出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/01/23 19:02:23」(JST)
ラミナリア桿(らみなりあかん)は、子宮頸管の拡張等に用いられる、棒状の医療機器(子宮頸管拡張器)である。単にラミナリアとも呼ばれることがある。コンブの茎根[1]を原材料とするものがラミナリア桿であるが、近年ではラミナリア桿に類似した、高分子材料を原材料とする類似品も登場している。
医療機器の国際分類であるGHTFルールによれば、IからIVまでの4つあるクラス分類の中で最も危険度の低いクラスIに該当する。日本では、薬事法によって、類別「機械器具52 医療用拡張器 一般的名称:子宮頚管拡張器」に分類されている。市場に流通しているものは、放射線滅菌若しくはエチレンオキサイドガスによって滅菌済みの製品が主流であり、滅菌品はISO 13485やEU医用機器指令、日本の厚生労働省令第169号(QMS省令)などに基づいて品質管理されている。
原材料は主にオニコンブ(羅臼昆布)[要出典]の茎根である。この茎根部を裁断、成型して製造される。
ラミナリア桿は、長さ6~8センチメートル程度、直径は約2~8ミリ程度の円筒形で、子宮頸管に挿入しやすい形状となっている。また、挿入部と反対側には、輪状に糸が付けられている(図1参照)。この糸は、子宮頸管に挿入された複数のラミナリアを結索するために使用されるものである。ラミナリア桿は通常複数本挿入されるが、これは、単数使用の場合十分に拡張の目的を達せないことがあるためであり、また、抜去時に外子宮口と内子宮口の間の圧でラミナリア桿本体が折損することを防ぐ意味もある。糸はラミナリア桿の抜去の際に引っ張るためのものではない(糸を引っ張ると糸が桿部を断裂させる可能性がある)。
高分子材料製のものは、各社それぞれに特徴があるが、総じて、把持部及び膨張する桿部からなり、桿部はスポンジ状で親水性のあるものとなっている(形状の例は図2参照)。桿部の先端に30度程度の傾斜を持たせ子宮頸管に挿入しやすいように工夫されている製品もある。把持部には結索用糸がついている。
ラミナリア桿は、乾燥したコンブが水分を吸収すると膨潤するという性質を利用した医療機器である。
すなわち、ラミナリア桿は、妊婦の子宮頚管部に挿入されると、体内組織の水分を吸収し、緩やかに膨張を始める。ラミナリア桿は通常複数本挿入される。膨張を始めたラミナリア桿は、バルーンを入れた場合と同様に、子宮頸管の接触面を外に向かって圧迫する。これによって、子宮頸管が拡張するのである。
高分子材料製のものは、水分を吸収したスポンジが膨張することでコンブの膨潤と同様の結果をもたらすことを意図しており、原理はラミナリア桿と同様である。
使用目的としては、分娩の誘発が挙げられる。とくに陣痛が微弱等で子宮口が十分に開大していないような症例で使用される。また、人工妊娠中絶手術前にも使用されることがある。挿入時間は短時間(24時間以内)に限られる。
子宮頸管部が強靭若しくは十分に熟化しておらずラミナリア桿の挿入が困難な場合には、あらかじめ金属製の子宮頸管拡張器で拡張しておくことがある。また、分娩誘発目的の場合で、十分に子宮頸管が拡張しない場合には、陣痛促進剤が投与されることもある。
使用時の手順は概ね次のとおりである。使用は産科医により行われる。
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