出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/01/30 05:29:00」(JST)
この項目では、イギリスの学術雑誌について説明しています。同名の映画については「ネイチャー (映画)」をご覧ください。 |
Nature | |
---|---|
略称 (ISO) | None |
学術分野 | 学際 |
言語 | 英語 |
詳細 | |
出版社 | Nature Publishing Group |
出版国 | イギリス |
出版歴 | 1869年以降継続 |
出版間隔 | 週刊 |
インパクトファクター | 42.351(2013年) |
分類 | |
ISSN | 0028-0836 |
外部リンク | |
|
|
プロジェクト:出版/Portal:書物 | |
テンプレートを表示 |
『ネイチャー』(英語: Nature)は、1869年11月4日、イギリスで天文学者ノーマン・ロッキャーによって創刊された総合学術雑誌である。
現在[いつ?]では、世界で特に権威のある学術雑誌のひとつと評価されており、主要な読者は世界中の研究者である。雑誌の記事の多くは学術論文が占め、他に解説記事、ニュース、コラムなどが掲載されている。記事の編集は、イギリスのNature Publishing Group (NPG) によって行われている。NPGからは、関連誌として他にネイチャー ジェネティクスやネイチャー マテリアルズなど十数誌が発行されていおり、いずれも高いインパクトファクターを持つ。
19世紀後半のイギリスは、テクノロジーや工業の大きな変化や進歩を経験した[1]。この時代の、評価の高い科学誌と言えば、王立協会の審査つきの科学誌(アイザック・ニュートンあたりに始まって、マイケル・ファラデーやチャールズ・ダーウィンも寄稿したそれ)であった。1850から1860年代にかけて、ポピュラーサイエンスの定期刊行物が倍増した[2]。そうした刊行物の出版社の弁によると、それらは「科学のオーガン(器官)」であり、「一言で言えば、人々を科学の世界へと繋ぐ手段」であった[2]。
ネイチャーが1869年に創刊された当時には、すでにこうした類の定期刊行物はいくつも存在していた。例えばネイチャーに先行していたものとしてはRecreative Science: A Record and Remembrancer of Intellectual Observationが挙げられる。これは1859創刊で、当初は自然史を扱うもので、後に物理分野での観察的な科学や技術的な主題を扱うようになり自然史はあまり扱わなくなった。タイトルも何度か変更された[3]。他にも、1862年創刊のPopular Science Review、1864創刊のQuarterly Journal of Science、1868年創刊Scientific Opinionがあった。
こうした似たりよったりの定期刊行物は全然うまくゆかなかった。最も長く続いたPopular Science Reviewですら20年しか続かず1881年に廃刊。Recreative Scienceも、Student and Intellectual Observerも1871年に廃刊。The Quarterly Journalは編集者の交替の後1885年に廃刊。The Readerは1867年廃刊。Scientific Opinionは2年しか続かず、1870年6月に廃刊[4]。
The Reader誌の失敗からしばらくして、それの元編集者だったノーマン・ロッキャー (Norman Lockyer) は科学誌を新たに創刊することを決意し、その誌名を「Nature」とした[5]。この誌名「Nature」はウィリアム・ワーズワースの作品の一節 “To the solid ground of nature trusts the Mind that builds for aye” からとったものである[6]。「Nature」は、当初はマクミラン社(英語版)によって所有・出版されており、先行していた定期刊行物同様に、「教養ある読者に科学的知識の進歩についての、アクセス可能なフォーラムを提供する」ことを試みたという[5]。Janet Browneによると、「ネイチャー」は「同時代の科学誌群とは比べ物にならないほどポレミック (polemic) な目的の(つまり、討論を挑んだり、議論を引き起こすことが目的の)雑誌として生まれ、育てあげられた[7]。
初期の「ネイチャー」はX Clubによって書かれた記事を多数含んでいた[5]。X Clubというのはどのような著者であったかと言うと、リベラルで進歩的で、その時代に科学的と信じられていたことに対して異論をとなえることで知られていた科学者集団である[5]。
2013年、ノーベル賞受賞者であるランディ・シェクマンがこのネイチャーとサイエンス、セルの3誌は商業主義に陥っていると批判、絶縁宣言をした[8]。
ネイチャーには、これまでにノーベル賞クラスの業績が多数掲載されてきた。
一部リンク先は無料公開されていない。
南方熊楠が1892 - 1900年のイギリス滞在中書いた、「極東の星座」を始めとする何点もの論文がネイチャーに掲載された[9]。当時日本人の寄稿は、南方の論文を除けばせいぜい1点しかなかった、という[9][10]。生涯にわたってネイチャーに掲載された熊楠の論文は51本にものぼり、これは日本人としてはもちろん、単独名の論文掲載としては歴代投稿者の中での最高記録であるという[11]。
歴史の節で解説したように、「ネイチャー」はもともと、polemicalな(定説に異論を唱え、議論を挑む姿勢の)ものとして生まれ、育てられたものであり、近年でもそうした姿勢・ポリシーで掲載されている論文がある。
ScienceやPNASなどの他の総合学術誌が、オンライン限定アクセス、つまり紙媒体を配信せずにオンラインのアクセスのみの配信方法を認める代わりに安価で記事を閲覧可能とする配慮をしているのに対し、Natureの場合は、日本国内向けには「オンライン限定のアクセスに限定するかわりに安価に論文を購読できるオプション」はない。もっとも、2011年から、iPad用のアプリを使えば安価に定期購読できるようになった[1]。
Natureを個人購読した場合には、オンラインアクセスの権利が付与されるが、この権利は極めて限定的である。個人購読の場合、オンラインアクセスは約10年前から現在まで(2008年時点では1997年から2008年)に発行された記事に限定される[2]。これ以前の記事はNature Archiveの扱いとなる[3][4]。
2008年現在Nature Archiveは、下記の3種類に分類さる。
日本でNatureを購読した場合にはNature Archiveへのオンラインアクセス権が存在しないことは、日本語のSubscriptionフォーム上には明記されず、曖昧にされていて[7]、個人向けにはFAQにおいて、英国本社のサイトをみるように指示されているのみである。つまり、個人向けには、10年以上前の論文への安価なアクセス手段は、事実上ない。対照的に、Scienceの場合は個人向けのオンライン限定アクセスを購入した場合、定価(税抜き)で$199だが、常に割引状態であり(学生やポスドクなら1万円/年以下、その他は1万円/年程度で可能)、創刊以降全ての記事を読むことが可能である。PNASの場合には、10年以上前の記事は無料で誰でもアクセス可能である。論文1個1個を個別に閲覧する場合の価格は、~18$/記事 とされているが[8]、原著論文 (Article) の場合には30$/記事[9]である。アクセス権は7日間に限り有効で、それ以降は消滅する。
また、日本国内でのNatureの購読価格は米国での購読に比べ極めて高価である。米国内在住の場合は税抜きで$199/年(約2万円/年)である[10]のに対し、日本国内では個人5.35万円/年 程度かかる[11]。この価格は、他の総合学術誌の価格に比べても大幅に高価であり、さらに個人でフィジカル・レビュー全誌をオンラインで購入するのに必要な価格(実勢)よりも高価である。
日本国内のNature購読者は自動的にNature ダイジェストの購読者とされ、30-40ページほどの日本語で書かれた小冊子が毎月送られるという特典がある。
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
リンク元 | 「自然」「性質」「nature」「本質」 |
関連記事 | 「チャー」 |
.