- 英
- nematode
- 関
- 線虫門、Caenorhabditis elegans
WordNet
- unsegmented worms with elongated rounded body pointed at both ends; mostly free-living but some are parasitic (同)nematode worm, roundworm
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- 線虫(環節のない細長い虫)
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/02/12 23:52:48」(JST)
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線形動物門 |
ダイズシストセンチュウ
|
分類 |
界 |
: |
動物界 Animalia |
門 |
: |
線形動物門 Nematoda |
|
学名 |
Nematoda Diesing, 1861 |
和名 |
線形動物門 |
英名 |
Nematode, Roundworm |
下位分類 |
本文参照
|
線形動物(せんけいどうぶつ、学名:Nematoda、英名:Nematode, Roundworm)は、線形動物門に属する動物の総称である。線虫ともいう。かつてはハリガネムシなどの類線形動物 (Nematomorpha) も含んだが、現在は別の門とするのが一般的。また、日本では袋形動物門の一綱として腹毛動物・鰓曳動物・動吻動物などとまとめられていたこともあった。回虫・鞭虫などが含まれる。
大半の種は土壌や海洋中で非寄生性の生活を営んでいるが、同時に多くの寄生性線虫の存在が知られる。植物寄生線虫学 (nematology) では農作物に被害をもたらす線虫の、寄生虫学 (parasitology) ではヒトや脊椎動物に寄生する物の研究が行われている。
目次
- 1 特徴
- 2 種と多様性
- 3 人間との関わり
- 4 モデル生物としての線虫
- 5 分類
- 6 参考文献
- 7 外部リンク
特徴[編集]
- 体は細長い糸状で[1]、触手や付属肢を持たない。一部のものは体表に剛毛を持つ。
- 基本的に無色透明である。
- 体節構造をもたない[1]。
- 偽体腔をもつ[2][1]。
- 雌雄異体で有性生殖が主であるが[1]、単為生殖を行う種もあり、同一種内で系統により生殖が異なる場合がある。
- 土壌中に莫大な個体数がおり、地球上のバイオマスの15%を占めているともいわれている。
種と多様性[編集]
線形動物には、人間の寄生虫をはじめ、人間の生活に関わりの深いものも多く、それらの研究が進められる一方、自由生活のものの研究は後回しになりがちであった。しかし、自由生活のものの方がはるかに種数が多く、その研究が進むにつれ、種類数はどんどん増加しているので、どれくらいの種数があるかははっきりとは言えない状況である。その最大限の見積もりは、なんと1億種というものがある。これは、海底泥中での研究において、サンプル中の既知種の割合から算定されたものである。これが本当であれば、昆虫の種数を大きく抜き去り、地球上の生物種の大半は線形動物が占めていることになる。
土壌中の線形動物はその数も多く、生態的に重要な位置を占めていると思われる。細菌など微生物を食べているものと思われる。線虫を捕食するものには、昆虫などがあり、また、菌類には線虫寄生菌や、食虫植物のように線虫を捕獲する線虫捕食菌というものがある。
人間との関わり[編集]
植物に寄生する物としては松枯れ病を引き起こすマツノザイセンチュウ(マツクイムシ参照)[2]や、ダイズ生産上最も問題となるダイズシストセンチュウなどがある。また農作物に及ぼす傷害の形態により、ネグサレセンチュウやネコブセンチュウとよばれる農業害虫のグループもある。これらは、薬剤散布のほかにマリーゴールドやエンバクなどのコンパニオンプランツを導入することで、減少させることが可能とされる。
ヒトには、カイチュウ(回虫)、ギョウチュウの他、カ(蚊)がベクターとなってリンパ系フィラリア症や象皮症の病原体であるマレー糸状虫、バンクロフト糸状虫が感染する。また魚介類を通して感染するアニサキスも線虫の1種。
特にカイチュウは戦前には日本人はほとんど全員に寄生していたほどに普通であった。しかし、現在ではほとんど見ることができない。これは、カイチュウの感染経路が遮断されたためである。卵が糞便とともに排出され、それが口にはいることで感染するので、現在のように、糞便の処理が行われ、また、畑に下肥が入らない環境では生活史が維持できない。他方、卵が手から手へと移るギョウチュウは、現在でも広く見られる。
モデル生物としての線虫[編集]
詳細は「C. elegans」を参照
線虫の一種である カエノラブディチス・エレガンス Caenorhabditis elegans は多細胞生物のモデル生物として盛んに研究が行われ、受精卵から成虫に至る全細胞の発生、分化の過程が細胞系譜として明らかになっている[2]。C. elegans 研究の創始者達3名は "Genetic regulation of organ development and programmed cell death" (器官発生とプログラム細胞死の遺伝的制御)で 2002年ノーベル生理学・医学賞を受賞している。
分類[編集]
分子系統解析によって分類は大きく再編されており、以下の体系も暫定的なものである。
特に表記のない分類群は自由生活性である。
- ニセハリセンチュウ綱 Dorylaimea
- 毛頭虫目 Trichocephalida - 動物寄生
- 腎虫目 Dioctophymatida - 動物寄生
- ニセハリセンチュウ目 Dorylaimida - 植物寄生
- 糸片虫目 Mermithida - 動物寄生
- モノンクス目 Mononchida
- エノプルス綱 Enoplea
- エノプルス目 Enoplida
- Marimermithida
- Oncholaimida
- Stichosomida
- Tripylida
- Triplonchida - 一部は植物寄生
- クロマドラ綱 Chromadorea
- クロマドラ目 Chromadorida
- デスモドラ目 Desmodorida
- モンヒステラ目 Monhysterida
- イソレムス目 Isolaimida - 植物寄生
- アレオライムス目 Araeolaimida
- Plectida
- 桿線虫目 Rhabditida
- 旋尾線虫亜目 Spirurida - 動物寄生
- 桿線虫亜目 Rhabditina
- 茎線虫亜目 Tylenchina - 植物寄生
系統[編集]
Meldal BH et al.(2007)によるリボソームDNAを用いた分子系統解析では、以下のような系統樹が得られている[3]
線形動物門 |
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ニセハリセンチュウ綱 Dorylaimea
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エノプルス綱 Enoplea
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クロマドラ綱
Chromadorea |
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Microlaimoidea
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クロマドラ目 Chromadorida
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デスモドラ目 Desmodorida
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モンヒステラ目 Monhysterida
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イソレムス目 Isolaimida
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アレオライムス目 Araeolaimida
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Plectida
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桿線虫亜目 Rhabditina
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旋尾線虫亜目 Spirurina
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茎線虫亜目 Tylenchina
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従来の分類[編集]
頭部の感覚器の形態から、2つの綱に分けられていた。
- 双器綱 Adenophorea
- 双器と呼ばれる感覚器があるが、双腺はない[2]。
- クロマドラ亜綱 Chromadoria
- アレオライムス目 Araeolaimida
- クロマドラ目 Chromadorida
- デスモドラ目 Desmodora
- デスモスコレクス目 Desmoscolecida
- モンヒステラ目 Monhysterida
- エノプルス亜綱 Enoplia
- ドリライムス目 Dorylaimida
- エノプルス目 Enoplida
- シヘンチュウ目(糸片虫目) Mermithida
- イソレムス目 Isolaimida
- モノンクス目 Mononchida
- ムスピケア目 Muspiceida
- ベンチュウ目(鞭虫目) Trichocephalida
- 双腺綱 Secernentea
- 双器と双腺の両方がある[2]。
- 桿線虫亜綱 Rhabditia
- カイチュウ目(回虫目) Ascaridida
- カンセンチュウ目(桿線虫目) Rhabditida
- エンチュウ目(円虫目) Strongylida
- 旋尾線虫亜綱 Spiruria
- カマラヌス目 Camallanida
- センビセンチュウ目(旋尾線虫目) Spirurida
- ディプロガスタ亜綱 Diplogasteria
- ヨウセンチュウ目(葉線虫目) Aphelenchida
- ディプロガスタ目 Diplogasterida
- クキセンチュウ目 Tylenchida
参考文献[編集]
- ^ a b c d 藤田敏彦 『動物の系統分類と進化』 裳華房〈新・生命科学シリーズ〉、2010年、151-152頁。ISBN 9784785358426。
- ^ a b c d e 白山義久 「線形動物門」『無脊椎動物の多様性と系統(節足動物を除く)』 白山義久(編著)、裳華房〈バイオディバーシティ・シリーズ5〉、2000年、142-144頁。ISBN 4785358289。
- ^ Meldal BH et al. (2007). “An improved molecular phylogeny of the Nematoda with special emphasis on marine taxa”. Mol Phylogenet Evol. 42 (3): 622-636. doi:10.1016/j.ympev.2006.08.025.
外部リンク[編集]
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Japanese Journal
- 都道府県におけるマツ材線虫病防除のための樹幹注入実施状況
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- Caenorhabditis
- 関
- 線虫、線虫類、カエノルハブディティス属、Caenorhabditis属
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線虫、エレガンス線虫
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- C. elegans、Caenorhabditis、Caenorhabditis briggsae、nematode
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線虫、ブリグサ線虫
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- C. elegans、Caenorhabditis elegans、nematode
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