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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/24 21:31:11」(JST)
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光療法(ひかりりょうほう)とは、一部の睡眠障害やうつ病に有効とされる治療法の一種である。また、生体リズムを整える効果があるとして、健康法の一種としても用いられることがある。高照度の光を浴びる治療法を高照度光照射療法(こうしょうどひかりしょうしゃりょうほう)と呼ぶ場合もあるが、光を遮ることを治療法に盛り込む場合もあるため、ここでは光療法の呼び名で両者を合わせて説明する。
目次
- 1 歴史
- 2 光療法の適用
- 2.1 睡眠障害
- 2.2 冬季うつ病 (季節性情動障害)
- 2.3 うつ病(非季節性情動障害)
- 2.4 新生児黄疸
- 3 照射光
- 4 関連項目
- 5 脚注
- 6 参考文献
- 7 外部リンク
歴史
精神科医のノーマン・E・ローゼンタールを含む複数人のグループによって、季節によって症状が出る時期と出ない時期があるうつ病患者の研究を行った成果として、1982年に高照度光照射療法が確立された。
光療法の適用
睡眠障害
睡眠障害(非器質性睡眠障害)のうち、とくに概日リズム睡眠障害全般に有効とされている。人間には、明るい光を浴びると体内時計がリセットされ、それとともにメラトニンの分泌が抑制され、一定時間後(約15時間後)に再び分泌される。眠気を司るメラトニンの分泌タイミングを光を用いてコントロールすることで、外界環境と睡眠相とのずれを補正することを主軸とした治療法である。[1]
睡眠相後退症候群は、外部環境に対して睡眠相が遅れたまま進められない状態とされている。また、非24時間睡眠覚醒症候群は、人間が本来持っている25時間周期の睡眠周期を、24時間周期の外部環境に合わせることができない(差の1時間の遅れを取り戻せない)状態とされている。光療法では、起床直後に高照度の光を浴びることで、外部時間に対する睡眠相の遅れや睡眠周期による生体リズムの遅れをリセットする効果を持つと考えられている。
睡眠相前進症候群は、外部環境に対して睡眠相が進んだまま遅らせられない状態とされている。光療法では、就寝前の時間帯に高照度の光を浴びることで、睡眠相を遅らせる効果を持つと考えられている。また、午前中に、サングラスを掛けるなどの方法で意図的に光を浴びる量を減らす治療を併用する場合もある。
冬季うつ病 (季節性情動障害)
季節性情動障害(季節性うつ病)のうち、冬季うつ病にとくに有効とされる。冬季うつ病は、セロトニンの欠乏による受容体の感受性が亢進することが原因であるとする「セロトニン仮説」があり、高照度の光を長時間浴びることでこれが改善されることによるものと考えられている。但し、軽い躁状態の場合は躁転する可能性があるため、光治療を避ける場合もある。
うつ病(非季節性情動障害)
光療法は非季節性のうつ病の治療にも有効であることが実証された[2]。光療法がうつ病に効果があるかどうかは古くから検討されてきたものの、有効、無効の両方の報告があり、有効であることの決定的な証拠はなかったが、最新の研究成果によりその有効性が実証されるに至っている。
新生児黄疸を治療するための白色光光線療法を受けている新生児
新生児黄疸
光療法は、光照射によりビリルビンを異性化させたり新生児が尿や便を介して排泄できるような化合物に変換させたりすることによって新生児黄疸の治療に使用されている[3]。新生児黄疸の一般的な治療法はビリライト(en:Bili light)である。
照射光
照度と時間については諸説があり、医療機関によって指示される照度と時間は異なるが、2,500ルクス以上で有効との意見が多い。しかし、実際の治療では、5,000-10,000ルクス程度の照度を30分-1時間程度照射するケースが多い。有効/無効に個人差はあるが、有効の場合は数日-2週間程度で効果が現れると言われる。また、改善した状況を維持するため、効果発生後も定期的に実施するように指示される場合もある。
自然光でもよいが、光の照射時間を変えられる点(睡眠障害治療では夜間に照射するケースがある)、照度調整が可能である点(明るすぎる場合、人によっては不快に感じる)、室内使用可能である点(うつ状態では、そもそも戸外に出たがらない)などから、治療目的では人工光が用いられるケースが多い。
自然光を用いる場合、とくに健康法を目的とする場合、「朝日を浴びる」という表現が用いられることがあるが、曇り空は約10,000ルクス、雨空であっても約5,000ルクスと光療法としての照度は充分あるため、必ずしも日光を浴びる必要はない。もちろん約10,000ルクスの照度を持つ「朝日を浴びる」ことができるなら、それが最高の光療法である。
関連項目
- 睡眠障害
- 概日リズム睡眠障害
- 睡眠相前進症候群
- 睡眠相後退症候群
- うつ病
- 季節性情動障害
- 認知症
- アルツハイマー型認知症
- ヴァーストゥ・シャーストラ
- 高エネルギー可視光線
- サングラス
脚注
- ^ 高照度光療法の総合サイト - 光療法とは
- ^ 「8.うつ病の時間生物学的治療」 睡眠医療 第2巻 第1号 2007 (株)ライフサイエンス
- ^ Newman TB, Kuzniewicz MW, Liljestrand P, Wi S, McCulloch C, Escobar GJ (May 2009). "Numbers needed to treat with phototherapy according to American Academy of Pediatrics guidelines". Pediatrics 123 (5): 1352–9. doi:10.1542/peds.2008-1635. PMC 2843697. PMID 19403502.
参考文献
- 文部科学省:光の治療的応用―光による生体リズム調節―
外部リンク
- 光療法の総合サイト
- 「うつ病治療に光療法が有効であることが実証された」 プレスリリース
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- 次の文を読み、13~15の問いに答えよ。
- 56歳の男性。言動の異常を心配した妻に伴われて来院した。担当医の要請で精神保健指定医が診察した。
- 現病歴 : 1週前に全身倦怠感を訴え内科を受診したところ、肝機能異常の悪化を指摘され、自宅療養と断酒とを指示された。毎日欠かさなかった焼酎4~6合/日の晩酌を止め、安静に専念していたが、数日前から頭痛、発汗および不眠を訴え始め、ついで精神的に焦燥感が強く不機嫌になってきた。昨日、部屋の中に虫がたくさんいて、おそってくる。」と大声をあげておびえ、虫を身体から払う動作を繰り返したり、家の外に逃げだそうとした。家族がいくら否定しても聞き入れない。夜になってますます不穏となり、昨夜は全く眠っていない。
- 既往歴 : 肝障害のため2年前に投薬を受けたことがある。
- 生活歴 : 妻と息子2人の4人家族。20歳時からの大酒家であるが、仕事には真面目な家具職人として現在に至る。
- 現症 : 身長165cm、体重65kg。体温36.5℃。脈拍110/分、整。血圧140/80mmHg。全身の発汗が著明。神経学的診察では細かな手指振戦を認める他は異常を認めない。いろいろ質問しても注意が散漫で何度も聞き直す。時には質問の内容にそぐわない答えが返ってくる。時間や場所に開する見当識や記銘カは明らかに障害されている。診察中にも、「虫がいる。」と言って何度も診察室から逃げだそうとする。入院を勧めても、「こんな恐ろしいところにいたくない。」と頑として入院を拒否する。
- 検査所見 : 血液所見:赤血球400万、Hb 11.0g/dl、Ht38%、白血球9,600、血小板17万。血清生化学所見:空腹時血糖110mg/dl、総蛋白6.0g/dl、アンモニア30μg/dl(基準18~48)、総ビリルビン1.0mg/dl、AST(GOT)150単位(基準40以下)、ALT(GPT)60単位(基準35以下)、LDH 430単位(基準176~353)、アルカリホスファターゼ 260単位(基準260以下)、γ-GTP240単位(基準8~50)。
- この患者の治療法として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
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- 英
- method、law
- 関
- 測定法、測定方法、訴訟、方法、法律学、手法、方式、法律
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- 英
- illumination, lux, illuminance, intensity of illumination
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- 英
- therapy、regimen、cure、remedy、therapeutic