出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/08/14 01:45:08」(JST)
この項目では、物理量について説明しています。佐賀藩の軍艦については「電流丸」をご覧ください。 |
電磁気学 | ||||||||||||
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電気 · 磁性 | ||||||||||||
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表・話・編・歴
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電流 current |
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量記号 | I, J |
次元 | I |
種類 | ベクトル |
SI単位 | アンペア (A) |
プランク単位 | プランク電流 |
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電流(でんりゅう、electric current) は、電子のような荷電粒子[注 1]の移動に伴う電荷の移動(電気伝導)のこと、およびその物理量として、ある面を単位時間に通過する電荷の量のことである[1]。
「電流」の向きは電子の流れと逆向きであり、高電位(プラス)から低電位(マイナス)の方向である。これは、電子発見以前の定義が間違っていたためである。今日では「電流とは、電子の流れとは逆向きに発生する仮想的な正電荷の流れ」と辻褄合わせの再定義を行うことによって、それまで発見された偉大な「向きの間違った」法則をそのまま使用する事が出来る。
電流における電荷を担っているのは、電線などの電気伝導体では移動する電子であり、電解液ではイオンであり、プラズマでは両方である[2]。
電流の大きさは国際単位系のアンペアで表され、単位記号はAである[3]。また、1アンペアの電流で1秒間に運ばれる電荷が1クーロンとなる。電流は電流計を使って測定する[1]。数式中で電流量を表すときは I または J で表現される。
狭義には、電位差によって引き起こされる荷電粒子の流れのことを言う。これには電磁誘導によって引き起こされる誘導電流もある。
時間的に流れる向きが変化しない電流は直流電流と呼ばれ、時間と共に流れの方向が変わる電流は交流電流と呼ばれる[4]。交流の電流値を表す方法としては、通常実効値が使われる。
固体の電気伝導性のある金属には、伝導電子に由来する移動可能な自由電子がある。それらの電子は金属格子に束縛されているが、個々の原子には束縛されていない。外部から電場が適用されなくとも、それらの電子は熱エネルギーの作用で無作為に動いている。しかしそれらの動きを平均すると、単なる金属内の電流は全体としてはゼロになっている。電線を輪切りにするような方向のある面を想定したとき、その面の一方からもう一方へ移動する電子の個数(時間も任意)は平均すると逆方向に移動する電子の個数と同じになっている。ジョージ・ガモフの科学啓蒙書『宇宙=1、2、3…無限大』(1947年)には、次のように記されている。
金属は他の物質とは異なり、原子の外側の殻がやや緩やかに縛られているため、電子が1個自由となることが多い。そのため金属の中は、あてもなくさまよう難民のような結合していない電子で満たされている。電線の両端に電気力をかけると、それらの自由電子が電気力の方向に猛スピードで移動し、それが電流と呼ばれるものを形成する。
金属の電線の両端を電池などの直流電圧源の2つの端子に接続すると、導体内に電場が形成される。接続された瞬間、導体内の自由電子は電場の影響を受け、正の端子に向かって強制的に移動させられる。したがって固体の導体における典型的な電荷担体は自由電子である。電流が1アンペアなら、電線を輪切りにする任意の面で毎秒1クーロン(電気素量の約 6.242 × 1018 倍)の電荷が流れることになる。
定常的に流れる電流 I(アンペア)は次のように計算できる。
ここで、Q は電荷(クーロン)、t は時間(秒)である。
より一般的に表すと、時間dtに流れる電荷量をdQとすると次のように表される。
固体金属では、電流は電子の流れによって生じ、電位の高いほうから低いほうへと流れる。他の媒体では電子以外の荷電粒子の流れが電流を形成する。電荷担体の種類に依存しない電流の定義のため、一般に電流は正電荷と同じ方向に流れるものと定義される。金属では電荷担体(電子)が負であるため、電流の向きと電子の流れの向きは逆となる。電荷担体が正の媒体では、電流の向きと電荷担体の流れる方向は一致する。
真空においては、イオンや電子のビームを形成できる。他の伝導性の媒体では、正の電荷と負の電荷を帯びた両方の粒子が流れを作り、電流を生じさせる。例えば電解液における電流は、電荷を帯びた原子(イオン)の流れであり、正のイオンと負のイオンの両方が存在している。鉛蓄電池のような電気化学的な電池では、正の水素イオン(陽子)が一方向に流れ、負の硫酸イオンが反対方向に流れることで電流が生じる。火花やプラズマに生じる電流は、電子と同時に正および負のイオンも流れている。半導体では、電流を正孔の流れと見ることもできる。正孔は、半導体結晶内で価電子帯の電子が不足した状態を表したものである。なお、これはp型半導体の場合である。
詳細は「電流密度」を参照
電流密度とは電流の密度の測度であり、断面積あたりの電流を大きさとするベクトルとして定義される。国際単位系では、電流密度は平方メートルあたりのアンペア数 (A/m2) を単位とする。
ここで、I は導体における電流、J は電流密度、A は断面積である。2つのベクトル量のドット積により、電流というスカラ値が得られる。
電流は導体中の電子などの流れによって生じるが、電流と電子の速度には大きな差がある。電流は基本的に光速度に近い速度で伝播するが、導体中の電子そのものは非常に遅い流れである。例えば断面が1mm2の銅線に1アンペアの電流を流した場合、電子は平均的に4.4mm/分の速度で流れる。 ※これ以降の ※””でくくった部分には調査が必要な内容が有ります。調査後 ※””をはずすか編集を致します。 ※”電流は粒子である電子の動きそのものが伝播するのではなく、導体の内外を電磁場の変化が光速度に近い速度で伝播することで電子のゆっくりした流れの先端部が高速で移動してゆくのである。この電磁波は電子などの荷電粒子の動きで生じる”[5]。
導体内を移動する荷電粒子は、気体の粒子のように常に無作為な方向に移動している。電荷が全体として流れを形成する場合、それら粒子は平均流速で同じ方向に移動していなければならない。金属における電荷担体は電子であり、電子は原子から原子へと跳ね返りながら不定な経路を辿るが、全体として電場の方向へ流れていく。その流れの速度は次の式で表される。
ここで、
である。固体において電子は一般に非常にゆっくり流れる。例えば、銅の電線の断面積を 0.5 mm2 とし、そこに 5 A の電流が流れるとしたとき、電子の流動速度はミリメートル毎秒単位にしかならない。別の例として、ほぼ真空のブラウン管内で直線的に移動する電子は、光速の約10分の1程度の速度となる。
※”電荷担体が加速され電流が変化すると、導体表面の外に向かって電磁波が発生し非常に高速に伝わっていく。マクスウェルの方程式から推測できるように、その速度は光速に近く、電子の流動速度より何倍も高速である。例えば交流の送電線では、電子は電線内のごく短い距離を行ったり来たりするだけだが、電磁波のエネルギーは送電元から送電先まで非常に高速に伝播する。”
※”自由空間における光速に対する電磁波の速度の比率を速度係数 (velocity factor) と呼び、導体の電磁的特性、周囲を囲んでいる絶縁素材の電磁的特性、形状や大きさに左右される。
これらの関係は気体と音波にたとえるとわかりやすい。電荷担体のゆっくりした流れは、大気の動き、すなわち風に相当する。電磁波は気体を媒体として伝播する音波に相当する。荷電粒子の無作為な動きは気体分子が熱によって無作為に運動することに相当する。”
アンペールの法則によれば、電流は磁場を生じさせる。磁場は電流の流れている電線を取り囲む同心円状の線で視覚化される。
電流は検流計で直接測定できるが、この方式では測定対象の電気回路の特性が変わってしまい、好ましくない場合がある。回路に手を加えずに電流を測定する方法として、電流によって生じる磁場を使う方式がある。そのような計器としては、ホール効果センサ、架線電流計、計器用変流器、ロゴウスキーコイルなどがある。
多くの物質では、電流があまり急激に変化しない場合にオームの法則: 電圧=電流×電気抵抗(E=IR)が成り立つ。つまり、電流はそれが流れる媒体の両端の電位差に比例する。このとき、電流の単位がアンペアなら、電圧の単位はボルト、電気抵抗の単位はオームとなる。 純粋な抵抗負荷を使用し、電圧・電流を実効値で表した場合には、この式は交流でも成立する。
物質に電流が流れると、物質の電気抵抗によって熱(ジュール熱)が発生する。オームの法則が成り立つ場合、単位時間にジュール熱として消費されるエネルギーは電流の2乗と抵抗値に比例する。
正の電荷は電流と同じ方向に流れるが、負の電荷は逆方向に流れる。電流は本来、正または負の電荷(あるいは両方)の流れだが、電流の流れる方向をそれら電荷担体の流れる方向とは独立に定義する必要があった。そのため、規定上の電流の向きは正の電荷の流れる向きと定義されている。
電気回路の導体部分の多くは金属製であり、正の電荷は金属内では移動できず、負の電荷を持つ電子のみが流れる。電子は負の電荷を持つため、金属導体における電子の流れる向きは規定上の電流の流れる向きとは逆になる。
電流の最も大きな危険は感電である。その危険性は、接触の状態、人体のどの部分を電流が流れるか、電圧などに左右される。少しであればしびれる程度だが、大きな電流が流れると熱傷を引き起こし、最悪の場合心停止になることもある。
また、電流によって生じる熱も危険な場合がある。送電線が過負荷に陥ると火災の原因になることもある。小さなボタン電池と金属製の硬貨をポケットに入れておいたために、それらの接触によって電流が生じ、焼け焦げを生じることもある。ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・水素充電池、リチウム電池は特に内部抵抗が小さいため、取り扱いに注意を要する。
遠方の発電所から電気エネルギーを消費場所(各需要家)に届けるまで、送電線や配電線の抵抗により、一部の電気エネルギーがジュール熱として消費され、エネルギーの損失となる。 この損失は電流量の2乗に比例して増大するため、送電側では変圧器で電圧を高めることで電流量を減らし送電途中の損失を減らすようにしている。送電網や配電網では需要家に近づくにつれて変圧器で電圧を段階的に落としてゆく。変圧器によって容易に電圧を上げ下げできるため、現在は殆どの送電は交流電流が使われている。 送電損失(送配電ロス)率の低減は、発電電力量の削減による発電用エネルギー資源の節約に貢献する。日本の送配電ロス率は4.8%(2010年度)[6]とされる。
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