シプロフロキサシン
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シプロフロキサシン
|
識別 |
ATCコード |
J01MA02 , S01AX13 , S02AA15
, S03AA07 |
KEGG |
D00186 |
化学的データ |
化学式 |
C17H18FN3O3 |
分子量 |
331.35 g·mol−1 |
シプロ500mg錠(バイエル)
シプキサノン錠200
(後発品、東和薬品)
シプロフロキサシン (ciprofloxacin;略号:CPFX) とは、ニューキノロン系の抗生物質のひとつ。バイエルより「シプロキサン」「シプロ」の商品名で販売されているほか、後発医薬品も存在する。フッ素を持ち、フルオロキノロン薬に分類される。
目次
- 1 活性
- 2 相互作用
- 3 注意
- 4 効能・効果
- 5 参考文献
- 6 関連項目
- 7 外部リンク
活性
シプロフロキサシンは広域抗生物質であり、グラム陰性、グラム陽性のいずれのバクテリアにも活性である。デオキシリボ核酸二本鎖の切断・再結合を行う酵素であるDNAジャイレース(DNAトポイソメラーゼの一種)に結合し、DNAの複製を阻害することで抗菌作用を示す。DNAの複製が阻害されることで、バクテリアは細胞分裂ができなくなる。
主な副作用は他の抗生物質と同様、消化器への刺激である。一般的な安全性と効力と広域性から、シプロフロキサシンは耐性菌への感染に対する最終手段として用いられる。しかし使用回数や使用期間とともにシプロフロキサシン耐性菌が病院内で増える結果となる。
細胞の培養では、シプロフロキサシンはマイコプラズマへの感染に対処するために用いられる。
相互作用
フラボノイドの一種のクエルセチン(ニンニクやリンゴに含まれる)は、フルオロキノロン薬と相互作用する可能性がある。クエルセチンはバクテリアのDNAジャイレースに競合して結合するためである。フルオロキノロン薬の効果が阻害されるか高められるかは明らかになってはいない[1]。
注意
アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、鉄(II)、亜鉛などの金属のカチオンはフルオロキノロン系の抗生物質とキレート錯体を作り吸収を阻害すると考えられている。アルミニウムを含むスクラルファートはシプロフロキサシンの生物学的利用能を約4%まで低下させる[2]。
シトクロムP450系で代謝される薬物の毒性がキノロン薬によって高められる。キノロン薬はまた、GABAA受容体に作用して神経系の病徴(痙攣など)を引き起こすことがある。その作用は非ステロイド性抗炎症薬との相互作用により強められる[3]。特にジクロフェナクの併用で痙攣例がある。
効能・効果
<適応菌種>
- 本剤に感性のブドウ球菌属、腸球菌属、炭疽菌、大腸菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、緑膿菌、レジオネラ属
<適応症>
- 敗血症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肺炎、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、炭疽
参考文献
- ^ Hilliard, J. J.; Krause, H. M.; Bernstein, J. I.; Fernandez, J. A.; Nguyen, V.; Ohemeng, K. A.; Barrett, J. F. "A comparison of active site binding of 4-quinolones and novel flavone gyrase inhibitors to DNA gyrase." Adv. Exp. Med. Biol. 1995, 390, 59-69. PMID 8718602.
- ^ Spivey, J. M.; Cummings, D. M.; Pierson, N. R. "Failure of prostatitis treatment secondary to probable ciprofloxacin-sucralfate drug interaction" Pharmacotherapy 1996, 16, 314-6. PMID 8820479.
- ^ Brouwers, J. R. "Drug interactions with quinolone antibacterials." Drug Saf. 1992, 7, 268-81. PMID 1524699.
関連項目
外部リンク
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ウィキメディア・コモンズには、シプロフロキサシンに関連するカテゴリがあります。 |
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- シプロフロキサシン,塩酸シプロフロキサシン (医薬品・医療機器等安全性情報(No.263)) -- (重要な副作用等に関する情報)
- 急性呼吸促迫症候群を発症したが救命することのできた粟粒結核の1例
- 小川 玄洋,桂 隆志,野村 憲弘,佐藤 雅,林 量司,佐藤 貴俊,久保 定徳,関川 高志,松川 正明,長谷川 真
- 昭和医学会雑誌 70(6), 480-487, 2010
- … と呼吸状態悪く,非定型感染を疑う血液検査所見を認め,胸部X線検査と胸部CT検査で,両肺野にスリガラス状陰影とびまん性粒状影を認めたことから粟粒結核を含む肺感染症を念頭に,抗結核薬と塩酸シプロフロキサシン(CPFX)の投与を開始した.後日,喀痰・胃液および尿より結核菌検出の報告があり,粟粒結核の診断が確定した.入院第3病日には,低酸素血症が進行し,急性呼吸促迫症候群(Acute Respiratory …
- NAID 130000852786
- MS40-#3 モキシフロキサシン塩酸塩と交叉反応を認めた塩酸シプロフロキサシンによるアナフィラキシーショックの1例(食物アレルギー・薬物アレルギー-病態生理と治療5-薬物アレルギー-,第59回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- 山下 純史,西川 里香,松永 亜紀子,皿山 泰子,清水 秀樹,原田 晋
- アレルギー 58(8・9), 1327, 2009-09-30
- NAID 110007675414
Related Links
- シプロキサンとは?シプロフロキサシンの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も 調べられる(おくすり110番:病気別版) ... 成分(一般名), :, 塩酸シプロフロキサシン .... シプロフロキサシンとして、通常成人1回100~200mgを1日2~3回経口服用する。
- よく用いられる薬としてはオフロキサシン(OFLX、商品名タリビッド®)、シプロフロキサ シン(CPFX、商品名シプロキサン®)、 ... ガチフロキサシンやモキシフロキサシンは肺炎 球菌に効果的でシプロフロキサシンは黄色ブドウ球菌によく効くと言われている。前述の ...
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
シバスタン錠100mg
組成
組 成
- シバスタン錠100mgは1錠中塩酸シプロフロキサシン116.4mg(シプロフロキサシンとして100mg)および添加物としてトウモロコシデンプン、クロスカルメロースナトリウム、カンテン末、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタン、タルク、カルナウバロウを含有する。
禁忌
(1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
※※ (2)ケトプロフェン(皮膚外用剤を除く)を投与中の患者
(3)チザニジン塩酸塩を投与中の患者
(4)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
(5)小児等
- 〔「小児等への投与」の項参照〕
- *ただし、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び小児等に対しては、炭疽に限り、治療上の有益性を考慮して投与すること。
効能または効果
適応菌種
- シプロフロキサシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、炭疽菌、大腸菌、赤痢菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、レジオネラ属、ペプトストレプトコッカス属
適応症
- 表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、尿道炎、胆嚢炎、胆管炎、感染性腸炎、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、中耳炎、副鼻腔炎、炭疽
- シプロフロキサシンとして、通常成人1回100〜200mgを1日2〜3回経口投与する。
なお、感染症の種類及び症状に応じ適宜増減する。
炭疽に対しては、シプロフロキサシンとして、成人1回400mgを1日2回経口投与する。
- (1)本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
- (2)小児の炭疽に対しては、米国疾病管理センター(CDC)が、シプロフロキサシンとして、1回15mg/kg体重(ただし、成人用量を超えないこと)を1日2回経口投与することを推奨している。
- (3)炭疽の発症及び進展抑制には、米国疾病管理センター(CDC)が、60日間の投与を推奨している。
慎重投与
1)本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
2)高度の腎障害のある患者
- 〔高い血中濃度が持続するので、投与量を減量するか、あるいは投与間隔をあけて使用すること。〕
3)てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
4)重症筋無力症患者
5)高齢者
6)QT延長を起こすおそれのある患者
- 〔QT延長を起こすことがある。(「重大な副作用」の項参照)〕
重大な副作用
※※ 1.ショック、アナフィラキシー(頻度不明):
- ショック、アナフィラキシー(呼吸困難,浮腫,蕁麻疹等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2.大腸炎(頻度不明):
- 偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
3.横紋筋融解症(頻度不明):
- 筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれることがあるので注意すること。
4.間質性肺炎(頻度不明):
- 発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
※ 5.低血糖(頻度不明):
- 重篤な低血糖があらわれることがある(高齢者、特にスルホニル尿素系血糖降下剤併用患者であらわれやすい)ので、観察を十分に行い、異常があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
6.無顆粒球症、汎血球減少、骨髄抑制、血小板減少(頻度不明):
- 骨髄抑制、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
7.劇症肝炎、肝機能障害、黄疸(頻度不明):
- 劇症肝炎、著しいAST(GOT)、ALT(GPT)等の上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
※ 8.中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN )、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑、急性汎発性発疹性膿疱症(頻度不明)
- 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑、急性汎発性発疹性膿疱症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
※ 9.急性腎不全、間質性腎炎(頻度不明)
- 急性腎不全、間質性腎炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
※ 10.痙攣(頻度不明)
- 痙攣があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
※ 11.アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害(頻度不明)
- アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害があらわれることがあるので、腱の疼痛や炎症がみられた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、外国において、投与終了数か月後にこれらの症状を発現した症例が報告されている。
※ 12.錯乱、抑うつ等の精神症状(頻度不明)
- 錯乱、抑うつ等の精神症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
※ 13.重症筋無力症の悪化(頻度不明)
- 重症筋無力症の患者で症状の悪化があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
※ 14.血管炎(頻度不明)
- 血管炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
15.QT延長、心室頻拍(Torsades de pointes を含む):(頻度不明)
- QT延長、心室頻拍( Torsades de pointes を含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- ・細菌のDVAジャイレースに結合してDNAの複製を阻害し、殺菌的作用を示す。
- ・グラム陽性菌、グラム陰性菌に対し広範囲な抗菌スペクトルを有する。
有効成分に関する理化学的知見
- 塩酸シプロフロキサシンは白色〜微黄色の結晶性の粉末で、においはなく、味は苦い。水にやや溶けにくく、メタノールに溶けにくく、エタノール(95)に極めて溶けにくく、クロロホルム、n-ヘキサン又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。光によって徐々に着色する。
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- ciprofloxacin
[★]
- 英
- ciprofloxacin, CIP, CPFX
- 化
- 塩酸シプロフロキサシン ciprofloxacin hydrochloride
- 商
- Cipro、シバスタン、シフロキノン、シプキサノン、シプロキサン、フロキシール、プリモール、ペイトン
- 関
- 抗菌薬
- GPC(肺炎球菌以外)、GNR(緑膿菌含む)、細胞内寄生菌(サルモネラなど)、レジオネラ、マイコプラズマ、クラミジア、抗酸菌
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義
[★]
- 英
- hydrogen chloride
- 同
- 塩化水素
- 関
[★]
- 英
- pro