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表・話・編・歴
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ガンマ線(ガンマせん、γ線、英: Gamma ray)は、放射線の一種。その実体は、波長がおよそ 10 pm よりも短い電磁波である。
目次
- 1 概要
- 2 発見
- 3 ガンマ線の放出
- 4 他の放射線との比較
- 5 利用
- 6 放射線医学における最低線量
- 7 脚注
- 8 関連項目
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概要
X線とは波長領域(エネルギー領域)の一部が重なっており、ガンマ線とX線との区別は波長ではなく発生機構によっている。そのため、波長からガンマ線かX線かを区別することはできない。正式には、原子核内のエネルギー準位の遷移を起源とするものをガンマ線と呼び、軌道電子の遷移を起源とするものをX線と呼ぶ。ただし、発生機構の違いを明確に別ける必要がない場合には、波長領域による区分として一意的に扱い、紫外線を超えるエネルギー領域(短い波長領域)の電磁波をまとめてガンマ線と呼ぶこともある[要出典]。1.022MeV以上のエネルギーを持つガンマ線が消滅するとき、電子と陽電子が対生成されることがある。逆に、電子と陽電子が対消滅する際、ガンマ線が発生し、反対方向に0.511MeVのガンマ線が2本放出される。
発見
1900年にフランスのポール・ヴィラールは、透過性が高く電荷を持たない放射線を発見し、この放射線は1903年にイギリスのアーネスト・ラザフォードによって gamma ray(ガンマ線)と名付けられた。
ガンマ線の放出
放射性核種が崩壊して質量や陽子・中性子の比率が変わっても、その原子核には過剰なエネルギーが残存している場合がある。このとき、残存しているエネルギーをガンマ線として放出することで原子核は安定に向かう。この現象をガンマ崩壊と呼ぶ。放出するガンマ線のエネルギー領域は核種によって様々である。核種によっては単一領域のガンマ線しか出さないものもあるが、一般的には複数領域のガンマ線を出す。同じ元素でも、同位体によって現象は下の例のように異なる。
- 81Kr この核種は 275.988 keV の1領域のみ放出。
- 88Kr この核種は最低 27.513keV、最高 2,771.02 keV の88領域を放出。
- 割合で多い順から3種挙げると、2,392.11 ke V(34.6%)、196.301 keV (25.98%)、2,195.842 keV (13.18%) である。
理化学研究所によれば、冬期の日本本州・日本海沿岸地域において雷雲の活動に伴い自然放射線が増える現象を調査していたところ、雷雲から10 MeV(1×10-9 mSv)のガンマ線を40秒間観測し、雷雲が粒子加速器の働きをしていることが分かった。なお、雷雲からのガンマ線量は1回の胸部X線で浴びる放射線量の2億分の1程度と計算されている[1]。
他の放射線との比較
ヘリウム4の原子核であるアルファ粒子は一枚の紙すら通過できず、ベータ線の実態である電子では1cmのプラスチック板で十分遮蔽できるが、電磁波であるガンマ線では10cmの鉛板が必要となる。
- アルファ粒子・ベータ粒子と比べると透過能力は高いが、電離作用は弱く、放射線荷重係数が小さい。
- ガンマ線の遮蔽には、比重の重い物質(鉛、鉄、コンクリートなど)が使われる。一般によく利用される鉛(11.3g/cm3)では、10 cmの厚さで約1/100 - 1/1000に減衰される。ガンマ線は飛程が長い上、電荷を持たないので電磁気力を使って方向を変えられないため、ガンマ線からの防護は他の放射線と比較して難しい。
- また、ガンマ線の持つ電離作用により、DNAを傷つけることによる発がん作用などがある。致死線量は6グレイ前後である。
利用
一般的なガンマ線源としては、コバルトの放射性同位体であるコバルト60(60Co)が用いられる。これは安定同位体のコバルト59(59Co)を原子炉内で中性子線に晒す事で放射化により生成され、医薬品や医療廃棄物、食品などのガンマ線滅菌、工業的なX線写真(溶接部X線写真)などに使われている。
放射線医学における最低線量
「放射線医学」、「被曝」、および「低線量被曝問題」を参照
2003年に米国アメリカ合衆国エネルギー省の低線量放射線研究プログラムによる支援等を受けて[2]米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された論文によれば、人の癌リスクの増加の十分な証拠が存在するエックス線やガンマ線の最低線量は、瞬間的な被曝では、10-50mSv、長期被曝では5-10mSvであることが示唆されている[3]。
脚注
- ^ 日本海側の冬の雷雲が40秒間放射した10 MeVガンマ線を初観測 -冬の雷雲が天然の粒子加速器である証拠をつかむ- 独立行政法人 理化学研究所
- ^ David J. Brenner et al. (2003). “Cancer risks attributable to low doses of ionizing radiation: Assessing what we really know”. PNAS 100 (24): 13761-13766. doi:10.1073/pnas.2235592100. http://www.pnas.org/content/100/24/13761.full. "This work was supported in part by the U.S. Department of Energy Low-Dose Radiation Research Program."
- ^ 翻訳:調麻佐志, 【翻訳論文】「低線量被ばくによるがんリスク:私たちが確かにわかっていることは何かを評価する」PNAS(2003), “海外癌医療情報リファレンス”, 一般社団法人 サイエンス・メディア・センター, http://smc-japan.org/?p=2037 2011年8月26日閲覧。
関連項目
- アルファ崩壊
- アルファ粒子
- ベータ崩壊
- ベータ粒子
- ガンマ崩壊
- ガンマ線天文学
- ガンマ線バースト
- ガンマ線透過写真撮影作業主任者
- ガンマ線滅菌
- 不妊虫放飼
- 食品照射(放射線を用いた食品の殺菌・殺虫技術)
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関連項目
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放射線物理学 |
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放射線と健康 |
基本概念
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放射線の利用
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法律・資格
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放射線管理区域 - 放射線管理手帳 - 放射線取扱主任者 - 技術士原子力・放射線部門 - 原子炉主任技術者 - 核燃料取扱主任者 - エックス線作業主任者 - ガンマ線透過写真撮影作業主任者 - 電離放射線障害防止規則 - 放射線同位元素等による放射線障害の防止に関する法律 - 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律
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放射線と健康影響
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放射線障害 - 急性放射線症候群 - 低線量被曝問題 - ホットパーティクル - バイスタンダー効果 - ペトカウ効果 -ホルミシス効果 - 原爆ぶらぶら病 - 原爆症 - チェルノブイリ・エイズ
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関連人物
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ユーリ・バンダジェフスキー - ワシリー・ネステレンコ - クリストファー・バズビー - アーネスト・スターングラス - レオ・キンレン - トーマス・トゥーイ - 高木仁三郎 - 小出裕章 - 中川恵一 - 山下俊一
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放射能汚染
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放射性降下物 - 核の冬 - 原子力事故 - 風下住民 - 集団積算線量 - 汚い爆弾 - 放射能兵器 - 原発震災 - 臨界事故 - 環境半減期 - 除染 - 放射能汚染対策 - CBRNE
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関連団体
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国内
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海外
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世界保健機関(WHO) - 国際放射線防護委員会(IAEA) - 原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR) - 欧州放射線リスク委員会(ECRR) - ドイツ放射線防護協会 - アメリカ原子力委員会(AEC) - アメリカ合衆国原子力規制委員会(NRC) - COMARE - 核戦争防止国際医師会議(IPPNW)
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Category:放射線
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- 42歳の男性。右手への放射線被曝のために来院した。
- ガンマ線照射装置を使い、工場内の放射線装置室で、圧力容器の放射線検査を担当している。一か所の検査を終えた後、自動遠隔操作で放射線源を線源容器に収納しようとしたが、装置不具合が発生したため、手動に切り替えて作業を行った。その際、放射線源が本来の向きとは逆向きに線源容器に収納されたが、気付かずに次の検査を行おうとしたため、右手が直接に露出した放射線源に触れて被曝した。当日はそのまま帰宅したが、翌日同僚に付き循われて来院した。自覚症状はない。右手皮膚の色調は正常。手指に感覚異常をみとめない。他の身体所見に異常はない。
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