日
じこっぴ 、ジコッピ
英
lycium root bark
同
枸杞根 くここん
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2019/12/23 02:32:22」(JST)
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クコ
クコ
分類
界
:
植物界 Plantae
門
:
被子植物門 Magnoliophyta
綱
:
双子葉植物綱 Magnoliopsida
目
:
ナス目 Solanales
科
:
ナス科 Solanaceae
属
:
クコ属 Lycium
種
:
クコ L. chinense
学名
Lycium chinense Mill., 1768
和名
クコ(枸杞)
英名
Chinese desert-thorn Chinese wolf-berry Goji berry
クコ (枸杞、学名:Lycium chinense )は、東アジア(中国~日本)原産のナス科の落葉低木。食用や薬用に利用される。北アメリカなどにも移入され、分布を広げている。別名、ウルフベリー、ゴジベリー。中国植物名は枸杞。
名称
和名は漢名に由来する。漢名(中国名)で「枸杞」と書き、中国の古書に「枸橘(カラタチ)のようなとげがあり、杞柳(コリヤナギ)のように枝がしなやかに伸びるので、枸杞と名付けられた」との記述がある。
日本の地方により、カラスナンバン、カワラホウズキ、ノナンバンなどの方言名でも呼ばれている。
分布・生育地
日本全域(北海道・本州・四国・九州・沖縄)、朝鮮半島、中国、台湾に分布する。平地に分布し、山地には見られない。日当たりのよい原野、河川堤防、土手、海岸、市街地や農耕地帯の道ばたなどのやぶに自生しており、人の手が加わりやすく、高木が生えきれない環境によく生える。ある程度湿り気のある水辺の砂地を好む。庭などで栽培もされる。日本では、土手や道ばたのやぶでよく見られるが、かつて一時の漢方薬ブームで頻繁に採取され、見かける数が少なくなった。
形態・生態
高さ1 - 2メートル (m) の落葉の低木で、茎は細長く伸びて直立しない。枝は長さ1 m以上、太さは数ミリメートル (mm) - 1センチメートル (cm) ほどで、細くしなやかである。枝はよく分岐し、地上部は弓状にしなって垂れ下がり、やぶ状になる。3 - 4月ころに芽吹き、枝には2 - 4 cm程度の葉と、1 - 2 cm程度の棘が互生する。葉はやや先が尖った楕円形で、数枚が集まるように枝から出る。垂直方向以外に地上にも匍匐茎を伸ばし、枝先が地に接すると発根して、同様の株を次々と作って繁茂する。
葉は、長さ2 - 4 cmの倒披針形か長楕円形の全縁で、束生して数個が集まり、葉質は厚く、軟らかで無毛である。葉の付け根には、しばしばとげ状の小枝が生える。
開花期は夏から初秋(7 - 11月)で、葉腋から1 - 4個の細い花柄を出し、直径1 cmほどの小さな薄紫色の花が咲く。花は鐘形で、花冠は5裂する。花から5本の長い雄しべが出て、目立つ。
果実は液果で、9月ころに結実し、長径1 - 2.5 cmほどの楕円形で、橙紅色に熟す。果実の中に種子が20個ほど入り、一つの種子の大きさは2ミリメートル (mm) 弱ほどで、腎円形や楕円形で平たく、種皮は淡褐色で浅い網目模様があり、ざらつき感がある。
性質は丈夫であり、5月ころに、しばしばハムシの一種トホシクビボソハムシ(Lema decempunctata )の成虫や幼虫が葉を強く食害したり、何種類かのフシダニ(クコフシダニ)が葉裏に寄生して虫癭だらけになったりするが、それでもよく耐えて成長し、乾燥にも比較的強い。一旦定着すると匍匐茎を伸ばして増え続け、数年後にはまとまった群落となることが多い。挿し木で簡単に育つ。
利用
葉には、ベタイン、ベータ・シトステロールグルコシド、ルチンなどが含まれ、毛細血管を丈夫にする作用があるといわれる。
赤く熟した果実には、ベタイン、ゼアキサンチン、フィサリンなどが含まれ、強壮作用があり、酒に漬けこんでクコ酒にするほか、生食やドライフルーツでも利用される。薬膳として粥の具や杏仁豆腐のトッピングにもされる。また、柔らかい若葉も食用にされ、軽く茹でて、お浸し、和え物、汁の実に調理されたり、サラダや料理のトッピングに利用される。
薬用
クコの果実は枸杞子 (くこし)、根皮は地骨皮 (じこっぴ)、葉は枸杞葉 (くこよう)という生薬である。ナガバクコ (学名: Lycium barbarum )も同様に生薬にされる。採取部により、三者三様の生薬名があるが、強壮薬としての効用は同じで、組み合わせで利用されている。葉は6 - 8月ころ、果実と根皮は秋に採取して、水洗いしたものを天日で乾燥させる。根皮には、ベタイン、シトステソル、リノール酸などが含まれ、果実とともに滋養強壮の目的で漢方薬に配剤されている。
民間では、果実、根皮、葉それぞれ1日量5 - 10グラムを600 ccの水で半量になるまで煎じ、3回に分けて服用する用法が知られている。果実は、食欲がなく下痢しやすい人に合わないことが多く、根皮・葉は冷え症の人に対して禁忌とされている。
ワルファリンとの相互作用が報告されている[10] 。食品素材として利用する場合のヒトでの安全性・有効性については、信頼できるデータが見当たらない[11] 。
枸杞子
血圧や血糖の低下作用、抗脂肪肝作用などがある。精神が萎えているのを強壮する作用もあるとされている。また、視力減退、腰や膝がだるい症状の人、乾燥性のカラ咳にもよいといわれている。
地骨皮
抗炎症作用、解熱作用、強壮、高血圧低下作用などがある。清心蓮子飲(せいしんれんしいん)、滋陰至宝湯(じいんしほうとう)などの漢方方剤に配合される。クコ茶としても親しまれる。糖尿病で夜になると寝汗をかき、足の裏がほてる人によいともいわれている。
枸杞葉
動脈硬化予防、血圧の低下作用などがある。茶料としてクコ茶にする。
食用
若芽、葉茎、果実のいずれも食用や果実酒とする。春(4 - 6月)の若芽は、先端の10 cmを摘み取って、茹でて水にさらし、和え物やお浸しにしたり、生のものをよく洗って天ぷらや炒め物、汁の実として調理される。夏から秋にかけての葉も食用にでき、茹でてお浸しや和え物、生のまま天ぷらにしたり、煮付けて炊いた飯に混ぜて、クコ飯にできる。9 - 11月ころのよく熟れた果実は、よく洗ってホワイトリカーに漬け込み、果実酒にする。葉や根は細かく刻んで乾燥させ、クコ茶として飲用する。
参考画像
脚注
^ クコの実との相互作用によりINRが上昇した: 症例報告 (エーザイ)(PT-INR(プロトロンビン時間-国際標準化比)はワルファリン投与の際、高くなりすぎると出血の危険性が増え、低くなりすぎると血栓症の危険性が増えるため、適切な値にコントロールされる。)
^ クコ(クコシ/クコヨウ) - 「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所) 閲覧日2012-07-25
参考文献
奥田重俊監修 講談社編『新装版 山野草を食べる本』講談社、1996年2月10日、47頁。ISBN 4-06-207959-3。
貝津好孝『日本の薬草』小学館〈フィールド・ガイドシリーズ 16〉、1995年7月20日、142頁。 ISBN 4-09-208016-6。
鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『増補改訂 草木の 種子と果実』誠文堂新光社〈ネイチャーウォッチングガイドブック〉、2018年9月20日、63頁。 ISBN 978-4-416-51874-8。
田中孝治『効きめと使い方がひと目でわかる 薬草健康法』講談社〈ベストライフ〉、1995年2月15日、136頁。 ISBN 4-06-195372-9。
田中つとむ・松原渓『日本の山菜』高橋秀男監修、学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、54頁。 ISBN 4-05-401881-5。
西田尚道監修 志村隆・平野勝男編『日本の樹木』学習研究社〈増補改訂フィールドベスト図鑑 5〉、2009年8月4日、229頁。 ISBN 978-4-05-403844-8。
馬場篤『薬草500種-栽培から効用まで』大貫茂(写真)、誠文堂新光社、1996年9月27日、45頁。 ISBN 4-416-49618-4。
平野隆久監修『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、261頁。 ISBN 4-522-21557-6。
山下智道『野草と暮らす365日』山と溪谷社、2018年7月1日、43頁。 ISBN 978-4-635-58039-7。
「川の生き物図鑑 鹿児島の水辺から」鹿児島の自然を記録する会編 南方新社 ISBN 4-931376-69-X
フィールド総合図鑑「川の生物」 財団法人リバーフロント整備センター編 山海堂 ISBN 4-381-02140-1
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、クコ に関連するメディアがあります。
外部リンク
クコ(クコシ/クコヨウ) - 「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)
クコ葉中の抗菌活性成分 食品衛生学雑誌 39(6), 399-405, 1998-12-00
クコ果実の多糖成分について 岐阜大学農学部研究報告 64, 83-88, 1999-12-27
UpToDate Contents
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Japanese Journal
DNA塩基配列に基づく地骨皮 および枸杞子の基原鑑定に関する研究
加味逍遥散加地骨皮 荊芥が奏効した難治性皮膚疾患の2症例
関矢 信康,笠原 裕司,地野 充時,並木 隆雄,大野 賢二,平崎 能郎,柴原 直利,寺澤 捷年
漢方の臨床 56(3), 459-462, 2009-03-25
NAID 10024778322
漢方基礎講座 生薬の薬効・薬理シリーズ(95)ジコッピ(地骨皮 )
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地骨皮(じこっぴ)は清熱涼血・清虚熱・止血の効能があり、滋養作用のある解熱薬として結核などの慢性的な微熱や体力の低下に用いられるほか、盗汗、咳嗽、吐血、鼻血、血尿、糖尿病、高血圧などに応用される。
…日本から朝鮮・中国・台湾に分布する。葉を枸杞葉(くこよう),果実を枸杞子,根の皮を地骨皮(じこつぴ)という。いずれもベタインbetaineを含み,強壮薬として葉は枸杞茶に,果実は他の生薬と配合して高血圧,めまい,肝臓 ...
地骨皮 ( ぢこっぴ ) をクリック → 説明表示 中国における薬物の応用の歴史は非常に古く、独特の理論体系と応用形式をもつに至っており、現在では伝統的な使用薬物を「中薬」とよんでいます。中薬では草根木皮といわれる植物薬 ...
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