- 英
- somatosensory evoked potential, somatosensory evoked potentials, SEP
- 関
- 大脳誘発反応
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/11/23 17:15:03」(JST)
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体性感覚誘発電位(たいせいかんかくゆうはつでんい、英:somatosensory evoked potentials,SEP)とは、体性感覚刺激によって中枢神経系、一部末梢神経にも誘発される電位である。深部感覚の伝導路である後索-内側毛帯系の検査である。方法は施設によって大きく異なるがここでは誘発電位マニュアルに基づいて解説を行う。
目次
- 1 原理
- 2 上肢SEP
- 3 下肢SEP
- 4 参考文献
- 5 外部リンク
|
原理
感覚神経を刺激することで頭皮上の置いた電極で記録をとる。脳波に比べて電位が小さいため平均加算を行い記録をする。各波形は極性と潜時で命名される。陽性ならばP、陰性ならばNが頭文字となり、潜時が30msecで陰性波ならばN30となる。神経伝導による近位電場電位と容積電導による遠隔電場電位が記録される。
上肢SEP
方法
筋電計を用いて測定を行う。鎖骨上窩(Erb点、Ep1、Ep2)、C5ないしC7棘突起上(C5S、C7S)、手の感覚野CP3、CP4に記録電極をおき、基準電極はFzまたは頭蓋外におく。CP3の代用としてはCzの2cm後方、耳朶にむかって7cm進んだ点C3'で代用する方法もある。左刺激を例に取ると、
Ch |
陰極 |
陽極 |
Ch1 |
C4' |
Fz |
Ch2 |
C4' |
Ep2 |
Ch3 |
C5S |
Fz |
Ch4 |
Ep1 |
Fz |
などがよく知られている誘導である。
結果
波形 |
由来 |
正常値(平均±SD) |
正常上限(平均+3SD) |
N9 |
上腕神経叢 |
9.29±0.58 |
11.03 |
N13 |
脊髄後角 |
12.67±0.79 |
15.04 |
N20 |
大脳皮質感覚野(3b) |
18.63±0.94 |
21.45 |
P25 |
大脳皮質感覚野(1) |
|
|
N13-N20(CCT) |
中枢感覚伝導時間 |
5.89±0.48 |
7.33 |
正中神経を手根部で刺激すると、Erb点からN9、頚椎棘突起からN13、頭皮上の手の感覚野からN20が記録される。それぞれの発生源は上腕神経叢、脊髄後角、大脳皮質感覚野である。基準電極を頭蓋外に置くと遠隔電場電位としてP9、P11、P13-14複合、N18が記録される。その発生源は上腕神経叢、頸髄後索、下部脳幹(頸髄-延髄接合部付近、後索核)、大後頭孔から視床までの脳幹部とされている。上肢SEPでは脳幹電位であるP13-14複合が高確率で検出できることから脊髄病変と脳幹部より上位の病変を区別できる。
下肢SEP
方法
筋電計を用いて測定を行う。頭部および脊椎に皿電極をはる。下肢では記録電極はL4、Th12、足の感覚野Cz'(Czの2cm後ろ)におく。基準電極としてはFzまたは頭蓋外に置くのが一般的である。刺激側の反対側の上前腸骨棘(lc)を用いる場合が多い。giant SEPの評価を行うには刺激同側の耳朶(A1およびA2)に基準電極を置く必要がある。また脊髄の電位の検出のためL4やTh12の頭側に4~10cm程にL4’、Th12'などを置くこともある。これは腰仙部誘発電位を検出するためのものである。
Ch |
陰極 |
陽極 |
Ch1 |
Cz' |
Fz |
Ch2 |
Cz' |
lc2 |
Ch3 |
Th12 |
lc2 |
Ch4 |
L4 |
lc2 |
が一般的に行われる誘導である。
結果
波形 |
由来 |
正常値(平均±SD) |
正常上限(平均+3SD) |
N17 |
馬尾 |
17.54±1.25 |
21.29 |
N20 |
脊髄後角 |
20.02±1.45 |
24.37 |
P37 |
大脳皮質感覚野 |
36.91±2.48 |
44.35 |
N45 |
大脳皮質感覚野 |
|
|
N20-P37(CCT) |
中枢感覚伝導時間 |
16.88±1.65 |
21.83 |
参考文献
- 神経筋電気診断の実際 ISBN 4791105486
- 臨床神経生理学 ISBN 9784260007092
外部リンク
- 日本臨床神経生理学会
- 誘発電位マニュアル
- 誘発電位アトラス
- 誘発電位解釈のポイント
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- Attention quantification based on steady-state somatosensory evoked potentials (MEとバイオサイバネティックス)
- 体性感覚誘発電位による軟口蓋感覚機能の客観的な評価法の確立と応用
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- 次の文を読み、66~68の問いに答えよ。
- 80歳の男性。ふらつきを主訴に来院した。
- 現病歴:約半年前から家族との会話に積極的に加わらなくなり、家族からの問いかけにも答えないことがあったが、大きな声で話しかければ普通に会話ができており、挨拶も自発的にできていた。約2か月前から屋内外で歩行時にふらつきがみられるようになり、最近、転倒するようになった。公共交通機関を1人で利用することができなくなったため、家族に付き添われて受診した。
- 既往歴:特記すべきことはない。
- 生活歴:妻と息子夫婦の4人暮らし。喫煙歴はなく、飲酒は機会飲酒。入浴、トイレ動作は可能である。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現症:意識は清明。身長 164cm、体重 58kg。体温 36.6℃。脈拍 72/分、整。血圧 132/76mmHg。呼吸数 12/分。甲状腺腫と頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。神経診察において、Weber試験では左に偏位している。軽度の構音障害を認めるが、失語はない。3物品(桜・猫・電車)の即時再生には問題ないが、遅延再生は困難である。立方体の模写と時計描画試験は不正確である。上肢Barre徴候は陰性で、四肢腱反射に異常を認めず、病的反射を認めない。指鼻試験で両側上肢に測定障害を認める。歩行は開脚不安定で、つぎ足歩行は困難である。Romberg徴候は陰性で、表在感覚および深部感覚に異常は認めない。
- 検査所見:血液所見:赤血球 450万、Hb 14.0g/dL、Ht 42%、白血球 5,600、血小板 30万。血液生化学所見:総蛋白 7.8g/dL、アルブミン 4.0g/dL、総ビリルビン 1.0mg/dL、AST 16U/L、ALT 18U/L、LD 210U/L(基準 120~245)、ALP 250U/L(基準 115~359)、γ-GT 18U/L(基準 8~50)、CK 80U/L(基準 30~140)、尿素窒素 20mg/dL、クレアチニン 0.9mg/dL、尿酸 5.0mg/dL、血糖 88mg/dL、トリグリセリド 150mg/dL、HDLコレステロール 40mg/dL、LDLコレステロール 140mg/dL、Na 145mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 104mEq/L。CRP 0.1mg/dL。
- 頭部MRIのT2*強調水平断像(別冊No.15A~C)を別に示す。
- 医療面接および神経診察の結果から判断して、異常を示す可能性が高いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114C067]←[国試_114]→[114C069]
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- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[★]
- 英
- cerebral evoked potential CEP
- 同
- 大脳誘発反応 cerebral evoked response
- 関
- 誘発電位
概念
- 末梢の感覚受容器を刺激し、中枢で測定される興奮インパルスによる電位。測定により中枢までの障害を評価できる。
種類
[★]
体性感覚誘発電位 somatosensory evoked potential
[★]
体性感覚誘発電位 SEP
[★]
体性感覚誘発電位 SEP
[★]
- 英
- somatic sensation, somatesthesia
- 同
- 身体感覚
- 関
- 上行性伝導路、感覚、深部感覚、体性神経、皮膚感覚、部位覚、部位感覚
- 特殊感覚器、内臓、脳以外の身体組織に存在する感覚の総称である。すなわち皮膚、粘膜、筋、腱、骨膜、関節脳、靱帯などに存在する。このような部位に存在する様々な受容器の興奮が体性感覚神経によって中枢に伝えられる感覚の総称である。
解剖
- 第一体性感覚野 first somatosensory area, SI
- 第二体性感覚野 second somatosensory area, SII
臨床関連
運動
-
- 中心後回の傷害によって習熟した手指の運動や、道具使用が傷害される
触圧覚・痛覚
痛覚
SI、SII、前部島皮質、前部帯状皮質、補足運動野
[★]
- 英
- voltage、potential、electrical potential、electric potential
- 関
- 可能、可能性、潜在的、ボルテージ、ポテンシャル、有望、電圧
[★]
- 英
- evoked potential, evoked potentials, EPs
- 関
- 大脳誘発電位
[★]
- 英
- sensation, esthesia, sense
[★]
- 英
- induction
- 関
- 誘導