多形腺腫
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/12/06 02:57:40」(JST)
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多形腺腫(たけいせんしゅ、Pleomorphic adenoma)とは、かつて混合腫瘍と言われており、上皮成分と間質様組織成分が混在した多彩な像を呈する良性唾液腺腫瘍である。多形性腺腫とも。
目次
- 1 概要
- 2 統計
- 3 症状
- 4 病理所見
- 5 検査
- 6 治療
- 7 予後
- 8 関連項目
概要
筋上皮細胞の多様な形質発現によると考えられており、様々な割合で混在する多彩な組織像が特徴である。
経過の長い症例で、急に増大した例では悪性化の可能性(多形腺腫内癌腫)がある。臨床所見は、唾液腺腫瘍の中で最も頻度が高い。耳下腺に多いが顎下腺にも好発する。小唾液腺では、硬口蓋が1/2以上を占める。
統計
30-40代に好発し、発育は暖慢である。潰瘍形成はまれで周囲との境界も比較的明瞭である。無痛性の為、長年放置されることが多い。
症状
腫瘍の存在する部分の腫脹が主要な症状である。腫瘍の増大に伴い、疼痛や片側の顔面神経麻痺などを生ずる可能性もある。
病理所見
組織学的には、通常大唾液腺では被膜を有するが小唾液腺では被膜が不明瞭なことがある。基本的には腺管構造と腫瘍性筋上皮細胞の増生が見られ、後者は粘液腫瘍や軟骨腫瘍の間葉様組織に移行している像が主体である。間葉様構造を示す腫瘍性筋上皮細胞は(通常、神経膠細胞に特異的な中間径フィラメントとして知られている)GFAP陽性を示す。上皮成分では扁平上皮化生を伴うことがある。一部が癌化する多形性腺腫内癌では、癌部分は様々な組織像を呈する。間質成分の悪性化を伴う場合は癌肉腫の像を呈する。
検査
- T1で低〜中間信号、T2で中間〜高信号領域として撮影される。通常唾液腺はT1で高信号、T2で低信号領域を示すため、MRI上で腫瘍の局在を知るのは容易である。また、造影MRIを撮影すると腫瘍は造影を認める。
治療
腫瘍摘出術が唯一の治療法である。腫瘍を放置すると顔面神経の圧迫による症状が出るほか、悪性転化する恐れがあるため、診断がついたら早めに摘出する必要がある。医原性に播種を引き起こす可能性もあるので、摘出時は偽膜を破らないように行う必要がある。
予後
悪性転化を認めなければ予後は良好であり、死に致る例も少ない。また、再発は稀で再発例では多結節性となることが多い。ただし、偽膜を破ってしまった場合、内部の腫瘍細胞が周囲に出てしまうために再発をきたす可能性がある。
術後の合併症として多形性腺腫に特に多いものはない。他の唾液腺腫瘍と同じく、顔面神経麻痺やフライ症候群が起こる可能性がある。
関連項目
- 腫瘍/膿瘍/嚢胞
- 口腔病理学/病理学
- 口腔外科学/外科学
- 耳鼻咽喉科学
- 歯科医師/医師
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Japanese Journal
- 高橋 龍司,中川 志乃,井上 有香,赤司 桃子,桃崎 征也,山口 倫
- 日本臨床外科学会雑誌 75(6), 1491-1496, 2014
- 症例は79歳,女性.胸腔内精査の目的で施行した胸部CTにて左乳房腫瘤を指摘され,当科紹介となった.初診時,マンモグラフィと超音波検査にて左傍乳輪部に3.4×2.0×3.3cm大の分葉形腫瘤を認めたが,針生検組織では良悪性の鑑別が困難であった.乳房MRIでの造影所見は悪性パターンを呈し,粘液癌が疑われた.確定診断のために左乳房部分切除を施行した.術後病理組織所見では,乳管上皮周囲で紡錘形筋上皮細胞が …
- NAID 130004901221
- 術前診断が困難であった対側肺転移を伴う肺類基底細胞癌の1切除例
- 綾部 貴典,富田 雅樹,盛口 清香,丸塚 浩助,清水 哲哉
- 日本呼吸器外科学会雑誌 = The journal of the Japanese Association for Chest Surgery 26(4), 439-443, 2012-05-15
- … 手術時に施行された胸部CT検査で,両側肺に結節性病変(左下葉肺底区域気管支内腔B9,B10に30×14 mm,右S8に10 mm)を認めた.乳癌からの肺転移が疑われたが,2010年6月気管支鏡下に左肺病変の生検を行い,多形性腺腫と病理診断された.同年7月,両側肺病変を切除対象とし,胸腔鏡下に右S8部分切除を先行し,術中病理検査で良性腫瘍と診断された.体位変換後,開胸下に左下葉肺底区域切除を行った.切除標本の免疫 …
- NAID 10030435743
- 18.気管支多形性腺腫の1例(第19回 日本呼吸器内視鏡学会中国四国支部会)
- 加藤 有加,上月 稔幸,野上 尚之,新海 哲,西村 理恵子,寺本 典弘,末久 弘,澤田 茂樹,山下 素弘
- 気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 33(3), 199, 2011-05-25
- NAID 110008686131
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- 組織像(粘液腫様部分). 組織像(軟骨様部分). 多形腺腫(たけいせんしゅ、 Pleomorphic adenoma)とは、かつて混合腫瘍と言われており、上皮成分と間質様 組織成分が混在した多彩な像を呈する良性唾液腺腫瘍である。多形性腺腫とも。 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- pleomorphic adenoma
- 同
- 多形性腺腫
- 関
- 混合腫瘍、耳下腺混合腫瘍、耳下腺腫瘍、唾液腺腫瘍、mixed tumor of salivary gland
[show details]
[★]
- 英
- sexual gland, gonad
- ラ
- gonada, gonadum
- 同
- 生殖腺 reproductive gland
- 関
- 発生第7週まで生殖腺に男女の別のは形態的に現れない。(L.303)
- 生殖堤:体腔上皮+間葉凝縮
- 原始生殖細胞:発生の早期に尿膜に近い卵黄嚢壁の内胚葉細胞の間に出現。後腸の背側腸間膜に沿ってアメーバ様運動により移動。発生第5週の初めに原始生殖腺に達し、第6週に生殖堤に進入する。(L.303)
- 原始生殖索:原始生殖細胞が生殖堤に到達する直前またはその経過中に生殖堤の体腔上皮は活発に増殖し、上皮細胞はその下層の間葉へ進入する。これらの細胞により多数の不規則な細胞索を形成されたものをいう。(L.303)
- 未分化生殖腺:原始生殖索は表面の上皮と結合したままであり、男女の区別ができない。この状態の生殖腺を指す。(L.303)
男性の生殖腺 L.303-306
女性の生殖腺
[★]
- 英
- pleomorphism
- 同
- 多形態性
- 関
- 異型性、異型、細胞異型、組織異型
- 腫瘍細胞に対して使われる。
- 細胞や核の形、大きさの、巨細胞や多核細胞の混在、N/C比の増大、各クロマチンの増量と凝集、異常核分裂像、核小体の明瞭化を示す(EPT.76)
[★]
- 英
- polymorph、pleomorphic、(l.,adj.)multiforme
- 関
- 多形性、複数単形性
[★]
- 関
- がん、腫瘍、腫瘤、良性新生物
[★]
- 英
- adenoma
- 同
- アデノーマ
- 関
- 腫瘍、癌腫 carcinoma