出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2018/06/08 08:49:39」(JST)
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落花生 | |||||||||||||||||||||||||||
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落花生
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分類(APG III) | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Arachis hypogaea L. |
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英名 | |||||||||||||||||||||||||||
peanut |
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100 gあたりの栄養価 | |
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エネルギー | 2,351 kJ (562 kcal) |
炭水化物
|
18.8 g
|
食物繊維 | 7.4 g |
脂肪
|
47.5 g
|
飽和脂肪酸 | 8.33 g |
一価不飽和 | 22.76 g |
多価不飽和 | 13.74 g |
タンパク質
|
25.4 g
|
ビタミン | |
ビタミンA相当量 |
(0%)
1 μg |
チアミン (B1) |
(74%)
0.85 mg |
リボフラビン (B2) |
(8%)
0.10 mg |
ナイアシン (B3) |
(113%)
17.0 mg |
パントテン酸 (B5) |
(51%)
2.56 mg |
ビタミンB6 |
(35%)
0.46 mg |
葉酸 (B9) |
(19%)
76 μg |
ビタミンE |
(67%)
10.1 mg |
ミネラル | |
ナトリウム |
(0%)
2 mg |
カリウム |
(16%)
740 mg |
カルシウム |
(5%)
50 mg |
マグネシウム |
(48%)
170 mg |
リン |
(54%)
380 mg |
鉄分 |
(12%)
1.6 mg |
亜鉛 |
(24%)
2.3 mg |
銅 |
(30%)
0.59 mg |
セレン |
(29%)
20 μg |
他の成分 | |
水分 | 6.0 g |
水溶性食物繊維 | 0.4 g |
不溶性食物繊維 | 7.0 g |
ビオチン(B7) | 92.3 µg |
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[2]。
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|
%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
項目 | 分量(g) |
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脂肪 | 49.24 |
飽和脂肪酸 | 6.834 |
14:0(ミリスチン酸) | 0.025 |
16:0(パルミチン酸) | 5.154 |
18:0(ステアリン酸) | 1.1 |
一価不飽和脂肪酸 | 24.429 |
16:1(パルミトレイン酸) | 0.009 |
18:1(オレイン酸) | 23.756 |
20:1 | 0.661 |
多価不飽和脂肪酸 | 15.559 |
18:2(リノール酸) | 15.555 |
18:3(α-リノレン酸) | 0.003 |
ラッカセイ(漢字: 落花生、学名: Arachis hypogaea、英語: peanut [6]または groundnut)はマメ亜科ラッカセイ属の一年草。別名ナンキンマメ(南京豆)、ピーナッツ。
方言名に地豆(ぢまめ、ジーマーミ。沖縄方言)、唐人豆(とうじんまめ)、異人豆(いじんまめ)、だっきしょ(落花生。鹿児島県)、ドーハッセン、ローハッセン(落花生。長崎県)などがある。
中国語では「花生」(ホワション 拼音: huāshēng)、「落花生」(ルオホワション 拼音: luòhuāshēng)、別名「長生果」[7]。台湾語では「塗豆」(「土豆」とも表記。トータウ thô͘-tāu)。客家語では「番豆」(ファンテウ)ともいう。
ピーナット(Peanut)または、ピーナッツ(peanuts)の語源はPeaピー(エンドウマメ)Nutsナッツ(木の実)であるが、名称のみで実際はエンドウマメの木の実ではない。
草丈は25-50cm。夏に黄色の花を咲かせる。受粉後、数日経つと子房柄(子房と花托との間の部分)が下方に伸びて地中に潜り込み、子房の部分が膨らんで地中で結実する(=地下結実性)。
南米原産で東アジアを経由して、江戸時代に日本に持ち込まれたと言われている。日本では主に食用として栽培されている。
花が落ちるようにして(花が受粉して落ちて)地中で実を生むことから「落花生」という名前が付けられた。
ラッカセイの原産地は南アメリカ大陸である。最も古い出土品は、紀元前2500年前のペルー、リマ近郊の遺跡から出土した大量のラッカセイの殻である[8]。また、紀元前850年ころのモチェ文化の墳墓の副葬品にラッカセイが含まれていることから、ラッカセイが生活の中で重要な位置を占めていたことが分かる[8]。
その後、メキシコには紀元前6世紀までに伝わっていたが、16世紀のスペイン人修道士の記録ではアステカ族はラッカセイを食糧ではなく薬と考えていた[8]。また、カリブ海の島々でもラッカセイの栽培は行われており、そこでは重要な食糧とされていたという。
大航海時代の始まりで、ラッカセイはヨーロッパにも紹介されたが、土の中で成長するラッカセイはそれまでのマメ類の常識とはかけ離れた、奇妙な存在と感じられた[8]。気候もあまり適さないことから、ヨーロッパでの栽培はあまり行われなかった。
南アメリカ以外にラッカセイの栽培が広がったのは16世紀中ごろである。ポルトガルの船乗りたちが西アフリカ-ブラジル間の奴隷貿易を維持するためにアフリカに持ち込んだのが始まりで、そのまま西アフリカ、南アフリカ、ポルトガル領インドに栽培地が広がっていく[8]。ほぼ同時期にスペインへ伝わったラッカセイは南ヨーロッパ、北アフリカへと渡っていく。さらにインドネシア、フィリピンへの持ち込みもほぼ同時期である。
日本には東アジア経由で1706年にラッカセイが伝来し、「南京豆」と呼ばれた。ただし、現在の日本での栽培種はこの南京豆ではなく、明治維新以降に導入された品種である。
18世紀以前の北アメリカでは、ラッカセイは家畜の餌か奴隷用の食糧として栽培されていたが、南北戦争による食糧事情の悪化により白人もラッカセイを食べるようになり、「ピーナツ」と呼ばれ愛されるようになった[9]。
ラッカセイの実を食べる時は、殻(莢、豆果)のまま炒るか殻からむいたものを炒ることが多い。もしくは炒った後にバター(またはパーム油など)を絡める。
また、殻のまま塩茹で(茹でピー)にする[10][11]。北海道・東北地方・千葉県の一部では節分の豆まきで殻付きで炒った落花生を用いる地域もある。
中国や台湾では殻ごと塩、八角などの香辛料を加えた湯で茹でる方法や、蒸篭で蒸す方法も一般的である。茹で落花生は日本でも静岡県、鹿児島県などでは一般的である。長崎県大村市では筑前煮に落花生を入れる習慣がある。
中国では皮付きの種を油で揚げてから塩をまぶす方法も一般的である。これは朝食に食べる粥の具としても使う。
ラッカセイの薄皮には、レスベラトロールが含まれ、薄皮ごと食べるほうが健康に良いと言われている[12][13]。
加熱したピーナッツの外側に砂糖をまぶしたり、小麦粉の衣を付けて揚げたような豆菓子やチョコレート菓子などの加工品も一般的である。鹿児島県奄美群島には熱した黒砂糖と絡めたがじゃ豆(さた豆)、味噌も加えた味噌豆などの菓子がある。千葉県の名産品には「落花生の甘納豆」が存在している。他には、砕いて団子の中に入れる餡にしたり、揚げせんべいに加えられたりもする。
ラッカセイの日本での主産地である千葉・茨城(およびそれらの地域からの出身者が多い東京)では、甘辛く味つけた味噌で炒ったラッカセイをあえた惣菜がポピュラーで、スーパーの惣菜コーナーなどでも売られており、「味噌ピー」と呼ばれている。
料理では加熱して砕いたラッカセイをゴマ同様に薬味に使う場合があり、四川料理、台湾料理などではよく見られる。また、龍のひげ飴(クルタレ)、団子などの菓子に入れられることもある。
福建省厦門市や台湾には小豆の代わりにラッカセイで作ったぜんざいともいうべき「花生湯」、「花生仁湯」がある。
広東料理のスープでは鶏の足(もみじ)、ナツメなどと薄皮付きのラッカセイを煮込んだ「紅棗鷄腳花生湯」、ナツメをパパイヤに変えた「木瓜鷄腳花生湯」 。広東粥には豚のあばら骨、タラの干物、するめや干しエビと薄皮付きのラッカセイを入れて煮込んだ「排骨花生粥」、「柴魚花生粥」、「艇仔粥」などもある。
沖縄県では「ジーマーミ(地豆)」と呼び、水分を含ませてすり潰したラッカセイにサツマイモデンプンを加えて加熱して作るジーマーミ豆腐がある。鹿児島県の奄美群島にもあり、鹿児島市や鹿屋市ではだっきしょ豆腐と呼ぶ。ごま豆腐に似た食感のものである。
中国の福建省、台湾、ベトナムなどでは加熱後、粉状にしたラッカセイと砂糖を合わせて押し固めた、落雁に似た「花生酥」がある。福建省、台湾、マレーシアには更に麦芽糖を加えて固めた貢糖もある。
ラッカセイを炒ってすり潰して練るとピーナッツバターや「花生醤」(ホワションジアン)を作ることができる。
殻付きの落花生。
皮を剥いた状態の落花生。バターピーナッツ
ピーナツ味噌(味噌ピー)
がじゃ豆
油脂含有分が高く、ピーナッツオイルが製造されている。不飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸が多く、血中のコレステロールを下げ、動脈硬化の予防が期待できる。広東料理など、中華料理にはよく使用されている。また、サラダ油、マーガリンの原料にもなる。工業用途では石鹸、シャンプー、塗料樹脂などにも原料として応用できる。
殻は肥料、干して燃料にするほか、粉砕して、プラスチックのフィラー、コルク代用品、研磨材などに利用することができる。
ラッカセイは(蕎麦同様に)重篤な食物アレルギー(アナフィラキシー)を引き起こす可能性のある食材として知られている。ナッツアレルギーを持った女性がピーナッツバター入りのサンドイッチを食べたボーイフレンドとキスをしたあと、重度のアレルギー症状で死亡する事故も起きている[14]。
ラッカセイは、材料・加工品ともにアレルギー物質を含む食品として食品衛生法施行規則、別表第5の2による特定原材料として指定されている。同法第11条及び同規則第5条による特定原材料を含む旨の表示が義務付けられている。しかし、飲食店では必ずしも表示されておらず、沖縄料理店でジーマーミ豆腐の主原料がラッカセイであると分からず食べてしまうこともある。
以下に、FAOによる2004年時点の生産量[15]、輸出量[16]、輸入量[17]のうち、上位5カ国を示す。いずれも重量ベースである。
生産量は、中国(1441万トン)、インド(590万トン)、ナイジェリア(294万トン)、アメリカ合衆国(211万トン)、インドネシア(147万トン)である。中国が約4割、上位5カ国で全生産量の75%を占める。統計値は殻付き (Groundnuts in Shell) である。
未加工品の落花生は主にむきみ (Groundnuts Shelled) の形で貿易ルートに乗っている。輸出では、中国(32.5万トン)、アメリカ合衆国(14.6万トン)、インド(11.2万トン)、アルゼンチン(7.0万トン)、オランダ(6.3万トン)である。輸入では、オランダ(22.5万トン)の輸入量が突出しており、ついでイギリス(8.5万トン)、カナダ(8.0万トン)、メキシコ(7.6万トン)、ドイツ(6.0万トン)である。日本のむきみ輸入量は世界第7位に位置し、主に中国から輸入されている。
むきみと比較すると、殻付きの貿易量は少ない。輸出量は、中国(7.8万トン)、インド(6.5万トン)、アメリカ合衆国(1.7万トン)、エジプト(1.1万トン)である。輸入ではメキシコ(2.2万トン)、イタリア(2.1万トン)、インドネシア(1.9万トン)、ドイツ(1.4万トン)、スペイン(1.4万トン)である。
むきみ、殻付きのほか、煎る・揚げるといった加工品、ピーナツバターのようにさらに加工が進んだ形の商品も貿易ルートに乗っており、金額ベースでは加工品の占める割合が高い。
日本における生産量は、農林水産省の『作物統計』[18]によると、2015年の生産量はむきみ換算で1万2300トンである。輸入量は、財務省の貿易統計によると9万8867トンであった。県別の生産量では、千葉県が9590トンで突出しており、78.0%を生産している。特に千葉県中央部の八街市が生産量では日本一を誇る。県別では茨城県(1500トン、12.2%)が続き、千葉県と合わせると9割を越える。以下、神奈川県、栃木県、鹿児島県が続く。
日本で初めて栽培されたのは1871年に神奈川県大磯町の農家、渡辺慶次郎が横浜の親戚で落花生の種を譲り受け、自分の畑に蒔いたもの。花は咲いたが何も実を結ばないので「こんなもの」と足蹴りしたら地中から鞘が出てきて、地下結実性であることが判明した[19]。経済栽培に向けて、販売先の確保のため、地元旅館に試食を依頼したが「客は喜んだが、座敷が汚されて困る」と断られた逸話が残っている。その後、明治10年に0.4リットル袋入りにて横浜の駄菓子屋に売り込んだところ、盛況となり、経済栽培への見通しがたった[10]。千葉県においては1876年より栽培が開始されている。
日本国内で消費されている安価なラッカセイの大部分は中国産で、主に大粒の品種を栽培している山東省、河北省、天津市産の輸入が多い。「南京豆」という別名に使われている江蘇省の南京など、華南のラッカセイは小粒の物が多い。
2000年を過ぎた頃から相場が下がり始め、2006年頃には100グラムあたり40円にまで下がった。2007年頃に相場が上がり、100グラムあたり100円となった。しかし、店によっては100グラムあたり65円で売っていることもあり、販売ルートによって価格に差がある。
ラッカセイはこんにゃく芋と同様に関税割当制度の対象であり、2007年は1次税率が10%、2次税率が617円/kgと保護関税が課せられている[20]。
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