
- に分けられる。
- 治療
- 手術療法を行う。手術は、人工心肺下開胸術ではなく血管内カテーテル手術で行う。血管内カテーテル手術は、大腿動脈からカテーテルを入れて、逆行性に大動脈、心室と向かい、僧帽弁を修復する。
僧帽弁閉鎖不全症
詳細は「僧帽弁閉鎖不全症」を参照
僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう: MR)は、僧帽弁が締まり切らない病気。
- 検査
-
- 身体基本検査
- 聴診
- III音 : 収縮期に心房へ逆流していた血液の分だけ拡張早期に心房から勢いよく血液が心室壁を振動させる事で生じる。
- 分類
-
- リウマチ性 (ICD-10: I05.1)
- (ICD-10: I34.0)
- 先天性 (ICD-10: Q23.3)
- に分けられる。
統計
リウマチ治療の進歩によって本症に至る症例は減ってきている。
合併症
治療
- 手術
- 開心術(弁置換術、弁形成術、自己心膜による大動脈弁再建術(尾崎法))
- 血管内カテーテル手術
診療科
心臓弁膜症を取り上げた作品
日本
- 本症を取り上げた作品に橋本紡の小説(ライトノベル)「半分の月がのぼる空」がある。
- 本症状の手術器具である人工弁開発をめぐる作品に池井戸潤の小説「下町ロケット2 -ガウディ計画-」がある。
関連項目
- 心臓
- 循環器学
- 心筋梗塞
- リウマチ熱
- 加瀬川均
- チャック・ウィルソン[要出典]
|
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
心血管疾患 |
---|
疾患 |
---|
心疾患 |
不整脈 |
徐脈性 |
洞不全症候群 | 房室ブロック | 脚ブロック(右脚ブロック · 完全右脚ブロック · 左脚ブロック) | アダムス・ストークス症候群
| 頻脈性 |
上室性 |
洞性頻脈(英語版) | 心房細動 | 心房粗動 | ブルガダ症候群 | 早期再分極症候群 | QT延長症候群 | WPW症候群
| 心室性 |
心室細動 | 心室頻拍 | トルサード・ド・ポワント | 期外収縮
|
|
| 虚血性疾患 |
狭心症 | 心筋梗塞 | 急性冠症候群 | 冠動脈血栓症 | 心室瘤 | 心破裂 | 乳頭筋断裂(en)
| 弁膜症 |
僧帽弁狭窄症 | 僧帽弁閉鎖不全症 | 三尖弁狭窄症(en) | 三尖弁閉鎖不全症(en) | 大動脈弁狭窄症 | 大動脈弁閉鎖不全症(en)
| 先天性心疾患 |
心房中隔欠損 | 心室中隔欠損 | 心内膜床欠損症 | 動脈管開存症 | ファロー四徴症(極型ファロー四徴症) | 大血管転位(左旋性 · 右旋性) | 総肺静脈還流異常症 | 大動脈縮窄 | 左心低形成症候群 | 両大血管右室起始症 | 三尖弁閉鎖(en) | 単心室 | ブランド・ホワイト・ガーランド症候群
| 心内膜・心筋 ・心膜疾患 |
心内膜疾患 | | 心膜疾患 |
心膜炎(急性心膜炎(en) · 慢性収縮性心膜炎) | 心タンポナーデ
| 心筋疾患 |
心筋症(虚血性心筋症・拡張型心筋症(en) · 肥大型心筋症(en) · 拘束型心筋症(en) · 特発性心筋症) | 心筋炎
|
| |
| 血管疾患 |
大血管 |
大動脈瘤(胸部・腹部(en)・胸腹部) | 大動脈解離 | 高安動脈炎
| 動脈 |
閉塞性動脈硬化症 | 閉塞性血栓性血管炎 | 動静脈瘻 | 動脈硬化 | レイノー現象
| 静脈 |
静脈瘤 | 血栓性静脈炎 | 静脈血栓塞栓症 | 脂肪塞栓症
|
|
|
| 病態・症候 |
---|
心不全 | | 血圧異常 |
高血圧 |
本態性高血圧症(en) | 二次性高血圧(en) | 高血圧性緊急症(en)
| |
| |
|
| 所見・検査 |
---|
血圧計 | 聴診 | 心雑音 | 心電図 | 心電図モニタ | 心臓超音波検査 | 胸部X線写真 | 胸部X線CT | 心臓MRI | 心臓カテーテル検査(肺動脈カテーテル) | 心臓核医学検査 | 脈波伝播速度検査
|
| 治療 |
---|
外科的治療 |
冠動脈バイパス術(CABG) |
CABG | off-pump CAB(OPCAB) | MIDCAB(en) | TECAB(en)
| 弁膜症手術 |
弁置換術(en) | 弁形成術(en) | 弁輪形成術 | 交連切開術(en)
| 小児心臓外科 |
動脈管結紮術 | BTシャント | 肺動脈絞扼術(en) | ノーウッド手術 | グレン手術 | フォンタン手術 | ジャテン手術 | ラステリ手術 | ロス手術
| 心不全外科 |
心移植術 | 補助人工心臓装着術 | 左室形成術(Dor・SAVE・Overlapping)
| 不整脈外科 |
メイズ手術(en) | 心臓ペースメーカー | 植え込み型除細動器
| 大動脈手術 |
大動脈人工血管置換術 | 大動脈基部置換術 (Bentall, David) | ステントグラフト内挿術(en)
| 末梢血管手術 |
末梢動脈血行再建術 | 末梢静脈血行再建術 | 静脈抜去術(en) | 静脈血栓摘除術(en) | 内シャント作成術 | 肢切断
|
| 内科的治療 |
循環作動薬 |
抗不整脈薬 |
Ia群: プロカインアミド, キニジン Ib群: リドカイン, フェニトイン Ic群: フレカイニド(en), プロパフェノン(en) II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど) III群: アミオダロン, ソタロール(en) IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
| 心不全治療薬(en) |
利尿薬 | 血管拡張薬 | 強心配糖体 | 強心剤 | PDEIII阻害薬
| 狭心症治療薬 | | 高血圧治療薬 |
利尿薬 | 交感神経β受容体遮断薬 | レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系 (ACE阻害薬、ARB、レニン阻害薬(英語版)) | カルシウム拮抗剤 | アドレナリン作動薬 | 脂質降下薬
|
| 血管内治療 | |
|
|
|
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
- 1. 高齢者の弁膜症valvular heart disease in elderly adults [show details]
…tricuspid valve disease . Studies have used various age criteria to identify elderly adults. Although there are no comprehensive population-based data regarding the prevalence of valvular heart disease, several …
- 2. 学会が公開する診療ガイドラインのリンク:心臓弁膜症society guideline links cardiac valve disease [show details]
…Guideline for the management of patients with valvular heart disease, a focused update (2017) AHA/ACC: Guideline for the management of patients with valvular heart disease (2014) ACC/AATS/AHA/ASE/American Society …
- 3. 末期腎不全患者における弁膜症valvular heart disease in patients with end stage renal disease [show details]
… Valvular heart disease is common in patients undergoing maintenance dialysis. Abnormalities include valvular and annular thickening and calcification of any of the heart valves but commonly the aortic …
- 4. 薬剤誘発性の弁膜症valvular heart disease induced by drugs [show details]
… patients with a history of use of any drug associated with valvular heart disease who have a heart murmur, symptoms of valvular heart disease, or a technically inadequate auscultatory examination. The …
- 5. リウマチ性僧帽弁狭窄症の臨床症状と診断clinical manifestations and diagnosis of rheumatic mitral stenosis [show details]
…valve). This topic will review the clinical features and evaluation of MS due to rheumatic valve disease . Other issues related to rheumatic MS, such as the pathophysiology, natural history, medical …
Japanese Journal
- 弁膜性心疾患 (慢性疾患療養指導指針--循環器系)
- 症例 びまん性心内膜筋層硬化症 (DEMS) の1例
- 心疾患者のrehabilitationにかんする基礎的研究
Related Links
- 一部の弁膜症では、体内に侵入した細菌が、心臓内に住み着きやすいことが知られています。そのような弁膜症をお持ちの患者様では、歯科処置やその他観血的処置をする際に、感染性心内膜炎予防のための抗菌薬(抗生物質)の使用が
- 対象疾患・症状 外来担当医表 アクセス 施設・設備案内 館内案内 手術を受けられる方へ 入院から退院まで 手術の流れ ご家族の方 医療費について 手術実績 疾患について 虚血性心疾患 弁膜疾患 大血管 (腹部・胸部) 重症心不全 低侵襲
- 虚血性心疾患とは 心臓は1日に約10万回も収縮・拡張を繰り返し、全身に血液を送り出すポンプの役割をしています。この収縮・拡張する心臓の筋肉(心筋)に、酸素や栄養を含む血液を送り込んでいるのが、心臓のまわりを通っている冠動脈という血管です。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- valvular heart disease
- 同
- 弁膜性心疾患、弁膜症
- 関
ガイドライン
- 弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2007年改訂版)
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2007_matsuda_h.pdf
[★]
- 英
- disease, disorder, disturbance, illness, sickness, malady
- 同
- 疾病、病気
- 関
- 疾病、障害、病、乱れ、無秩序、病害、病気、病弊
[★]
- 英
- heart disease
- 関
- 心臓血管病 cardiovascular disease
心臓の異常を構成する要素
[★]
- 英
- membranous、membraneous
- 関
- 膜状