出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/05/10 14:03:08」(JST)
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電圧 voltage |
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量記号 | E, V, U |
次元 | M L 2 T −3 I −1 |
種類 | ベクトル |
SI単位 | ボルト (V) |
プランク単位 | プランク電圧 |
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電圧(でんあつ、voltage)とは直観的には電気を流そうとする「圧力」である。一般的には、商用電源や電池にてこの電圧表記が見られ、これらは電圧計で計測可能であり、単位としてはMKSA単位系でボルト(V)が使用される。電圧を意味する記号としては、EかVが用いられる。
電圧は電位差ないしその近似によって定義される。
電気の流れに付いては「電流」を参照の事。
電圧は二点間の電位の差[1]として定義される。しかし電位の概念は静磁場に対して定義されるものであり、交流回路などこの条件を満たさないケースでは電磁誘導による起電力が原因で経路非依存な電位はそもそも定義できず、したがって電圧の概念も定義できない。
しかしながら少なくとも学部レベルの教科書[2]では、準静的近似を行う事で経路依存の問題を回避している。 ここで準静的近似とは、(交流の周期が十分長い為)電磁場の変化速度が十分遅い、という状況における近似である。 こうした状況では前述の電位の経路依存性は非常に小さく無視できるので、電位を電圧の定義として使用できる。
なお電磁気学では電磁誘導の効果を考慮して電位の概念を補正した、電磁場のスカラー・ポテンシャルという概念があり、この概念の場合は(近似をしなくとも)前述の経路依存の問題が生じない。
電圧の測定には、明示的または暗黙的な2つの測定点の指定が必要である。電圧計で電位差を測る場合、2本の導線を測定対象の2点に接続しなければならない。
3点A、B、Cについて、AC間の電位差はAB間の電位差とBC間の電位差との和である。つまり電位差は加算的である。また、電気回路の様々な点における電位差はキルヒホッフの法則によって計算することができる。
交流の場合、ある瞬間の電圧と平均電圧は異なる。瞬間の電圧は直流でも交流でも加算的だが、平均電圧を加算して意味があるのは、各点を流れる信号がいずれも同じ周波数と位相の場合のみである。
電気設備に関する技術基準を定める省令においては、次のような区分で電圧の大きさが定義されている。
古くは熱の仕事当量により最初にジュール熱を求めジュールの法則により電圧を求めた。 現在、電圧測定機器としては電圧計、電位差計、オシロスコープなどがある。電圧計は固定抵抗器を流れる電流を測定し、オームの法則によってその電流と電圧が比例するという原理で電圧を測定する。電位差計はブリッジ回路で未知の電圧と既知の電圧のバランスをとることで電圧を測定する。オシロスコープは、ブラウン管の電子ビームを測定対象の電圧に比例した電圧で偏向させ、電圧を目に見える形で示す。
電気回路における電圧は水流の類推で説明される事がある(但し、異なる点がある)。
網状に繋がったパイプを用意し、ポンプによって水を流す。この際電圧はパイプの2点間の水圧の差に相当する。水圧の差が存在すれば、水は水圧が高い点から低い点に流れることができ、例えばタービンを回してエネルギーを取り出すことができる。同様にポンプの代わりに電池で電圧を生じさせ、電流を発生させることで仕事をさせることができる。例えば、自動車のバッテリーで電流を発生させ、セルモーターを駆動することができる。ポンプが動作していない場合は水圧差が生じず、タービンも回せない。自動車のバッテリーが空ならセルモーターを回せないのと同じである。
この水流による類推は、いくつかの電気的概念を理解するのに有効である。水流の仕事量は圧力と流れる水の体積の積で表せる。同様に電気回路での電子や他の電荷担体の移動による仕事量は、電圧(古くは "electric pressure" と呼んだ)と移動する電荷の量の積で表せる(電力の定義)。電圧は可能な仕事量を測る便利な手段である。2点間の圧力(水圧、電圧)の差が大きいほど、流れ(水流、電流)も大きくなる(オームの法則)。 ただし、回路における電子の運動エネルギーは抵抗における格子振動や電磁波に変わり逃げていくエネルギーに比べはるかに小さく事実上無視できるが、水流の場合は無視することができないことに留意する必要がある。
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