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モース硬度(モースこうど)、モース硬さ(モースかたさ、英語: Mohs hardness[1])またはモース硬さスケール(モースかたさスケール、英: Mohs' scale of hardness[2])は、主に鉱物に対する硬さの尺度の1つ。硬さの尺度として、1から10までの整数値を考え、それぞれに対応する標準物質を設定する。
ここで言う硬さの基準は「あるものでひっかいたときの傷のつきにくさ」であり、「たたいて壊れるかどうか」の堅牢さではない(そちらはじん性を参照)。モース硬度が最高のダイヤモンドであっても衝撃には弱く、ハンマーでたたくなどによって容易に砕ける。また、これらの硬度は相対的なものであるため、モース硬度4.5と示されている2つの鉱物があったとしても、それらは同じ硬度とは限らない。これは、蛍石で引っかくと傷がつかず、燐灰石で引っかくと傷つくということを示すのみである。
数値間の硬度の変化は比例せず、硬度1と2の間、9と10の間の硬度の差が大きいことも特徴的である。一見すると不便な見分け方のようでもあるが、分析装置のない野外においては、鉱物を同定するために役立つ簡便で安価な方法である。
モース硬度の「モース」は、この尺度を考案したドイツの鉱物学者フリードリッヒ・モースに由来している。
モース硬度 | 標準物質 | 化学式 | 絶対硬度 | 画像 | 解説 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 滑石 | Mg3Si4O10(OH)2 | 1 | 最も軟らかい鉱物で、つるつるした手触り。 | |
2 | 石膏 | CaSO4·2H2O | 3 | 指の爪で何とか傷をつけることができる。 | |
3 | 方解石 | CaCO3 | 9 | 硬貨でこするとなんとか傷をつけることができる。 | |
4 | 蛍石 | CaF2 | 21 | ナイフの刃で簡単に傷をつけることができる。 | |
5 | 燐灰石 | Ca5(PO4)3(OH–,Cl–,F–) | 48 | ナイフでなんとか傷をつけることができる。 | |
6 | 正長石 | KAlSi3O8 | 72 | ナイフで傷をつけることができず、刃が傷む。 | |
7 | 石英 | SiO2 | 100 | ガラスや鋼鉄などに傷をつけることができる。 | |
8 | トパーズ(黄玉) | Al2SiO4(OH–,F–)2 | 200 | 石英に傷をつけることができる。 | |
9 | コランダム(鋼玉) | Al2O3 | 400 | 石英にもトパーズにも傷をつけることができる。 | |
10 | ダイヤモンド(金剛石) | C | 1600 | 地球上の鉱物の中で最も硬い。 |
硬さを計る試料物質で標準物質をこすり、ひっかき傷の有無で硬さを測定する。現実に存在する化学物質(人工物、天然物)の中で、モース硬度として最も硬いものはダイヤモンドである。
人間の爪の硬度は約2.5、銅製の硬貨の硬度は約3.5、木工用の釘の硬度は約4.5、ガラスの硬度は約5、ナイフの刃の硬度は約5.5(ただし鋼材の種類に左右される)、鋼鉄のやすりの硬度は約7.5である。
15段階に修正された修正モース硬度が使われる。
修正モース硬度 | 旧モース硬度 | 鉱物 | ヌープ硬度 |
1 | 1 | 滑石 | |
2 | 2 | 石膏 | |
3 | 3 | 方解石 | |
4 | 4 | 蛍石 | |
5 | 5 | 燐灰石 | |
6 | 6 | 正長石 | |
7 | 溶融石英 | ||
8 | 7 | 水晶(石英) | |
9 | 8 | 黄玉(トパーズ) | |
10 | 柘榴石 | ||
11 | 溶融ジルコニア | ||
12 | 9 | 溶融アルミナ | 2100 |
13 | 炭化ケイ素 | 2500 | |
14 | 炭化ホウ素 | 2750 | |
15 | 10 | ダイヤモンド | 9000 |
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