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この項目では、コンピュータの動作について記述しています。インドの悪霊については「ブータ」をご覧ください。 |
ブート(英: boot)または ブートストラップ(英: bootstrap)は、コンピュータシステムの電源を入れたときにオペレーティングシステムを起動するまでの処理の流れをいう。また、ブートローダ(英: boot loader)とは、ブート処理を行うソフトウェアを意味する。
電源が切られていたコンピュータの電源を入れた際に始まり、通常の操作が可能になった時点で完了する。現代の汎用的なコンピュータでは数十秒かかり、Power On Self Test 処理、周辺機器の特定と初期化などを行い、オペレーティングシステムを探してロードして起動するのが一般的である。多くの場合電源のオンオフをしなくともソフトリブートによってブートを行わせることができ、その場合は一部の初期化操作を省略できる。
ブートストラップまたはブートストラップローダ(英: bootstrap loader)という名前は、ブーツのつまみ革(英: strap)を自分で引っ張って自分を持ち上げようとするイメージから来ている[1]。つまり、コンピュータはソフトウェアをロードしないと動作できないが、ソフトウェアをロードするにもソフトウェアが必要だというパラドックスに着目した呼称である[2]。集積回路の Read Only Memory (ROM) の発明により、消去できない起動プログラムを組み込んでコンピュータを出荷できるようになり、パラドックスの様々な解消策が生まれたが、ROMの容量が増えるにつれて起動手続きのさらなる精巧化が行われることに繋がった。
ブートシーケンスには様々なものがあるが、最近ではブートROMに格納されたブートプログラムの実行から始まるのが一般的である。ブート処理中、OSや実行環境のバイナリコードが不揮発性の二次記憶装置(ハードディスクドライブなど)から揮発性の Random Access Memory (RAM) にロードされ、実行される。より単純な組み込みシステムでは単に電源を入れると同時に Read Only Memory (ROM) 上のプログラムを起動するだけで、ブートシーケンスを必要としないものもある。
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コンピュータ設計者は常にプログラムをロードする何らかの手段を必要としていた。初期のENIACなどはスイッチ群とプラグボードを使い、人手でプログラムを入力していた(正確に言えば配線を変えていた)。
EDSACの起動時実行コードはイニシャルオーダ (英: initial orders) と呼ばれ、非常に技巧的なわずか数十語のコードで単純なアセンブラの機能を実現していた。英語版WikipediaのEDSAC#System_softwareを参照。EDSACのプログラム技法は成書「The Preparation of Programs for an Electronic Digital Computer」として広まり、パラメトロンコンピュータPC-1他のイニシャルオーダ (イニシャルインプットルーチンとも) がEDSACのイニシャルオーダの影響を受けて作成された。
1950年代の IBM 701 以降[3]、何らかのブート処理でプログラムやOSを主記憶装置にロードするようになった。IBMのメインフレームではこれを "Initial Program Load" と称している。Load Card、Load Tape、Load Drum などと表示されたボタンを押下するとハードウェアの論理回路が対応する周辺機器からブートプログラムを読み込み、それを実行する。するとブートプログラムがより大きなプログラムを自動的にロードする[4][5]。「ブート」という言葉は1958年からこの意味で使われている[6]。
DEC PDP-8 以降のミニコンピュータでは、フロントパネルにあるスイッチ群を操作して短いプログラムを入力する方法が採用された。初期のミニコンピュータは磁気コアメモリを使っており、電源を切っても情報は失われない。従ってブートローダーは消去されない限りメモリ上に存在し続けるが、バグのあるプログラムを実行して全メモリの内容を上書きしてしまうこともある。PDP-11でも同様の手法を採用したが、後にDECはオプションで32ワード(64バイト)のブートプログラムを格納したROMを追加できるようにした。このROMは集積回路ではなく、M792というUnibus用カードであり、32×16のダイオードアレイで回路を構成している。ダイオードが通電する部分のビットは1になり、通電しないようダイオードを除くと対応するビットが0になる。DECは様々な周辺機器からのブートに対応するため、同様のカードを BM792-Yx シリーズとして販売した[7][8]。
IBM 701 (1952–1956) には "load" ボタンがあり、それによってパンチカード、磁気テープ、磁気ドラム装置のいずれかから先頭の36ビットワードを読み込む。そのうち先頭の18ビットは命令として実行され、通常はメモリに追加のワード群を読み込む命令になっている[9]。IBM 1401 (1958) では同様にパンチカードリーダーからプログラムをロードする。80文字が格納されたパンチカードの内容は 001 から 080 番地のメモリに読み込まれ、001番地から命令として実行開始する。命令は通常いつも同じで、この先頭80文字分の情報をアセンブリエリアに転送し、2枚目以降のパンチカードの内容を読み込んでプログラムを構成する。アセンブリエリアに転送し終わると、080 番地の命令へジャンプし、そこにある命令(カードを読み込む命令)を実行することで、次のパンチカードを読み込み、その情報を処理する。つまり、パンチカード1枚ずつが次のパンチカードをブートストラップする形になっている。
CDC 6600 (1964) には144個のトグルスイッチを備えた dead start と呼ばれるパネルがある。このパネルで12ワードの情報を0番の周辺プロセッサ (PP0) のメモリに転送する。それを命令列として実行することでPP0は自身のメモリに必要なコードをロードし、他のPPを初期化する。
GE 645 (1965) には "BOOT" ボタンがある[10]。
Multics (1967) にはブートコマンドがあった[11][12]。
UNIXでは、The Unix Programmer's Manual 第1版(1971年11月3日)に "boot" への言及がある[13]。
集積回路の Read Only Memory (ROM) が登場したことでブート処理は一変した。ROMには、マスクROM、PROM、EPROM、フラッシュメモリなどがある。これによってファームウェアとしてブートプログラムをインストールした状態でコンピュータを出荷できるようになった。
アップルの最初のコンピュータ Apple I (1976) にはPROMチップが搭載されていたため、フロントパネルが不要になった。当時の広告では "No More Switches, No More Lights ... the firmware in PROMS enables you to enter, display and debug programs (all in hex) from the keyboard."(スイッチはいらない、ライトもいらない…PROM内のファームウェアで、キーボードからプログラムを入力し、表示し、デバッグできる)と宣伝している[14]。
Atari ST などのホームコンピュータは、電源を入れるとROM上のOSがすぐさま起動する。そのため、二次記憶装置からOSをロードする機能が省かれている。システムのカスタマイズやアクセサリ、サポートソフトウェアなどはフロッピードライブからブート時に自動的にロードされる。電源投入から一定時間フロッピーがセットされない場合やフロッピー内に追加コンポーネントが見つからない場合、それらのロード処理はタイムアウトする。これによりブランクディスク挿入を防ぐ。
多くのコンピュータシステムでは、メモリ(ROMまたはRAM)上の実行コードだけを実行できる。しかし、最近のオペレーティングシステムはハードディスクドライブやLive CD、フラッシュメモリ(USBメモリなど)に格納されている。つまり、コンピュータの電源を入れた直後、メモリ上にはオペレーティングシステムは存在しない。コンピュータのハードウェアだけではオペレーティングシステムがやっているような複雑なことはできないので、ディスクから任意のプログラムをロードするというようなことはできない。ここで『オペレーティングシステムをメモリにロードするためには、オペレーティングシステムがメモリに存在していなければならない』というパラドックスが生じる。
このパラドックスの解決法は、ブートローダ(またはブートストラップローダ)と呼ばれるROM上にある特殊な小さいプログラムを使うことである。このプログラムはオペレーティングシステムの全ての機能を持っているわけではないが、オペレーティングシステムをロードして起動するための別のプログラムをロードするには十分な機能を持っている。多段階のブートローダがよく使われ、ある小さなプログラムから別の小さなプログラムを呼び出すということを繰り返して、最終的にオペレーティングシステムが起動される。
初期のプログラム可能なコンピュータは、トグルスイッチがフロントパネルに並んでいて、それを操作することによってブートローダをプログラム格納域に置いてからCPUを起動するようになっていた。そうするとCPUはブートローダを実行して、オペレーティングシステムを外部記憶メディア(例えば紙テープあるいは磁気ディスク装置)からロードすることができた。例えば、IBM 650、DEC PDP-5、PDP-8、初期のPDP-11、Altair 8800 などの初期のマイクロコンピュータなどがスイッチを使っていた。フロントパネルのスイッチ群は直接CPUに命令列を渡すのにも使われた。例えば、PDP-1 はハードウェアにローダーを組み込んでいて、オペレータが "load" ボタンを押すだけで紙テープリーダからプログラムをメモリにロードすることができる。この紙テープリーダにはブートローダーが格納されており、それを実行すると二次ブートローダーまたはオペレーティングシステムを外部ストレージ媒体(紙テープ、パンチカード、ディスク装置など)からロードする。
ブートローダの擬似コードは以下の8個の命令に単純化できる。
次の例は 1970年代のニコレット・インストゥルメント社[NB 1]のミニコンピュータに基づいている。二次ローダが紙テープから逆の順番に読み込まれることに注意。
二次ローダの長さは、ちょうど最後に 7 番地を上書きする長さになっている。6 番地の命令を実行した後、7 番地から二次ローダを実行し始める。二次ローダはオペレーティングシステムが書いてあるもっと長いテープが紙テープ読取装置にセットされるのを待つ。ブートローダと二次ローダの違いは紙テープ読取装置がエラーを発生したときに対処できるかどうかである。当時のハードウェア(例えばASR-33)では紙テープ読取装置は頻繁にエラーを起こした。
一部システムは人間のオペレータか周辺機器からのブート信号を受けて、固定の小さな命令列をロードしてメモリ上の特定のアドレスに配置し、1つのCPUを初期化してその位置から実行を開始させる。その命令列は一般に何らかの周辺機器(オペレータがスイッチ操作で機器を指定する場合もある)からの入力操作を開始するものである。他のシステムは、周辺機器またはチャネル・コントローラに直接ハードウェアコマンド列を送り、単純な入力操作(例えば、システムデバイスの0番セクタをリードし、メモリの1000番地にリード結果を置く)を実施させ、小さなブート用命令列をメモリ上にロードさせる。そしてI/O完了を知らせる信号を契機として、CPUにその命令列を実行させることになる。
マイコンと呼ばれた時代の初期のパーソナルコンピュータ、だいたい16ビット時代の初期の頃までのマシンでは、フロッピーディスクが標準の装備でなかったこともあり、最初からメモリ空間にROMとしてプログラムが展開されて存在し、ほとんどにおいてはBASIC(ROM BASIC)を起動するというものがもっぱらで、外部記憶装置からシステムを読み込むブートシーケンスは存在しなかった。クリーンコンピュータを標榜したシャープの一部のパソコンのように例外もある。
最近のコンピュータではブート処理はCPUがROM内のソフトウェア(例えば、BIOSやEFI)を既定のアドレスから実行することで開始される(CPUはリセットされると外部からの助け無しにこのソフトウェア実行をするよう設計されている)。そのソフトウェアはブートに使用できる各種デバイスを探し、最も優先順位の高いデバイスの特殊な領域(一般にはブートセクタ)から小さなプログラムを読み込む。
ブートローダには特有の制限、特にそのサイズの制限がある。例えば IBM PC や互換機では、一次ブートローダは必ず446バイト(Windows NT では、ディスクシグニチャがオフセット440の位置にあるため、440バイト)でマスターブートレコードになければならず、その後に64バイトのパーティションテーブルが続き、最後が 0xAA55 という値で終わっていなければならない(BIOS はその値を見て正しいブートローダであると判断する)。
1995年以前の Macintosh などでは、OS とハードウェアが非常に密接に関連しており、標準のOS以外でブートすることができない。そのような場合、一般にとられる解決策としては、標準OSに属するプログラムとしてブートローダを設計し、それがシステムをハイジャックして別のOSをロードする。これは例えばアップルがA/UXというUnix系のOSのブートに使った技法で、それを流用して各種フリーウェアのOSや BeOS Personal Edition 5 などがブート可能となっていた。
一般的な一次ブートローダーとしては、以下のものがある。
ブートローダが読み込む小さなプログラムは、オペレーティングシステムではなく二次ブートローダであることが多い。BOOTMGR、NTLDR、SYSLINUX、GRUBなどがある。二次ブートローダは実際のオペレーティングシステム(OS)をロードすることができ、最後にOSを実行する。OSは初期化処理を行い、デバイスドライバをロードし、OSの通常の処理に必要とされる他のプログラムをロードする。
GNU GRUB、Windowsの BOOTMGR、Windows NT/2000/XP の NTLDER といったブートローダーは、マルチブート設定が可能である。この場合異なるOSを指定することもできるし、同じOSの異なるバージョンを指定することもできるし、単に異なるオプションを指定することもでき(例えば、セーフモードで起動するなど)、OSではなく独立して動作するプログラムを指定することもできる(メモリテスタ Memtest86、ゲームなど[15])。ブートローダーに別のブートローダーをロードさせることもできる。例えば、GRUBがBOOTMGRをロードすることも可能である。一般にデフォルト設定があり、ある時間内にユーザーが選択しなければデフォルト状態でブートを行う。
なお、Windows 9x系ではMS-DOSが二次ブートローダのような役割を果たしている。ただし、MS-DOSを単体で起動することもできる。
ブート処理はコンピュータがユーザとやりとりできるようになった時点で完了したと見なされる。あるいは、オペレーティングシステムが普通のアプリケーションを実行できるようになった時点で完了と見なすこともできる。典型的なPCのブートは約 1 分ほどかかる。そのうち、15秒ほどが Power On Self Test (POST) が費やす時間で、残りはオペレーティングシステムのロードにかかる時間である。OSロード後の経過時間はシステム内のコアを同時に起動することで3秒程度にまで短縮可能で、例えばcorebootでそのようなブートが可能である[16][17]。一方、大きなサーバでのブートは全てのサービス起動まで何分かかかる。
多くの組み込みシステムではほとんど即座にブートが完了しなければならない。たとえば、テレビが映るまでに1分かかったのでは使い物にならない。そのため、オペレーティングシステム全体を ROM やフラッシュメモリに格納して、直接実行できるようにしている。ただし、ROMやフラッシュメモリはRAMに比べると、2007年現在の水準では1000倍と桁違いに遅い為、複合機など高機能な機器ではROMの内容をRAMに書き出して実行している。VxWorksなどではROM上の直接実行形式で用意されたブートストラップローダーがROM上の圧縮されたプログラム本体をRAMに展開して本体プログラムが起動するという実装がとられている。
組み込みシステムでは、製造工程や保守工程でプログラムを変更するためにフラッシュブートローダが必須である。フラッシュブートローダはフラッシュメモリ内にあり、リセット後に最初に実行されるアプリケーションである。フラッシュブートローダを出荷製品に入れておくと、アプリケーションの更新・修正、設定の変更が容易に行える。CAN ベースのフラッシュブートローダが一般的であり、診断プロトコルを使って通信・ダウンロードを行う。
多くのコンピュータはコンピュータネットワーク経由でブートを行う機能を持っている。この場合、二次ブートローダ はサーバのディスクに格納されており、それを TFTP のような単純なプロトコルでクライアントに転送する。内蔵ディスクを持たないシンクライアントは、ネットワークブートによって起動される。
実装としてはPreboot Execution Environment(PXE)などが存在する。
ブートデバイスとはオペレーティングシステムをロードする前に初期化しなければならないデバイス(周辺機器)のことである。これには一つの入力装置(キーボード)、ひとつの出力機器(ディスプレイ)、初期プログラムロード用機器(フロッピーディスクドライブ、ハードディスクドライブ、CD-ROM、USBメモリなど)がある。初期プログラムロード (IPL = Initial Program Load) 用機器とは、オペレーティングシステムを格納し、ブート処理でOSをロードするのに使われる機器であり、他にも単独動作するユーティリティ(例えば、memtest86+)やブートローダが格納されている。古いシステムではこれはフロッピーかハードディスクと限定されていた。
最近のPCのBIOSは様々なデバイスからのブートをサポートしており、ローカルのハードディスク(あるいはディスク上のパーティション)、光学ドライブ、USBデバイス(フラッシュドライブ、ハードディスクドライブ、光学ディスクドライブなど)、フラッシュメモリカード、ネットワークカード(PXEを使用)などがある。古いPCではフロッピーディスクドライブ、SCSIデバイス、ZIPドライブ、LS-120ドライブなどに限定されていた。
一般にユーザーがBIOSでブート順を設定することができる。1番目をDVDドライブ、2番目をハードディスクと設定した場合、BIOSはまずDVDドライブからのブートを試みる。そしてDVDがセットされていないなどの理由でブートに失敗するとローカルなハードディスクからのブートを試みる。DVDにLinuxの Live CD を入れておけば、ハードディスクにLinuxをインストールしなくともLinuxを起動することができる。これがマルチブートの一例であり、ユーザーはPOST実行後にどちらのOSを起動するかを選択できる。この場合は、電源投入時に(あるいはリセット時に)CDを入れておくか否かで起動するOSを選択しているが、一般的にはキーボードを使ってBIOSメニューを表示させて選択する(一般に F11
または ESC
を押下)。
電源投入直後、ないしリセットにより、x86は、まずBIOSの存在する FFFF0h 番地のメモリにある命令を実行する(ここはx86を使用するどんなコンピュータでも同じである)。このメモリ位置は(リアルモードでの)システムメモリのほぼ最後尾にあたる。そこにはBIOSの初期プログラムの位置へのジャンプ命令が含まれていて、BIOSに制御が渡る。BIOS初期プログラムは Power On Self Test (POST) を実行して必要な機器が正常に動作するかをチェックする。また、同時にそれら周辺機器の初期化も行う。次にBIOSは事前に設定されたデバイスリストを順にあたって、ブート可能な周辺機器を探す。ブート可能デバイスとは、読み込みが可能で、第1セクタの最後尾に 0xAA55 というワード(ブートシグニチャ)があるデバイスである。
そのようなデバイスが見つからない場合、エラーが発生してブート処理は停止する。BIOSがブート可能デバイスを発見すると、そのブートセクタを 0x7C00 というアドレス(Segment:Offset形式では 0000:7C00 だが、一部のBIOSでは 07C0:0000 を使用)にロードして実行する。ハードディスクドライブの場合、ブートセクタはマスターブートレコード (MBR) と呼ばれ、その内容はオペレーティングシステムには依存しない。MBRのコードはパーティションテーブルを調べてアクティブなパーティションを探す[NB 2]。それが見つかったら、MBRのコードはパーティションのブートセクタをロードして実行する。ブートセクタはオペレーティングシステムに依存することが多いが、その機能はカーネルをロードして実行することである。カーネルはさらに初期化処理を続行する。アクティブなパーティションがなかったり、アクティブなパーティションのブートセクタが不正だった場合、MBRは第二ブートローダをロードして制御を渡す。第二ブートローダは(多くの場合ユーザーに入力してもらって)パーティションを選択して、そのブートセクタをロードする。パーティションのブートセクタは一般にオペレーティングシステムのカーネルをロードする。
一部システム(特に最近のMacintoshや Microsoft Windows)はインテルのEFIを採用している。EFI準拠のファームウェアを持つ比較的新しいシステムでは、MBR か GPT のあるドライブからブートでき、標準のMBRブートローダを使わない。また、corebootもシステムマネジメントモードを使った過剰に複雑なファームウェア/BIOSを使わずにブート可能である。古い16ビットBIOSインタフェースは一部のx86用OS(Windows 3.1/95/98など)で必要とされていただけだが、そういった古いBIOSシステムをサポートするためブートローダーは16ビットサポートを続けていることが多い[18][NB 3][19]。
多くのPCはBIOSチップを搭載していれば、BIOSチップメーカー名、著作権、そのチップのIDなどを起動時に表示する。同時に利用可能なメモリ容量など、そのコンピュータに関する情報も表示する。
他のプロセッサは異なるブートモードを持つ。
CPUやマイクロコントローラのブート方法として以下のような技法がある。
多くのデジタルシグナルプロセッサ (DSP) には以下のようなブートモードがある。
DSPはマイクロプロセッサやマイクロコントローラが別に存在するシステム設計ということが多く、それらがシステム全体の動作、割り込み処理、外部イベント処理、ユーザインタフェースなどを担当しており、DSPは信号処理だけを扱う。その場合DSPは別のプロセッサからブートすることができ、そのプロセッサを「ホストプロセッサ」とも呼ぶ。ホストプロセッサは「マスター」とも呼ばれる。DSPは自前のブート用メモリを持たないことが多く、必要なコードをホストプロセッサから供給してもらう必要がある。携帯電話、モデム、オーディオプレイヤー、ビデオプレイヤーなどがそのような構成を採用していることが多い。
FPGAチップは、電源を入れるとその回路構成情報を外部EEPROMからロードする。
IBM ではブート処理を IPL (Initial Program Load) と呼ぶ。System/360の設計に由来する用語であり、今でも使われている[20]。System/360の場合、オペレータが16進3桁のデバイスアドレス (CUu; C=I/O Channel address, U=Control unit address, u=Device address[NB 4]) を指定し、LOAD ボタンを押下する。System/370と以降のシステムでは、スイッチ群とLOADボタンの代わりに、グラフィックス・コンソール上の選択エリアを使用する。グラフィックス・コンソールとしては IBM 2250(英語版) 系と IBM 3270 系がある。例えば System/370 Model 158 では、"07X" とキーボードから入力すると入力エリアにキー入力したデバイスアドレスからのIPLが実行される。Amdahl 470V/6 などは16進4桁でデバイスアドレスを指定する。
System/360 の IPL はオペレータ指定のデバイスか事前定義されたデバイスのゼロ番地の位置から24バイトをロードする。そのうち2番目と3番目の8バイトグループがチャネルコマンドワード(CCW)として解釈され、さらに続けてスタートアッププログラムがロードされる。I/Oチャネルコマンドが完了すると、1番目の8バイトグループをステータスレジスタ(PSW)にロードし、指定された位置からスタートアッププログラムの実行を開始する[20]。System/360 やその後継のシステムでは、IPL はハードウェア機能であり、システム上で動作するプログラムではない。事前に定義されたI/Oチャネルコマンドが起動され、デバイスを直接選択し、スタートアッププログラムをメモリ上にロードする。同じプロシージャがディスク装置だけでなく、ストリーマやカードリーダなどからもスタートアッププログラムをロードする。
指定されたデバイスは実際のオペレーティングシステムを主たるストレージからロードする専用プログラムを格納していなければならない。これを "IPL Text" と呼び、ディスクにこれを置くには DASDI (Direct Access Storage Device Initialization) プログラムかそれと等価なプログラムをOS上で実行する。なお、IPL対応の磁気テープやカードデッキは "IPL Text" が存在する状態で配布されている。
バロース B1700(英語版) では、ブートストラップROMもハードウェアIPLも持たない。その代わり、システムをリセットすると、フロントパネルに装着されたテープから機械語を読み込んで、これがRAM上のブートローダとなる。この方式では、装着するテープを診断プログラムに代えれば、通常のOSも立ち上げられないほどの障害が発生している状況でシステムの診断が可能となる。
Linux(例えばSplashtopなど)をOSとして採用している各種機器にはクイックブートと呼ばれる素早い起動が可能なものもある[21][22][23][24][25][26][27][28]。
Windows では、ブート処理中に解決できないエラーが発生すると、いわゆるブルースクリーン状態になる。
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