出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/08/07 19:48:53」(JST)
ケトン (ketone) は R−C(=O)−R' (R, R' はアルキル基など)の構造式で表される有機化合物群。身近な物質の中では、除光液として用いられるアセトン (R, R' が -CH3の場合) が代表例である。
R または R' が水素原子であるときは、アルデヒドという。環状不飽和炭化水素のパラ位がカルボニル基になっているものはキノンと呼ばれる。
目次
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ケトンを命名する場合、カルボニル基の位置を示す数字とともに、対応するアルカンの語尾に one をつけるか、接頭語 oxo を用いる。(→IUPAC命名法)
例: 2-ブタノン (2-butanone) / 2-オキソブタン (2-oxobutane)
第二級アルコールをクロム酸酸化やスワーン酸化などで酸化するとケトンが得られる。
ハロゲン化アシルとギルマン試薬を反応させるとカップリングによりケトンが生成する。
フリーデル・クラフツ反応によるアシル化で芳香族ケトンを得ることができる。
アルケンをオゾン酸化すると2分子のケトンが得られる。
ほか、ケトンを生成する人名反応として、ピナコール転位、マンニッヒ反応、クライゼン転位などが挙げられる。
水素結合性はアルコールほど強くはないが、カルボニル基が持つ極性のため、低分子量のケトンは極性溶媒、非極性溶媒を問わず溶解性は良好である。
化学的には比較的安定であるが、グリニャール試薬や有機リチウムなど、求核性の強い有機金属とは反応し、続いて酸で加水分解すると第三級アルコールが得られる。
また、水素化アルミニウムリチウムやボランなどで還元すると第二級アルコールになり、クレメンゼン還元やウォルフ・キッシュナー還元ではメチレン化合物 R-CH2-R' になる。
酸触媒下に2分子のアルコールと脱水縮合させるとアセタールが得られ、これはケトンの保護法のひとつである。
ウィッティヒ反応やマクマリー反応により、アルケンに変えることができる。
ほか、アルドール縮合、バイヤー・ビリガー酸化、シュミット反応、ヴィルゲロット反応など、ケトンを基質とする化学反応は数多い。
ケトンとアルデヒドとを区別するには、還元性を持たないケトンは銀鏡反応やフェーリング反応を起こさないことが利用できる。ただし、糖のケトースは、ケトン構造を持つにも関わらず、還元性を有するため、この方法でアルドースと区別することはできない。メチルケトン構造の検出のためには、ヨードホルム反応が利用できる。
薄層クロマトグラフィーでは 2,4-ジニトロフェニルヒドラジンを呈色試薬として用いることで検出できる。
最も単純なケトンはアセトン(プロパノン)で、工業的にはクメン法によって作られる。糖尿病の際に排泄されるケトンは主としてアセトンである。これは糖や脂肪を代謝する際に自然に生成するもので、過剰に生成されると血中に排出されて毒性を発揮することになる。これを予防するには代謝を改善することが必要である。
主鎖の炭素がケイ素に置き換わった構造(R-Si(=O)-R')はシラケトン(silaketone)と呼ばれる。
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ケトンのカルボニル基COとカルボキシル基のCOOHを含む有機化合物
ケト酸(ケトさん、Keto acid)は、ケトン基とカルボキシル基を含む有機酸である。
ケト酸のタイプには次のようなものがある。
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