201Tl-塩化タリウム
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Japanese Journal
- 腫瘍の診断における塩化タリウム(^<201>Tl)注射液の有用性(第2報)-骨・軟部腫瘍および縦隔腫瘍における検討-
- 腫瘍の診断における塩化タリウム(^<201>Tl)注射液の有用性(第1報)
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- 塩化タリウム(201Tl)注NMP,塩化タリウム(201Tl)注射液.
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
塩化タリウム(201Tl)注NMP
組成
- 本剤は,水性の注射剤で,タリウム-201を塩化第一タリウムの形で含む。
1mL中,
塩化タリウム(201Tl)(検定日時において) 74MBq
添加物
効能または効果
- ・心筋シンチグラフィによる心臓疾患の診断
- ・腫瘍シンチグラフィによる脳腫瘍,甲状腺腫瘍,肺腫瘍,骨・軟部腫瘍及び縦隔腫瘍の診断
- ・副甲状腺シンチグラフィによる副甲状腺疾患の診断
1.心筋シンチグラフィ
- 通常,成人には201Tlとして74MBqを肘静脈より投与し,投与後5?10分よりシンチレーションカメラで正面像,左前斜位像,左側面像を含む多方向におけるシンチグラムを得る。
なお,投与量は,年齢,体重及び検査方法により適宜増減する。
2.腫瘍シンチグラフィ
- 通常,成人には201Tlとして脳腫瘍では55.5?111MBq,甲状腺腫瘍,肺腫瘍,骨・軟部腫瘍及び縦隔腫瘍では55.5?74MBqを静脈内に投与し,投与後5?10分よりシンチレーションカメラで被検部を撮像することによりシンチグラムを得る。必要に応じ,投与後約3時間に撮像を行う。
なお,投与量は,年齢,体重及び検査方法により適宜増減する。
3.副甲状腺シンチグラフィ
- 通常,成人には201Tlとして74MBqを静脈内に投与し,投与後5?10分よりシンチレーションカメラで被検部を撮像することによりシンチグラムを得る。必要に応じ,甲状腺シンチグラフィによるサブトラクションを行う。
なお,投与量は,年齢,体重及び検査方法により適宜増減する。
(シリンジバイアル使用方法)
- (1) コンテナのセイフティバンドを切り取り,上蓋を外す。
(2) メジシリンジ専用プランジャーを取り付ける(図1)。
(3) コンテナから取り出す(メジシールドキャップを持って取り出せます)。
(4) 先端のゴムキャップを取り,メジシリンジ専用針(メジニードル又はメジルアー針)を取り付ける(図2)。
(5) 患者に投与する。
図1
図2
(使用後の廃棄方法)
- (1) 誤刺に注意して,針を外す。
(2) プランジャーは取り付け時と反対の方向(反時計方向)に回して取り外す。
(3) メジシールドキャップを回して取り外し,シールドからシリンジを抜き取り廃棄する。
薬効薬理
- Tlは周期律表III?B族に属する金属であるが,一価のイオンの場合には,I?A族に属するKと類似した生体内挙動を示すことが知られている3)。正常心筋では心筋細胞膜のNa+-K+ATPase系によりK+が心筋細胞内に能動的に取り込まれ心筋内に集積する4)。この正常心筋内への取込みは主に局所心筋血流に依存しており,K+では初回冠動脈通過で約70%が取り込まれるとされている。したがって,K+と類似の体内動態を示す本剤を静脈内注射すると,全身の筋肉に分布するが,筋活動の活発な心筋に多く分布し,虚血等の障害部位には分布しない5)。
またTlはCsと同様血流に応じた分布がみられ,腫瘍部では他の組織に比して貯留傾向が大であることから腫瘍像を得ることが可能である。Tlの腫瘍内集積はNa+-K+ATPase系のK+がTlによって置換することによると推測されている。また,Tlの集積の程度は腫瘍への血流分布に大きく左右される6)。
有効成分に関する理化学的知見
1.放射性核種の特性(201Tlとして)
- 物理的半減期:72.91時間
Hg特性X線:71-80keV
主γ線エネルギー:135keV(2.6%),167keV(10.0%)
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- thallium, Tl
- 関
- 201Tl-塩化タリウム、タリウム中毒
"母親に劇物"事件の原因物質とされる「タリウム」ってどんな金属?
物性
- 灰色ないし銀白色の柔らかい金属(モース硬度1.2)。地殻には0.6ppm(0.00006%)ほど存在。
分布
- 銅、鉛、亜鉛などの硫化鉱物に微量に含まれており、精製の際の副産物として回収される
産業
- 光学レンズ、低温用温度計、半導体、放射能の測定に使用されるシンチレーションカウンターなどの製造に使われる。
- 1950年代初めまで、酢酸タリウム軟膏が多毛症の治療薬として使用された。
- 脱毛剤として用いられる。
化合物
毒性
- 毒性の強い金属
- 推定致死量はタリウムとして8~12mg/kg
- 暴露径路:気道や皮膚
- 消化管からの吸収された場合、通常、12~24時間後に発症し、初期症状として消化器症状と神経症状が現われる。
- 少量摂取:嘔気、嘔吐、食欲不振、上腹部痛、感覚障害、筋力低下、運動失調等の症状が現われる。重篤な場合には発熱、痙攣を起こし、肺炎、呼吸抑制、循環障害で死に至る。
- 特徴的な症状:脱毛。通常2週間、大量摂取時5日で出現。
- 典型的に症状:多発神経炎、脳症、消化器症状、脱毛
動態
- カリウムとほぼ同じ動態を呈する。これはタリウムイオンはカリウムとほぼ同じ大きさであるため。カリウム濃度の高い神経、肝臓、心筋などの細胞膜やミトコンドリアで、カリウムの1/10の濃度でこれと競合し、毒作用を現わす
- SH基を有する酵素を阻害。他の重金属と同様の性質。システインのタンパク及びケラチンへの合成が障害されることで脱毛に至ると考えられている。
- 細胞内のリボフラビン(ビタミンB2)と不溶性の化合物を作り脱毛、神経炎、皮膚炎などの原因と考えられている
排泄
検査
- 24時間尿中タリウム濃度が5ng/mL以下(原子吸光分析による)
- 全血中タリウム濃度2μg/L以下
[★]
- 英
- thallium 201
- 同
- タリウム201
- 関
- 201Tl chloride、タリウム、201Tl-塩化タリウム
- 半減期:72.9 hr ≒ 3d
- 壊変様式:電子捕獲 EC
- 線種:γ線
- 20181Tl → 20180Hg + νe
- 放射線のエネルギー:Hg-X (71 keV), 167 keV
[★]
- 英
- chloride、chloro
- 関
- 塩化物、塩素イオン、クロライド、クロリド、クロロ、クロール
[★]
- 英
- thallium chloride
- 商
- 塩化タリウム(201Tl)、塩化タリウム-Tl201
- 関
- 放射性医薬品、タリウム