フルフェナジン
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Japanese Journal
- 症例 デカン酸フルフェナジンにより悪性症候群が遷延し,修正型電気けいれん療法が著効した1例
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
フルデカシンキット筋注25mg
組成
本剤はフルフェナジンデカン酸エステル注射液をシリンジに充填したキット製剤で,1mL中に下記成分を含有する.
有効成分〔1シリンジ(1mL)中〕
添加物〔1シリンジ(1mL)中〕
禁忌
- 昏睡状態の患者〔昏睡状態を悪化させるおそれがある.〕
- バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者〔中枢神経抑制剤の作用を延長し増強させる.〕
- 重症の心不全患者〔症状を悪化させるおそれがある.〕
- パーキンソン病の患者〔錐体外路症状を悪化させるおそれがある.〕
- フェノチアジン系化合物及びその類似化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
- アドレナリンを投与中の患者(「相互作用」の項参照)
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
- クロザピンを投与中, あるいは投与を検討されている患者〔クロザピンは原則として単剤で使用し, 他の抗精神病薬とは併用しないこととされている.〕(「相互作用」の項参照)
効能または効果
- 統合失調症
- 通常成人には,フルフェナジンデカン酸エステルとして1回12.5〜75mgを4週間隔で筋肉内注射する.
薬量及び注射間隔は病状又は本剤による随伴症状の程度に応じて適宜増減並びに間隔を調節する.
なお,初回用量は,可能な限り少量より始め,50mgを超えないものとする.
慎重投与
- 肝障害又は血液障害のある患者〔肝障害又は血液障害を悪化させるおそれがある.〕
- 褐色細胞腫,動脈硬化症あるいは心疾患の疑いのある患者〔血圧の急速な変動がみられることがある.〕
- 重症喘息,肺気腫,呼吸器感染症等の患者〔呼吸抑制があらわれることがある.〕
- てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者〔痙攣閾値を低下させることがある.〕
- 薬物過敏症の患者
- 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者〔Syndrome malin(悪性症候群)が起こりやすい.〕
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- 高温環境にある者〔体温調節中枢を抑制するため,環境温度に影響されるおそれがある.〕
重大な副作用
Syndrome malin(悪性症候群)(0.1%未満)
- 無動緘黙,強度の筋強剛,嚥下困難,頻脈,血圧の変動,発汗等が発現し,それに引き続き発熱がみられる場合は,投与を中止し,体冷却,水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと.本症発症時には,白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く,また,ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある.なお,高熱が持続し,意識障害,呼吸困難,循環虚脱,脱水症状,急性腎不全へと移行し,死亡した例が報告されている.
無顆粒球症,白血球減少(いずれも頻度不明)
- 無顆粒球症, 白血球減少があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
麻痺性イレウス(0.1%未満)
- 腸管麻痺(食欲不振,悪心・嘔吐,著しい便秘,腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等)を来し,麻痺性イレウスに移行することがあるので,腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること.なお,この悪心・嘔吐は,本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること.
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)
- 低ナトリウム血症,低浸透圧血症,尿中ナトリウム排泄量の増加,高張尿,痙攣,意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので,異常が認められた場合には投与を中止し,水分摂取の制限等適切な処置を行うこと.
遅発性ジスキネジア(頻度不明)
- 抗精神病薬の長期投与により,遅発性ジスキネジア(口周部,四肢等の不随意運動)が発症することがある.通常,抗パーキンソン剤を投与しても,この症状は軽減しない場合があり,本剤投与の継続の必要性を,他の抗精神病薬への変更も考慮して慎重に判断すること.
肺塞栓症,深部静脈血栓症(いずれも頻度不明)
- 抗精神病薬において,肺塞栓症,静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので,観察を十分に行い,息切れ,胸痛,四肢の疼痛,浮腫等が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
薬効薬理
動物での作用
- 中枢ドパミン受容体遮断作用
マウス及びラットでは,筋肉内投与により,弁別回避反応に対する持続的抑制作用5,6),メタンフェタミン誘発運動興奮に対する抑制作用7)及びアポモルフィン誘発常同行動に対する持続的抑制作用8)が認められた.
作用機序
- フルフェナジンデカン酸エステルは筋肉内投与後緩徐に血中へ移行し,移行後は速やかに加水分解されてフルフェナジンとなり,薬理作用を発現する9).
フルフェナジンの作用機序は,まだ完全に明らかにされていないが,中枢神経系におけるドパミン作動性,ノルアドレナリン作動性神経等に対する抑制作用によると考えられている10).
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- フルフェナジンデカン酸エステル,Fluphenazine Decanoate(JAN)
化学名
- 2-〔4-〔3-〔2-(trifluoromethyl)phenothiazin-10-yl〕propyl〕-1-piperazinyl〕ethyl decanoate
分子式
分子量
性状
- 淡黄色〜褐黄色の粘稠な液又はろう状の塊,粉末,若しくはそれらの混じり合ったもので,わずかにエステルようのにおいがある.
メタノール,エタノール(99.5)又はジエチルエーテルに極めて溶けやすく,酢酸(100)に溶けやすく,水にほとんど溶けない.
分配係数
- クロロホルム/水系(pH1〜10)及びオクタノール/水系(pH1〜10)での分配係数を求めた.その結果,各pH域とも有機溶媒層に100%分配された.
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- fluphenazine
- 化
- デカン酸フルフェナジン fluphenazine decanoate
- マレイン酸フルフェナジン fluphenazine maleate
- 塩酸フルフェナジン fluphenazine hydrochloride
- 商
- フルデカシン、フルメジン
- 関
- Permitil, Prolixin。ペルフェナジン。抗精神病薬
-
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義
[★]
- 英
- decanoic acid、decanoate
- 関
- カプリン酸、デカン酸エステル