- 英
- biliverdin
- 同
- 緑色胆汁色素、胆緑素
- 関
- ビリルビン
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/08/21 14:24:17」(JST)
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ビリベルジン |
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
114-25-0 |
PubChem |
251 |
MeSH |
Biliverdin |
特性 |
化学式 |
C33H34N4O6 |
モル質量 |
582.646 |
特記なき場合、データは常温(25 °C)・常圧(100 kPa)におけるものである。 |
ビリベルジン (Biliverdin) は、ヘモグロビンなどに含まれるヘムの生分解産物の中間体で、緑色のテトラピロール化合物である[1][2]。ビリベルジンは、緑色の痣の元となる色素である[2]。
目次
- 1 生理学
- 2 疾病での役割
- 3 疾患の治療での役割
- 4 脚注
- 5 関連項目
生理学[編集]
ビリベルジンは基本的にはヘム分解に際しての中間体で、古い赤血球が処理され、ヘモグロビンが分解された後にできる。ヘモグロビンはマクロファージによって分解され、そのうちヘムはさらにヘムオキシゲナーゼによりFe2+、一酸化炭素とヘムのポルフィリン環が開環されて直線状の4つのピロール環が連なったテトラピロールの一種である緑色のビリベルジンに分解される。さらにビリベルジンがビリベルジンレダクターゼにより還元されて赤褐色の胆汁色素であるビリルビンとなる。草食動物では胆汁色素としてビリベルジンの方が多い。
ヘムオキシゲナーゼによる反応は、次のとおりである。
- ヘム + NADPH + H+ + 3 O2 → ビリベルジン + Fe2+ + CO + NADP+ + H2O[3]
ヘム ビリベルジン
ビリベルジンはビリベルジンレダクターゼ(BVR)によりビリルビンに還元される。
ビリベルジンレダクターゼ(BVR)
ビリベルジン -----------------> ビリルビン
/ |
H+ + NADPH NADP+
疾病での役割[編集]
ヒトが肝臓病に罹患すると血液中に大量のビリベルジンが認められるようになる。黄疸は、ビリベルジンとビリルビンの一方または両方が循環器系や組織に蓄積されることによって発生する[1]。黄疸で皮膚や白目が黄色くなったりするのは、肝臓疾患の特徴である。
疾患の治療での役割[編集]
ビリベルジンは単に血液中のヘムの分解生成物であると見なされていた。しかし、ビリベルジンやその他の胆汁色素は生体内で有用な役割を持っていることが次第に明らかになってきた[4][5]。
ビリベルジンのような胆汁色素は、元来、有効な抗変異原物質や抗酸化物質として機能し、それゆえ有用な生理作用を担っている[5]。ビリベルジンやビリルビンはペルオキシラジカルのような超酸化物を消去する作用を有している[4][5]。これらの物質は、往々にして変異原性を有する多環芳香族炭化水素、複素環式化合物のアミン、オキシダントの作用を阻害する能力を有している。また、体中のビリベルジンやビリルビンの濃度が高い人は、癌や循環器疾患の罹患の頻度が低いと認める研究もある[4]
このほかに、ビリベルジンやビリルビンがHIV感染防止に効果があるとする報告[6]や喘息の軽減に効果があるとする報告[5]がある。
脚注[編集]
- ^ a b Boron W, Boulpaep E. Medical Physiology: a cellular and molecular approach, 2005. 984-986. Elsevier Saunders, United States. ISBN 1-4160-2328-3
- ^ a b Mosqueda L, Burnight K, Liao S (2005). “The Life Cycle of Bruises in Older Adults”. Journal of the American Geriatrics Society. 53(8):1339-1343. DOI:10.1111/j.1532-5415.2005.53406.x
- ^ Evans JP, Niemevz F, Buldain G, de Montellano PO (July 2008). “Isoporphyrin intermediate in heme oxygenase catalysis. Oxidation of alpha-meso-phenylheme”. J. Biol. Chem. 283 (28): 19530–9. doi:10.1074/jbc.M709685200. PMC 2443647. PMID 18487208. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=2443647.
- ^ a b c Bulmer, AC; Ried, K; Blanchfield, JT; Wagner, KH (2008). “The anti-mutagenic properties of bile pigments”. Mutation research 658 (1–2): 28–41. doi:10.1016/j.mrrev.2007.05.001. PMID 17602853.
- ^ a b c d Ohrui, T; Yasuda, H; Yamaya, M; Matsui, T; Sasaki, H (2003). “Transient relief of asthma symptoms during jaundice: a possible beneficial role of bilirubin”. The Tohoku journal of experimental medicine 199 (3): 193–6. doi:10.1620/tjem.199.193. PMID 12703664.
- ^ McPhee, F; Caldera, PS; Bemis, GW; McDonagh, AF; Kuntz, ID; Craik, CS (1996). “Bile pigments as HIV-1 protease inhibitors and their effects on HIV-1 viral maturation and infectivity in vitro”. The Biochemical journal 320 ( Pt 2) (Pt 2): 681–6. PMC 1217983. PMID 8973584. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=1217983.
関連項目[編集]
- ウロビリン
- ウロビリノーゲン
- ビリルビン
- ステルコビリノーゲン
- ステルコビリン
- 腸肝循環
テトラピロール |
|
ビリン
(線形) |
ビリルビン · ビリベルジン · ステルコビリノーゲン · ステルコビリン · ウロビリノーゲン · ウロビリン
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フィトビリン
|
フィトクロム
|
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フィコビリン
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フィコエリトロビリン · フィコシアノビリン · フィコウロビリン · フィコビオロビリン
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大員環化合物 |
コリノイド
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メチルコバラミン · アデノシルコバラミン · シアノコバラミン
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ポルフィリノーゲン
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ウロポルフィリノーゲン (I, III) · コプロポルフィリノーゲン (I, III)
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ポルフィリン
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Japanese Journal
- ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)による血管内皮細胞上の組織因子, トロンボモジュリンの調節
- 丸山 慶子,森下 英理子,關谷 暁子,長屋 聡美,角野 忠昭,朝倉 英策,中尾 眞二,大竹 茂樹,谷内江 昭宏
- 日本血栓止血学会誌 = The Journal of Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis 20(3), 315-322, 2009-06-01
- … ヘムオキシゲナーゼ(HO)はヘムをビリベルジン,遊離鉄,一酸化炭素に代謝する反応を触媒する酵素であり,HO-1,HO-2およびHO-3のアイソフォームが存在する.近年,世界第一例の先天性HO-1欠損症患者が報告され,凝固・線溶系の著明な活性化の所見がみられ,このことよりHO-1は凝固・線溶系の活性化の調節に密接に関与することが予測された.そこで今回,HO-1による血管内皮細胞上の組織因子(TF),トロンボモジ …
- NAID 10026117537
- 色素関係 ビリベルジン (広範囲 血液・尿化学検査,免疫学的検査(第7版・1)その数値をどう読むか) -- (生化学的検査(1))
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[★]
- 英
- bilirubin
- 同
- ヘマトイジン、類血素 hematoidin
- 関
- 黄疸
血清ビリルビンの由来
- 70-80%が網内系での老廃赤血球の破壊に由来、20-30%が骨髄での無効増血と肝臓での代謝回転の早いヘム由来のシャントビリルビンに由来。
- 70-75%が脾臓、肝臓などで老化赤血球に由来、10-20%が骨髄の無構造血、約10%が肝臓などのヘム蛋白に由来。1日に250-300mg生成される。
- 細網系由来:ヘモグロビンは細胞内秘計でヘムとグロビンに分解され、ヘムはヘムオキシゲナーゼにより開裂切断を受けてビリベル人となり、さらにビリベル人還元酵素の作用を受けて遊離型ビリルビンになる。遊離型ビリルビンは水溶性が低いため血中で血清アルブミンと結合して存在し、肝臓に運ばれてミクロソーム内のUDP-グルクロニダーゼにより、グルクロン酸抱合されて抱合型ビリルビンとなる。抱合型ビリルビンの大部分は胆道系を経て胆汁に排泄され、一部は血液中に漏れだし、尿中に排泄される。胆汁中の縫合ビリルビンは腸内に排泄され腸内細菌により還元されウロビリノゲン隣、大部分は便中に排泄される。一部のウロビリノゲンは小腸で再吸収されて血液中に移行し、大部分は肝臓で処理され胆汁に移行(腸肝循環)するが、一部は尿中に排泄される(LAB.563)。
基準値
血清ビリルビン
- 単位:1 μmol/L = 0.058 mg/dl
(流れが分かる臨床検査マニュアル上 p.13)
HIM.A-4
- total bilirubin: 5.1-22μmolL, 0.3-1.3 mg/dl
- direct bilirubin: 1.7-6.8μmolL, 0.1-0.4 mg/dl
- indirect bilirubin: 3.4-15.2μmolL, 0.2-0.9 mg/dl
ビリルビンの吸収波長
- ■~■
臨床関連
[★]
- 英
- biliverdin IXalpha reductase
- 関
- ビリベルジンIXαレダクターゼ
[★]
- 英
- biliverdin IXalpha reductase
- 関
- ビリベルジンIXα還元酵素
[★]
人名
生理的な音の感受性を考慮した音の強さの単位
- 英
- bel
- 関
- デシベル