- 英
- gastric mucosa (Z)
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胃粘膜 |
胃粘膜の層
1.漿膜 en:Serosa
2. 漿膜下組織 en:Tela subserosa
3. 筋層 en:Muscularis
4. 筋層の斜線維 en:Oblique fibers of muscle wall
5.環状筋 Circular muscle layer
6.縦走筋 Longitudinal muscle layer
7.粘膜下層 en:Submucosa
8.粘膜筋板 Lamina en:muscularis mucosae
9.粘膜 en:Mucosa
10.粘膜固有層 en:Lamina propria
11.上皮細胞 en:Epithelium
12.胃腺 en:Gastric glands
13. 胃小窩 en:Gastric pits
14.絨毛ひだ en:Villous folds
15.胃周辺 Gastric areas(胃表面 gastric surface)
|
噴門近辺ヒト胃粘膜断面図( c. 噴門腺、 d. 管、 cr. 杯細胞と腸腺に似た腺、 mm. 粘膜、 m. 粘膜筋板、 m’. 粘膜中の筋組織)
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ラテン語 |
tunica mucosa gastris |
グレイの解剖学 |
書籍中の説明(英語) |
胃粘膜(いねんまく、英: Gastric mucosa)は、粘膜、胃小窩(いしょうか)を含む胃の粘膜層である。人の粘膜の厚さは1mmで、滑らかで柔らかくベルベットのようである。上皮、粘膜固有層、粘膜筋板で構成されている。
目次
- 1 粘膜の微細構造と胃腺
- 2 胃と胃液
- 3 胃のクロム親和性細胞
- 4 萎縮性胃炎
- 5 脚注
- 6 関連項目
粘膜の微細構造と胃腺
胃の壁は、3層構造をしている。胃の壁を胃壁と言う。胃壁は内側から粘膜層、粘膜下層、筋層、から成る。筋層の外側は漿膜である腹膜で覆われている。
粘膜には、胃小窩と呼ばれる微細な穴が無数に並んでいる。胃小窩の底には、胃腺(胃底腺)とよばれる管状の分泌腺が開口し、この腺が粘膜の最下層までのびている。胃底腺を構成する主な細胞は以下のとおりである。
- 表層粘液細胞
- 頚部粘液細胞(副細胞)
- 壁細胞
- 主細胞
この分泌腺からは、主に、塩酸と消化酵素の前駆体であるペプシノーゲンが分泌される(胃液)。胃腺の細胞のうち、壁細胞(傍細胞)は塩酸やコバラミンの吸収に関わる内因子を分泌する。主細胞はペプシンの前駆体であるペプシノーゲンを分泌する。ペプシノーゲンは、塩酸に会うと分解され、活性型のペプシンに変化する。
胃の幽門前庭部に存在するG細胞からは胃の消化活動を活発化させるホルモンであるガストリンが内分泌される。
胃の粘膜の表面をおおう表層粘液細胞や頚部粘液細胞(副細胞)は、塩酸の酸性とペプシンによる消化から細胞自身を守るため、粘液を分泌している。
胃と胃液
強酸性の胃液が胃を自ら消化してしまわないのは、胃が粘膜で覆われているからであるが、それだけではない。胃液を中和する重曹も生成されている。また常にプロスタグランジンという活性物質の働きで細胞増殖を活発にして胃壁の損傷を最小限に抑えている。しかしストレスなどで副交感神経のバランスが崩れたりすると、胃液や消化酵素のコントロールが効かず自分自身を消化してしまう、つまり胃に穴が開く状態である「胃潰瘍」を引き起こす。
胃のクロム親和性細胞
胃においてクロム親和性の染色像を示す細胞群が見られ、これらはそれぞれクロム親和性細胞(英: Enterochromaffin Cells、EC細胞)及びクロム親和性細胞様細胞(英: Enterochromaffin-like Cells、ECL細胞)と呼ばれる。EC細胞は胃腸におけるオータコイドであるセロトニンの産生に関与している。またECL細胞は顆粒内にセロトニンは含有せずヒスタミンを貯蔵し、胃酸の分泌に関与している。 胃のECL細胞は胃粘膜表面積の1~3%を占める[1]。アセチルコリン及び胃幽門部上皮に存在するG細胞により分泌されたガストリンの刺激によりヒスタミンを分泌する。ヒスタミンは胃酸分泌において最も重要な因子であると考えられており[2]、ECL細胞の細胞質に存在するヒスチジン脱炭酸酵素(英:Histidine Decarboxylase、HDC)によって産生される。ヒスタミンの分泌小胞への蓄積は2型小胞モノアミン輸送体(英:Vesicular Monoamine Transporter Subtype 2、VMAT2)を介したH+-ヒスタミンの対向輸送により行われ、その駆動力となるのがV型ATPアーゼによって作られるH+濃度勾配である。ヒスタミンが壁細胞上の2型ヒスタミン受容体(H2受容体)に結合することにより、胃酸の分泌を引き起こされる。
萎縮性胃炎
胃の洞の腸上皮化生(写真中央上)と胃の腺癌(写真左中央)。H&E染色。
萎縮性胃炎 |
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
K29.4 |
ICD-9 |
535.1 |
DiseasesDB |
29503 |
eMedicine |
med/851 |
MeSH |
D005757 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
萎縮性胃炎(いしゅくせいいえん、英: Atrophic gastritis)とは、腸上皮化生のような腸又は線維組織によって胃組織の置換が起こり、胃腺細胞の減少をもたらす、胃粘膜の慢性炎症の過程をいう(A型及びB型胃炎として知られている)。塩酸、ペプシン、内因子のような基本的な物質の胃での分泌が結果的に障害を起こし、消化器系の疾患、ビタミンB12欠乏と悪性貧血である巨赤芽球性貧血をもたらす。
胃粘膜が萎縮することでビタミンB12の吸収に必要な内因子が低下するためにDNAの合成が障害され異常な巨赤芽球ができるために悪性貧血が起こる。内因子の欠乏は他にも胃全摘後などにも起こるが、悪性貧血と呼ばれるのは萎縮性胃炎によるものだけである。「悪性」と呼ばれるのはビタミンB12が発見されるまでは治療法がなく致死的な経過をたどったため。
萎縮性胃炎は、ヘリコバクター・ピロリの慢性的感染や生まれ持った自己免疫によって引き起こされる。自己免疫性萎縮性胃炎を含むこれらの疾患は、統計的には、胃癌や甲状腺疾患である橋本病や塩酸欠乏症を引き起こす。
A型胃炎は、胃底部や胃体部に影響を及ぼし、一般に悪性貧血を伴うものである。
B型胃炎は、全体的に最も一般的であり、一般的にはヘリコバクター・ピロリに感染して、胃に洞を形成するものである。
脚注
- ^ Prinz C, Zanner R, Gerhard M, Mahr S and Neumayer N (1999) "The mechanism of histamine secretion from gastric enterochromaffin-like cells." Am. J. Physiol. Cell. Physiol.,277,845-855. PMID 10905856
- ^ Hersey SJ, and Sachs G(1995)"Gastric acid secretion." Physiol. Rev.75,155-189. PMID 7831396
関連項目
胃 萎縮性胃炎 クロム親和性細胞
UpToDate Contents
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- 1. 胃癌の危険因子 risk factors for gastric cancer
- 2. 早期胃癌:疫学、臨床症状、診断、および病期分類 early gastric cancer epidemiology clinical manifestations diagnosis and staging
- 3. 胃酸分泌の生理学 physiology of gastric acid secretion
- 4. 胃ポリープ gastric polyps
- 5. 早期胃癌:治療、自然経過、および予後 early gastric cancer treatment natural history and prognosis
Japanese Journal
- Helicobacter pylori慢性胃炎における血清学的診断の臨床的意義-内視鏡検査所見との比較検討-
- 春山 浩美/中村 真一/岸野 真衣子/小西 洋之/白鳥(立元) 敬子
- 東京女子医科大学雑誌 81(4), 253-258, 2011-08-25
- … 胃癌の発見をより効率的に行うために、Helicobacter pylori(H.pylori)感染の有無、および感染者では胃癌発生のリスクとされる胃粘膜萎縮の程度を調べることが重要である。 …
- NAID 110008604390
- 湖城 梓,天ヶ瀬 紀久子,温井 賀寿雄,竹内 孝治
- 潰瘍 = Ulcer research 38(1), 75-78, 2011-05-20
- NAID 10028268558
Related Links
- 胃酸分泌のコントロール。 通常の胃粘膜H&E染色。 胃粘膜(いねんまく、英: Gastric mucosa)は、粘膜、胃小窩(いしょうか)を含む胃の粘膜層である。人の粘膜の厚さは 1mmで、滑らかで柔らかくベルベットのようである。上皮、粘膜固有層、粘膜筋板で構成 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
献血グロブリン注射用2500mg「化血研」
組成
- 本剤を添付の溶剤で溶解するとき、1mL中の組成は下記のとおりである。
有効成分
添加物
- グリシン:22.5mg
塩化ナトリウム:8.5mg
- 本剤の有効成分であるペプシン処理人免疫グロブリンG分屑は、ヒトの血液(採血国:日本、採血方法:献血)を原材料としている。また、本剤は製造工程でブタの腸粘膜由来成分(ヘパリン)及びブタの胃粘膜由来成分(ペプシン)を使用している。
禁忌
効能または効果
無又は低ガンマグロブリン血症
重症感染症における抗生物質との併用
- 重症感染症において抗生物質との併用に用いる場合は、適切な抗菌化学療法によっても十分な効果の得られない重症感染症を対象とすること。
- 本剤は、添付の日局注射用水で溶解して点滴静注するか、又は、徐々に直接静注する。
成人に対しては通常1回2,500mg(50mL)を、小児に対しては通常1回体重1kgあたり50〜150mg(1〜3mL)を使用する。
本剤は、また胸腔内・髄腔内・脳室内に投与することができるが、この場合通常150mg(3mL)を用いる。
慎重投与
IgA欠損症の患者
- [抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある。]
腎障害のある患者
溶血性・失血性貧血の患者
- [ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。]
免疫不全患者・免疫抑制状態の患者
- [ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持続性の貧血を起こすことがある。]
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー様症状
(0.1%未満):
- ショック、アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、悪寒、戦慄、呼吸困難、血圧低下、頻脈等が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
無菌性髄膜炎
(頻度不明):
- 大量投与により、無菌性髄膜炎(項部硬直、発熱、頭痛、悪心・嘔吐あるいは意識混濁等)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
抗体活性
- 10,000人以上の健康成人血漿を原料として免疫抗体(IgG)を精製濃縮した製剤で種々の病原微生物に対する抗体を有している。
感染防御作用
- マウスを用いて検討した結果、抗生物質を併用すると静注グロブリン単独使用の場合よりも更に高い治療効果を得ることが確認されている。
また、株化マクロファージRAW-264を用いてin vitroでの食菌能に及ぼす免疫グロブリンGの作用を調べたところ、免疫グロブリンGのF(ab')2がIntact IgGと同等に食菌作用を増強することが確認されている3)。
組織内移行
- ペプシン処理人免疫グロブリンGは、Fc部分を切断された分子量約10万(5S)のF(ab')2が主成分であるため組織内への移行性がすぐれ、有効な抗体を大量かつ急速に感染部位に供給する必要がある重症感染症の治療に適している4)。
有効成分に関する理化学的知見
- 本剤は免疫グロブリンGのFc部分を酵素により切断し、F(ab')2を高純度に含む製剤である。
★リンクテーブル★
[★]
胃粘膜
- 関
- cardiac gland、gastric gland、pyloric gland
[★]
- 英
- gastric mucosal membrane scintigraphy
- 関
- 99mTcO4腹部シンチグラフィ abdominal scintigraphy using 99mTc-pertechnetate、メッケル憩室シンチグラフィ
[★]
- 英
- prolapse of gastric mucosa
- 同
- 幽門粘膜脱 pyloric mucosal prolapse、幽門脱 pyloric prolapse
[★]
- 英
- gastric erosion, gastric mucosal erosion
- 同
- 胃粘膜糜爛
- 関
- いぼ状胃炎 疣状胃炎
[★]
- 英
- gastric mucosal cytoprotection
- 関
- 細胞保護、細胞保護作用
[★]
- 英
- esophagogastric mucosal junction EG
[★]
- 英
- mucosa (KL), mucous membrane (KH), endometrium (Z. L-20), mucosae (Z. P-27)
- ラ
- tunica mucosa
- 関
- 粘膜固有層、粘膜筋板、粘膜下組織、筋層
定義
粘膜
粘膜下の深層にある組織
[★]
- 英
- membrane
- 関
- メンブラン、メンブレン