エピルビシン
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エピルビシン
|
IUPAC命名法による物質名 |
10-(4-amino-5-hydroxy-6-methyl-oxan-2-yl) oxy-6,8,11-
trihydroxy-8-(2-hydroxyacetyl)-1-methoxy-9,10-
dihydro-7 H-tetracene-5,12-dione
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
|
投与方法 |
静注、肝動注、膀注 |
薬物動態データ |
生物学的利用能 |
- |
血漿タンパク結合 |
82%(ラット) |
代謝 |
肝臓(グルクロン酸抱合) |
半減期 |
α相(分布相): 4.67分
β相(排泄相): 1.15時間
γ相(排泄相): 36.5時間 |
排泄 |
胆汁中35%、尿中20%
(96時間) |
識別 |
CAS番号 |
56420-45-2 |
ATCコード |
L01DB03 |
PubChem |
CID: 41867 |
DrugBank |
APRD00361 |
KEGG |
D07901 |
化学的データ |
化学式 |
C27H29NO11 |
分子量 |
543.519
579.98(塩酸塩) |
エピルビシン(epirubicin, Epi-ADM)は、1975年にイタリアのファルミタリア カルロエルバ社(現:ファイザー株式会社)のF. Arcamoneらによって合成・開発されたアントラサイクリン系の抗腫瘍性抗生物質製剤(抗がん剤)。塩酸塩が市販されており、商品名はファルモルビシン(販売: ファイザー / 協和発酵キリン)、後発医薬品として、塩酸エピルビシン(販売: マイラン製薬など)。
ドキソルビシンの4'位のヒドロキシ基が反転した立体異性体(エピマー)であり、同様の作用機序で抗腫瘍性を示すが、毒性(特に心毒性)が少ないことが特徴である。
目次
- 1 効能・効果
- 2 重大な副作用
- 3 作用機序
- 4 参考資料
- 5 関連事項
- 6 外部リンク
効能・効果
- 急性白血病、悪性リンパ腫、乳癌、卵巣癌、胃癌、肝癌、尿路上皮癌(膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍)
- 他の抗悪性腫瘍剤との併用で以下の悪性腫瘍
- 乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)
重大な副作用
心筋障害、骨髄抑制、ショック、間質性肺炎、萎縮膀胱、肝・胆道障害、胃潰瘍、十二指腸潰瘍
心毒性
エピルビシンは、他のアントラサイクリン系抗癌剤と同様、蓄積性の心毒性が現れる恐れがある。そのため、他のアントラサイクリン系薬剤による前治療が限界量(塩酸ドキソルビシンでは総投与量が500 mg/m2、塩酸ダウノルビシンでは総投与量が25 mg/kg)に達している患者には投与禁忌となっている。また、アントラサイクリン系薬剤未治療の場合においても、エピルビシンの総投与量が900 mg/m2を超えると、うっ血性心不全の発現率が増加することから、ほとんどの場合これを上限とした投薬計画が立てられる。
作用機序
ドキソルビシンと同様、腫瘍細胞のDNAと結合することにより、DNAとRNAの生合成を抑制する。 細胞周期においては、S期および初期G2期において、最大の抗腫瘍効果を発揮する。
参考資料
- 『ファルモルビシン注/ファルモルビシンRTU注射液』医薬品インタビューフォーム・2005年9月作成(協和発酵キリン)
関連事項
外部リンク
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 肝細胞癌に対する肝動脈化学塞栓療法施行後に腫瘍崩壊症候群を発症した1例
- 坂本 昌平,春野 政虎,田中 博文,中須賀 一太,江島 準一,小林 慎治,浅野 嘉延,仁保 喜之,東原 秀行,岡崎 正敏
- 肝臓 = ACTA HEPATOLOGICA JAPONICA 48(7), 331-337, 2007-07-25
- … れる腫瘍崩壊症候群の1例を経験した.症例は,HCV抗体陽性,AFP値5,688ng/mLの71歳女性である.HCC局所再発に対する加療目的で再入院となった.HCC再発に対し,肝動脈化学塞栓術(TACE)を固有肝動脈からファルモルビシン,マイトマイシンC,そしてリピオドールの混合液,およびゼラチンスポンジ細片を用いて施行した.TACE施行後より経時的に尿量は減少,採血データーでは高尿酸血症,高カリウム血症やクレアチニン …
- NAID 10019571198
- ヒト表在性膀胱癌における BCG・ファルモルビシン膀胱内注入療法の検討 : 第86回日本泌尿器科学会総会
- 戸澤 啓一,岡村 武彦,永田 大介,日比野 充伸,伊藤 恭典,山田 泰之,上田 公介,郡 健二郎
- 日本泌尿器科學會雜誌 89(2), 253, 1998-02-20
- NAID 110003099758
Related Links
- ファルモルビシンは、1975年にイタリアで開発された、アントラサイクリン系の抗がん性 抗生物質です。ペニシリンなどの一般的な抗生物質と同じく、元々は、土の中に存在する 微生物によってつくられた細胞の発育を阻害する物質を利用して合成された薬剤です。
- ファルモルビシンⓇ注. 添付文書案. 本資料は承認時のものであり、最新のものとは内容 . が異なることがあります。 最新の添付文書を確認する場合は、医薬品医療機. 器情報 提供ホームページ http://www.info.pmda.go.jp/. の添付文書情報をご確認下さい。
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ファルモルビシンRTU注射液10mg
組成
有効成分(1バイアル中5mL)
- 日局 エピルビシン塩酸塩※ 10mg(力価)
※旧薬局方における日本名:日局 塩酸エピルビシン
添加物
禁忌
- 心機能異常又はその既往歴のある患者[心筋障害があらわれるおそれがある。]
- 本剤に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
- 他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療が限界量(ドキソルビシン塩酸塩では総投与量が体表面積当り500mg/m2、ダウノルビシン塩酸塩では総投与量が体重当り25mg/kg等)に達している患者[うっ血性心不全があらわれるおそれがある。]
効能または効果
下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解
- 急性白血病、悪性リンパ腫、乳癌、卵巣癌、胃癌、肝癌、尿路上皮癌(膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍)
以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
- 乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)
急性白血病の場合
- エピルビシン塩酸塩として15mg(力価)/m2(体表面積)を1日1回5〜7日間連日静脈内に投与し3週間休薬する。これを1クールとし、必要に応じて2〜3クール反復する。
なお投与量は年齢、症状、副作用により、適宜増減する。
悪性リンパ腫の場合
- エピルビシン塩酸塩として40〜60mg(力価)/m2(体表面積)を1日1回静脈内に投与し3〜4週休薬する。これを1クールとし、通常3〜4クール反復する。
なお投与量は年齢、症状、副作用により、適宜増減する。
乳癌、卵巣癌、胃癌、尿路上皮癌(膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍)の場合
- エピルビシン塩酸塩として60mg(力価)/m2(体表面積)を1日1回静脈内に投与し3〜4週休薬する。これを1クールとし、通常3〜4クール反復する。
なお投与量は年齢、症状、副作用により、適宜増減する。
肝癌の場合
- エピルビシン塩酸塩として60mg(力価)/m2(体表面積)を肝動脈内に挿入されたカテーテルより、1日1回肝動脈内に投与し3〜4週休薬する。これを1クールとし、通常3〜4クール反復する。
なお投与量は年齢、症状、副作用により、適宜増減する。
膀胱癌(表在性膀胱癌に限る)の場合
- エピルビシン塩酸塩として60mg(力価)を1日1回3日間連日膀胱腔内に注入し4日間休薬する。これを1クールとし、通常2〜4クール反復する。
注入に際しては、ネラトンカテーテルで導尿し十分に膀胱腔内を空にした後、同カテーテルより注入し、1〜2時間膀胱腔内に把持する。
なお投与量は年齢、症状、副作用により、適宜増減する。
乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法の場合
- ・シクロホスファミド水和物との併用において、標準的なエピルビシン塩酸塩の投与量及び投与方法は、エピルビシン塩酸塩として100mg(力価)/m2(体表面積)を1日1回静脈内に投与後、20日間休薬する。これを1クールとし、通常4〜6クール反復する。
- ・シクロホスファミド水和物、フルオロウラシルとの併用において、標準的なエピルビシン塩酸塩の投与量及び投与方法は、エピルビシン塩酸塩として100mg(力価)/m2(体表面積)を1日1回静脈内に投与後、20日間休薬する。これを1クールとし、通常4〜6クール反復する。
- なお、投与量は年齢、症状により適宜減量する。
慎重投与
- 肝障害のある患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
- 腎障害のある患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
- 骨髄抑制のある患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
- 感染症を合併している患者[骨髄抑制により感染を増悪させるおそれがある。]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- 水痘患者[致命的な全身障害があらわれるおそれがある。]
- 他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療歴のある患者[心筋障害があらわれるおそれがある。]
重大な副作用
心筋障害(0.12%)
- 心筋障害、更にうっ血性心不全等の症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、休薬又は投与を中止すること。特に他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療のある症例に投与する場合には十分注意すること。
骨髄抑制(頻度不明)
- 汎血球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血、出血傾向があらわれることがある。なお、高度な骨髄抑制により致命的な感染症(敗血症)や消化管出血があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
ショック(頻度不明)
- ショックがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(頻度不明)
- 発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
萎縮膀胱(頻度不明)
- 膀胱腔内注入によって萎縮膀胱があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
肝・胆道障害(頻度不明)
- 肝動脈内投与において、肝内胆汁性嚢胞、胆管炎、胆管壊死、肝壊死等の肝・胆道障害があらわれることがあるので、造影剤等により薬剤の分布領域をよく確認し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
胃潰瘍(0.02%)、十二指腸潰瘍(0.02%)
- 肝動脈内投与において、胃潰瘍、十二指腸潰瘍があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。[「適用上の注意」5.の項参照]
薬効薬理
抗腫瘍作用19,20)
- 移植癌に対して広い抗癌スペクトルを有し、Leukemia L1210、Leukemia P388、B-16 melanoma、Colon 38、C3H乳癌、Hepatoma AH-13、吉田肉腫等に対して強い抗腫瘍効果を示す。
作用機序21,22)
- 腫瘍細胞のDNAとcomplexを形成することにより、DNA polymerase反応、RNA polymerase反応を阻害し、DNA、RNAの双方の生合成を抑制することによって、抗腫瘍効果を示す。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- エピルビシン塩酸塩(Epirubicin Hydrochloride)
化学名
- (2S,4S)-4-(3-Amino-2,3,6-trideoxy-α-L-arabino-hexopyranosyloxy)-2,5,12-trihydroxy-2-hydroxyacetyl-7-methoxy-1,2,3,4-tetrahydrotetracene-6,11-dione monohydrochloride
分子式
分子量
性状
- 微帯黄赤色〜帯褐赤色の粉末で、吸湿性である。
水又はメタノールにやや溶けやすく、エタノール(95)に溶けにくく、アセトニトリルにほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
商品
[★]
- 英
- epirubicin EPI EPI-ADM
- 化
- 塩酸エピルビシン epirubicin hydrochloride
- 商
- ファルモルビシン
- 関
- 抗悪性腫瘍薬
- 抗腫瘍性抗生物質製剤
添付文書
- ファルモルビシン注射用10mg/ファルモルビシン注射用50mg
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/4235404D1047_1_05/4235404D1047_1_05?view=body