ペントースリン酸経路
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/03/21 20:33:29」(JST)
[Wiki ja表示]
ペントースリン酸経路(ペントースリンさんけいろ、英: pentose phosphate pathway: PPP)は、解糖系のグルコース-6-リン酸から出発して、同じく解糖系のグリセルアルデヒド-3-リン酸へとつながる経路で、NADPHや、デオキシリボース、リボースといった核酸の生合成に不可欠な糖を含む各種ペントースの産生に関与する。また、NADPHの供給源として脂質の生産にも関与している。ペントースリン酸経路によって、1分子のグルコース-6-リン酸から1分子のCO2と2分子のNADPHが生成される。肝臓、脂肪組織、精巣、副腎皮質、授乳期の乳腺においてペントースリン酸経路の活性は高い。
目次
- 1 経路の呼称
- 2 ペントースリン酸経路の反応系
- 3 関連項目
- 4 外部リンク
経路の呼称
解糖系から分岐した経路と見なしてペントースリン酸分岐路とも呼ばれたり、解糖系の一部とあわせて回路を形成していることからペントースリン酸回路とも呼ばれたりする。光合成における還元的ペントースリン酸経路に対し、酸化的ペントースリン酸経路と呼ばれることもある。また、ヘキソース一リン酸経路 (Hexose Monophosphate Pathway: HMP)、ホスホグルコン酸経路 (Phosphogluconic Acid Pathway)、ペントース経路 (Pentose Pathway) あるいはワールブルク・ディケンズ経路 (Warburg-Dickens Pathway) とも呼ばれる。
ペントースリン酸経路の反応系
段階 |
反応 |
反応物 |
生成物 |
酵素 |
1 |
酸化反応 |
G6P + NADP+ |
6-ホスホグルコノ-1,5-ラクトン + NADPH + H+ |
グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ
(EC 1.1.1.49) |
2 |
加水分解 |
6-ホスホグルコノ-1,5-ラクトン + H2O |
6-ホスホグルコン酸 |
6-ホスホグルコノラクトナーゼ
(EC 3.1.1.31) |
3 |
脱炭酸 |
6-ホスホグルコン酸 + NADP+ |
Ru5P + NADPH + CO2 + H+ |
ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ (脱炭酸)
(EC 1.1.1.44) |
4 |
異性化 |
Ru5P |
R5P |
リボース-5-リン酸イソメラーゼ
(EC 5.3.1.6) |
5 |
エピマー化 |
Ru5P |
Xu5P |
リブロース-5-リン酸-3-エピメラーゼ
(EC 5.1.3.1) |
6 |
C-C結合生成、開裂 |
R5P + Xu5P |
GAP + S7P |
トランスケトラーゼ
(EC 2.2.1.1) |
7 |
S7P + GAP |
F6P + E4P |
トランスアルドラーゼ
(EC 2.2.1.2) |
8 |
Xu5P + E4P |
GAP + F6P |
トランスケトラーゼ |
関連項目
外部リンク
ペントースリン酸経路 |
|
物質 |
グルコース-6-リン酸 - 6-ホスホグルコノ-1,5-ラクトン - 6-ホスホグルコン酸 - リブロース-5-リン酸 - キシルロース-5-リン酸 - リボース-5-リン酸 - グリセルアルデヒド-3-リン酸 - セドヘプツロース-7-リン酸 - フルクトース-6-リン酸 - エリトロース-4-リン酸 - フルクトース-6-リン酸
|
|
酵素 |
グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ - 6-ホスホグルコノラクトナーゼ - ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ (脱炭酸) - リボース-5-リン酸イソメラーゼ - リブロース-5-リン酸-3-エピメラーゼ - トランスケトラーゼ - トランスアルドラーゼ
|
|
代謝 (異化, 同化) |
|
タンパク質 |
タンパク質生合成 · アミノ酸 · アミノ酸合成 · アミノ酸の代謝分解
|
|
炭水化物 |
同化
|
糖新生 · グリコーゲン合成 · 光合成 (炭素固定)
|
|
炭水化物異化
|
解糖系 · グリコーゲンの分解 · 発酵 · 細胞呼吸 · キシロース代謝
|
|
他
|
ペントースリン酸経路
|
|
|
脂肪 |
β酸化 · 脂肪酸の合成
|
|
代謝: 炭水化物代謝 |
|
発酵 (アルコール発酵, 乳酸発酵) - 解糖系/糖新生 - グリコーゲン合成/グリコーゲンの分解 - ペントースリン酸経路 - 光合成 (炭素固定) - 炭水化物異化 - 細胞呼吸
|
|
Japanese Journal
- ルブラトキシンBはマウス脂肪肝において脂肪の蓄積を誘導する
- 岩下 恵子,長嶋 等
- マイコトキシン 58(2), 83-87, 2008-07-31
- 肝毒性を示すマイコトキシンのルブラトキシンB は脂肪肝を引き起こす.そこで脂肪蓄積メカニズムを解明するために,ルブラトキシンB で24 時間処理したマウス肝臓において蓄積した脂肪滴のタイプや,脂質合成系酵素であるグルコース? 6 ?リン酸脱水素酵素(G6PD)と脂肪酸合成酵素の活性を調べた.オイルレッドO 染色では,ルブラトキシンB 処理したマウスから多数の小滴性の脂肪滴が観察された.脂肪酸合成の …
- NAID 10021920454
- タイヌビエ種子の休眠と発芽 : 青酸カリの休眠覚醒機構
- 山末 祐二,長谷川 亮,植木 邦和
- 雑草研究 33(3), 172-179, 1988-10-31
- タイヌビエ種子の青酸カリによる休眠覚醒作用の機構を明確にするため、休眠覚醒効果の最適濃度で処理した種子における呼吸、酸化還元酵素活性およびNAD(P)H量の変動を検討した。100mM青酸カリを処理した一次休眠種子は顕著にその発芽が促進されるが、肉眼的発芽は処理期間(48時間、30℃)内に起らず、水洗後、30℃の明条件下に置床したとき速かに起った(Figure 1).したがって、青酸カリによる発芽誘 …
- NAID 110003931884
Related Links
- ペントースリン酸経路(ペントースリンさんけいろ、Pentose phosphate pathway:PPP) は、解糖系のグルコース-6-リン酸から出発して、同じく解糖系のグリセルアルデヒド-3- リン酸へとつながる経路で、NADPHや、デオキシリボース、リボースといった核酸の生 ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- ribose 5-phosphate, R5P
- 関
- ペントースリン酸回路
[★]
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- (電気)circuit、(代謝)cycle
- 関
- サイクル、周期
[★]
- 英
- pentose
- 関
- 五炭糖
[★]
- 英
- tract
- ラ
- tractus