- 英
- spiperone、spiroperidol
- 商
- スピロピタン
- 関
- スピロペリドール、抗精神病薬
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/01/04 03:19:10」(JST)
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スピペロン
|
IUPAC命名法による物質名 |
8-[4-(4-フルオロフェニル)-4-オキソブチル]-1-フェニル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-4-オン |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
? |
法的規制 |
? |
投与方法 |
経口 |
薬物動態的データ |
代謝 |
肝臓 |
排泄 |
腎臓 |
識別 |
CAS登録番号 |
749-02-0 |
ATCコード |
? |
PubChem |
CID 5265 |
KEGG |
D01051 |
化学的データ |
化学式 |
C23H26FN3O2 |
分子量 |
395.47 g/mol |
スピペロン(すぴぺろん- spiperone)とは、ハロペリドールを元に開発されたブチロフェノン系の旧来の抗精神病薬である。エーザイからスピロピタン(劇)などの名前で発売されている、処方箋医薬品である。
ドーパミン/アンフェタミン・アポモルヒネに対する拮抗作用をもつ。
目次
- 1 薬理
- 2 効能
- 3 副作用
- 4 用法
- 5 スピペロンを有効成分とした主な薬剤
薬理[編集]
スピペロンは、脳の中枢に直接作用し、統合失調症を始めとする様々な精神病に伴う症状(幻覚・妄想)などを改善する働きがあるとされる。その働きは、主に脳内のドーパミンD2受容体を遮断することで効果を発揮するとされる。ハロペリドールを代表とした、従来の定型抗精神病薬に類似する作用を持ち、その向精神作用は強力である。
効能[編集]
効能は主に統合失調症であるが、非定型精神病に対する作用や、興奮状態を鎮める作用(鎮静作用)が強いことから、躁病などの治療にも用いられる。また、先天性の精神疾患以外にも、薬物中毒や更年期障害に伴う精神症状に対しても使用される。強い薬理に対して、深刻な副作用も少なくなく、錐体外路症状の出現や服用量の安全域も広くなかったことから、現在ではほとんど用いられていないのが現状である。
副作用[編集]
スピペロンは、ドーパミンD2受容体拮抗作用により、本来の効果を発揮するが、本来必要としない部分(おもに脳下垂体漏斗系・黒質線条体など)のドーパミン受容体をもブロックしてしまうことから、パーキンソン病のような症状 パーキンソン症候群 や、手足が震えてきたりするといった、錐体外路症状を起こしてしまうことがある。この場合、副作用を軽減する薬と併用することがある。また、鎮静のかかりすぎ(過鎮静)による抑うつ症状や、無表情、睡眠障害が起きることがある。その他の細かい副作用は、ブチロフェノン系薬剤全般における副作用に準ずる。
また、極めて稀ではあるが、抗精神病薬には悪性症候群といった、高熱が続き 冷や汗や筋肉の引きつり 極度の無動が起きるといった症状を伴う事があるので、スピペロンを服用する際には注意が必要である。(特に飲み始め)
用法[編集]
通常、成人に対して1日1回 0.25~1 mg をスピペロンとして1~4回に分けて服用する。1日量は、2.25~4mgであるが、体格、年齢などにより増減する。また、1日量は4.5mgを超えてはいけない。
スピペロンを有効成分とした主な薬剤[編集]
- スピロピタン錠0.25mg <エーザイ>
- スピロピタン錠1mg <エーザイ>
抗精神病薬 (N05A) |
|
定型抗精神病薬 |
ブチロフェノン系: アザペロン Benperidol ブロムペリドール Droperidol Fluanisone ハロペリドール Lenperone Moperone ピパンペロン スピペロン Trifluperidol; Diphenylbutylpiperidines: Clopimozide Fluspirilene Penfluridol Pimozide; フェノチアジン系: アセプロマジン Acetophenazine Butaperazine Carphenazine Chlorproethazine クロルプロマジン Cyamemazine Dixyrazine フルフェナジン レボメプロマジン Mesoridazine Perazine プロペリシアジン ペルフェナジン Piperacetazine Pipotiazine Prochlorperazine プロマジン プロメタジン Propiomazine Sulforidazine Thiethylperazine Thiopropazate Thioproperazine Thioridazine Trifluoperazine Triflupromazine; Thioxanthenes: Chlorprothixene Clopenthixol Flupentixol Thiothixene Zuclopenthixol; Tricyclics: アモキサピン Butaclamol Carpipramine Loxapine Metitepine/Methiothepin Octoclothiepin; Others: Molindone Oxypertine Prothipendyl
|
|
非定型抗精神病薬 |
Azapirones: ペロスピロン Tiospirone; ベンザミド系: Amisulpride Levosulpiride ネモナプリド Remoxipride スルピリド スルトプリド Tiapride Veralipride; ブチロフェノン系: Cinuperone Setoperone; Tricyclics: Asenapine Clotiapine クロザピン Fluperlapine Metitepine/Methiothepin モサプラミン オランザピン クエチアピン Tenilapine ゾテピン; Others: Amperozide アリピプラゾール Bifeprunox ブロナンセリン Cariprazine Iloperidone ルラシドン Ocaperidone パリペリドン Pardoprunox Pimavanserin リスペリドン Sertindole Ziprasidone
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|
Others |
Cannabidiol D-Cycloserine Mifepristone Reserpine Rimcazole Secretin Talnetant Tetrabenazine Vabicaserin
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Japanese Journal
- アリピプラゾール,スピペロン,スルピリド,ゾテピン,ネモナプリド,ピパンペロン塩酸塩,ピモジド,モペロン塩酸塩 (医薬品・医療機器等安全性情報(No.265)) -- (重要な副作用等に関する情報)
- N-^<11>Cメチルスピペロン及び^<11>CラクロプライドによるドーパミンD_2受容体イメージング
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
スピロピタン錠0.25mg
組成
- 1錠中にスピペロン0.25mgを含有する淡黄赤色の糖衣錠である。
添加物として黄色5号、カルナウバロウ、結晶セルロース、合成ケイ酸アルミニウム、小麦粉、ステアリン酸カルシウム、精製白糖、ゼラチン、タルク、沈降炭酸カルシウム、トウモロコシデンプン、乳糖水和物、白色セラック、ポビドン、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、ミツロウを含有する。
禁忌
- 昏睡状態の患者又はバルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者
〔中枢神経抑制作用を増強させるおそれがある。〕
- 重症の心不全患者
〔症状を悪化させるおそれがある。〕
- パーキンソン病のある患者
〔錐体外路症状があらわれやすい。〕
- 本剤の成分又はブチロフェノン系化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
- アドレナリンを投与中の患者
〔「相互作用」の項参照〕
効能または効果
錠
- 最初約1週間は、スピペロンとして1日0.5〜1.5mg(1日量として、0.25mg錠:2〜6錠、1mg錠:1錠)、以後漸増しスピペロンとして1日1.5〜4.5mg(1日量として、0.25mg錠:6〜18錠、1mg錠:2〜4錠)を経口投与する。
なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。
散
- 最初約1週間は、スピペロンとして1日0.45〜1.5mg(1日量として、0.15〜0.5g)、以後漸増しスピペロンとして1日1.5〜4.5mg(1日量として、0.5〜1.5g)を経口投与する。
なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。
慎重投与
- 肝障害のある患者
〔病状を悪化させるおそれがある。〕
- 心・血管疾患、低血圧又はそれらの疑いのある患者
〔一過性の血圧降下があらわれることがある。〕
- てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
〔痙攣閾値を低下させることがある。〕
- 高齢者〔「高齢者への投与」の項参照〕
- 小児〔「小児等への投与」の項参照〕
- 薬物過敏症の既往歴のある患者
重大な副作用
悪性症候群(Syndrome malin)
頻度不明
- 無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、他のブチロフェノン系化合物の投与中、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行し、死亡した例が報告されている。
腸管麻痺
頻度不明
- 腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
突然死
頻度不明
- 他のブチロフェノン系化合物による治療中、原因不明の突然死がおきたとの報告がある。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
頻度不明
- 類似化合物(ハロペリドール等)で、低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることが報告されている。
無顆粒球症、白血球減少
頻度不明
- 無顆粒球症、白血球減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
肺塞栓症、深部静脈血栓症
頻度不明
- 抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
ハロペリドールタイプの作用
- 本薬は、ラットによる実験で抗ノルアドレナリン作用、条件回避反応抑制作用、カタレプシー惹起作用、眼瞼下垂作用、抗アポモルフィン作用、抗トリプタミン作用、抗アンフェタミン作用等の傾向からハロペリドールタイプの薬剤に分類される。1)
抗精神病作用
- 本薬の薬理作用は、ラットによる実験で抗精神病薬の中では、特にカタレプシー惹起作用、抗アポモルフィン作用が強いことが特徴である。Haaseによると、統合失調症に対し、本薬はハロペリドールの10倍以上、また、クロルプロマジンの400倍の力価をもつといわれる。1) 2)
鎮静作用、賦活作用
- 本薬は大量投与で鎮静作用、少量投与で賦活作用の二面性をもつので、統合失調症の幅広い症状に奏効する。3)
作用機序
- 本剤の作用機序は、黒質−線条体路をはじめとするドパミン作動性中枢神経におけるドパミン受容体遮断作用である。
有効成分に関する理化学的知見
一 般 名
化 学 名
- 8‐〔3‐(p‐fluorobenzoyl)propyl〕‐1‐phenyl‐1,3,8‐triazaspiro〔4, 5〕decan‐4‐one
分 子 式
分 子 量
構 造 式
物理化学的性状
- スピペロンは白色又はわずかに黄色を帯びた粉末又は結晶性の粉末である。
本品は酢酸(100)に溶けやすく、クロロホルムにやや溶けやすく、メタノール、エタノール(95)又はアセトンにやや溶けにくく、ジエチルエーテルに極めて溶けにくく、水又は2‐プロパノールにほとんど溶けない。本品は0.1mol/L塩酸試液にほとんど溶けない。
本品は光により徐々に変化する。
融 点
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- serotonin receptor
- 同
- 5-HT受容体
- 関
- セロトニン
セロトニン受容体 (GOO.300)
- 5-HT3受容体はリガンドの結合により開閉してNa+, K+の等価に関わる。ニコチン性受容体に似ている。(GOO.299)
セロトニン受容体
-
- リガンドの結合に共役してK+チャネルを開口→過分極→電位依存性カルシウムチャネルを抑制
- 脳幹の縫線核、に局在
- 鎮静作用をしめすセロトニン作動性ニューロンが存在
- somatodendritic 5-HT1A autoreceptors descrease raphe cell fireing when activated by 5-HT released from axon collaterals of the same or adjacent neurons. (GOO.301)
- 5-HT1B
- 5-HT1C
- 5-HT1D
- 5-HT1E
[★]
- 英
- spiroperidol
- 関
- スピペロン
統合失調症治療薬;ブチロフェノン系