- 英
- sodium ion, Na+
- 関
- ナトリウム
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/05/22 13:19:21」(JST)
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|
外見 |
銀白色
ナトリウムのスペクトル線 |
一般特性 |
名称, 記号, 番号 |
ナトリウム, Na, 11 |
分類 |
アルカリ金属 |
族, 周期, ブロック |
1, 3, s |
原子量 |
22.98976928(2) g·mol-1 |
電子配置 |
[Ne] 3s1 |
電子殻 |
2,8,1(画像) |
物理特性 |
相 |
固体 |
密度(室温付近) |
0.968 g·cm-3 |
融点での液体密度 |
0.927 g·cm-3 |
融点 |
370.87 K, 97.72 °C, 207.9 °F |
沸点 |
1156 K, 883 °C, 1621 °F |
臨界点 |
(推定)2573 K, 35 MPa |
融解熱 |
2.60 kJ·mol-1 |
蒸発熱 |
97.42 kJ·mol-1 |
熱容量 |
(25 °C) 28.230 J·mol-1·K-1 |
蒸気圧 |
圧力 (Pa) |
1 |
10 |
100 |
1 k |
10 k |
100 k |
温度 (K) |
554 |
617 |
697 |
802 |
946 |
1153 |
|
原子特性 |
酸化数 |
+1, 0, -1
(強塩基性酸化物) |
電気陰性度 |
0.93(ポーリングの値) |
イオン化エネルギー
(詳細) |
第1: 495.8 kJ·mol-1 |
第2: 4562 kJ·mol-1 |
第3: 6910.3 kJ·mol-1 |
原子半径 |
186 pm |
共有結合半径 |
166±9 pm |
ファンデルワールス半径 |
227 pm |
その他 |
結晶構造 |
体心立方構造 |
磁性 |
常磁性 |
電気抵抗率 |
(20 °C) 47.7 nΩ·m |
熱伝導率 |
(300 K) 142 W·m-1·K-1 |
熱膨張率 |
(25 °C) 71 µm·m-1·K-1 |
音の伝わる速さ
(微細ロッド) |
(20 °C) 3200 m/s |
ヤング率 |
10 GPa |
剛性率 |
3.3 GPa |
体積弾性率 |
6.3 GPa |
モース硬度 |
0.5 |
ブリネル硬度 |
0.69 MPa |
CAS登録番号 |
7440-23-5 |
最安定同位体 |
詳細はナトリウムの同位体を参照 |
同位体 |
NA |
半減期 |
DM |
DE (MeV) |
DP |
22Na |
trace |
2.602 y |
β+→γ |
0.5454 |
22Ne* |
1.27453(2)[1] |
22Ne |
ε→γ |
- |
22Ne* |
1.27453(2) |
22Ne |
β+ |
1.8200 |
22Ne |
23Na |
100 % |
中性子12個で安定 |
|
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ナトリウム(独・羅: Natrium[2][※ 1][※ 2]、英: sodium[※ 3])は原子番号11の元素。元素記号は Na。アルカリ金属元素の一つで、典型元素である。医薬学や栄養学などの分野ではソジウム(ソディウム)[※ 3]とも言う。また、ナトリウムの単体金属を指す。消防法第2条第7項及び別表第一第3類1号により第3類危険物に指定されている。
目次
- 1 歴史
- 2 単体
- 2.1 性質
- 2.2 生産
- 2.3 用途
- 2.4 主な化学反応
- 3 化合物
- 3.1 オキソ酸の塩
- 3.2 ハロゲン化物
- 3.3 酸化物・水酸化物
- 3.4 その他の無機塩
- 3.5 有機酸塩
- 4 同位体
- 5 脚注
- 6 関連項目
- 7 外部リンク
歴史
1807年、ハンフリー・デービーが水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を電気分解することにより発見した。ナトリウムという名称は天然炭酸ソーダを意味するギリシャ語の νίτρον[3]、あるいはラテン語の natron(ナトロン)[4]に由来するといわれる。
ドイツ語では Natrium、英語では sodium と呼ばれ、何れも近代にラテン語として造語された単語である(現代ラテン語では natrium が使われる)。日本にはドイツ語から輸入され、ナトリウムという名称が定着した。元素記号はドイツ語から Na になった一方、IUPAC名は英語から sodium とされている。
単体
性質
常温、常圧での結晶構造は、BCC 構造(体心立方構造)。融点は98 °Cで、沸点は833 °C(他に883 °C、881 °Cという実験値あり)。比重は0.97で、わずかに水より軽い。
非常に反応性の高い金属で、酸、塩基に侵され、水と激しく反応する。下記に示される化学反応過程を経て水酸化ナトリウムとなるため、素手で触れると手の表面にある水分と化合し水酸化ナトリウムとなって皮膚を侵す。さらに空気中で容易に酸化されるため、保存する時は灯油に浸ける。後述化学反応に示すようにアルコール等のプロトン溶媒とも反応するがエーテルや灯油とは反応しないため、灯油等を保存液体として使用する。イオン化する時は一価の陽イオンになりやすい。炎色反応で黄色を呈する。
200 GPa(約200万気圧)の高圧下では、結晶構造が変化し、金属光沢を失い透明になる[5]。
生産
水酸化物や塩化物を融解塩電解することによって単体を得られる。カストナー法(原料 NaOH)、ダウンズ法(原料 NaCl)が知られる。2006年まで、新潟県に立地する日本曹達二本木工場が、国内で唯一工業的規模の金属ナトリウム製造を行っていたが、現在は操業を停止している。海外ではフランスのMAAS社とアメリカのDuPont社がダウンズ法で生産している[6]。日本の輸入量は2007年で3055トンであった[7]。またカストナー法は工業生産としては使用されていない。
用途
熱伝導率がよく、高温でも液体で存在するため、単体としては高速増殖炉の冷却材として用いられる。高性能自動車エンジンの排気バルブのステム内部に封入し熱伝導を向上させる用途にも使われる。そのほかに、負極にナトリウム、正極に硫黄を使った、NaS電池がある。これは大型の非常用電源や、風力発電のエネルギー貯蔵に利用される。ナトリウムからの発光(ナトリウムのD線、D1: 589.6 nmとD2: 589.0 nm)はナトリウムランプに使われている。
生体にとっては重要な電解質の一つであり、ヒトではその大部分が細胞外液に分布している。神経細胞や心筋細胞などの電気的興奮性細胞の興奮には、細胞内外のナトリウムイオン濃度差が不可欠である。細胞外濃度は 135–145 mmol/l程度に保たれており、細胞外液の陽イオンの大半を占める。そのため、ナトリウムイオンの過剰摂取は濃度維持のための水分貯留により、高血圧の大きな原因となる。
主な化学反応
- 水と反応して水素を発生させながら水酸化ナトリウム (NaOH) になる。
- Na + H2O → NaOH + 1/2 H2
- 発熱反応・低融点のため水に固体ナトリウムを投げ込むとナトリウムが反応熱で溶融し細粒化して反応面積が激増して爆発する
- アルコール、カルボン酸、フェノール類などのヒドロキシ基と反応して水素を発生させながらアルコキシドなどを与える。
- Na + ROH → RONa + 1/2 H2(アルコール:R = アルキル基、フェノール類:R = 芳香族置換基)
- Na + RCOOH → RCOONa + 1/2 H2
- ハロゲンの単体と結合(反応)して、塩になる。
- Na + 1/2 Cl2 → NaCl
化合物
記事カテゴリ Category:ナトリウムの化合物 も参照。
オキソ酸の塩
- 炭酸水素ナトリウム(重曹)(NaHCO3)
- 炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)(Na2CO3)
- 過炭酸ナトリウム (2Na2CO3・3H2O2)
- 亜二チオン酸ナトリウム(亜ジチオン酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト)(Na2S2O4)
- 亜硫酸ナトリウム (Na2SO3)
- 亜硫酸水素ナトリウム (NaHSO3)
- 硫酸ナトリウム(芒硝)(Na2SO4)
- チオ硫酸ナトリウム(ハイポ)(Na2S2O3)
- 亜硝酸ナトリウム (NaNO2)
- 硝酸ナトリウム (NaNO3)
ハロゲン化物
- フッ化ナトリウム (NaF)
- 塩化ナトリウム(食塩)(NaCl)
- 臭化ナトリウム (NaBr)
- ヨウ化ナトリウム (NaI)
酸化物・水酸化物
- 酸化ナトリウム (Na2O)
- 過酸化ナトリウム (Na2O2)
- 水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)(NaOH)
その他の無機塩
- 水素化ナトリウム (NaH)
- 硫化ナトリウム (Na2S)
- 硫化水素ナトリウム(水硫化ナトリウム)(NaHS)
- 珪酸ナトリウム (Na2SiO3)
- リン酸三ナトリウム (Na3PO4)
- ホウ酸ナトリウム (Na3BO3)
- 水素化ホウ素ナトリウム (NaBH4)
- シアン化ナトリウム(青酸ナトリウム)(NaCN)
- シアン酸ナトリウム (NaOCN)
- テトラクロロ金酸ナトリウム (Na[AuCl4])
有機酸塩
- 酢酸ナトリウム (CH3COONa)
- クエン酸ナトリウム
同位体
詳細は「ナトリウムの同位体」を参照
脚注
注釈
- ^ ドイツ語発音: [ˈnaːtriʊm] ナートリウム
- ^ ラテン語発音: [ˈnatriʊm] ナトリウム
- ^ a b 英語発音: /ˈsoʊdiəm/ ソウディアム
出典
- ^ Endt, P. M. ENDT, ,1 (1990) (12/1990). “Energy levels of A = 21-44 nuclei (VII)”. Nuclear Physics A 521: 1. doi:10.1016/0375-9474(90)90598-G.
- ^ http://www.encyclo.co.uk/webster2/search.php
- ^ 近角、木越、田沼「最新元素知識」東京書籍、1976年
- ^ 桜井「元素111の新知識」BLUE BACKS、講談社、1997年。 ISBN 4-06-257192-7
- ^ Yanming Ma et al., "Transparent dense sodium", Nature 458, 182-185 (2009). doi:10.1038/nature07786
- ^ “Sodium Metal from France”. U.S. International Trade Commission. 2012年8月4日閲覧。
- ^ 『15509の化学商品』 化学工業日報社、2009年2月。ISBN 978-4-87326-544-5。
関連項目
|
ウィキメディア・コモンズには、ナトリウムに関連するカテゴリがあります。 |
外部リンク
- ナトリウムの特性(原子力百科事典 ATOMICA)
- ナトリウム冷却システム(原子力百科事典 ATOMICA)
- ナトリウム取扱い技術(原子力百科事典 ATOMICA)
- ナトリウムの安全性(1次系ナトリウム)(原子力百科事典 ATOMICA)
- ナトリウムの安全性(蒸気発生器および2次系ナトリウム) (原子力百科事典 ATOMICA)
- ナトリウム - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- ナトリウムと水の反応動画
- DuPount社Reactive Metals部門HP
周期表(未発見元素を含む) |
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1 |
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3 |
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10 |
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12 |
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17 |
18
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1 |
H |
|
He |
2 |
Li |
Be |
|
B |
C |
N |
O |
F |
Ne |
3 |
Na |
Mg |
|
Al |
Si |
P |
S |
Cl |
Ar |
4 |
K |
Ca |
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Sc |
Ti |
V |
Cr |
Mn |
Fe |
Co |
Ni |
Cu |
Zn |
Ga |
Ge |
As |
Se |
Br |
Kr |
5 |
Rb |
Sr |
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Y |
Zr |
Nb |
Mo |
Tc |
Ru |
Rh |
Pd |
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Cd |
In |
Sn |
Sb |
Te |
I |
Xe |
6 |
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Ba |
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Pm |
Sm |
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Tb |
Dy |
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Tm |
Yb |
Lu |
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W |
Re |
Os |
Ir |
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Au |
Hg |
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Pb |
Bi |
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At |
Rn |
7 |
Fr |
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Th |
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U |
Np |
Pu |
Am |
Cm |
Bk |
Cf |
Es |
Fm |
Md |
No |
Lr |
Rf |
Db |
Sg |
Bh |
Hs |
Mt |
Ds |
Rg |
Cn |
Uut |
Fl |
Uup |
Lv |
Uus |
Uuo |
アルカリ金属 |
アルカリ土類金属 |
ランタノイド |
アクチノイド |
遷移金属 |
その他の金属 |
半金属 |
その他の非金属 |
ハロゲン |
希ガス |
不明 |
|
ナトリウムの化合物 |
|
二元化合物 |
Na3As · NaAt · NaBr · Na2C2 · NaCl · NaF · NaH · NaI · NaI3 · NaN3 · Na3N · NaO2 · NaO3 · Na2O2 · Na2O · Na2Po · Na3P · Na2S · Na2Se · Na2Te
|
|
三元化合物 |
Na3AlF6 · NaAlH4 · NaAuCl4 · Na3BF4 · NaBH4 · Na2B4O7 · NaCH3 · Na2C2O4 · NaCN · Na2CN2 · NaHF2 · NaHS · NaHSe · NaNH2 · NaOH · NaPF6 · Na2PtCl4 · Na2PtCl6 · Na2SiF6
|
|
四元・五元化合物 |
CH3COONa · C6H5ONa · HCOONa · NaBH3CN · Na[B(OH)4] · Na3[Fe(CN)6] · Na4[Fe(CN)6] · NaOCH3 · NaOCH2CH3 · NaOCN · NaSCN · Na2[Zn(OH)4]
|
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ナトリウムの化合物 - ナトリウムのオキソ酸塩 |
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ナトリウムのオキソ酸塩 |
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正塩 |
NaAlO2 · Na3AsO3 · Na3AsO4 · Na4As2O7 · Na5As3O10 · NaBiO3 · NaBO2 · Na2B8O13 · Na3BO3 · NaBrO · NaBrO2 · NaBrO3 · NaBrO4 · NaClO · NaClO2 · NaClO3 · NaClO4 · NaClO5 · Na2CO3 · Na2CO4 · Na2C2O5 · Na2C2O6 · Na2CrO4 · Na2Cr2O7 · NaFO · Na2FeO4 · Na2GeO3 · NaIO · NaIO3 · NaIO4 · Na5IO6 · NaMnO4 · Na2MnO4 · Na3MnO4 · NaNO2 · NaNO3 · Na2N2O2 · Na2N2O3 · NaPH2O2 · Na2PHO3 · Na2PO3F · Na3PSO3 · Na3PS2O2 · Na3PO4 · Na4P2O7 · Na5P3O10 · NaReO4 · Na2SeO3 · Na2SeO4 · Na2SiO3 · Na2Si2O5 · Na2SO3 · Na2SO4 · Na2SO5 · Na2S2O3 · Na2S2O4 · Na2S2O5 · Na2S2O6 · Na2S2O7 · Na2S2O8 · Na2S3O6 · NaTcO4 · Na2TiO3 · Na4TiO4 · Na2Ti3O7 · Na2TeO3 · NaVO3 · Na3VO4 · Na2WO4 · Na2XeO4 · Na4XeO6 · AlNa(SO4)2
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水素塩 |
NaHCO3 · Na2H3IO6 · Na3H2IO6 · NaH2PO4 · Na2HPO4 · Na2H2P2O7 · Na3HP2O7 · NaHSeO3 · NaHSeO4 · NaHSO3 · NaHSO4
|
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ナトリウムの化合物 - ナトリウムのオキソ酸塩 |
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 岡田 重人,朴 選一
- 電気化学および工業物理化学 : denki kagaku 79(6), 470-476, 2011-06-05
- NAID 10028111974
- ナトリウムイオン二次電池--大規模蓄電用途への可能性 (復興需要マテリアル特集(その2)停電時でも電気が使える,発電所から一般家庭までニーズ増 「蓄電システム」に貢献するマテリアル)
Related Links
- 神経細胞や心筋細胞などの電気的興奮性細胞の興奮には、細胞内外のナトリウム イオン濃度差が不可欠である。細胞外濃度は 135?145 mmol/l程度に保たれており、 細胞外液の陽イオンの大半を占める。そのため、ナトリウムイオンの過剰摂取は濃度 維持の ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ダイアニールPD-2 4.25腹膜透析液
組成
成分・分量(w/v%)
- 成分 化学式 分量
ブドウ糖 C6H12O6 3.86
塩化ナトリウム NaCl 0.538
乳酸ナトリウム C3H5NaO3 0.448
塩化カルシウム CaCl2・2H2O 0.0257
塩化マグネシウム MgCl2・6H2O 0.00508
電解質濃度
- 電解質 化学式 濃度(mEq/L)
ナトリウムイオン Na+ 132
カルシウムイオン Ca2+ 3.5
マグネシウムイオン Mg2+ 0.5
塩素イオン Cl− 96
乳酸イオン C3H5O3− 40
禁忌
- 横隔膜欠損のある患者[胸腔へ移行し、呼吸困難が誘発されるおそれがある]
- 腹部に挫滅傷又は熱傷のある患者[挫滅又は熱傷の治癒を妨げるおそれがある]
- 高度の腹膜癒着のある患者[腹膜の透過効率が低下しているため]
- 尿毒症に起因する以外の出血性素因のある患者[出血により蛋白喪失が亢進し、全身状態が悪化するおそれがある]
- 乳酸代謝障害の疑いのある患者[乳酸アシドーシスが誘発されるおそれがある]
効能または効果
- 慢性腎不全患者における腹膜透析(高マグネシウム血症や代謝性アシドーシスの改善が不十分な場合に用いる)。
- ダイアニール-N PD-2 1.5腹膜透析液、2.5腹膜透析液、ダイアニールPD-2 4.25腹膜透析液及びダイアニール-N PD-4 1.5腹膜透析液、2.5腹膜透析液、ダイアニールPD-4 4.25腹膜透析液は、各々次のような場合に使用すること。
ダイアニール-N PD-2 1.5腹膜透析液、2.5腹膜透析液、ダイアニールPD-2 4.25腹膜透析液
- 高マグネシウム血症や代謝性アシドーシスの改善が不十分な場合
ダイアニール-N PD-4 1.5腹膜透析液、2.5腹膜透析液、ダイアニールPD-4 4.25腹膜透析液
- 高マグネシウム血症や代謝性アシドーシスの改善が不十分で、かつ炭酸カルシウム製剤や活性型ビタミンD製剤の投与により高カルシウム血症をきたすおそれのある場合
- 腹腔内に注入し、透析治療を目的とした液として使用する。通常、成人では1回1.5〜2Lを腹腔内に注入し、4〜8時間滞液し、効果期待後に排液除去する。以上の操作を1回とし、体液の過剰が1kg/日以下の場合、通常1日あたりダイアニール-N PD-2 1.5腹膜透析液のみ3〜4回の連続操作を継続して行う。体液の過剰が1kg/日以上認められる場合、通常ダイアニール-N PD-2 2.5腹膜透析液を1〜4回、またはダイアニールPD-2 4.25腹膜透析液を1〜2回処方し、ダイアニール-N PD-2 1.5腹膜透析液と組合せて1日あたり3〜5回の連続操作を継続して行う。なお、注入量、滞液時間、操作回数は症状、血液生化学値及び体液の平衡異常、年齢、体重などにより適宜増減する。注入及び排液速度は、通常300mL/分以下とする。
- ダイアニール-N PD-2 1.5腹膜透析液は患者の体液の過剰が1kg/日以下の場合、これのみを1日に3〜4回交換使用すること。ダイアニール-N PD-2 2.5腹膜透析液は患者の体液の過剰が1kg/日以上の場合に通常1日に1〜4回処方し、ダイアニール-N PD-2 1.5腹膜透析液と組み合せて交換使用すること。ダイアニールPD-2 4.25腹膜透析液は高浸透圧液であり、これのみを使用する場合には脱水を起こすことがあるので、急速な除水や多量の除水を必要とする時で、患者の体液の過剰が1kg/日以上の場合に、通常、1日に1〜2回処方し、ダイアニール-N PD-2 1.5腹膜透析液と組み合せて交換使用すること。体液過剰の状況は、患者の体重と基準体重とを比較検討し決定する。基準体重は浮腫がなく、細胞外液の過剰に基づくと考えられる心不全等の症状がない状態で測定した体重値である1)。
- ダイアニール-N PD-2 1.5腹膜透析液、2.5腹膜透析液の2.5Lは2L貯留を施行しているCAPD患者で透析不足による全身倦怠感、食欲不振、不眠等の尿毒症症状が認められる場合、又は1日5回以上の透析液交換に不都合を感じている場合に、患者の腹腔内容積や肺活量に応じて(体重60kg以上を目安とする)2Lに代え適用する。
慎重投与
- 腹膜炎、腹膜損傷、腹膜癒着及び腹腔内臓器疾患の疑いのある患者[腹膜炎、腹膜損傷、腹膜癒着及び腹腔内臓器疾患が悪化又は誘発されるおそれがある]
- 腹部手術直後の患者[手術部位の治癒を妨げるおそれがある]
- 糖代謝障害の疑いのある患者[糖代謝異常が悪化又は誘発されるおそれがある]
- ジギタリス治療中の患者[ジギタリス中毒が誘発されるおそれがある]
- 食事摂取が不良の患者[栄養状態が悪化するおそれがある]
- 腹部ヘルニアのある患者[腹部ヘルニアが悪化するおそれがある]
- 腰椎障害のある患者[腰椎障害が悪化するおそれがある]
- 憩室炎のある患者[憩室炎が腹膜炎合併の原因となるおそれがある]
- 人工肛門使用患者[細菌感染を起こすおそれがある]
- 利尿剤を投与している患者[水及び電解質異常が誘発されるおそれがある]
- 高度の換気障害のある患者[胸腔圧迫により換気障害が悪化するおそれがある]
- 高度の脂質代謝異常のある患者[高コレステロール血症、高トリグリセライド血症が悪化するおそれがある]
- 高度の肥満がみられる患者[肥満を増長させるおそれがある]
- 高度の低蛋白血症のある患者[低蛋白血症が悪化するおそれがある]
- ステロイド服用患者及び免疫不全患者[易感染性であるため]
重大な副作用
- 急激な脱水による循環血液量の減少、低血圧、ショック等があらわれることがあるので、このような場合には本剤の投与を中止し、輸血、生理食塩液、昇圧剤の投与等適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- ダイアニールPD-2は腎によって通常排泄される毒物や代謝物の除去、また体液及び電解質液平衡の是正を目的として腹腔内へ腹膜カテーテルを通じて注入し、一定時間経過後排液するものである。浸透と拡散は透析液と患者の血漿間の腹膜を介して行われる。これにより、血漿電解質濃度は拡散により正常域に近づき、また血中に高濃度で存在する毒物や代謝物は腹膜を介して透析液に移動する。ダイアニールPD-2はダイアニールよりマグネシウムを低く、重炭酸の前物質である乳酸を高く調整してあるので、高マグネシウム血症及び代謝性アシドーシスが更に是正される。透析液中のブドウ糖により血漿と比較して高浸透圧にすることで浸透圧勾配をつくり、患者から腹腔内に水を除去する。6、7、8、9)
★リンクテーブル★
[★]
ナトリウムイオン sodium ion
[★]
- 関
- Na+
[★]
- 英
- sodium ion channel
- 関
- ナトリウムチャネル
[★]
- 英
- sodium, natrium, Na
- 関
- Na+
血液(血清)中のナトリウム (臨床検査法提要第32版)
尿中のナトリウム
- <20 mEq/l (正常と判断できる範囲)
- >40 mEq/l (腎性腎不全を示唆)
尿Na,Kと血清Naによる血清Naの予測
- 経口摂取と輸液による自由水の摂取がなければ
- 尿([Na+]+[K+]) < 血清[Na+] → 血清[Na+]上昇
- 尿([Na+]+[K+]) = 血清[Na+] → 血清[Na+]普遍
- 尿([Na+]+[K+]) > 血清[Na+] → 血清[Na+]低下
食品中の食塩量
- ほとんどの製品ラベルに記載されている、ナトリウム[g]はそのまま食塩量[g]と考えることができないので、指導する債には注意を促す。
- 分子量から考えるとNa(23), Cl(35.5)なので、ナトリウムx[g]は食塩 x /23 * (23 + 35.5)、つまり2.54 * x [g]となる。
- 例えば、小生が常食している某社のインスタントラーメンにはナトリウム2[g]との記載があるが、これは5.08gの食塩が含まれているということになる。もちろんスープは全部飲む。1日3袋食べたことがあるのだが、、、
臨床関連
[★]
- 英
- thorium、Th
- 関
- トロトラスト、232Th
概念
- 参考1
- 原子番号:90
- 元素記号:Th
- アクチノイド元素の一つ
- 銀白色の金属。
- 安定同位体は存在しない。
- 北欧神話の軍神または雷神トールにちなんで名づけられた。
同位体
- 参考1
同位体
|
NA
|
半減期
|
DM
|
DE (MeV)
|
DP
|
228Th
|
trace
|
1.9116 y
|
α
|
5.52
|
224Ra
|
229Th
|
syn
|
7340 y
|
α
|
5.168
|
225Ra
|
230Th
|
trace
|
75380 y
|
α
|
4.77
|
226Ra
|
231Th
|
trace
|
25.5 h
|
β
|
0.39
|
231Pa
|
232Th
|
100 %
|
1.405 × 1010 y
|
α
|
4.083
|
228Ra
|
234Th
|
trace
|
24.1 d
|
β
|
0.27
|
234Pa
|
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0
[★]
- 英
- Io
- 関
- カリスト、ユーロパ、ガニメデ、木星
[★]
- 英
- bird、avian
- 関
- 鳥類
[★]
- 英
- ion
- 関
- イオン性