- 英
- programmed cell death、PCD
- 関
- アポトーシス、プログラム死、予定死
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2018/01/22 16:18:16」(JST)
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プログラム細胞死(プログラムさいぼうし、英: Programmed cell death, PCD)は多細胞生物における不要な細胞の計画的(予定・プログラムされた)自殺である。組織傷害などで細胞死を起こす壊死と異なり、一般にはPCDは生物の生命に利益をもたらす調節されたプロセスである。PCDは植物、動物、一部の原生生物で正常な組織形成や病原体などによる異常への対処として働く。
目次
- 1 分類
- 2 植物のPCD
- 3 細胞性粘菌におけるPCD
- 4 引用文献
- 5 外部リンク
分類
プログラム細胞死は、細胞死を起こしたときの形態学上の違いから次の3つのタイプに分類されている:
- タイプ1細胞死
- アポトーシスによるもの。クロマチンが凝縮して細胞核が断片化するという形態上の特徴を示す。動物におけるPCDの重要な一形式である。
- タイプ2細胞死
- オートファジーを伴う細胞死である。細胞質内にオートファゴソームと呼ばれる小胞が形成されるという形態上の特徴を示す。細胞核の萎縮が見られるが、断片化はあまり見られない[1][2]。
- タイプ3細胞死
- ネクローシス型のプログラム細胞死でネクロトーシス(またはネクロプトーシス)(英語版) と呼ばれる。細胞内小器官や細胞質膜の膨化を形態上の特徴とする。
- タイプ3細胞死を、リソソームに依存するかどうかの違いによって3Aと3Bに分類することもある(Clarkeによる1990年の分類)
植物のPCDはオートファジー性細胞死に近いが、植物と原生生物で保存されているPCDの共通特徴もある。
PCDの概念は1964年(「アポトーシス」の語ができる8年前)昆虫の組織発達に関して用いられた。PCDはアポトーシスより一般的な広い概念として用いられた。植物でも「アポトーシス」の語を使うことがあるが、これは正確でない。
植物のPCD
維管束植物ではPCDは発達と形態維持において重要な役割を担っている。木部(導管)は細胞壁の肥厚とPCDによって形成される。
植物のPCDは動物と共通した点(たとえばDNAの断片化)もあるが、導管形成では液胞の崩壊が核の分解の引金となるという点は特殊である[3]。一方ヒマワリの細胞質雄性不稔ミトコンドリアで、動物と同様に重要な役割を担うことが示唆されている[4]。
また植物ではウイルスなどの病原体を封じ込める過程として「過敏感細胞死」がよく知られている。これも液胞の崩壊によって惹き起こされるが、最近、反応の中心となる液胞のプロテアーゼ(動物のカスパーゼ類似の活性をもつが機能は異なると考えられる)が同定された[5]。
- 花粉のPCDと自家不和合性
- 自家不和合性は自分自身の花粉で受精できない現象である。ヒナゲシの自家不和合性で雌蕊のタンパク質が自己の花粉に花粉管生長の阻害とPCDを起こさせることが示された[6]。
細胞性粘菌におけるPCD
細胞性粘菌(原生生物)のDictyostelium discoideum(英語版) は、はじめはバクテリアを捕食する単細胞アメーバ状だが、餌が少なくなると合体してナメクジ状の偽変形体になる。これはさらに茎を形成しその上に子実体を形成して胞子を作る。茎は一種のPCDを経て死んだ細胞からなるが、このPCDはオートファジー性細胞死の性質(小胞の形成、クロマチンの凝縮)を有する。ただしDNAの断片化は起こらない。これは植物のPCDに似ている[7]。
引用文献
- ^ Schwartz, L.M., S.W. Smith, M.E. Jones, and B.A. Osborne(1993). "Do all programmed cell deaths occur via apoptosis?" PNAS 90(3): 980-984.
- ^ Bursch W, Ellinger A, Gerner C, Fröhwein U, Schulte-Hermann R.(2000). "Programmed cell death (PCD). Apoptosis, autophagic PCD, or others?" Ann N Y Acad Sci 926:1-12.
- ^ Ito, J. and H. Fukuda(2002). "ZEN1 is a key enzyme in the degradation of nuclear DNA during programmed cell death of tracheary elements" Plant Cell 14: 3201-3211.
- ^ Balk, J. and C.J. Leaver(2001). "The PET1-CMS mitochondrial mutation in sunflower is associated with premature programmed cell death and cytochrome c release" Plant Cell 13: 1803-1818.
- ^ Hatsugai N, Kuroyanagi M, Yamada K, Meshi T, Tsuda S, Kondo M, Nishimura M, Hara-Nishimura I.(2004) "A plant vacuolar protease, VPE, mediates virus-induced hypersensitive cell death. Science 305: 855-858.
- ^ Thomas, S.G., and V.E. Franklin-Tong(2004). "Self-incompatibility triggers programmed cell death in Papaver pollen." Nature 429: 305-309.
- ^ Levraud, J.P. et al.(2003) "Dictyostelium cell death : early emergence and demise of highly polarized paddle cells" Journal of Cell Biology 160(7): 1105-1114.
外部リンク
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 免疫療法 (特集 肺癌 : 診断と治療の進歩) -- (治療)
- 猪瀬 悠理,柴田 亮行,内山 真一郎
- 東京女子医科大学雑誌 84(E1), E91-E101, 2014-01-31
- … グルタミン酸濃度調節機構が不具合を生じるため、細胞外グルタミン酸濃度が高度に上昇し、興奮性神経毒性をもたらす.病巣の血行が自然に回復することなく、あるいは適切な処置が施されないと、残存するニューロンがプログラム細胞死によって失われてゆく.従って、ペナンブラ相当領域におけるグリアの活動性を制御することは、脳梗塞巣の拡大を阻止し、ひいては患者の機能的予後の改善に繋がると期待される. …
- NAID 110009752560
- 滝口 裕一
- 日本内科学会雑誌 103(6), 1330-1336, 2014
- 腫瘍免疫にはCTLA-4,PD-1,PD-L1などの分子を介した抗原提示細胞,細胞傷害性Tリンパ球,癌細胞間の相互作用が重要である.メラノーマではこれら分子に対する単クローン抗体薬が腫瘍縮小,生存期間延長効果を示すことが証明された.進行肺癌に対しても活性が確認されており,生存期間延長に寄与するか精力的な臨床試験が行われている.非特異的免疫反応増強による組織障害の副作用についても研究が求められる.
- NAID 130005075590
Related Links
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- プログラム細胞死:その分子機序と発生における生理的な役割 2012年9月1日 三浦 正幸 (東京大学大学院薬学系研究科 遺伝学教室) email:三浦正幸 領域融合レビュー, 1, e002 (2012) DOI: 10.7875/leading.author.1.e002 Masayuki ...
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★リンクテーブル★
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- 英
- apoptosis
- 関
- 細胞死、プログラム細胞死
臨床関連
アポトーシス異常
免疫
- 自己免疫病
- lprマウスやgldマウスと同じ症状を呈する
参考
- http://www.nature.com/nrm/journal/v3/n6/fig_tab/nrm832_F1.html
- PMID 12042767
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- 英
- programmed death、apoptosis、apoptotic
- 関
- ア・トーシス、ア・プトーシス、プログラム細胞死、予定死、ア・トーシス性
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- apoptosis、apoptotic
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- ア・トーシス、プログラム細胞死、プログラム死、予定死、ア・トーシス性
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- ア・トーシス、ア・プトーシス、プログラム細胞死、プログラム死
[★]
- 英
- cell death
- 関
- アポトーシス、プログラム細胞死、ネクローシス
アポトーシスとネクローシスの違い
|
アポトーシス
|
ネクローシス
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形態
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濃縮、分断化
|
溶解
|
膜の強度
|
保たれる
|
失われる
|
ミトコンドリア
|
影響を受けない
|
膨潤、Ca取り込み
|
クロマチン
|
偏在化、濃縮
|
凝集
|
タンパク質合成阻害
|
死が阻害されうる ・actinomycin D ・CHX
|
なし
|
原因
|
糖質コルチコイド、ホルモン刺激の低下、過剰な刺激、中程度の毒
|
強い毒、低酸素、pHの大きな変動
|
典型例
|
胸腺←糖質コルチコイド
|
肝臓←肝毒性物質
|
細胞の変化
|
リソソームは変化無し
|
リソソームが破裂する
|
核の変化
|
特定の長さに切断
|
ランダムに切断
|
最初の徴候
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エンドヌクレアーゼの活性化
|
小疱形成、膨潤
|
[★]
- 英
- death
- 同
- 死亡、脳死、心臓死
[★]
- 英
- rhm
- 同
- 照射線量率定数 exposure rate constant
[★]
- 英
- pro
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- 英
- program、program
- 関
- 計画