- 英
- trichotillomania
- 同
- 抜毛癖
- 関
- トリコチロマニー
WordNet
- an irresistible urge to pull out your own hair
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2020/03/20 22:46:27」(JST)
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抜毛症 |
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抜毛症の一例 |
分類および外部参照情報 |
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診療科・ 学術分野 |
精神医学, 心理学 |
---|
ICD-10 |
F63.3 |
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ICD-9-CM |
312.39 |
---|
DiseasesDB |
29681 |
---|
MedlinePlus |
001517 |
---|
eMedicine |
derm/433 |
---|
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抜毛症(ばつもうしょう、Trichotillomania、トリコチロマニア)とは、正常な毛を引き抜いてしまう癖によって脱毛斑が出現する精神障害。抜毛癖(ばつもうへき)[1]とも呼ばれ、また主に頭髪を引き抜く症例が目立つことから禿頭病(とくとうびょう)とも呼ばれる。DSM-IVやICD-10では、衝動制御の障害に含まれる。本人が全く自覚せずに、無意識のうちに抜いている場合もある[2][1]。人によっては症状が5、6年経っても治らない人もいる。年齢別・男女比等の統計データ
定義
「精神障害#定義」も参照
精神医学的障害の一種である。自傷行為の一つ
頻度
一説によると人口の0.5〜2%が抜毛症だとされる。しかし、医者の考えや判断によってこの割合はかなり変化するため、あまり正確な情報ではない。小学生から思春期の女子に多いが[2]、成人も発症する[1]。頻度としては円形脱毛症の10〜20%であるが、抜毛行為自体は学童期の癖としてはかなり多い。また、家庭や学校での人間関係で悩んでいる場合が多い。知能低下はないことが多い。大人しい内向的性格に多いとされる。抜毛症男女比及び年齢別グラフ[3]
原因
様々な要素が複合して起こるものとされ、明確な一つの原因はない。かつては、ストレスや不安が主な原因であると考えられていた。しかし、最近では抜毛症は神経細胞と脳のコミュニケーションの一部に支障があるために起こるという説も有力である。ただ、現段階ではいずれの説も推測の域を越えてはいない。
症状
脱毛斑は手の届きやすい前頭部に多い。前の方が利き腕側に偏って脱毛し、直線上の脱毛斑になる。毛の太さも正常で抜けやすさはない。毛を食べてしまう食毛症を合併している場合がある。また、頭髪のみならず、眉毛やまつげなどの体毛を抜くこともある[1]。脱毛に因る地肌の傷が出来た際、かさぶたを無理にはがして食べることや、爪噛みをして爪を食べることも、広義においては認められる。
治療
よく患児の悩みを聞くとともに、毛を抜くことを怒ったりせず家族や周囲の人々が温かく接することが大事である。症状が強い場合、精神科などでの治療も必要である[1]。認知行動療法と薬物療法が有効であることを示す事例もある[4]。現時点では抜毛症に効果のある薬は開発されていない。効果的な治療法もない為、抜毛症の大きな問題としては何処の病院へ行けば良いのかが不明確である。
また、先述のようにストレスや不安が原因である場合の治療については、「ストレス管理」「ストレス#対処」や「全般性不安障害#治療」も参照。
サプリメント
N-アセチルシステイン投与で一部に改善が見られたとの報告がある[5]。
脚注
- ^ a b c d e 嵯峨賢次 『家庭医学大全科-ビッグ・ドクター-最新版』「抜毛癖」 法研、2004年。
- ^ a b 小林太刀夫監修 『最新家庭の医学』 第12次改訂版、時事通信社、2001年。
- ^ “2019年9月現在の 抜毛症 統計の発表”. 一般社団法人日本抜毛症改善協会. 2019年10月20日閲覧。
- ^ 小野真吾、天保英明、栗林理人、兼子直 (2001).毛症を伴った神経性食欲不振症の1女性例(第50回 日本心身医学会東北地方会 プログラム・抄録集).心身医学 2001年 41巻 6号 p.475-, doi:10.15064/jjpm.41.6_475_1
- ^ Grant, J. E.; Odlaug, B. L.; Won Kim, S. (2009). “N-Acetylcysteine, a Glutamate Modulator, in the Treatment of Trichotillomania: A Double-blind, Placebo-Controlled Study”. Archives of General Psychiatry 66 (7): 756–63. doi:10.1001/archgenpsychiatry.2009.60. PMID 19581567.
関連項目
- 強迫性障害
- 脱毛症
- 皮膚むしり症
- 食毛症
- 円形脱毛症
- 皮膚科学
精神と行動の障害(ICD-F - 290-319) |
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器質性 / 症状性 |
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認知症 |
- 軽度認知症
- アルツハイマー型認知症
- 多発性脳梗塞認知症
- ピック病
- クロイツフェルト・ヤコブ病
- ハンチントン病
- パーキンソン病
- AIDS認知症症候群
- 前頭側頭型認知症
- 日没症候群
- 認知症徘徊
| その他 |
- せん妄
- 脳振盪後症候群
- 器質脳症候群
- 他の症状性を含む器質性精神障害
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|
| 精神作用物質使用、薬物乱用による障害 |
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- 薬物中毒 / オーバードース
- 身体依存
- 薬物依存症
- 反跳作用
- 離脱
|
| 統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害 |
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- 統合失調症
- 統合失調型障害
- 持続性妄想性障害
- 急性一過性精神病性障害
- 感応性妄想性障害
- 統合失調感情障害
- 他の非器質性精神病性障害
- 特定不能の非器質性精神病
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| 気分障害(感情障害) |
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- 躁病 - 軽躁病
- 双極性障害(I型 - II型 - 気分循環症)
- 抑うつ症状(大うつ病性障害 - 気分変調症 - 季節性情動障害 - 非定型うつ病 - メランコリー型うつ病)
|
| 神経症 - ストレス関連 - 身体表現性障害 |
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不安障害 |
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- 社会恐怖 / 社交不安障害(対人恐怖)
- 特定の恐怖症(閉所恐怖症)
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| その他 |
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| 適応障害 | | 身体表現性障害 |
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- 疾病恐怖
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- 神経衰弱
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| 未分類 |
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- 緊張病
- 想像妊娠
- 精神運動性激越
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- 1. 皮膚むしり症(かきむしり)および関連疾患skin picking excoriation disorder and related disorders [show details]
…Obsessive-Compulsive Scale ; The Psychiatric Institute Trichotillomania Scale ; The Trichotillomania Scale for Children ; The Milwaukee Inventory for Styles of Trichotillomania-Child Version ; A skin biopsy may be useful …
- 2. 醜形恐怖症:評価、診断、鑑別診断body dysmorphic disorder assessment diagnosis and differential diagnosis [show details]
…diagnostic criteria for BDD are fulfilled, BDD should be diagnosed rather than trichotillomania, and a separate diagnosis of trichotillomania should not be made. Skin picking (excoriation) disorder is marked …
- 3. 脱毛の評価および診断evaluation and diagnosis of hair loss [show details]
…sparing of the occipital scalp The frequency of this condition increases with age. Trichotillomania – Trichotillomania is a disorder in which individuals repeatedly pluck hairs from the scalp or other hair-bearing …
- 4. 成人における強迫性障害:疫学、病因、臨床症状、経過、および診断obsessive compulsive disorder in adults epidemiology pathogenesis clinical manifestations course and diagnosis [show details]
…in individuals with OCD than in those without the disorder include body dysmorphic disorder, trichotillomania (hair pulling disorder), and excoriation (skin picking) disorder . OCD is much more common in …
- 5. 円形脱毛症:臨床症状および診断alopecia areata clinical manifestations and diagnosis [show details]
…potassium hydroxide (KOH) or fungal culture can confirm a diagnosis of tinea capitis. Trichotillomania – Trichotillomania is a disorder in which individuals compulsively pull hair from the scalp or other body …
Japanese Journal
- 臨床研究・症例報告 Rapunzel症候群を発症した自閉スペクトラム症の1例
- 立川 友博,下村 英毅,田中 靖彦,大植 孝治,竹島 泰弘
- 小児科臨床 = Japanese journal of pediatrics 73(4), 515-518, 2020-04
- NAID 40022193824
- 抜毛症女児の母親を交えたMSSM三人法による心理療法過程 : 母子関係の変容と新たな自我形成をめぐって
- 石川 秀樹
- 箱庭療法学研究 31(1), 53-63, 2018
- … ところが,3ヶ月後,セラピストが心理面接をする必要があると告げて,本人も心理面接の再開を決心してから,「父親イメージ」が表れて,抜毛症は解消した。 … コラージュ療法を通して,抜毛症が解消しただけではなく,対人関係も改善した。 …
- NAID 130007502006
Related Links
- 抜毛症の対処法・治し方…髪の毛を抜く癖の原因と対策 【医師が解説】髪の毛を抜く癖がやめられなくなる「抜毛症」。時に頭皮の一部の髪がすっかりなくなるほど重症化することもあり、治療が必要な心の病気です。
- 症状 抜毛症の症状 抜毛症は、自らの毛を引き抜いてしまう 『癖・習慣』 です。 その『癖』には強い反復性があるため、自分では止めようと思っていても抜くことを繰り返してしまいます。 抜け毛(ぬけげ)ではなく、 ...
- 抜毛症とは? 体毛自体の病気ではなく、自分で自分の髪の毛、眉毛、まつげなどを繰り返し抜いてしまい、頭皮などの皮膚が脱毛状態になってしまう病気です。皮膚には異常はありませんから、毛を抜くことをやめれば、毛は再度生えてきます。
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- 英
- somatoform disorder, somatoform disorders
- ICD-10
- F45
- 関
- 疼痛性障害、身体化障害、身体化、神経性障害 neurotic disorders
- 除
- 解離性障害(F44.-)、抜毛(F98.4)、舌たらず(F80.0)、舌もつれ(F80.8)、爪かみ(F98.8)、他に分類される障害あるいは疾患と関連した心理的あるいは行動的要因(F54)、指しゃぶり(F98.8)、チック障害(F95.-)、トゥレット症候群(F95.2)、抜毛症(F63.3)
- 診察や検査所見は繰り返し陰性で症状には身体基盤はないという医師の保証にもかかわらず、さらなる医学的検索を執拗に要求すると共に繰り返し身体症状を訴えるもの。
F45.0
- 身体化障害
F45.1
- 鑑別不能型[分類困難な]身体表現性障害
F45.2
- 心気障害
F45.3
- 身体表現性自律神経機能不全
F45.30
F45.31
F45.32
F45.33
F45.34
F45.38
F45.4
- 持続性身体表現性疼痛障害
F45.8
- 他の身体表現性障害
F45.9
- 身体表現性障害,特定不能のもの
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- 英
- trichotillomania
- 同
- 抜毛症、抜毛癖、毛髪痒感狂
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抜毛症、トリコチロマニー
[★]
- 英
- sis, pathy